StorSimple 8000 シリーズ: ハイブリッド クラウド ストレージ ソリューション

注意事項

アクションが必要:StorSimple Data Manager、StorSimple デバイス マネージャー、StorSimple 1200、StorSimple 8000 がサポート終了に達しました。 サポート終了の詳細は、2019 年に Microsoft ライフサイクル ポリシーAzure Communications ページで公開されました。 追加の通知も電子メールで送信され、Azure portalStorSimple のドキュメント サイトに投稿されました。 詳しくは、Microsoft サポートにお問い合わせください。

概要

Microsoft Azure StorSimple へようこそ。StorSimple は、オンプレミスのデバイスと Microsoft Azure クラウド ストレージとの間で実行されるストレージ タスクを管理する統合ストレージ ソリューションです。 StorSimple は、企業のストレージとデータ保護に伴う多くの問題を解消し、費用を削減する、効率と経済性、管理性に優れた記憶域ネットワーク (SAN) ソリューションです。 クラウド サービスと連携し、独自開発の StorSimple 8000 シリーズ デバイス、管理ツールを使用して、クラウド ストレージを含め、企業が保有するすべてのストレージをシームレスに表示します。 Microsoft Azure の Web サイトで発行されている StorSimple のデプロイに関する情報は、StorSimple 8000 シリーズ デバイスのみに適用されます。

StorSimple では、 ストレージ階層化 を使用し、さまざまなストレージ メディアに格納されているデータを管理します。 現在作業中のセットは、ソリッド ステート ドライブ (SSD) にオンプレミスで格納されています。 使用頻度の低いデータはハード ディスク ドライブ (HDD) に格納され、アーカイブ データはクラウドにプッシュされます。 また、StorSimple 圧縮を使用して、データが消費するストレージの量を削減します。 詳細については、「 重複除去と圧縮」を参照してください。 StorSimple 8000 シリーズの文書で使用されている他の用語と概念の定義については、本記事の終わりに収録されている「StorSimple 用語集」を参照してください。

ストレージ管理に加えて、StorSimple データ保護機能を使用すると、オンデマンド バックアップやスケジュールされたバックアップを作成して、ローカルやクラウドに格納できるようになります。 バックアップは増分スナップショットの形式で実行されます。これは短時間で作成し、復元できることを意味しています。 クラウド スナップショットはセカンダリ ストレージ システム (テープ バックアップなど) を置き換え、データセンターにデータを復元したり、必要に応じてサイトを交代できるため、非常に重要になります。

StorSimple を使用する理由

次の表には、Microsoft Azure StorSimple の長所をいくつかまとめてあります。

機能 長所
透過的な統合 iSCSI プロトコルを使用して、ユーザーに意識させることなくデータ ストレージ設備を連結します。 データは、その保存先がクラウドであれ、データ センターであれ、リモート サーバーであれ、すべて同じ場所に保存されているように見えます。
ストレージ コストの削減 現在の需要と照らして妥当な量のローカル ストレージまたはクラウド ストレージを割り当て、必要なときにのみクラウド ストレージを拡張します。 また、重複するデータを排除 (重複除去) したり圧縮を使用したりすることによって、ストレージの要件と費用を削減します。
ストレージ管理の単純化 オンプレミス、リモート サーバー、およびクラウドに保存されているデータを構成して管理するためのシステム管理ツールが用意されています。 加えて、バックアップと復元の機能は、Microsoft 管理コンソール (MMC) スナップインから管理することができます。
ディザスター リカバリーとコンプライアンスの強化 時間のかかる復旧は必要ありません。 代わりに、通常の操作を最小限の中断で続行できるように、必要に応じてデータを復元します。 また、バックアップ スケジュールとデータ保持の設定を指定したポリシーを構成できます。
データのモビリティ Microsoft Azure クラウド サービスにアップロードしたデータに他のサイトからアクセスし、復旧や移行の用途に利用することができます。 また、Microsoft Azure で実行されている仮想マシン (VM) に対して、StorSimple を使用して StorSimple Cloud Appliance を構成することができます。 この VM は、仮想デバイスを使用して、保存されているデータにアクセスし、テスト目的や復旧に利用することができます。
ビジネス継続性 StorSimple 5000 ~ 7000 シリーズのユーザーは、データを StorSimple 8000 シリーズのデバイスに移行できます。
Azure Government ポータルで入手可能 StorSimple は、Azure Government ポータルから入手できます。 詳細については、「 Government Portal でのオンプレミスの StorSimple デバイスのデプロイ」を参照してください。
データの保護と可用性 StorSimple 8000 シリーズでは、ローカル冗長ストレージ (LRS) と geo 冗長ストレージ (GRS) に加えて、ゾーン冗長ストレージ (ZRS) もサポートします。 ZRS の詳細については、 Azure Storage の冗長オプションに関する記事 を参照してください。
クリティカル アプリケーションのサポート StorSimple を使用すると、ローカル固定に適したボリュームを識別し、クリティカル アプリケーションで必要なデータがクラウドに階層化されないようにすることができます。 ローカル固定ボリュームは、クラウドの待機時間や接続の問題によって影響を受けることはありません。 ローカル固定ボリュームの詳細については、「StorSimple Device Manager サービスを使用してボリュームを管理する」をご覧ください。
短い待機時間と高いパフォーマンス Azure Premium Storage の高いパフォーマンスと短い待機時間の特徴を活用するクラウド アプライアンスを作成できます。 StorSimple Premium クラウド アプライアンスの詳細については、Azure での StorSimple Cloud Appliance のデプロイと管理に関する記事を参照してください。

