ASP.NET Core 1.x から 2.0 に移行する

2025-06-21

この記事では、既存の ASP.NET Core 1.x プロジェクトを ASP.NET Core 2.0 に更新する手順について説明します。アプリケーションを ASP.NET Core 2.0 に移行すると、多くの新機能とパフォーマンスの向上を利用できます。

既存の ASP.NET Core 1.x アプリケーションは、バージョン固有のプロジェクトテンプレートに基づいています。 ASP.NET Core フレームワークが進化するにつれて、プロジェクトテンプレートとその中に含まれるスターターコードも進化します。 ASP.NET Core フレームワークを更新するだけでなく、アプリケーションのコードを更新する必要があります。

[前提条件]

「 ASP.NET Core の概要」を参照してください。

ターゲットフレームワークモニカー (TFM) を更新する

.NET Core を対象とするプロジェクトでは、.NET Core 2.0 以上のバージョンの TFM を使用する必要があります。 <TargetFramework> ファイル内の.csproj ノードを検索し、その内部テキストをnetcoreapp2.0に置き換えます。

<TargetFramework>netcoreapp2.0</TargetFramework>

.NET Framework を対象とするプロジェクトでは、.NET Framework 4.6.1 以上のバージョンの TFM を使用する必要があります。 <TargetFramework> ファイル内の.csproj ノードを検索し、その内部テキストをnet461に置き換えます。

<TargetFramework>net461</TargetFramework>

注

.NET Core 2.0 は、.NET Core 1.x よりもはるかに大きなサーフェス領域を提供します。 .NET Core 1.x の API が不足しているためだけに .NET Framework を対象としている場合は、.NET Core 2.0 をターゲットにすると機能する可能性があります。

プロジェクトファイルに <RuntimeFrameworkVersion>1.{sub-version}</RuntimeFrameworkVersion>が含まれている場合は、この GitHub の問題を参照してください。

で .NET Core SDK のバージョンを更新する global.json

ソリューションが特定の .NET Core SDK バージョンをターゲットとする global.json ファイルに依存している場合は、コンピューターにインストールされている 2.0 バージョンを使用するように、 version プロパティを更新します。

{
  "sdk": {
    "version": "2.0.0"
  }
}

パッケージ参照の更新

1.x プロジェクトの .csproj ファイルには、プロジェクトで使用される各 NuGet パッケージが一覧表示されます。

.NET Core 2.0 をターゲットとする ASP.NET Core 2.0 プロジェクトでは、ファイル内の 1 つの.csproj参照によってパッケージのコレクションが置き換えられます。

<ItemGroup>
  <PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore.All" Version="2.0.9" />
</ItemGroup>

ASP.NET Core 2.0 と Entity Framework Core 2.0 のすべての機能がメタパッケージに含まれています。

ASP.NET .NET Framework を対象とする Core 2.0 プロジェクトでは、個々の NuGet パッケージを引き続き参照する必要があります。各Version ノードの<PackageReference />属性を 2.0.0 に更新します。

たとえば、.NET Framework をターゲットとする一般的な ASP.NET Core 2.0 プロジェクトで使用される <PackageReference /> ノードの一覧を次に示します。

<ItemGroup>
  <PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore" Version="2.0.0" />
  <PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore.Authentication.Cookies" Version="2.0.0" />
  <PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore.Diagnostics.EntityFrameworkCore" Version="2.0.0" />
  <PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore.Identity.EntityFrameworkCore" Version="2.0.0" />
  <PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore.Mvc" Version="2.0.0" />
  <PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore.Mvc.Razor.ViewCompilation" Version="2.0.0" PrivateAssets="All" />
  <PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore.StaticFiles" Version="2.0.0" />
  <PackageReference Include="Microsoft.EntityFrameworkCore.Design" Version="2.0.0" PrivateAssets="All" />
  <PackageReference Include="Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer" Version="2.0.0" />
  <PackageReference Include="Microsoft.EntityFrameworkCore.Tools" Version="2.0.0" PrivateAssets="All" />
  <PackageReference Include="Microsoft.VisualStudio.Web.BrowserLink" Version="2.0.0" />
  <PackageReference Include="Microsoft.VisualStudio.Web.CodeGeneration.Design" Version="2.0.0" PrivateAssets="All" />
</ItemGroup>

パッケージ Microsoft.Extensions.CommandLineUtils は廃止されました。引き続き使用できますが、サポートされていません。

.NET CLI ツールを更新する

.csproj ファイルで、各Version ノードの<DotNetCliToolReference />属性を 2.0.0 に更新します。

たとえば、.NET Core 2.0 をターゲットとする一般的な ASP.NET Core 2.0 プロジェクトで使用される CLI ツールの一覧を次に示します。

<ItemGroup>
  <DotNetCliToolReference Include="Microsoft.EntityFrameworkCore.Tools.DotNet" Version="2.0.0" />
  <DotNetCliToolReference Include="Microsoft.Extensions.SecretManager.Tools" Version="2.0.0" />
  <DotNetCliToolReference Include="Microsoft.VisualStudio.Web.CodeGeneration.Tools" Version="2.0.0" />
</ItemGroup>

