アップグレードした SharePoint 2013 を最大限に活用する
原文の記事の投稿日: 2012 年 12 月 15 日 (土曜日)
Bojana Duke は、SharePoint チームのプログラム マネージャーです。共有機能と、吹き出し、パフォーマンス、およびレガシー機能を担当しています。
SharePoint サイトは、ミッションクリティカルな情報やプロセスによく使われます。そのため、製品とサービスをできるだけ迅速かつ簡単にアップグレードできるようにすることが重要になります。サイトを SharePoint 2010 から SharePoint 2013 にアップグレードする際には、サイトのコンテンツと構造が維持されるように細心の注意が払われています。しかし、そこにはトレードオフがあります。サイトのカスタマイズに干渉しないようにすると、アップグレード後のサイトで一部の新機能を既定で有効にできなくなるのです。ここでは、それらの機能を紹介し、それらを有効にする方法を説明します。
アップグレード前のサイトとアップグレード後のサイト
既定で有効にならない機能の説明に入る前に、アップグレードの前後でどのような違いがあるのかをサンプル サイトで見てみましょう。
図 1. SharePoint 2010 から SharePoint 2013 にアップグレードする前のサイト
図 2. SharePoint 2010 から SharePoint 2013 にアップグレードした後のサイト
新しいマスター ページと視覚スタイル
アップグレード後の最も明白な変化は、既定のマスター ページが新しくなったことです。これは、サイトのコンテンツを提示するために作られた、すっきりしたシンプルなページです。この新しいマスター ページには、サイトのテキストを書式設定するために使われるスタイルが含まれています。そのため、テキストのフォント、色、およびサイズが変更される場合があります。
サイトの主なコンポーネントはほとんど残っており、同じ場所にありますが、外観が少し異なります。
サイト ロゴ
SharePoint 2010 では、サイト ロゴが 60 x 60 ピクセルの小さな四角形に制限されていました。SharePoint 2013 では、サイト ロゴの最適なサイズが 180 x 64 ピクセルになりました (既定のマスター ページを使う場合)。この新しいスペースを活用できるように、新しいロゴ画像をアップロードすることをお勧めします。
リボン
SharePoint 2010 で導入されたリボンでは、SharePoint を操作するためのコマンドが 1 か所に集められています。リボンは、SharePoint 2013 でも重要な役割を担っていますが、サイトのコンテンツに集中できるように、既定で最小化されるようになりました。リボンを開くには、いずれかのリボン タブを選択します (左上の [ページ] をクリックするなど)。
グローバル ナビゲーション バー
SharePoint のすべてのサイトのすべてのページに、青い (既定の色) グローバル ナビゲーション バーが表示されるようになりました。これにより、ユーザーが目的の場所をすぐに見つけることができます。
[サイトの操作] メニュー
SharePoint 2010 の [サイトの操作] メニューは、画面の右上に移動されて、"歯車" のアイコンで表されるようになりました。名前も、シンプルな "設定" に変更されました。このメニューは、Office スイートの他の製品 (Outlook Web App など) と一貫しています。
おすすめの操作
SharePoint 2010 では、画面の左上の [サイトの操作] メニューとリボンの間にいくつかの "クイック操作" アイコンがありました。SharePoint 2013 では、アイコンの数が増えて、ページの右側に移動されました。
[リンクの編集] コマンド
さらに、サイド リンク バーとトップ ナビゲーション メニューの末尾に新しい [リンクの編集] コマンドが追加されました。このコマンドを使うと、クイック編集モードに入ってサイトのナビゲーションを整理することができます。
アップグレードしたサイトと新規作成したサイトの違い
SharePoint 2013 で新しいチーム サイトを作成すると、アップグレードしたサイトとの間にいくつかの明白な違いがあることがわかります。
作業の開始タイル
最も明白な違いは、おそらく、SharePoint 2013 で新たに作成したチーム サイトには "作業の開始タイル" があることでしょう。
図 3. 作業の開始タイル
これらのタイルは、サイトの共有、テーマの適用など、いくつかの一般的な操作へのショートカットを提供します。SharePoint 2010 の "作業の開始" リンクに代わるものです。
これらのタイルは、アップグレードしたサイトに自動的に追加されますが、コンテンツへの干渉を避けるために、ホーム ページには追加されません。これらのタイルにアクセスするには、[設定] メニューの [作業の開始] を選択します。
図 4. [設定] メニューの [作業の開始] を選択して新しい作業の開始タイルにアクセスする