StorSimple のコンポーネント

Microsoft Azure StorSimple ソリューションには、次のコンポーネントが含まれています。

  • Microsoft Azure StorSimple デバイス - SSD と HDD に冗長コントローラーと自動フェールオーバー機能を組み合わせた、オンプレミスのハイブリッド ストレージ アレイです。 ストレージの階層管理はコントローラーによって行われます。現在使用されているデータ (ホット データ) はローカル ストレージ (デバイスまたはオンプレミス サーバー) に配置され、使用頻度の低いデータはクラウドに移動されます。
  • StorSimple クラウド アプライアンス – StorSimple 仮想アプライアンスとも呼ばれます。 物理ハイブリッド ストレージ デバイスのアーキテクチャとほとんどの機能をレプリケートする StorSimple デバイスのソフトウェア バージョンです。 StorSimple Cloud Appliance は、Azure 仮想マシン内の単一ノードで動作します。 Azure Premium Storage を利用する Premium 仮想デバイスは、Update 2 以降で使用できます。
  • StorSimple デバイス マネージャー サービス - StorSimple デバイスまたは StorSimple Cloud Appliance を単一の Web インターフェイスから管理できる、Azure ポータルの拡張機能です。 StorSimple デバイス マネージャー サービスを使用して、サービスの作成と管理、デバイスの表示と管理、アラートの表示、ボリュームの管理、バックアップ ポリシーやバックアップ カタログの表示と管理を行うことができます。
  • StorSimple 用 Windows PowerShell - StorSimple デバイスの管理に使用するコマンドライン インターフェイスです。 StorSimple 用 Windows PowerShell の機能を使って、StorSimple デバイスの登録、デバイスのネットワーク インターフェイスの構成、特定の種類の更新プログラムのインストール、サポート セッションへのアクセスによるデバイスのトラブルシューティング、デバイスの状態の変更などを行うことができます。 StorSimple 用 Windows PowerShell には、シリアル コンソールに接続するか、Windows PowerShell リモート処理を使用してアクセスできます。
  • StorSimple 用 Azure PowerShell コマンドレット – コマンドラインからのサービス レベル タスクと移行タスクを自動化することができる Windows PowerShell コマンドレットのコレクションです。 StorSimple 用の Azure PowerShell コマンドレットの詳細については、「 コマンドレット リファレンス」を参照してください。
  • StorSimple Snapshot Manager - ボリューム グループと Windows ボリューム シャドウ コピー サービスを使用してアプリケーション整合性のあるバックアップを生成する MMC スナップインです。 また、StorSimple Snapshot Manager を使用して、バックアップ スケジュールを作成したり、ボリュームを複製または復元したりすることもできます。
  • SharePoint 用 StorSimple アダプター - Microsoft Azure StorSimple のストレージとデータ保護を SharePoint サーバー ファームにまで透過的に拡張すると共に、SharePoint サーバーの全体管理ポータルで Azure StorSimple ストレージを表示して管理できるようにするツールです。

次の図は、Microsoft Azure StorSimple のアーキテクチャとコンポーネントの全体像を示したものです。

StorSimple のアーキテクチャ

以降のセクションでは、これらのコンポーネントについてそれぞれ説明します。また、このソリューションでデータを整理し、ストレージを割り当て、ストレージ管理とデータ保護を容易にする方法について説明します。 最後のセクションでは、StorSimple のコンポーネントとその管理に関連する重要な用語と概念を定義します。

StorSimple デバイス

Microsoft Azure StorSimple デバイスは、プライマリ ストレージを備え、このストレージに保存されているデータに対する iSCSI アクセスをサポートするオンプレミス ハイブリッド ストレージ デバイスです。 また、クラウド ストレージとの通信を管理し、Microsoft Azure StorSimple ソリューションに格納されているすべてのデータのセキュリティと機密性の確保をサポートしています。

