モックアップの作成と文書化

完了

モデル駆動型の Power Apps では、標準的なユーザー エクスペリエンスを持つアプリ デザイナーを使用することができます。 キャンバス アプリでは、ほぼ制限のないデザイン キャンバスを使用できます。 どちらのエクスペリエンスでも、最適なユーザー エクスペリエンスを達成するための計画が必要です。 前述のように、業務コンサルタントは、多くの場合、プロジェクトの異なる役割の橋渡しを行います。これには、ユーザー エクスペリエンスのモックアップの作成や文書化が含まれます。 ユーザー エクスペリエンスは単に 1 つの画面だけで構成されるわけではなく、構築されたソリューションの全体的なユーザー体験です。

ユーザー体験を設計する際は、次の点を考慮します。

  • 整合性: ユーザーはタスクとアプリの間を快適に移動できるか?
  • 論理的な進行: エンド ユーザー エクスペリエンスは、効率を念頭に置いて設計されているか? 異なるグループやユーザーのために、分岐を考慮する必要があるか?
  • ブランディングとテーマ: アプリの外観に大きな差異はないか? 従うべきブランディングのガイドラインはあるか?
  • ビジネス プロセスとシステムの自動化: ユーザーのためになる自動化はあるか? これらの自動化は本当にユーザーの役に立つか? ユーザーの採用を促進するためには、ビジネス プロセスや実装する機能がユーザーの期待を満たす必要があります。 新しいシステムは、ユーザーがプロセスを完了するために必要な手順を簡素化するように設計されているか? 逆に手順が追加されてはいないか? プロセスの自動化を使用して一貫したユーザー エクスペリエンスを実現するためのシステムを設計したか?
  • セキュリティ: ユーザーに必要な機能だけが含まれている組み込み機能を構築しているか? セキュリティ ロールでフォーム、アプリ、およびダッシュボードを制限して、ユーザーが必要とするアプリケーション コンポーネントだけを表示するようにし、モデル駆動型アプリでビューやその他のアプリ コンポーネントを制限することで、プロセスに特化したアプリで作業しているときに、ユーザーが必要なものだけに制限することができます。

ユーザー エクスペリエンスをデザインする際は、最終的な目標を念頭に置いて、便利で使いやすいエクスペリエンスを作成します。 ユーザーの採用は、ソリューションのさまざまな側面によって促進されます。 しかし、これらの目標は簡単に測定できるものではありません。 また、ユーザーによるソリューションの採用度は、ユーザーの採用に失敗したという事実で示されることもあります。 ユーザーの採用の有効性を測定する主な領域には、次のようなものがあります。

  • ビジネス バリュー: プロセス、成功 KPI、およびプロジェクトのビジネスの結果で定義されたビジネス目標および戦略
  • データおよび機能性: プラットフォーム内でのビジネス プロセスの実装は、データ、統合、セキュリティ、レポートなどに対するユーザーの期待を満たしている (またはそれを超えている)。
  • ユーザビリティ: Web、Outlook、モバイル、およびモバイル クライアントでのアプリケーションのユーザビリティおよびクライアントのユーザー エクスペリエンスのサポート
  • パフォーマンス: ページの読み込み時間、保存に要する時間、エラー、自動化などを含む、エンド ユーザーの視点から見たアプリケーションの全体的なパフォーマンスと信頼性

ビジネス バリュー

最適なユーザーの採用を実現するには、まずシステムのビジネス ユース ケースと、システム採用のための戦略を定義する必要があります。 プロジェクトに対するエグゼクティブ スポンサーを特定する必要があります。 IT 部門だけで展開を行うことは推奨されません。 展開を成功させるためには、IT 関係者とビジネス関係者は、ユーザーの期待を満たすソリューションを開発するために協力する必要があります。 システムの設計と構成に関するすべての決定は、ユーザー エクスペリエンスを考慮して行う必要があります。

個人の意見

システムが適切に設計され、目標を達成し成功したと企業が判断しても、ユーザーの意見に耳を傾ける必要があります。 システムは、ユーザーにより効率的なエクスペリエンスを提供する必要があります。

データと機能性

システム上のデータ (データの品質とシステムにおけるデータの価値) は、システムのユーザー採用に肯定的または否定的に影響する大きな要素の 1 つです。 システムに不適切なデータを組み込むと、新しいシステムのユーザー エクスペリエンスが低下します。 これを防ぐには、次の領域についての計画を定義する必要があります。

  • ビジネス データの検証: データはクリーンアップされているか、正しいデータか、またユーザーに良いエクスペリエンスを提供し業務を行うために必要なデータか?
  • データの古さ: 古く、使用できない、または期限切れのデータがシステムからアーカイブされているか? ジョブを実行するために十分な量のデータを保持しておくことは重要ですが、古いデータが多すぎると、システムが遅くなり使いにくくなる可能性があります。
  • データのクリーニング プロセス: システムに読み込むデータをクリーンアップする方法、およびデータを継続的にクリーンアップするための計画は策定されているか?
  • データ統合およびビジュアル/UI 統合: 継続的なデータ統合の計画はどのようなものか? また、正しいデータ統合を使用しているか? 仮想テーブルや Microsoft Power Platform コネクタのようにビジュアル統合に適しているデータが Dataverse にコピーされているか?

