次の方法で共有


適切な Azure ホスティング オプションの選択

この記事では、既存の .NET Framework アプリケーションをオンプレミスから Azure に移行する際の考慮事項について説明し、Azure における選択肢を比較します。

既存の .NET アプリケーションを Azure に移行する際に考慮すべき基本的な領域は次のとおりです。

  1. コンピューティングの選択肢
  2. データベースの選択肢
  3. ネットワークとセキュリティに関する考慮事項
  4. 認証と承認に関する考慮事項

コンピューティングの選択肢

既存の .NET Framework アプリケーションを Azure に移行する場合、複数の選択肢があります。 ただし、.NET Framework は Windows に依存しているため、次の選択肢は Windows ベースのコンピューティング サービスに限定されます。

既存の .NET アプリケーションに適したコンピューティング移行パスの選択に役立つ、比較と推奨事項を次の表に示します。

Azure VM Azure App Service Windows コンテナー
いつ使用するか
  • アプリケーションに、サーバーとローカルの .msi インストール ファイルに対する強固な依存関係がある場合。
  • 最も簡単なアプリケーション移行パスを必要としている場合
アプリにサーバーに対する依存関係がなく、データベース サーバーにアクセスするクリーンな ASP.NET Web アプリ (MVC、WebForm) または N 層アプリ (Web API、WCf) である場合。
  • アプリケーションに元のサーバーに対する依存関係があるが、それらの依存関係を Docker の Windows イメージに含めることができる場合。
長所
  • 最も簡単な移行パス。
  • 使い慣れた環境。 デプロイ環境は、オンプレミス サーバーとほぼ同じ VM。
PaaS の継続的なメンテナンス、Azure でアプリを管理およびスケールする最も簡単な方法。
  • 将来に備えて、アプリのコンテナーに依存関係が含まれているクラウド DevOps 対応。
  • .NET /C# コードのリファクタリングがほとんど不要。
短所 IaaS。 メンテナンスにコストがかかる。 ネットワーク、ロード バランサー、スケールアウト、IIS 管理などについて VM インフラストラクチャを管理する必要がある。
  • すべてのアプリがサポートされているわけではない。
  • 一部のアプリでは、Azure App Service をサポートするために、リファクタリングと若干の再設計が必要。
  • Docker のスキルの学習曲線
  • 一部のコードとアプリ構成設定の変更。
必要条件 オンプレミスのアプリと同じ要件の Windows Server VM 準備チェックで指定されている Azure App Service の要件。
移行方法 Azure 仮想マシンへの移行に関する記事を参照 Azure App Service への移行に関する記事を参照 Azure と Windows コンテナーによる既存の .NET アプリの最新化に関する電子ブックで説明する考慮事項、シナリオ、チュートリアルを参照

次のフローチャート図は、既存の .NET Framework アプリケーションで Azure への移行を計画するときのデシジョン ツリーを示しています。 実行可能な場合は、まずオプション A を試してください。ただし、最も簡単に実行できるのはオプション B です。

Flowchart showing hosting decision tree

データベースの選択肢

リレーショナル データベースを Azure に移行する場合、複数の選択肢があります。 既存の .NET アプリケーションに適したデータベース移行パスの選択については、Azure への SQL Server データベースの移行に関する記事をご覧ください。

ネットワークとセキュリティに関する考慮事項

Microsoft Azure のようなパブリック クラウドにアプリケーションをデプロイする場合、Azue とオンプレミスの間の DMZ や、Azure とインターネットの間の DMZ など、ネットワーク DMZ を作成して特定のネットワークを分離し、セキュリティで保護することができます。 DMZ は、Azure Virtual Network を使用して実装できます。

Azure Virtual Network を使用すると、次のことが可能になります。

  • 制御可能なハイブリッド インフラストラクチャを構築する
  • 独自の IP アドレスと DNS サーバーを使用する
  • IPsec VPN または ExpressRoute を使用して接続をセキュリティで保護する
  • サブネット間のトラフィックをきめ細かく制御する
  • 仮想アプライアンスを使用して高度なネットワーク トポロジを作成する
  • アプリケーション用に安全性の高い分離された環境を実現する

独自の仮想ネットワークの構築を開始するには、Azure Virtual Network のドキュメントに関するページをご覧ください。

Azure に移行する際の認証と承認に関する考慮事項

クラウドに移行する組織の最大の懸念事項はセキュリティです。 ほとんどの企業が、セキュリティ モデルの設計と開発にかなりの時間、資金、エンジニアリングを投資しており、ID ストアやシングル サインオン ソリューションなどの既存の投資を活用できることが重要です。

オンプレミスで実行されている多くの既存のエンタープライズ B2E .NET アプリケーションでは、認証と ID 管理に Active Directory を使用しています。 Azure AD Connect を使用すると、オンプレミスのディレクトリを Azure Active Directory と統合できます。 作業を開始するには、「オンプレミスのディレクトリと Azure Active Directory の統合」をご覧ください。

Azure Active Directory に関する詳細な計画については、ハイブリッド ID ソリューションの ID 要件に関する記事をご覧ください。

認証プロトコルの他の選択として、コンシューマー向けのアプリケーションで一般的な OAuthOpenID があります。 OAuth を使用する IdentityServer4 によってラップされた ASP.NET Identity SQL データベースなど、自律的な ID データベースを使用する場合は、通常、オンプレミスのデータベースやディレクトリへの接続は不要です。

次の手順