StorSimple デバイスには、SSD とハード ディスク ドライブ (HDD) が含まれており、クラスタリングと自動フェールオーバーもサポートしています。 また、共有プロセッサ、共有ストレージ、および 2 つのミラーリングされたコントローラーが含まれています。 各コントローラーは、次の機能を提供しています。

  • ホスト コンピューターへの接続
  • ローカル エリア ネットワーク (LAN) に接続するための最大 6 個のネットワーク ポート
  • ハードウェアの監視
  • 非揮発性ランダム アクセス メモリ (NVRAM) (停電した場合でも情報が保持されます)
  • クラスター対応更新: フェールオーバー クラスター内のサーバーでソフトウェアの更新を管理することで、更新によるサービスの可用性への影響を最小限にするか、まったくないようにします
  • クラスター サービス: バックエンド クラスターのように機能して高可用性を提供し、HDD または SSD に障害が発生した場合やオフラインになった場合に発生する可能性がある悪影響を最小限に抑えます

どの時点でも、1 つのコントローラーのみがアクティブです。 アクティブなコントローラーに障害が発生すると、2 つ目のコントローラーが自動的にアクティブになります。

詳細については、「 StorSimple のハードウェア コンポーネントと状態」を参照してください。

StorSimple Cloud Appliance

StorSimple を使用して、物理的なハイブリッド ストレージ デバイスのアーキテクチャと機能を再現するクラウド アプライアンスを作成できます。 StorSimple Cloud Appliance (StorSimple Virtual Appliance とも言います) は、Azure 仮想マシン内の単一ノードで動作します (クラウド アプライアンスは、Azure 仮想マシンでのみ作成できます。StorSimple デバイスまたはオンプレミス サーバーに作成することはできません)。

クラウド アプライアンスには、次の機能があります。

  • 物理アプライアンスのように動作し、クラウドの仮想マシンに iSCSI インターフェイスを提供できます。
  • クラウド アプライアンスは、クラウド内に無制限に作成でき、必要に応じてオン/オフを切り替えることができます。
  • 障害復旧、開発、テストなどのシナリオでオンプレミスの環境をシミュレーションし、アイテムレベルでバックアップから復旧できます。

StorSimple Cloud Appliance は 8010 デバイス (旧称: 1100 モデル) と 8020 デバイスの 2 つのモデルで利用できます。 8010 デバイスの最大容量は 30 TB です。 Azure Premium Storage を利用する 8020 デバイスの最大容量は 64 TB です。 (ローカル層では、Azure Premium Storage はデータを SSD に格納するのに対し、Standard Storage はデータを HDD に格納します。)Premium Storage を使用するには、Azure Premium Storage アカウントが必要です。

StorSimple Cloud Appliance の詳細については、Azure での StorSimple Cloud Appliance のデプロイと管理に関する記事を参照してください。

StorSimple デバイス マネージャー サービス

Microsoft Azure StorSimple には、データセンターとクラウド ストレージを一元管理できる Web ベースのユーザー インターフェイス (StorSimple デバイス マネージャー サービス) が用意されています。 StorSimple Device Manager サービスを使用して、次のタスクを実行できます。

  • StorSimple デバイスのシステム設定を構成する。
  • StorSimple デバイスのセキュリティ設定を構成および管理する
  • クラウドの資格情報とプロパティを構成する。
  • サーバー上のボリュームを構成および管理する。
  • ボリューム グループを構成する。
  • データをバックアップおよび復元する。
  • パフォーマンスを監視する。
  • システム設定を確認し、問題の可能性を特定する。

StorSimple デバイス マネージャー サービスを使用して、システムのダウン タイムが必要なタスク (初回のセットアップや更新プログラムのインストールなど) を除くすべての管理タスクを実行できます。

詳細については、「StorSimple Device Manager サービスを使用した StorSimple デバイスの管理」をご覧ください。

StorSimple 用 Windows PowerShell

StorSimple 用 Windows PowerShell にはコマンドライン インターフェイスがあり、Microsoft Azure StorSimple サービスの作成と管理、および StorSimple デバイスのセットアップと監視に使用できます。 これは Windows PowerShell ベースのコマンドライン インターフェイスであり、StorSimple デバイスの管理専用のコマンドレットが含まれています。 StorSimple 用 Windows PowerShell には、次の機能があります。

  • デバイスを登録する。
  • デバイスのネットワーク インターフェイスを構成する。
  • 特定の種類の更新プログラムをインストールする。
  • サポート セッションにアクセスしてデバイスのトラブルシューティングを行う。
  • デバイスの状態を変更する。

StorSimple 用 Windows PowerShell には、(デバイスに直接接続されているホスト コンピューター上の) シリアル コンソールを使用してアクセスできるほか、Windows PowerShell リモート処理を使用してリモート アクセスできます。 デバイスの最初の登録など、StorSimple 用 Windows PowerShell の一部のタスクは、シリアル コンソールでのみ実行できます。

