SAP HANA on Azure (Large Instances) を監視する

完了

HANA Large Instances には、監視ツールが組み込まれていません。 代わりに、組織の要件に合わせてトラブルシューティングと監視を行うのに役立つリソースが Microsoft から提供されており、また Microsoft サポート チームから技術的な問題のトラブルシューティングに関する支援を得られます。 SAP HANA Studio、SAP HANA Cockpit、SAP Solution Manager、ネイティブ Linux ツールを使って、CPU、メモリ、ネットワーク帯域幅、記憶域スペースなどの HANA Large Instances リソースを監視します。

SAP HANA on Azure (Large Instances) も他の IaaS デプロイと変わりません。OS とアプリケーションの動作と、アプリケーションによる以下のリソースの使用方法を監視する必要があります。

  • CPU
  • メモリ
  • ネットワークの帯域幅
  • ディスク領域

Azure VM と同様に、上記のリソース クラスが十分であるかどうか、または使い果たされているかどうかを判断する必要があります。 これらのクラスの詳細を次に示します。

  • CPU リソースの消費量: メモリ内に存在するデータを処理するのに十分な CPU リソースを確保するために、SAP によって HANA ワークロードに対して定義されている CPU リソースの比率が適用されます。 それでも、たとえば不足しているインデックスなど、構成の問題が原因で、クエリの実行中に HANA によって過剰な CPU リソースが消費される場合があります。 これは、HANA Large Instance ユニットによる CPU リソースの消費量と、特定の HANA サービスによって消費される CPU リソースを監視する必要があることを意味します。
  • メモリ消費量: HANA の内部、およびユニット上の HANA の外部の両方のメモリ消費量を監視することが重要です。 HANA 内部では、HANA に割り当てられているメモリをデータがどのように使用しているかを監視して、SAP の必要サイズのガイドライン内に収まるようにします。 また、追加でインストールした HANA 以外のソフトウェアでメモリが消費されすぎて HANA とメモリの競合が発生しないようにするために、Large Instance レベルでメモリ消費量を監視したい場合もあります。
  • ネットワーク帯域幅: Azure VNet ゲートウェイでは、Azure VNet に送信されるデータの帯域幅が制限されます。そのため、VNet 内のすべての Azure VM によって受信されるデータを監視して、選んだ Azure ゲートウェイ SKU の制限にどれだけ近づいているかを判断すると便利です。 HANA Large Instance ユニットでは、受信および送信ネットワーク トラフィックを監視することも理にかなっています。
  • ディスク領域: 通常、ディスク領域の消費量は時間の経過と共に増加します。 最も一般的な原因は、データ ボリュームの増加、トランザクション ログ バックアップの実行、トレース ファイルの格納、ストレージ スナップショットの実行などです。 そのため、ディスク領域の使用量を監視し、HANA L インスタンス ユニットに関連付けられているディスク領域を管理することが重要です。

HANA L インスタンスの Type II SKU の場合、サーバーには事前に読み込まれたシステム診断ツールが付属しています。 システムの正常性チェックを実行するために、これらの診断ツールを利用できます。 正常性チェックのログ ファイルを /var/log/health_check に生成するには、次のコマンドを実行します。

/opt/sgi/health_check/microsoft_tdi.sh

Microsoft サポート チームと連携して問題のトラブルシューティングを行う場合は、これらの診断ツールを使ってログ ファイルを提供するよう求められることもあります。 次のコマンドを使用して、ファイルを圧縮することができます。

tar -czvf health_check_logs.tar.gz /var/log/health_check

Azure Monitor とログ分析

Log Analytics ゲートウェイを介して、HANA Large Instances から Log Analytics にログを転送することもできます。 このシナリオの場合、HLI ではローカルにインストールした Microsoft Monitoring Agent を使って、Azure VM 仮想ネットワーク内に存在する Log Analytics ゲートウェイにログを転送し、それが次に Log Analytics にデータを転送します。 Log Analytics ゲートウェイはインターネットにアクセスできる必要があります。 詳細については、「Azure Monitor セットアップ用 Log Analytics ゲートウェイ」参照してください。