Azure Communication Services を使用する状況
ここでは、Azure Communication Services が会社と問題にとって最適な選択であるかどうかを判断する方法について説明します。
条件
適切な判断を行うために役立つ基準をいくつか示しましょう。
- 既存のビジネス、アプリケーション、アイデア: Azure Communication Services と統合したい既存のビジネス、アプリケーション、アイデアがありますか?
- 機能: Azure Communication Services の機能が必要ですか?
- 環境: Azure Communication Services はお使いの環境で動作しますか?
- 地理的地域: どの場所または市場を対象にしますか?
- 適合性: Azure Communication Services には数多くの機能がありますが、どれがシナリオに適しているのかをどうやって確認できますか?
既存のビジネス、アプリケーション、アイデア
Azure Communication Services は、それだけでアプリケーションやビジネスを作成することはできません。 Azure Communication Services を統合する既存のアプリケーションがある場合、または少なくともアプリケーションを作成するのが理にかなっているアイデアがある場合に最適です。 既存のアプリケーションやアイデアがない場合は、ニーズと要件を満たす別製品の方が適しているかもしれません。
たとえば、既存の形式の ID ソリューション (ログイン、ログアウトなど) がユーザーの ID を Azure Communication Services の ID プラットフォームに結び付けるために必要になります。 ID なしで通話を作成することは可能ですが、ユーザーはお互いを認識するための一貫して定義済みの ID を持たないことになります。
機能
Azure Communication Services にはさまざまな機能がありますが、これらの機能がご自分のソリューションで役立つかどうかを判断する必要があります。 利用可能な機能の一覧を確認し、適用可能かどうかを判断してください。
Azure Communication Services の機能をうまく組み合わせたり、他の Azure オファリングと併用したりできます。 Azure Communication Services のすべての機能を使用する必要はなく、最も関心のある領域を選択できます。 たとえば、音声通話とビデオ通話機能は必要でも、テレフォニー機能は必要ないかもしれません。 通話とコンタクト ポイントは、デジタルでのみ発生するように設計することもできます。 利用可能な機能はすべて使用しなければならないと思う必要はありません。
環境
Azure Communication Services には、動作するための適切な環境が必要です。 環境とは、ターゲット デバイスまたはブラウザーと、使用するプログラミング言語の組み合わせのことです。
Azure Communication Services では、次の環境がサポートされています。
- 最新のブラウザー (Chrome、Edge、Safari)
- Android の携帯電話とデバイス
- iOS の携帯電話とデバイス
また、次のプログラミング言語がサポートされています。
- JavaScript
- .NET
- Java Server Edition (SE)
- Python
- iOS (Swift)
- Android
ビジネスまたはアプリケーションまたはアイデアで、Azure Communication Services によってサポートされていない言語やデバイスまたはブラウザーを使用する場合は、Azure Communication Services が適していない可能性があります。
地理的リージョン
Azure Communication Services の一部の機能は、特定の国や地域または場所でのみ利用できます。 さらに、一部の国や地域または場所では、機能が制限される場合があります。 世界各地の Azure Communication Services のサポートにおけるこうした制限 (差) は、法律や規制の問題、あるいは、そのリージョンが Azure Communication Services によってまだサポートされていないことが原因である可能性があります。 Azure Communication Services が適しているかどうかを検討するときは、現在の事業だけでなく、事業を拡張する可能性も考慮に入れるようにしてください。
この領域で特に注目すべきなのは、テレフォニーと SMS の機能です。 電話網は国や地域によって構造および規制や法的な問題が異なるため、Azure Communication Services がターゲットの場所を必ずサポートしていることを確認することが非常に重要です。 また、請求先も影響を与えます。 たとえば、英国の番号に電話をかけるか、SMS メッセージを送信するには、英国内の請求先住所が必要になります。
SMS とテレフォニーは、場所の番号で使用できます。 サポートされているすべてのリージョン、番号の種類、使用可能な機能については、Azure Communication Services ドキュメントを参照してください
適合性
Azure Communication Services の使用を決定するときは、特定のシナリオに対して、数多い機能のうちのどれを使用すべきかについて考えることも重要です。 すべてを使用したくなるかもしれませんが、多くの場合、それは理想的ではありません。 先ほど説明したように、機能をうまく組み合わせることもできますし、まったく使わないという選択肢もあります。 ここでは、意思決定に役立つガイダンスをいくつか紹介します。
まず、すべての顧客が、現実の人物とのビデオ通話や音声通話を利用したいわけではないことを念頭に置いてください。 そのニーズや動機に応じて、さまざまな種類の通信を提供することが重要です。 必ず、チャットや電子メールなど、より受動的な非同期の機能から始めます。 顧客とのビジネス上の関係が確立されれば、特にサポートやメンテナンスなどを必要とする場合に、通話を利用する可能性が高くなります。
また、ユーザーによっては、電話番号などの個人情報を提供することを望まないため、Azure Communication Services のテレフォニー機能の一部が使えない可能性があります。 電子メールなど、他のフローを必ず用意しておきます。
判断に迷う場合は、チャットから始める (特に、ユーザーがサインイン情報を提供する必要がないチャットを利用してユーザーとやりとりするする) ことをお勧めします。
基準を適用する
結局のところ、Azure Communication Services は、既存のアイデア、アプリケーション、ビジネスが既にあって、通信機能とその上で起動する互換性のあるプラットフォームを必要とする場合に最適に機能します。 判断が難しいケースや、前述の基準を考慮してもなお Azure Communication Services を使用するというエッジ ケースもあることに留意してください。 決定はご自身次第であり、場合によっては、個々の状況に基づいて判断する必要があります。
サンプル シナリオに基準を適用する
このモジュールで最初に取り上げた Contoso Appliances (電化製品会社) のサンプル シナリオを振り返ってみると、説明した決定基準をその目的と要件に適用することができます。
- ビジネスが確立されており、既存の Web サイトやアプリケーションなどがある。
- Azure Communication Services に用意されている通話およびチャット関連機能を必要としている。
- 事業を展開している地理的地域が Azure Communication Services によってサポートされている。
- 使用しているアプリケーション環境とプラットフォーム用の SDK が Azure Communication Services に用意されている。
これまで説明してきた基準と会社の要件に基づくと、このシナリオは Azure Communication Services に適していると言えるでしょう。