詳細については、「 Windows PowerShell for StorSimple を使用してデバイスを管理する」を参照してください。

StorSimple 用 Azure PowerShell コマンドレット

StorSimple 用 Azure PowerShell コマンドレットは、コマンド ラインからのサービス レベル タスクと移行タスクを自動化することができる Windows PowerShell コマンドレットのコレクションです。 StorSimple 用の Azure PowerShell コマンドレットの詳細については、「 コマンドレット リファレンス」を参照してください。

StorSimple Snapshot Manager

StorSimple Snapshot Manager は、ローカル データとクラウド データについて、一貫性のある特定の時点のバックアップ コピーを作成するために使用できる Microsoft 管理コンソール (MMC) スナップインです。 スナップインは、Windows Server ベースのホストで動作します。 StorSimple Snapshot Manager には、次の機能があります。

  • ボリュームを構成、バックアップ、削除する。
  • ボリューム グループを構成してバックアップ データのアプリケーション整合性を確保する。
  • 事前に設定したスケジュールに基づいてデータがバックアップされ、指定した場所 (ローカルまたはクラウド) に格納されるように、バックアップ ポリシーを管理する。
  • ボリュームと個々のファイルを復元する。

バックアップはスナップショットとして取り込まれます。スナップショットは、最後のスナップショットが作成された時点以降の変更内容のみを記録するため、必要なストレージ容量は、完全バックアップよりもはるかに少なくなります。 必要に応じて、バックアップ スケジュールを作成するか、バックアップを即時に実行することができます。 さらに、StorSimple Snapshot Manager を使用すると、保存するスナップショット数を制御する保持ポリシーを設定できます。 後でバックアップからデータを復元するときに、StorSimple Snapshot Manager で、ローカルまたはクラウドのスナップショットのカタログから選択できます。

障害が発生した場合、または他の理由でデータを復元する必要がある場合、StorSimple Snapshot Manager は必要に応じて段階的に復元します。 データの復元において、ファイルを復元するとき、機器を交換するとき、または操作を別のサイトに移行するときに、システム全体をシャットダウンする必要はありません。

詳細については、「 StorSimple Snapshot Manager について

SharePoint 用 StorSimple アダプター

Microsoft Azure StorSimple には SharePoint 用 StorSimple アダプターが含まれています。これは、StorSimple のストレージおよびデータ保護機能を透過的に SharePoint Server ファームに拡張するオプションのコンポーネントです。 このアダプターはリモート BLOB Storage (RBS) プロバイダーおよび SQL Server RBS 機能と連携しているため、Microsoft Azure StorSimple システムでバックアップされるサーバーに BLOB を移動することができます。 Microsoft Azure StorSimple は、使用状況に応じてローカルまたはクラウドに BLOB データを格納します。

SharePoint 用 StorSimple アダプターは、SharePoint サーバーの全体管理ポータル内から管理します。 そのため、SharePoint は引き続き一元管理することができます。また、すべてのストレージが SharePoint ファーム内にあるように見えます。

詳細については、「 SharePoint 用 StorSimple アダプター」を参照してください。

ストレージ管理テクノロジ

専用の StorSimple デバイス、仮想デバイス、他のコンポーネントに加え、Microsoft Azure StorSimple では、次のソフトウェア テクノロジを使用して、データへの迅速なアクセスを提供し、ストレージの消費を低減しています。

自動ストレージ階層化

Microsoft Azure StorSimple では、現在の使用量、保有期間、および他のデータとの関係に基づいて、データが論理階層内で自動的に整理されます。 最もアクティブなデータはローカルに格納され、それほどアクティブではないデータや非アクティブなデータはクラウドに自動的に移行されます。 次の図は、このストレージの手法を示しています。

StorSimple のストレージ階層

迅速なアクセスを可能にするために、StorSimple では、非常にアクティブなデータ (ホット データ) は StorSimple デバイスの SSD に格納されます。 また、ときどき使用されるデータ (ウォーム データ) は、デバイスまたはデータ センターにあるサーバーの HDD に格納されます。 非アクティブなデータ、バックアップ データ、アーカイブやコンプライアンスの目的で保持されるデータは、クラウドに移動されます。

Note

Update 2 以降では、ボリュームをローカル固定として指定できます。その場合、データはローカル デバイス上に保持され、クラウドに階層化されません。

StorSimple は、使用パターンの変化に応じて、データとストレージの割り当てを調整し、再整理します。 たとえば、時間の経過と共に一部の情報があまりアクティブではなくなったとします。 アクティブな程度の低下に従って、データは SSD から HDD へ、また HDD からクラウドへと移行されます。 この同じデータが再びアクティブになると、また元のストレージ デバイスに移行されます。