もちろん、ホーム ページを編集して、古い "作業の開始" リンクを削除してタイルを追加することもできます。SharePoint 2013 のホーム ページと全く同じにするには、いくつかの変更を加える必要があります。
- ページ レイアウトを変更する ホーム ページを編集し、リボンの [テキストの書式設定] タブで [テキストのレイアウト] を選択します。次に、[ヘッダー付き __2 段組み] を選択します。 図 5. リボンを使ってページ レイアウトを変更する
- タイルを追加する テキスト カーソルをヘッダー テキスト領域に置いて、リボンの [挿入] タブから [サイトでの作業の開始] Web パーツを挿入します。 図 6. 新しい作業の開始タイルを追加するために [サイトでの作業の開始] Web パーツを挿入する
- 古いコンテンツを削除する 必要に応じて、ページから古いコンテンツや不要なコンテンツを削除します。 図 7. 必要に応じて古いコンテンツを削除する
- 共有ドキュメントを移動する
SharePoint 2013 では、ホーム ページの左側にサイトのニュースフィードが表示されます。これを追加する方法については後ほど説明します。ここでは、[共有ドキュメント] Web パーツをページの左側から右側に移動します。 - ページを保存して編集を終了する
"サイトのノートブック" 機能
SharePoint 2013 のチーム サイトには、OneNote ノートブックが含まれています。アップグレードしたサイトにこのノートブックを追加するには、"サイトのノートブック" 機能をアクティブにします (この機能を使用するには、WAC サーバーが関連付けられている必要があります)。
"サイトのノートブック" をアクティブにするには
- [設定] (歯車) -> [サイトの設定] -> [サイト機能の管理]
[設定] メニューの [サイトの設定] を選択し、[サイト機能の管理] を選択します。 - "サイトのノートブック" をアクティブにする [サイトのノートブック] で、[アクティブ化] を選択します。 図 8. "サイトのノートブック" 機能
"サイトのニュースフィード" 機能
SharePoint 2013 のサイトには、サイトのニュースフィードが含まれています。アップグレードしたサイトにフィードを追加するには、以下の前提条件が満たされている必要があります。
- SharePoint Server がある
- 個人用サイトのホストが展開されている
- サイトが個人用サイトのホストと同じ Web アプリケーションにある
サイトのニュースフィードを追加するには
- [設定] (歯車) -> [サイトの設定] -> [サイト機能の管理]
[設定] メニューの [サイトの設定] を選択し、[サイト機能の管理] を選択します。 - "サイト フィード" 機能をアクティブにする
[Site Newsfeed] (サイトのニュースフィード) で、[アクティブ化] を選択します。 - ホーム ページに [サイト フィード] Web パーツを追加する
テキスト カーソルをヘッダー テキスト領域に置いて、リボンの [挿入] タブから [サイト フィード] Web パーツを挿入します。
ナビゲーション構造
既に述べたように、SharePoint 2013 では、SharePoint のツールや構造ではなくサイトのコンテンツに重点が置かれています。このことは、ナビゲーション メニューから見出し ("ライブラリ"、"リスト"、"ディスカッション" など) が取り除かれたことからもわかります。
見出しを削除するだけで、簡単にサイトのナビゲーション メニューをこの新しい方式に合わせて更新できます。
- ナビゲーション メニューで、[リンクの編集] を選択します。
- 見出しの下からアイテムを移動します。
- 不要な見出しを削除します。
また、新しい SharePoint サイトでは、サイト ナビゲーションがごちゃごちゃしないように、サイトに含まれているリスト、ライブラリ、アプリ、ページなどのすべてを追加するのは避けています。ナビゲーション メニューを注意深く管理して、あまり使われないアイテムは削除することをお勧めします。
そのほかにも、これまでに説明したものほど明確ではありませんが、SharePoint エクスペリエンスに違いをもたらす変更がいくつかあります。
ダイアログではなくページとして表示されるフォーム
SharePoint 2013 では、パフォーマンスが大幅に強化されており、ページの切り替えがはるかになめらかになっています。リストとライブラリのフォームは、ダイアログ ボックスではなくページ全体に既定で表示されるようになりました。これにより、背景に気を取られずにフォームのコンテンツに集中できます。情報が表示されるスペースも広くなります。
フォームがページ全体に表示されるようにするには、リストまたはライブラリの設定を変更します。
- リボンの [リスト] タブまたは [ライブラリ] タブで、[リストの設定] または [ライブラリの設定] を選択します。
- 最初の列で、[詳細設定] を選択します。
