Azure Front Door の課金について
Azure Front Door には、インターネットに接続するワークロードのための豊富な機能がひととおり揃っています。 アプリケーションのパフォーマンスを高速化したり、セキュリティを強化したりできるほか、HTTP トラフィックを検査して変更を加えるためのツールが用意されています。
Front Door の課金モデルには、いくつかのコンポーネントが含まれています。 Front Door では、デプロイするプロファイルごとに基本料金が課金されます。 さらに、要求とデータ転送については、使用量に基づいて課金されます。 Front Door の使用量に関する情報は "課金メーター" によって収集されます。 月単位の Azure 請求書によって月全体の課金情報が集計され、価格が適用されて、お客様の支払い金額が決まります。
この記事では、毎月の Azure Front Door の請求額を把握したり予測したりできるよう、Front Door の価格の体系について説明します。
Azure Front Door の価格情報については、「Azure Front Door の価格」を参照してください。
ヒント
お客様の要件に応じた価格見積もりは、Azure 料金計算ツールで算出できます。 あらかじめ作成された料金計算ツールの見積もりを、実際のソリューションに合わせてカスタマイズしてください。
Note
この記事では、Azure Front Door Standard SKU と Premium SKU の課金の体系について説明します。 Azure Front Door (クラシック) については、「Azure Front Door の価格」を参照してください。
基本料金
各 Front Door プロファイルには時間単位の料金が発生します。 プロファイルがデプロイされた時間について、1 時間 (1 時間に満たない場合も含む) 単位で課金されます。 課金される料金は、デプロイする Front Door レベルによって異なります。
1 つの Front Door プロファイルには、複数のエンドポイントを含めることができます。 エンドポイントごとに追加料金が課金されることはありません。
トラフィック高速化、応答キャッシュ、応答圧縮、ルール エンジン、Front Door 固有の DDoS 保護、カスタム Web アプリケーション ファイアウォール (WAF) ルールなどの機能を使用するための追加料金は発生しません。 Front Door Premium を使用する場合、マネージド WAF ルール セットや Private Link の配信元を使用するための追加料金も発生しません。
要求処理とトラフィック料金
Front Door を通過する各要求には、要求処理とトラフィック料金が発生します。
要求処理の各部分は、個別に課金されます。
- クライアントから Front Door への要求の数
- Front Door エッジから配信元へのデータ転送
- 配信元から Front Door へのデータ転送 (非ジルブル)
- Front Door からクライアントへのデータ転送
要求を構成するこれらの各部分について、以降のセクションで詳しく説明します。
クライアントから Front Door への要求の数
プロファイルの Front Door エッジの場所で受信した要求の数に対して料金が請求されます。 要求は、HTTP 要求の Host ヘッダーを使用して識別されます。 Host ヘッダーが Front Door プロファイルのヘッダーと一致する場合、プロファイルへの要求としてカウントされます。
要求に応える Front Door エッジの場所がある地域によって価格は異なります。 Standard SKU と Premium SKU でも価格は異なります。
Front Door エッジから配信元へのデータ転送
Front Door エッジの場所から配信元サーバーに送信されるバイト数に対して課金されます。 要求に応える Front Door エッジの場所がある地域によって価格は異なります。 配信元の場所は価格に影響しません。
トラフィックの量が多い場合、ギガバイトあたりの価格は低くなります。
Front Door エッジの場所にあるキャッシュが要求に応答できる場合、Front Door から配信元サーバーに対しては一切要求は送信されず、この部分に関してお客様が課金されることはありません。
配信元から Front Door へのデータ転送
配信元サーバーが要求を処理すると、クライアントに返すことができるよう、Front Door にデータが戻されます。 配信元が要求の Front Door エッジの場所とは異なるリージョンにある場合でも、このトラフィックは Front Door によって課金されません。
配信元が Azure 内にある場合、Azure の配信元から Front Door へのデータエグレスは課金されません。 ただし、これらの Azure サービスによる要求の処理について課金されるかどうかの見極めは必要です。
配信元が Azure の外部にある場合は、他のネットワーク プロバイダーの料金が発生する可能性があります。
Front Door からクライアントへのデータ転送
Front Door エッジの場所からクライアントに返されるバイト数に対して課金されます。 要求に応える Front Door エッジの場所がある地域によって価格は異なります。
応答が圧縮されている場合、その圧縮データのみが Front Door の課金の対象になります。
Private Link の配信元
プレミアムレベルを使用すると、Front Door は Private Link を使用して配信元に接続できます。
Front Door Premium は、基本料金と要求処理の料金が高めに設定されています。 Private Link トラフィックに関して、配信元のパブリック エンドポイントを使用するトラフィック以上の料金が発生することはありません。
Private Link 配信元を構成するときは、使用するプライベート エンドポイントのリージョンを選択します。 Front Door の Private Link トラフィックがサポートされる Azure リージョンは限られています。 選択したリージョンが、配信元がデプロイされているリージョンと異なる場合、リージョン間トラフィックに対して追加料金は発生しません。 ただし、要求の待ち時間が長くなる可能性があります。