ストレージの階層化プロセスは次のように行われます。

  1. システム管理者が、Microsoft Azure のクラウド ストレージ アカウントを設定します。
  2. 管理者は、シリアル コンソールと StorSimple デバイス マネージャー サービス (Azure ポータルで実行) を使用して、デバイスとファイル サーバーを構成し、ボリュームとデータ保護ポリシーを作成します。 オンプレミスのコンピューター (ファイル サーバーなど) は、Internet Small Computer System Interface (iSCSI) を使用して StorSimple デバイスにアクセスします。
  3. 最初、StorSimple はデバイスの高速 SSD 階層にデータを格納します。
  4. SSD 階層が容量に近づくと、StorSimple は最も古いデータ ブロックを重複除去して圧縮し、HDD 階層に移動します。
  5. HDD 階層が容量に近づくと、StorSimple は最も古いデータ ブロックを暗号化し、HTTPS 経由で Microsoft Azure ストレージ アカウントに安全に送信します。
  6. Microsoft Azure はデータセンターとリモート データセンターにデータの複数のレプリカを作成し、障害が発生した場合にデータを復旧できるようにします。
  7. クラウドに格納されているデータをファイル サーバーが要求すると、StorSimple はデータをシームレスに返送し、StorSimple デバイスの SSD 階層にコピーを格納します。

重要

StorSimple を使用しているときは、デバイスを段階的に廃止する場合でも、BLOB をアーカイブに変換しないでください。データをデバイスから取得するために、BLOB をアーカイブからホットまたはクール タイプにリハイドレートする必要があり、結果としてコストが大幅に増えます。

StorSimple によるクラウド データの管理方法

StorSimple により、すべてのスナップショットとプライマリ データ (ホストによって書き込まれたデータ) にわたって顧客データが重複除去されます。 重複除去はストレージの効率性という点では最適ですが、"クラウド上にどのようなデータがあるのか" という点がわかりにくくなります。 階層化されたプライマリ データとスナップショット データは互いに重複しています。 クラウド内の単一のデータ チャンクは階層化されたプライマリ データとして使用でき、複数のスナップショットから参照することもできます。 すべてのクラウド スナップショットにおいて、特定の時点のデータすべてのコピーは、そのスナップショットを削除するまでクラウド内に保持されることが保証されています。

データは、そのデータへの参照が存在しない場合にのみクラウドから削除されます。 たとえば、StorSimple デバイス内の全データのクラウド スナップショットを作成してから、一部のプライマリ データを削除した場合、その "プライマリ データ" はすぐに削除されることがわかります。 階層化されたデータとバックアップを含む "クラウド データ" は、スナップショットがまだクラウド データを参照しているため、同じままです。 クラウド スナップショット (および同じデータを参照している他のすべてのスナップショット) が削除されると、クラウドの使用量が減少します。 クラウド データを削除する前には、そのデータをまだ参照しているスナップショットが存在しないことを確認します。 このプロセスは、"ガベージ コレクション" と呼ばれ、デバイスで実行されているバックグラウンド サービスです。 クラウド データの削除は、そのデータへの他の参照を削除前にガベージ コレクション サービスが確認するため、すぐには行われません。 ガベージ コレクションの速度は、スナップショットの総数と合計データ量によって決まります。 通常、クラウド データは 1 週間以内にクリーンアップされます。

仮想プロビジョニング

仮想プロビジョニングは、物理リソースを超える空き容量がストレージにあるように見える仮想化テクノロジです。 StorSimple では、事前に十分なストレージを確保するのではなく、仮想プロビジョニングを使用して、現在の要件を満たすために必要な容量のみを割り当てます。 クラウド ストレージの柔軟な性質がこの手法を容易にし、StorSimple は変化する需要に合わせてクラウド ストレージを増減できます。

Note

ローカル固定ボリュームは仮想プロビジョニングされません。 ローカル専用のボリュームに割り当てられたストレージは、ボリュームの作成時に完全にプロビジョニングされます。

重複除去と圧縮

Microsoft Azure StorSimple は、重複除去とデータ圧縮を使用して、必要なストレージをさらに減らします。

重複除去では、格納されているデータ セットの重複を除去してデータを圧縮します。 情報が変更されると、StorSimple は、変更されていないデータを無視して変更内容のみを取り込みます。 さらに、StorSimple は、不要な情報を特定して削除することで、格納されるデータの量を減らします。

