Azure Event Grid の一般提供を開始

執筆者: Corey Sanders (Director of Compute, Azure)

このポストは、2018 年 1 月 30 日に投稿された Announcing the general availability of Azure Event Grid の翻訳です。

 

モダン アプリケーションは、モノリシック アーキテクチャから離れる代わりに多様なサービス セットを連動させることで、クラウドの俊敏性と柔軟性を最大限に活用しています。これには、Azure のようなクラウド プラットフォームで提供される基本サービス (データベース、ストレージ、IoT、コンピューティング、サーバーレス機能など) とアプリケーション独自のサービス (在庫管理、支払いサービス、製造プロセス、モバイル エクスペリエンスなど) が含まれます。これらの新しいアーキテクチャではイベント主導による実行が基軸となるため、サービス間の通信をポーリングする手間が解消すると同時に、メカニズムが簡素化されます。イベントには、IoT デバイスのシグナル、クラウドのプロビジョニング通知、ストレージ Blob のイベントのほか、人事システムへの新規従業員の追加などのカスタム シナリオも含まれます。新しいアプリのパラダイムでは、こうしたイベントに効率よく確実に応答することが不可欠です。

このたび、Azure Event Grid の一般提供開始が発表されました。これは、イベント ベースのアプリケーションの開発を簡素化するフル マネージド型のイベント ルーティング サービスです。

  • Azure Event Grid はこれまでにないタイプの製品で、アプリやサービスが Azure サービスや同様のアプリの異なる部分から、対応する必要のあるすべてのイベントをサブスクライブできます。
  • イベントはプッシュ配信されるため、コードが簡素化され、リソース消費も抑制されます。また、変更を継続的にポーリングする必要がなくなり、料金はイベント数によって決定されます。サービスは自動でスケーリングされ、1 秒あたり数百万回以上のイベントに対応できます。
  • Azure Event Grid では、さまざまな方法でこうしたイベントに対応できます。たとえば、Azure FunctionsAzure Logic Apps などのサーバーレス サービスを使用したり、Azure Automation を使用したり、あるいは独自のコードやサードパーティ製サービスを含むカスタム Webhook などを使用できるため、どこで実行されているどんなサービスでもイベントをパブリッシュしたり、信頼できる Azure イベントをサブスクライブしたりすることができます。

このサービスによってパブリック クラウド サービスしか使用できないという制限から解放され、オンプレミスとクラウドを含むあらゆる場所で Azure のネイティブなイベントに簡単に対応したり、最新アプリを構築したりできるようになります。この機能は、Azure Event Grid 独自のものです。

そのしくみについては次のビデオをご覧ください。

パブリック プレビューの発表 (英語) 以来、Azure Event Grid は革新的な方法で使用されており、そうしたお客様やコミュニティの皆様から、以下のような貴重なフィードバックをいただいています。

 

  • Adobe 社、Azure Event Grid を使用して新規顧客のアセットを Adobe Experience Manager に取り込むのにかかる時間を短縮

「以前、新規のお客様が画像ファイルや動画ファイルなどの既存アセットを Adobe Experience Manager Managed Services に初めて取り込む際に、時間がかかることが問題になっていました。保有アセット数が数十万個もあるお客様だと完了までに数日かかることもあったため、Adobe は Microsoft Azure Event Grid と Event Hubs を使用して、この作業を水平方向にスケーリングするプロセスを開発し、Azure を使用する新規のお客様の作業時間を大幅に短縮しました。

当社では、Azure Storage、Event Grid、Event Hubs、および EventProcessorHost を使用して、お客様の時間的な要件に対応しながら、数十万個のアセットを安全に処理してスケーリングできるシステムを開発しました」

- Philipp Koch 氏 (Adobe、エンジニアリング担当ディレクター)

 

  • Outotec 社、Azure Event Grid を使用してハイブリッド統合プラットフォームを再構築

「Azure Event Grid を使うと、ポーリングを行わなくてもイベントやグローバルなビジネス データの変更に簡単かつ確実に応答できるため、企業全体に広がるクラウド ベースのハイブリッド統合プラットフォームのアーキテクチャを簡素化できました」