- 一番下までスクロールして、[ダイアログ] オプションを見つけます。 図 9: [ダイアログ] オプション
- [いいえ] を選択し、[OK] を選択してこの設定を保存します。
既定のアクセス許可
SharePoint をすべてのユーザーによりオープンにするために、既定のアクセス許可レベルが "編集" になりました。このアクセス許可レベルでは、リストとライブラリを作成および管理できます。既存のサイトでは、Members グループのアクセス許可レベルを "編集" に変更する必要があります。
- [設定] (歯車) メニューで、[共有相手] を選択します。
- [詳細設定] を選択します。
- サイトの Members グループの横のチェック ボックスをオンにします。
- リボンで、[ユーザー権限の編集] を選択します。
- [編集] オプションを選択し、[OK] を選択します。
これで、Members グループの既存のユーザーにこれらの新しいアクセス許可が割り当てられます。Members グループに新たに追加されるユーザーには、これらのアクセス許可が自動的に割り当てられます。
すべてのユーザーと共有する
複雑なアクセス許可の管理を必要としない広範な共有の方法をわかりやすくするために、"すべての認証されたユーザー" クレームと "All tenant users" (すべてのテナント ユーザー) クレームの名前が、よりわかりやすい "すべてのユーザー" と "Everyone excluding external users" (外部ユーザーを除くすべてのユーザー) に変更されました。これにより、ユーザー選択ウィンドウで「すべてのユーザー」と入力するだけでこれらのクレームを検索できます。
アップグレードした場合にこれらの名前を使う方法
"すべての認証されたユーザー" は "すべてのユーザー" と呼ばれるようになり、"All tenant users" (すべてのテナント ユーザー) は "Everyone excluding external users" (外部ユーザーを除くすべてのユーザー) と呼ばれるようになりましたが、これらの変更はアップグレード時に自動的に更新されません。これらの変更を反映するには、GUID 10F73B29-5779-46b3-85A8-4817A6E9A6C2 の機能を (Windows PowerShell を使って) アクティブにする必要があります。
$siteUrl = "https://www.contoso.com/" #サイト コレクションの URL
$site = Get-SPSite $siteUrl $site.Features.Add([System.Guid]"10F73B29-5779-46b3-85A8-4817A6E9A6C2")
"すべてのユーザー" と "Everyone excluding external users" (外部ユーザーを除くすべてのユーザー)
SharePoint の社内展開では、"すべてのユーザー" クレームは "すべての認証されたユーザー" クレームの新しい名前です。SharePoint Online にもこの "すべてのユーザー" クレームが含まれていますが、これには外部ユーザーも含まれます (この機能が有効になっている場合)。これは、外部ユーザーも "認証されたユーザー" であるからです。SharePoint Online には、"Everyone excluding external users" (外部ユーザーを除くすべてのユーザー) というもう 1 つのクレームも含まれています。これは、以前の "All tenant users" (すべてのテナント ユーザー) クレームに対応するもので、外部ユーザーを除くすべての認証されたユーザーが含まれます。
ダウンロード最小化戦略 (MDS) を有効にする
MDS を使うと、ページ間を移動するときに変更されたコンテンツのみをダウンロードすることにより、ページの動作をよりすばやくなめらかにすることができます。
MDS は、SharePoint のすべてのカスタマイズには対応していないため、既定では無効になっています。有効にするかどうかは、アップグレード後に決定できます。カスタマイズを行っていない場合は、サイトの機能で MDS を有効にしても安全です。
- [設定] (歯車) メニューの [サイトの設定] を選択し、[サイト機能の管理] を選択します。
- [ダウンロード最小化戦略] で、[アクティブ化] を選択します。
カスタマイズを行っている場合は、まもなく公開される詳細なガイダンスを参考にして、MDS との互換性を確認してください。カスタマイズには、サード パーティの Web パーツ、カスタマイズしたテーマやマスター ページ、発行機能の有効化などが含まれます。
この説明を参考にして、SharePoint 2013 の新機能を最大限に活用してください。皆さんがどのように活用しているのか聞かせていただくのを楽しみにしています。
これはローカライズされたブログ投稿です。原文の記事は、「Making the most of SharePoint 2013 when you upgrade」をご覧ください。