Note

ローカル固定ボリューム上のデータは、重複除去および圧縮されていません。 ただし、ローカル固定ボリュームのバックアップは、重複除去され圧縮されています。

StorSimple ワークロードの概要

サポートされる StorSimple ワークロードの概要を、次の表に示します。

シナリオ ワークロード サポートされています 制限 バージョン
コラボレーション ファイル共有 Yes すべてのバージョン
コラボレーション 分散ファイル共有 Yes すべてのバージョン
コラボレーション SharePoint はい* ローカル固定ボリュームでのみサポート Update 2 以降
アーカイブ 簡易ファイルのアーカイブ Yes すべてのバージョン
仮想化 仮想マシン はい* ローカル固定ボリュームでのみサポート Update 2 以降
データベース SQL はい* ローカル固定ボリュームでのみサポート Update 2 以降
ビデオの監視 ビデオの監視 はい* StorSimple デバイスがこのワークロード専用の場合のみサポート Update 2 以降
Backup プライマリ対象バックアップ はい* StorSimple デバイスがこのワークロード専用の場合のみサポート Update 3 以降
Backup セカンダリ対象バックアップ はい* StorSimple デバイスがこのワークロード専用の場合のみサポート Update 3 以降

はい * - ソリューション ガイドラインと制限事項を適用する必要があります。

StorSimple 8000 シリーズ デバイスでは、次のワークロードはサポートされていません。 StorSimple でデプロイされた場合、これらのワークロードは結果的にサポートされない構成になります。

  • 医用画像
  • Exchange
  • VDI
  • Oracle
  • SAP
  • ビッグ データ
  • コンテンツ配信
  • SCSI から起動

StorSimple がサポートするインフラストラクチャ コンポ―ネントの一覧を次に示します。

シナリオ ワークロード サポートされています 制限 バージョン
全般 ExpressRoute Yes すべてのバージョン
全般 DataCore FC はい* DataCore SANsymphony でサポート すべてのバージョン
全般 DFSR はい* ローカル固定ボリュームでのみサポート すべてのバージョン
全般 インデックス作成 はい* 階層化ボリュームでは、メタデータ インデックス作成のみがサポートされます (データなし)。
ローカル固定ボリュームでは、完全なインデックス作成がサポートされます。
すべてのバージョン
全般 ウイルス対策 はい* 階層化ボリュームでは、開くときと閉じるときのみスキャンがサポートされます。
ローカル固定ボリュームでは、フル スキャンがサポートされます。
すべてのバージョン

はい * - ソリューション ガイドラインと制限事項を適用する必要があります。

ソリューションをビルドするために StorSimple と連携して使用されるその他のソフトウェアの一覧を次に示します。

ワークロードの種類 StorSimple と連携して使用されるソフトウェア サポートされているバージョン ソリューション ガイドへのリンク
バックアップ ターゲット Veeam Veeam v 9 以降 Veeam を使用したバックアップ ターゲットとしての StorSimple
バックアップ ターゲット Veritas Backup Exec Backup Exec 16 以降 Backup Exec を使用したバックアップ ターゲットとしての StorSimple
バックアップ ターゲット Veritas NetBackup NetBackup 7.7.x 以降 NetBackup を使用したバックアップ ターゲットとしての StorSimple
グローバルなファイル共有

