ソース管理戦略を推奨する
企業での開発においては、同じ基本コードの複数のコピーおよびバージョンを複数の開発者間で維持するのが難しい場合があるため、ソース管理が非常に重要です。 定義上、ソース管理とはファイルを格納し、変更を追跡するためのシステムです。 一部のシステムでは、バージョン管理も提供されています。 Power BI の場合もデータセットとレポートに関して同じ問題が存在するため、Power BI のソース管理ソリューションを見つけることは、組織の管理オーバーヘッドを軽減する上で役に立ちます。
オプションを検討する
Power BI アセットのソース管理を行うには、OneDrive for Business、SharePoint、または Git を使用できます。 組織で既にこれらのツールのいずれかが使用されている場合、主要な Power BI ユーザーは誰なのか、採用するのが最も容易なツールはどれなのかを検討してください。 Power BI ではコードを少なくすること、またはコードを不要にすることを目的としています。つまり、ユーザーは OneDrive または SharePoint の従来のフォルダー構造には精通していても、Git リポジトリの移動には慣れていない可能性があるのです。
組織において Power BI Desktop を介し .pbix ファイルのみを使用してデータセットとレポートを作成する場合は、OneDrive または SharePoint を使用するのが最も容易な実装方法です。 表形式のエディターまたは Visual Studio を使用して .bim ファイルを作成する場合も、.bim ファイルに対して Git ソリューションを使用できます。 .bim ファイルには Git を使用し、.pbix ファイルの追跡には OneDrive または SharePoint を使用することもできます。ただし、この場合はより複雑になることがあります。
すべてのプロジェクトに対してソリューションが 1 つずつ存在するわけではないことに注意してください。 人事部門のレポートは人事部の従業員によって設計され、.pbix ファイルのみが使用されていて、OneDrive が最も容易なソリューションである可能性があります。 一方、エンジニアリング部門には、Git リポジトリ内に .bim ファイルを作成し、SharePoint で .pbix ファイルを作成する専用のデータセット開発者がいます。
OneDrive を使用してファイル バージョンの追跡を実装する
バージョン追跡を使用すると、維持したい要素が最新のコピーによって上書きまたは削除された場合に、以前のバージョンを復元できます。 OneDrive を使用すると、チーム コラボレーションおよびファイル バージョン追跡が可能になりますが、複数のユーザーが同じファイルを更新して、競合が発生した場合はどうなりますか? 変更を現在または以前のコピーに手動でマージする必要があります。 SharePoint を使用すれば、ファイルのチェックアウトおよびチェックインを行ってチーム メンバー間で問題の競合を防ぐこともできますが、それはまだ手動であり、プロセスとトレーニングが必要です。
ソース管理に Git を使用する
Git とはプッシュ、プル、マージ、分岐の各オプションを備えた従来の分散リポジトリ システムです。 開発者はコピーをプルダウンして目的の編集を行ってから、変更をプッシュします。最終的に変更がマージされます。 データセット上で作業する開発者が複数存在する場合は、Git を利用すると、データセット用に .bim ファイルを使用する際に、変更を簡単に組み込むことができます。 Git を使用する製品としては、GitHub や Azure DevOps など、いくつかの種類の製品があります。
ただし、Power BI レポートはバイナリ ファイルであるため、ファイル内の変更を追跡することはできません。.pbix ファイルに対する Git は理想的ではありません。 ファイルが大きい場合、Git を使用すると、Large-File Storage (LFS) オプションを適用した場合でも、リポジトリのサイズが大幅に増加する可能性があります。
ベスト プラクティス
.pbix ファイル ソース管理には、Power BI サービス ワークスペースを使用しないでください。 バージョンを追跡することはできません。また、他のユーザーがワークスペースのコピーを上書きした場合は、最も正確なコピーを特定して再度アップロードする必要があります。
プロジェクトごとに最適なソリューションを選択します。
- .pbix ファイルの開発のみを行う場合は、OneDrive または SharePoint を使用して、ファイルおよびバージョン追跡用に単一のソースを維持します。
- .pbix および .bim ファイルを開発する場合でも、.pbix ファイルには OneDrive または SharePoint を使用し、.bim ファイルには Git を使用します。
- データフローまたはデータマートを使用する場合は、次に説明するデプロイ パイプラインを使用した Power BI サービスでのみ管理できます。
Git を使用している場合は、変更をメイン ブランチに自動的にマージできるかどうか、または変更を事前に確認して承認する必要があるかどうかを判断します。
ヒント
Git リポジトリの設計戦略の詳細については、Git 分岐ガイダンスを参照してください。
選択に関係なく、開発のための組織のプロセスを決定することは非常に重要です。 次のモジュールでは、アプリケーション ライフサイクル管理 (ALM) ごとに開発、テスト、運用のワークスペースを使用してデプロイする際に役立つデプロイ パイプラインについて説明します。