- Henri Syrjäläinen 氏 (Outotec Oyj、デジタル エンタープライズ アーキテクチャ担当ディレクター)

 

  • Paycor 社、Azure Event Grid で人材管理アプリケーションを統合

「Event Grid のおかげで、Paycor はお客様に対して人材管理アプリ スイート全体で統合エクスペリエンスを提供できるようになりました。Event Grid がイベント主導型アーキテクチャのバックボーンとなることで、各アプリでイベントのブロードキャストや受信を安全かつ確実にできるため、従来のパブリッシュ/サブスクライブ型ソリューションでは解決できなかった運用やスケーラビリティに関する問題の多くが解決されました」

- Anthony Your 氏 (Paycor, Inc.、アーキテクチャ担当ディレクター)

 

 

プレビュー以降、新たに提供が開始された機能は以下のとおりです。

  • 統合サービスの追加で、対応シナリオが拡大 : プレビュー以降、イベント パブリッシャーとして汎用ストレージAzure IoT Hub が追加され、また通知先として、イベントのアーカイブ、ストリーミング、バッファー処理に最適な Azure Event Hubs が追加されました。IoT Hub (英語) では、デバイスの作成や削除などのライフサイクル イベントのサポートが追加され、サーバーレス アーキテクチャで処理できるようになりました。これらが新たに統合されたことで、アーキテクチャが簡素化され、クラウドとオンプレミスのどちらのアプリの対応幅も広がります。詳細情報、および各リージョンの提供状況については、Azure Event Grid に統合されているサービスの現時点でのリストをご覧ください。今年中にさらに多くのサービスが追加される予定です。

Event Grid services integrations

  • 提供リージョンの拡大 : Azure Event Grid は、米国西部、米国東部、米国西部 2、米国東部 2、米国中西部、米国中部、西ヨーロッパ、北ヨーロッパ、東南アジア、東アジアの各リージョンで提供されており、今後さらに拡大される予定です。
  • 信頼性の向上とサービス レベル アグリーメント (SLA): イベント配信に、指数バックオフによる 24 時間の再試行ポリシーが適用されました。また、運用ワークロードでは企業向けとして最高レベルの 99.99% の可用性が返金制度付きの SLA で保証されます。これにより、Azure Event Grid を利用する基幹業務アプリを安心して構築することができます。
  • 開発者の生産性向上 : 今回、開発工程を効率化する新しい Event Grid SDK (英語) もリリースされました。管理用 SDK は Python 用、.NET 用、Node.js 用が提供され、今後 Go、Ruby、Java もサポートされる予定です。発行用 SDK は .NET 用が提供され、今後 Python、Node.js、Go、Ruby、Java もサポートされる予定です。また、イベント スキーマ ストアからサポート対象の種類のイベントの JSON スキーマを取得するだけで、イベントを簡単に利用できるようになりました。これにより、サブスクライバーがイベントを理解し、逆シリアル化する負担がなくなります。

ここでは、今回の一般提供が開始された Azure Event Grid が、お客様のサーバーレス アプリケーションに欠かせないコンポーネント (英語) であることをご説明してきました。次は Event Grid のクイックスタート ガイドを使って、実際にお試しください。最初の 10 万件のイベントには料金は発生しないため、お気軽にお使いください。

使用開始には、以下のサンプルやチュートリアルをお役立ていただけます。

  • サーバーレス アプリケーションの構築
  • インフラストラクチャの運用の自動化
    • VM 作成時に各 VM に適切にタグを付与し Microsoft Teams のチャネルに通知を送信する [ドキュメント]
  • 分散型アプリケーションの異なる部分間での通信の活性化
    • Event Hubs のデータをデータ ウェアハウスにストリーミングする [ドキュメント]

さらに詳細を知りたい方は、ぜひ 2018 年 2 月 13 日 (火) (太平洋標準時) の Web セミナーにご参加ください。

登録はこちら : サーバーレス アーキテクチャを使用してイベント主導型アプリケーションを構築する (英語)

次回もどうぞお楽しみに。

Corey Sanders