コラボレーション
Talon StorSimple と Talon

StorSimple 用語集

Microsoft Azure StorSimple ソリューションをデプロイする前に、以下の用語と定義を確認することをお勧めします。

重要な用語と定義

用語 (頭字語または省略形) [説明]
アクセス制御レコード (ACR) ボリュームに接続できるホストを決定する、Microsoft Azure StorSimple デバイス上のボリュームに関連付けられているレコード。 決定は、StorSimple デバイスに接続している (ACR に含まれる) ホストの iSCSI 修飾名 (IQN) に基づいて行われます。
AES-256 クラウドとの間でやり取りされるデータを暗号化するための 256 ビットの Advanced Encryption Standard (AES) アルゴリズム。
アロケーション ユニット サイズ (AUS) Windows ファイル システムのファイルを保持するために割り当てることができるディスク領域の最小サイズ。 ファイルのサイズがクラスター サイズの偶数倍でない場合は、ファイルを保持するために余分な領域を使用する必要があり (最大でクラスター サイズの次の倍数)、領域の損失やハード ディスクの断片化につながります。
Azure StorSimple ボリュームに推奨される AUS は、重複除去アルゴリズムとの相性がよい 64 KB です。
自動ストレージ階層化 使用頻度の低いデータの SSD から HDD への、次にクラウド内階層への自動的な移動と、集中ユーザー インターフェイスからの全ストレージの管理の有効化。
バックアップ カタログ バックアップのコレクション。通常は、使用されたアプリケーションのタイプによって関連付けられます。 このコレクションは、StorSimple デバイス マネージャー サービス UI の [バックアップ カタログ] ブレードに表示されます。
バックアップ カタログ ファイル StorSimple Snapshot Manager のバックアップ データベースに現在格納されている利用可能なスナップショットの一覧を含むファイル。
バックアップ ポリシー 定義済みのスケジュールでバックアップを作成できるようにする、ボリューム、バックアップの種類、およびタイムテーブルの選択。
バイナリ ラージ オブジェクト (BLOB) データベース管理システムに単一のエンティティとして格納されるバイナリ データのコレクション。 Blob は通常は画像、オーディオ、その他のマルチメディア オブジェクトですが、バイナリの実行可能コードが BLOB として保存されることもあります。
チャレンジ ハンドシェイク認証プロトコル (CHAP) パスワードまたはシークレットを共有するピアに基づいて接続のピアを認証するために使用されるプロトコル。 CHAP は一方向または相互が可能です。 一方向 CHAP では、ターゲットがイニシエーターを認証します。 相互 CHAP では、ターゲットがイニシエーターを認証した後、イニシエーターがターゲットを認証します。
clone ボリュームの重複コピー。
Cloud as a Tier (CaaT) すべてのストレージが 1 つのエンタープライズ ストレージ ネットワークの一部として表示されるように、ストレージ アーキテクチャ内の階層として統合されたクラウド ストレージ。
クラウド サービス プロバイダー (CSP) クラウド コンピューティング サービスのプロバイダー。
クラウド スナップショット クラウドに格納されているボリューム データの特定時点のコピー。 クラウド スナップショットは、別のオフサイト ストレージ システムにレプリケートされたスナップショットに相当します。 クラウド スナップショットは、ディザスター リカバリー シナリオで特に役立ちます。
クラウド ストレージ暗号化キー デバイスがクラウドに送信する暗号化されたデータにアクセスするために StorSimple デバイスによって使用されるパスワードまたはキー。
クラスター対応更新 フェールオーバー クラスター内のサーバーでのソフトウェア更新の管理。更新によるサービスの可用性への影響を最小限にするか、まったくないようにします
データパス 相互接続されたデータ処理操作を実行する機能単位のコレクション。
非アクティブ化 StorSimple デバイスと関連付けられたクラウド サービスの間の接続を解除する永続的な操作。 デバイスのクラウド スナップショットはこのプロセスの後も残っていて、複製したり、災害復旧に使用できます。
ディスク ミラーリング 継続的な可用性を確保するためにリアルタイムで行われる、論理ディスク ボリュームの別のハード ドライブへのレプリケーション。
ダイナミック ディスク ミラーリング ダイナミック ディスクへの論理ディスク ボリュームのレプリケーション。
ダイナミック ディスク 論理ディスク マネージャー (LDM) を使用して複数の物理ディスクにデータを格納して管理するディスク ボリューム形式。 より多くの空き領域を提供するようにダイナミック ディスクを拡張できます。
Extended Bunch of Disks (EBOD) エンクロージャ 追加ストレージのための予備ハード ドライブ ディスクを格納する Microsoft Azure StorSimple デバイスのセカンダリ エンクロージャ。
ファット プロビジョニング 予想されるニーズ (通常は現在のニーズより多い) に基づいてストレージ容量が割り当てられる従来型のストレージ プロビジョニング。 「 シン プロビジョニング」もご覧ください。
ハード ディスク ドライブ (HDD) 回転するプラッターを使用してデータを格納するドライブ。
ハイブリッド クラウド ストレージ ローカル リソースとクラウド ストレージを含むオフサイト リソースの両方を使用するストレージ アーキテクチャ。
Internet Small Computer System Interface (iSCSI) データ ストレージ装置や設備をリンクするためのインターネット プロトコル (IP) ベースのストレージ ネットワーク標準。
iSCSI イニシエーター Windows を搭載するホスト コンピューターが外部の iSCSI ベースのストレージ ネットワークに接続できるようにするソフトウェア コンポーネント。
iSCSI 修飾名 (IQN) iSCSI ターゲットまたは iSCSI イニシエーターを識別する一意の名前。