また、ユーザーがシステム内のデータを使用でき、システムで使用できるレポートや分析のオプションを理解する必要があります。 これには、高度な検索、ビュー、Excel のエクスポート、レポート ウィザード、グラフ、ダッシュボード、テンプレートなどの標準的なアプリケーション コンポーネントが含まれます。 個人用のビュー、テンプレート、グラフ、ダッシュボードや (該当する場合) Power BI でのセルフサービスの分析オプションの作成など、これらのツールでユーザーが使用する設定オプションについてもユーザーに理解してもらう必要があります。

ユーザービリティ

データ モデルがシステムのユーザビリティとエンドユーザー エクスペリエンスに及ぼす影響を把握しておく必要があります。 一貫性のない設計は、ユーザー エクスペリエンスを不快なものにする可能性があります。 一貫したユーザー エクスペリエンスを提供するためには、システムで用意されているツールを使用します。

ユーザーがシステムを快適に使用できるように、ナビゲーションは論理的かつ一貫している必要があります。 異なるフォームに異なるナビゲーションが採用されている場合や、関連するナビゲーション リンクがグループ化されていない場合は、システムを使用したりナビゲートしたりする際にユーザーは苛立ちを感じてしまいます。 関連するシステム タスクにユーザーが必要なすべての要素は、サイトマップおよびフォーム ナビゲーション領域にグループ化されている必要があります。 フォーム レイアウトは、一貫性を持ち、予測可能である必要があります。 可能であれば、ユーザー エクスペリエンス全体の同じ場所で、類似した列やタスクを常にグループ化します。

アプリを作成する場合は、適切なサイズにする必要があります。 関連性のない複数の業務グループが組み合わされたモノリシック アプリケーションは、作成すべきではありません。 一般に、モデル駆動型アプリケーションは、単一のグループまたは直接関連付けられている複数のグループ (関連する販売と顧客サービス プロセスなど) に対応する必要があります。 タスクに焦点を絞った、より単純なシナリオでは、キャンバス アプリを使用する必要があります。 ユーザーが 1 つのタスクを完了するために複数のアプリを切り替える必要がある場合、ユーザーは不満を感じることがありますが、ユーザーがタスクに特化した作業をモバイル デバイスで行う際に、大規模なモデル駆動型アプリケーションが用意されている時にも、ユーザーは不満を感じます。 アプリのサイズが適切であること、さらにユーザーの作業に最適なユーザーエクスペリエンスを提供できることを確認します。

すべてのユーザーが効果的にアプリを使用できるようにするには、障害を持つユーザーに対してアクセシビリティを考慮する必要があります。 ユーザーのアクセシビリティ要件を十分に理解しており、ソリューション チェッカーとアプリ チェッカーを使用して、構成がアクセシビリティ基準を満たしていることを確認します。

パフォーマンス

システムのパフォーマンスは、システムの採用を促進するための重要な要素の 1 つです。 ソリューションが適切に構築され、データがクリーンな状態であっても、システムのパフォーマンスが低い場合は、ユーザーがシステムを使用することはありません。 システムには素早い応答が求められます。 システムには信頼性が求められます。 堅牢なシステムを構築し、脆弱性を排除します。

ユーザーのシステム採用を促進するために必要なトレーニングとサポートをユーザーに提供します。 初期段階からシステムを使用し始めたユーザーやスーパー ユーザーを含む、エキスパート ユーザーのコミュニティを作成します。 効果的なユーザー トレーニングの提供 - このトレーニングは、組織において最も効果的にトレーニングと知識を伝達する方法に沿ってカスタマイズする必要があります。 これには、トレーニング資料、ビデオ、サポート情報、およびアプリケーションとプロセスを説明するヘルプ リソースなどが含まれます。 社内のヘルプデスクには、詳しい専門家を配属する必要があります。 これには、展開中のサポートだけでなく、運用開始後のサポートが含まれます。

ほとんどの Microsoft Power Platformプロジェクトは反復的です。 反復よってソリューションが拡張する間も、プロジェクト開始当初の設計原則を忘れないようにします。 構築したシステムがユーザーの期待に沿ったものであるかを最終的に判断するのは、ユーザーです。 設計する際は、ユーザーの目標と結果を理解することが重要です。