リージョン間トラフィック
Front Door の課金メーターの中には、要求を処理する Front Door エッジの場所によって料金が異なるものがあります。 通常、要求を処理する Front Door エッジの場所は、クライアントに最も近い場所であり、このことが待ち時間の短縮とパフォーマンスの最大化に寄与しています。
エッジの場所から配信元へのトラフィックには、Front Door の料金が発生します。 トラフィックに適用される料金は、Front Door エッジの場所によって異なります。 配信元が別の Azure リージョンにあっても、リージョン間トラフィックに関して追加料金が請求されることはありません。
シナリオ例
例 1: Azure 配信元 (キャッシュ不使用)
米国西部リージョンで実行されている Azure App Service には、Contoso の Web サイトがホストされています。 Contoso は、Standard レベルで Front Door をデプロイしました。 キャッシュを無効にしました。
カリフォルニア州のクライアントからの要求が Contoso Web サイトに送信され、1 KB (キロバイト)要求を送信し、100 KB (キロバイト)応答を受信するとします。
次の課金メーターがインクリメントされます。
| 測定 | 増分値 | 課金リージョン |
|---|---|---|
| クライアントから Front Door への要求の数 | 1 | 北米 |
| Front Door エッジから配信元へのデータ転送 | 1 KB | 北米 |
| Front Door からクライアントへのデータ転送 | 100 KB | 北米 |
Azure App Service によって他の料金が請求される可能性もあります。
例 2: Azure 配信元 (圧縮が有効)
Contoso が Front Door の構成を更新してコンテンツの圧縮を有効にしたとします。 これによって、例 1 と同じ応答を 30 KB にまで圧縮できるようになりました。
次の課金メーターがインクリメントされます。
| 測定 | 増分値 | 課金リージョン |
|---|---|---|
| クライアントから Front Door への要求の数 | 1 | 北米 |
| Front Door エッジから配信元へのデータ転送 | 1 KB | 北米 |
| Front Door からクライアントへのデータ転送 | 30 KB | 北米 |
Azure App Service によって他の料金が請求される可能性もあります。
例 3: 要求に対する応答がキャッシュから返される場合
2 つ目の要求が同じ Front Door エッジの場所に到着し、有効な応答がキャッシュされていたとします。
次の課金メーターがインクリメントされます。
| 測定 | 増分値 | 課金リージョン |
|---|---|---|
| クライアントから Front Door への要求の数 | 1 | 北米 |
| Front Door エッジから配信元へのデータ転送 | なし (要求に対する応答がキャッシュから返される) | |
| Front Door からクライアントへのデータ転送 | 30 KB | 北米 |
例 4: リージョン間トラフィック
Contoso の Web サイトへの要求がオーストラリアのクライアントから送信され、キャッシュからは応答を返すことができなかったとします。
次の課金メーターがインクリメントされます。
| 測定 | 増分値 | 課金リージョン |
|---|---|---|
| クライアントから Front Door への要求の数 | 1 | オーストラリア |
| Front Door エッジから配信元へのデータ転送 | 1 KB | オーストラリア |
| Front Door からクライアントへのデータ転送 | 30 KB | オーストラリア |
例 5: Azure 以外の配信元
Fabrikam は、別のクラウド プロバイダーで e コマース サイトを運営しています。 同社のサイトはヨーロッパでホストされています。 キャッシュや圧縮を行わずにトラフィックを処理するように Azure Front Door を構成しました。
ニューヨークにいるクライアントから Fabrikam の Web サイトに要求が送信されたとします。 クライアントは 2 KB (キロバイト)要求を送信し、350 KB (キロバイト)応答を受信します。
次の課金メーターがインクリメントされます。
| 測定 | 増分値 | 課金リージョン |
|---|---|---|
| クライアントから Front Door への要求の数 | 1 | 北米 |
| Front Door エッジから配信元へのデータ転送 | 2 KB | 北米 |
| Front Door からクライアントへのデータ転送 | 350 KB | 北米 |
外部クラウド プロバイダーによって他の料金が請求される可能性もあります。
例 6: Web アプリケーション ファイアウォールによって要求がブロックされた場合
Web アプリケーション ファイアウォール (WAF) によって要求がブロックされた場合、要求は配信元に送信されません。 ただし、その要求と応答の送信には、Front Door による課金が適用されます。
Front Door プロファイルに、南アメリカの特定の IP アドレスからの要求をブロックするカスタム WAF ルールが含まれているとします。 WAF は、サイズ 1 KB のカスタム エラー応答ページを返すように構成されています。 ブロックされた IP アドレスのクライアントが 1 KB (キロバイト)要求を送信する場合:
次の課金メーターがインクリメントされます。
| 測定 | 増分値 | 課金リージョン |
|---|---|---|
| クライアントから Front Door への要求の数 | 1 | 南アメリカ |
| Front Door エッジから配信元へのデータ転送 | "なし" | 南アメリカ |
| Front Door からクライアントへのデータ転送 | 1 KB | 南アメリカ |
次のステップ
Front Door プロファイルを作成する方法を確認します。