パッケージターゲットフォールバックプロパティの名前を変更する

1.x プロジェクトの .csproj ファイルでは、 PackageTargetFallback ノードと変数が使用されています。

<PackageTargetFallback>$(PackageTargetFallback);portable-net45+win8+wp8+wpa81;</PackageTargetFallback>

ノードと変数の両方の名前を AssetTargetFallbackに変更します。

<AssetTargetFallback>$(AssetTargetFallback);portable-net45+win8+wp8+wpa81;</AssetTargetFallback>

Program.csで Main メソッドを更新する

1.x プロジェクトでは、MainのProgram.csメソッドは次のようになります。

using System.IO;
using Microsoft.AspNetCore.Hosting;

namespace AspNetCoreDotNetCore1App
{
    public class Program
    {
        public static void Main(string[] args)
        {
            var host = new WebHostBuilder()
                .UseKestrel()
                .UseContentRoot(Directory.GetCurrentDirectory())
                .UseIISIntegration()
                .UseStartup<Startup>()
                .UseApplicationInsights()
                .Build();

            host.Run();
        }
    }
}

2.0 プロジェクトでは、MainのProgram.csメソッドが簡略化されました。

using Microsoft.AspNetCore;
using Microsoft.AspNetCore.Hosting;

namespace AspNetCoreDotNetCore2App
{
    public class Program
    {
        public static void Main(string[] args)
        {
            BuildWebHost(args).Run();
        }

        public static IWebHost BuildWebHost(string[] args) =>
            WebHost.CreateDefaultBuilder(args)
                .UseStartup<Startup>()
                .Build();
    }
}

この新しい 2.0 パターンの導入を強くお勧めします。 Entity Framework (EF) Core Migrations などの製品機能を機能させるには必要です。たとえば、パッケージマネージャーコンソールウィンドウから Update-Database を実行するか、コマンドラインから (ASP.NET Core 2.0 に変換されたプロジェクトで) dotnet ef database update すると、次のエラーが生成されます。

Unable to create an object of type '<Context>'. Add an implementation of 'IDesignTimeDbContextFactory<Context>' to the project, or see https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=851728 for additional patterns supported at design time.

構成プロバイダーの追加

1.x プロジェクトでは、 Startup コンストラクターを使用して構成プロバイダーをアプリに追加しました。手順には、 ConfigurationBuilderのインスタンスの作成、適用可能なプロバイダー (環境変数、アプリ設定など) の読み込み、 IConfigurationRootのメンバーの初期化が含まれます。

public Startup(IHostingEnvironment env)
{
    var builder = new ConfigurationBuilder()
        .SetBasePath(env.ContentRootPath)
        .AddJsonFile("appsettings.json", optional: false, reloadOnChange: true)
        .AddJsonFile($"appsettings.{env.EnvironmentName}.json", optional: true);

    if (env.IsDevelopment())
    {
        builder.AddUserSecrets<Startup>();
    }

    builder.AddEnvironmentVariables();
    Configuration = builder.Build();
}

public IConfigurationRoot Configuration { get; }

前の例では、Configurationから構成設定を持つappsettings.json メンバーと、appsettings.{Environment}.json プロパティに一致するIHostingEnvironment.EnvironmentName ファイルを読み込みます。これらのファイルの場所は、 Startup.csと同じパスにあります。

2.0 プロジェクトでは、1.x プロジェクトに固有の定型構成コードがバックグラウンドで実行されます。たとえば、環境変数とアプリ設定は起動時に読み込まれます。同等の Startup.cs コードは、挿入されたインスタンスを使用して初期化 IConfiguration に減らされます。

public Startup(IConfiguration configuration)
{
    Configuration = configuration;
}

public IConfiguration Configuration { get; }

WebHostBuilder.CreateDefaultBuilderによって追加された既定のプロバイダーを削除するには、Clear内の IConfigurationBuilder.Sources プロパティでConfigureAppConfiguration メソッドを呼び出します。プロバイダーを再度追加するには、ConfigureAppConfigurationの Program.cs メソッドを利用します。

public static void Main(string[] args)
{
    BuildWebHost(args).Run();
}

public static IWebHost BuildWebHost(string[] args) =>
    WebHost.CreateDefaultBuilder(args)
        .UseStartup<Startup>()
        .ConfigureAppConfiguration((hostContext, config) =>
        {
            // delete all default configuration providers
            config.Sources.Clear();
            config.AddJsonFile("myconfig.json", optional: true);
        })
        .Build();

前のコードスニペットの CreateDefaultBuilder メソッドで使用される構成を次に示します。

詳細については、「ASP.NET Core の構成」を参照してください。

データベース初期化コードの移動

EF Core 1.x を使用する 1.x プロジェクトでは、dotnet ef migrations addなどのコマンドによって次の処理が実行されます。

Startup インスタンスをインスタンス化します
ConfigureServices メソッドを呼び出して、依存関係の挿入 (DbContext型を含む) を持つすべてのサービスを登録します。
必要なタスクを実行します

