監視データの分析と視覚化
この記事では、Azure Monitor で収集されたデータを視覚化および分析するために組み込まれている機能について説明します。 チャートやグラフなどで視覚化すると、監視データを分析して問題をドリルダウンし、パターンを特定しやすくなります。 組織のさまざまなユーザーの要件を満たすためにカスタムの視覚化を作成することができます。
組み込みの分析機能
この表では、構成を行わずに、収集したデータを分析する Azure Monitor の機能について説明します。
コンポーネント | 説明 | 必要なトレーニングや構成 |
---|---|---|
[概要] ページ | ほとんどの Azure サービスには Azure portal 内に [概要] ページがあり、最近の重要なメトリックを示す、グラフ付きの [監視] セクションが含まれています。 この情報は、個々のサービスの所有者がリソースのパフォーマンスをすばやく評価するためのものです。 | このページは、自動的に収集されるプラットフォーム メトリックに基づいています。 構成は必要ありません。 |
メトリックス エクスプローラー | メトリックス エクスプローラーを使用すると、メトリック データを対話的に操作し、メトリック アラートを作成できます。 メトリックス エクスプローラーを使用するには最小限のトレーニングが必要ですが、分析するメトリックをよく理解していることが求められます。 | • データ収集を構成したら、その他の構成は必要ありません。 • Azure リソースのプラットフォーム メトリックが自動的に使用できるようになります。 • 仮想マシンのゲスト メトリックは、Azure Monitor エージェントが仮想マシンにデプロイされた後に使用できます。 • アプリケーション メトリックは、Application Insights の構成後に使用できます。 |
Log Analytics | Log Analytics を使うと、ログ クエリを作成してログ データを対話的に操作したり、ログ検索アラートを作成したりできます。 | クエリ言語を理解できるようになるにはある程度のトレーニングが必要ですが、一般的な要件の場合は事前構築済みクエリを使用できます。 また、組織に固有のクエリを含むクエリ パックを追加することもできます。 クエリ言語に詳しい場合は、組織内の他のユーザーのためにクエリを作成できます。 |
組み込みの視覚化ツール
Azure のワークブック
Azure ブックでは、データを分析し、高度なビジュアル レポートを作成するための柔軟なキャンバスが提供されます。 ブックを使用すると、Azure 全体から最も完全なデータ ソースのセットを活用し、それらを結合して、統合された対話型エクスペリエンスにすることができます。 これらは、複数の Azure リソースにわたってエンドツーエンドの監視ビューを用意する場合に特に便利です。 分析情報では事前構築済みのブックが使用され、特定のサービスの正常性とパフォーマンスに関する重要な情報が表示されます。 Azure Monitor の [ブック] タブでブックのギャラリーにアクセスしたり、カスタム ブックを作成したり、Azure GitHub コミュニティ テンプレートを活用して、さまざまなユーザーの要件を満たすことができます。
Azure のダッシュ ボード
Azure ダッシュボードは、Azure インフラストラクチャとサービスの "1 つのウィンドウ" を提供するのに役立ちます。 ブックにはより豊富な機能が用意されていますが、ダッシュボードでは、Azure Monitor のデータを他の Azure サービスのデータと組み合わせることができます。
ダッシュボードを作成する方法に関するビデオを次に示します。
Grafana
Grafana は、運用ダッシュボードに優れたオープン プラットフォームです。 これは次の場合に役立ちます。
- 運用上のインシデントの検出、分離、トリアージ。
- Azure と Azure 以外のデータ ソースの視覚化の組み合わせ。 これらのソースには、オンプレミス、サードパーティ製のツール、および他のクラウド内のデータ ストアが含まれます。
Grafana には、Dynatrace、New Relic、AppDynamics などのアプリケーション パフォーマンス監視 (APM) ツール用の一般的なプラグインとダッシュボード テンプレートがあります。 これらのリソースを使用して、他のツールによって収集されたスタックの上位にある他のメトリックと共に Azure プラットフォーム データを視覚化できます。 また、1 つのウィンドウでマルチクラウド監視を行うための AWS CloudWatch および GCP BigQuery プラグインもあります。
Grafana を使用すると、これに含まれる広範な柔軟性を活用して、データ クエリやクエリ結果を組み合わせたり、オープン エンドのクライアント側データ処理を実行したり、オープンソース コミュニティ ダッシュボードを使用したりすることができます。
Grafana のすべてのバージョンには、Azure Monitor のメトリックとログを視覚化するための Azure Monitor データソース プラグインが含まれています。
また、Azure Managed Grafana は、Azure Monitor や Azure Data Explorer などの Azure ネイティブ データ ストアに対してもこのエクスペリエンスを最適化します。 このように、サブスクリプション内の任意のリソースに簡単に接続し、結果として得られるすべてのテレメトリを使い慣れた Grafana ダッシュボードで表示できます。 また、Azure Monitor のメトリックとログから Grafana ダッシュボードへのグラフのピン留めもサポートしています。 Grafana には、Azure リソース用にそのまま使用できるダッシュボードが組み込まれています。 最初の Azure Managed Grafana ワークスペースを作成して作業を開始します。
すぐに使用できる Grafana Azure アラート ダッシュボードを使用すると、Azure Monitor、Azure データソース、Prometheus 用の Azure Monitor マネージド サービスの Azure Monitor アラートを表示して使用できます。