iSCSI ターゲット ストレージ エリア ネットワークで一元的な iSCSI ディスク サブシステムを提供するソフトウェア コンポーネント。
ライブ アーカイブ アーカイブ データにいつでもアクセスできるストレージ手法 (たとえば、オフサイトのテープに格納されていない)。 Microsoft Azure StorSimple はライブ アーカイブを使用します。
ローカル固定ボリューム デバイス上に存在しており、クラウドに階層化されないボリューム。
ローカル スナップショット Microsoft Azure StorSimple デバイスに保存されているボリューム データの特定の時点のコピー。
Microsoft Azure StorSimple データセンター ストレージ アプライアンスと、データセンター ストレージと同じようにクラウド ストレージを使用できるソフトウェアで構成された強力なソリューション。 StorSimple があれば、コストを削減しながらデータ保護およびデータ管理を簡素化できます。 このソリューションは、クラウドとのシームレスな統合によってプライマリ ストレージ、アーカイブ、バックアップ、およびディザスター リカバリー (DR) を統合します。 SAN ストレージと企業向けプラットフォームのクラウド データ管理を組み合わせることにより、StorSimple デバイスは、すべてのストレージ関連ニーズで速度、わかりやすさ、信頼性を実現します。
電源および冷却モジュール (PCM) 電源と冷却ファンで構成される StorSimple デバイスのハードウェア コンポーネント。 デバイスの主エンクロージャが 2 個の 764 W PCM を備えるのに対し、EBOD エンクロージャは 2 個の 580 W PCM を備えます。
主エンクロージャ アプリケーション プラットフォーム コントローラーが含まれている StorSimple デバイスの主要なエンクロージャ。
目標復旧時間 (RTO) 障害発生後にビジネス プロセスまたはシステムが完全に復元するまでに要する最長時間。
Serial Attached SCSI (SAS) ハード ディスク ドライブ (HDD) の種類。
サービス データ暗号化キー StorSimple デバイス マネージャー サービスに登録したすべての新しい StorSimple デバイスが使用できるキー。 StorSimple デバイス マネージャー サービスとデバイス間で転送される構成データは、公開キーを使用して暗号化され、デバイス上では秘密キーを使用してのみ暗号化を解除できます。 サービス データ暗号化キーを使用すると、サービスは暗号化解除用のこの秘密キーを取得できます。
サービス登録キー StorSimple デバイス マネージャー サービスへの StorSimple デバイスの登録を助けるキー。管理作業を容易にするために Azure ポータルに表示されます。
Small Computer System Interface (SCSI) コンピューターの物理的接続とコンピューター間のデータの受け渡しのための標準のセット。
ソリッド ステート ドライブ (SSD) 可動部分を含まないディスク。たとえば、フラッシュ ドライブです。
ストレージ アカウント 特定のクラウド サービス プロバイダーのストレージ アカウントにリンクされたアクセス資格情報のセット。
SharePoint 用 StorSimple アダプター StorSimple ストレージおよびデータ保護を SharePoint Server ファームまで透過的に拡張する Microsoft Azure StorSimple のコンポーネント。
StorSimple デバイス マネージャー サービス Azure StorSimple のオンプレミスのデバイスと仮想デバイスを管理できるようにする Azure ポータルの拡張機能。
StorSimple Snapshot Manager Microsoft Azure StorSimple でのバックアップおよび復元操作を管理するための Microsoft 管理コンソール (MMC) スナップイン。
バックアップの作成 ユーザーがボリュームの対話型バックアップを作成できるようにする機能。 定義済みポリシーによる自動バックアップ作成に対して、手動でボリュームのバックアップを作成する代替手段です。
仮想プロビジョニング 使用可能なストレージ スペースをストレージ システムで使用する効率を最適化する方法。 仮想プロビジョニングでは、ストレージは任意の時点で各ユーザーが必要な最小容量に基づいて複数のユーザーに割り当てられます。 「 ファット プロビジョニング」もご覧ください。
階層化 現在の使用率、経過時間、他のデータとの関係に基づき、論理グループにデータを分けます。 StorSimple により、階層内のデータが自動的に配列されます。
ボリューム ドライブの形式で提供される論理ストレージ領域。 StorSimple ボリュームは、iSCSI と StorSimple デバイスを使用して検出されるボリュームなど、ホストによってマウントされるボリュームに対応します。
ボリューム コンテナー ボリュームのグループ化とそれらに適用される設定。 StorSimple デバイスのすべてのボリュームは、ボリューム コンテナーにグループ化されます。 ボリューム コンテナーの設定には、ストレージ アカウント、関連付けられている暗号化キーでクラウドに送信されるデータの暗号化設定、クラウド関連操作で消費される帯域幅が含まれます。
ボリューム グループ StorSimple Snapshot Manager では、バックアップ処理を容易にするために構成されているボリュームのコレクション。
ボリューム シャドウ コピー サービス (VSS) VSS 対応アプリケーションとやり取りして増分スナップショットの作成を調整することで、アプリケーション整合性を促進する Windows Server オペレーティング システム サービス。 VSS は、スナップショットの作成時に、アプリケーションが一時的に非アクティブ状態になるようにします。
StorSimple 用 Windows PowerShell StorSimple デバイスを操作および管理するために使用される Windows PowerShell ベースのコマンド ライン インターフェイス。 このインターフェイスは、Windows PowerShell の基本機能の一部を維持するとともに、StorSimple デバイスの管理に適合するように調整された専用のコマンドレットを持っています。

次のステップ

StorSimple のセキュリティの詳細を確認します。