EF Core 2.0 を使用する 2.0 プロジェクトでは、アプリケーションサービスを取得するためにProgram.BuildWebHostが呼び出されます。 1.x とは異なり、これは Startup.Configureを呼び出すことによる追加の副作用があります。 1.x アプリが Configure メソッドでデータベース初期化コードを呼び出した場合、予期しない問題が発生する可能性があります。たとえば、データベースがまだ存在しない場合、シード処理コードは EF Core Migrations コマンドの実行前に実行されます。この問題により、データベースがまだ存在しない場合、 dotnet ef migrations list コマンドが失敗します。

ConfigureのStartup.csメソッドでは、次の 1.x シード初期化コードを検討してください。

app.UseMvc(routes =>
{
    routes.MapRoute(
        name: "default",
        template: "{controller=Home}/{action=Index}/{id?}");
});

SeedData.Initialize(app.ApplicationServices);

2.0 プロジェクトで、SeedData.Initialize呼び出しを Main の Program.cs メソッドに移動します。

var host = BuildWebHost(args);

using (var scope = host.Services.CreateScope())
{
    var services = scope.ServiceProvider;

    try
    {
        // Requires using RazorPagesMovie.Models;
        SeedData.Initialize(services);
    }
    catch (Exception ex)
    {
        var logger = services.GetRequiredService<ILogger<Program>>();
        logger.LogError(ex, "An error occurred seeding the DB.");
    }
}

host.Run();

2.0 の時点では、Web ホストのビルドと構成を除き、 BuildWebHost で何かを行うのが不適切です。アプリケーションの実行については、通常、BuildWebHostのMainメソッドで、Program.csの外部で処理する必要があります。

Razor ビューコンパイル設定を確認する

アプリケーションの起動時間を短縮し、発行されたバンドルを小さくすることが最も重要です。このような理由から、 Razor ビューのコンパイルは、ASP.NET Core 2.0 で既定で有効になっています。

MvcRazorCompileOnPublish プロパティを true に設定する必要はなくなりました。ビューのコンパイルを無効にしない限り、プロパティは .csproj ファイルから削除される可能性があります。

.NET Framework を対象とする場合でも、.csproj NuGet パッケージ:

<PackageReference Include="Microsoft.AspNetCore.Mvc.Razor.ViewCompilation" Version="2.0.0" PrivateAssets="All" />

Application Insights の "ライトアップ" 機能に依存する

アプリケーションパフォーマンスインストルメンテーションの簡単なセットアップが重要です。 Visual Studio 2017 ツールで使用できる新しい Application Insights の "ライトアップ" 機能に依存できるようになりました。

ASP.NET Visual Studio 2017 で作成された Core 1.1 プロジェクトでは、既定で Application Insights が追加されました。 Program.csおよびStartup.csの外部で Application Insights SDK を直接使用していない場合は、次の手順に従います。

.NET Core を対象とする場合は、<PackageReference /> ファイルから次の.csproj ノードを削除します。
```
<PackageReference Include="Microsoft.ApplicationInsights.AspNetCore" Version="2.0.0" />
```

.NET Core を対象とする場合は、UseApplicationInsightsからProgram.cs拡張メソッドの呼び出しを削除します。

public static void Main(string[] args)
{
    var host = new WebHostBuilder()
        .UseKestrel()
        .UseContentRoot(Directory.GetCurrentDirectory())
        .UseIISIntegration()
        .UseStartup<Startup>()
        .UseApplicationInsights()
        .Build();

    host.Run();
}

_Layout.cshtmlから Application Insights クライアント側 API 呼び出しを削除します。次の 2 行のコードで構成されます。
```
@inject Microsoft.ApplicationInsights.AspNetCore.JavaScriptSnippet JavaScriptSnippet
@Html.Raw(JavaScriptSnippet.FullScript)
```

Application Insights SDK を直接使用している場合は、引き続き使用します。 2.0 メタパッケージには最新バージョンの Application Insights が含まれているため、古いバージョンを参照している場合はパッケージのダウングレードエラーが表示されます。

認証/Identity の機能強化を採用する

ASP.NET Core 2.0 には、新しい認証モデルと、ASP.NET Core Identityに対する多くの重要な変更があります。個々のユーザーアカウントを有効にしてプロジェクトを作成した場合、または認証または Identityを手動で追加した場合は、「 ASP.NET Core 2.0 への認証と Identity の移行」を参照してください。

その他のリソース

ASP.NET Core 2.0 の破壊的変更

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ASP.NET Core 1.x から 2.0 に移行する

[前提条件]

ターゲット フレームワーク モニカー (TFM) を更新する

で .NET Core SDK のバージョンを更新する global.json

パッケージ参照の更新

.NET CLI ツールを更新する

パッケージ ターゲット フォールバック プロパティの名前を変更する

Program.csで Main メソッドを更新する

構成プロバイダーの追加

データベース初期化コードの移動

Razor ビューコンパイル設定を確認する

Application Insights の "ライトアップ" 機能に依存する

認証/Identity の機能強化を採用する

その他のリソース

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その他のリソース

ターゲットフレームワークモニカー (TFM) を更新する

パッケージターゲットフォールバックプロパティの名前を変更する