- Azure Monitor アラートの定義の詳細については、「新しい警告ルールを作成する」を参照してください。
- Prometheus 用の Azure Monitor マネージド サービスの場合は、Azure Monitor ワークスペースに適用される Prometheus ルール グループの一部として作成される Prometheus 警告ルールを使用してアラートを定義します。
Power BI
Power BI は、長期的な KPI (主要業績評価指標) 傾向を分析するレポートと共に、ビジネス中心のダッシュボードとレポートを作成するのに便利です。 Power BI のデータセットにログ クエリの結果をインポートすることで、さまざまなソースのデータを組み合わせたり、Web およびモバイル デバイス上でレポートを共有したりする機能を活用できます。
適切な視覚化ツールを選択する
Kubernetes や Azure Kubernetes Service (AKS) などのクラウドネイティブ シナリオでのデータの視覚化とダッシュボード、およびマルチクラウド、オープン ソース ソフトウェア、サードパーティの統合には、Azure Managed Grafana を使用することをお勧めします。 Azure Arc を使用した Azure ハイブリッド環境など、その他の Azure シナリオでは、Azure ブックをお勧めします。
Azure Managed Grafana を使用するタイミング
- Prometheus および CNCF ツールで監視されるクラウド ネイティブ環境
- マルチクラウド環境とマルチプラットフォーム環境
- マルチテナントと移植性のサポート
- オープン ソースおよびサード パーティ製ツールとの相互運用性
- Azure portal の外部でのダッシュボードの共有
Azure ブックを使用するタイミング
- Azure マネージド ハイブリッド環境とエッジ環境
- Azure アクションとオートメーションとの統合
- Azure Monitor の分析情報に基づくカスタム レポートの作成
利点とユース ケース
視覚化ツール | メリット | 推奨される使用方法 |
---|---|---|
Azure ブック | ||
ネイティブの Azure ダッシュボード プラットフォーム | シナリオを視覚化して調査するための、エンジニアリング チームと技術チームのツールとしての使用。 | |
[自動更新] | アプリ開発者、クラウド エンジニア、その他の技術担当者向けのレポート ツールとしての使用。 | |
すぐに使用できるパブリック GitHub テンプレートとレポート | ||
パラメーターを使用すると、動的なリアルタイム更新が可能 | ||
クエリで選択した値を使用して、より詳細なデータの項目を選択できる概要を提供可能 | ||
他の視覚化よりも多くのソースに対してクエリを実行可能 | ||
フル カスタマイズが可能 | ||
共同作業とトラブルシューティング用に設計 | ||
Azure ダッシュボード | ||
ネイティブの Azure ダッシュボード プラットフォーム | Azure/Arc 専用の環境用 | |
追加コストなし | ||
大規模なデプロイをサポート | ||
メトリック グラフおよびログ クエリの結果を関連するサービスの運用データと組み合わせ可能 | ||
Azure ロールベースのアクセス制御との統合によってサービス所有者とダッシュボードを共有 | ||
Azure Managed Grafana | ||
マルチプラットフォーム、マルチクラウドの 1 つのウィンドウの視覚化 | Azure アクセス権を持たないユーザー用 | |
Azure とのシームレスな統合 | 外部の視覚化エクスペリエンス (特に SOC および NOC 環境の RAG 型ダッシュボード) に使用 | |
時系列とイベントのデータを 1 つの視覚化パネルに結合可能 | クラウド ネイティブの CNCF 監視 | |
ユーザーが選択した動的変数に基づいて動的ダッシュボードを作成可能 | マルチクラウド環境 | |
Prometheus のサポート | 管理レベルまたはエグゼクティブ レベルのユーザー向けの全体的な状態、Up/Down、および高レベルの傾向レポート | |
サード パーティの監視ツールとの統合 | ネットワーク オペレーション センター (NOC) ダッシュボードに継続的に表示される環境、アプリ、セキュリティ、ネットワークの状態を表示するために使用 | |
ほとんどの監視ツールとプラットフォームからすぐに利用できるプラグイン | ||
操作に重点を置いたダッシュボード テンプレート | ||
コミュニティで作成され、コミュニティでサポートされているテンプレートからダッシュボードを作成可能 | ||
任意のクラウド プロバイダーまたはオンプレミスで実行される、ベンダーに依存しない事業継続とディザスターのシナリオを作成可能 | ||
Power BI | ||
高度な視覚化 | 管理レベルとエグゼクティブ レベルを対象とした外部の視覚化に使用 | |
広範なスライスとダイシングを使用した BI 分析をサポート | 長期的な傾向に合ったビジネス中心の KPI ダッシュボードの設計を支援するために使用 | |
複数のデータ ソースからデータを統合 | ||
結果はパフォーマンス向上のためにキューブにキャッシュされる | ||
拡大やクロス フィルタリングなどの広範なインタラクティビティ | ||
組織全体で簡単に共有 |
その他のオプション
一部の Azure Monitor パートナーにより、視覚化機能が提供されます。 Azure Monitor パートナーにより、時間を節約するためのすぐに利用できる視覚化が提供される場合があります。ただし、これらのソリューションには追加コストが発生する可能性があります。
また、Azure Monitor のメトリックとログのデータを使用して、REST API により独自のカスタム Web サイトとアプリケーションを構築できます。 REST API により、UI、視覚化、インタラクティビティ、機能における柔軟性が得られます。