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インスタンス化

インスタンス化のサンプルでは、インスタンス化動作の設定を示します。この設定は、クライアント要求への応答として作成される、サービス クラスのインスタンスの作成方法を制御します。 このサンプルは、ICalculator サービス コントラクトを実装する「入門サンプル」に基づいています。 このサンプルでは、ICalculatorInstance から継承される新しいコントラクト ICalculator を定義します。 ICalculatorInstance によって指定されるコントラクトにより、サービス インスタンスの状態を検査するための 3 つの操作が追加されます。 インスタンス化設定を変更することにより、クライアントを実行して動作の変更を確認できます。

この例では、クライアントはコンソール アプリケーション (.exe) であり、サービスはインターネット インフォメーション サービス (IIS) によってホストされます。

Note

このサンプルのセットアップ手順とビルド手順については、このトピックの最後を参照してください。

次のインスタンス化モードを使用できます。

  • PerCall : 新しいサービス インスタンスがクライアント要求ごとに作成されます。

  • PerSession : 新しいインスタンスが新しいクライアント セッションごとに作成され、そのセッションの有効期間中保持されます (セッションをサポートするバインディングが必要です)。

  • Single : アプリケーションの有効期間中、サービス クラスの単一のインスタンスがすべてのクライアント要求を処理します。

サービス クラスは、[ServiceBehavior(InstanceContextMode=<setting>)] 属性を使用してインスタンス化動作を指定します。次のサンプル コードを参照してください。 コメント化されている行を変更すると、各インスタンス モードの動作を確認できます。 インスタンス モードを変更したら、サービスを再ビルドする必要があります。 クライアントでは、インスタンス化に関連する設定は行いません。

// Enable one of the following instance modes to compare instancing behaviors.
 [ServiceBehavior(InstanceContextMode=InstanceContextMode.PerSession)]

// PerCall creates a new instance for each operation.
//[ServiceBehavior(InstanceContextMode = InstanceContextMode.PerCall)]

// Singleton creates a single instance for application lifetime.
//[ServiceBehavior(InstanceContextMode = InstanceContextMode.Single)]
public class CalculatorService : ICalculatorInstance
{
    static Object syncObject = new object();
    static int instanceCount;
    int instanceId;
    int operationCount;

    public CalculatorService()
    {
        lock (syncObject)
        {
            instanceCount++;
            instanceId = instanceCount;
        }
    }

    public double Add(double n1, double n2)
    {
        operationCount++;
        return n1 + n2;
    }

    public double Subtract(double n1, double n2)
    {
        Interlocked.Increment(ref operationCount);
        return n1 - n2;
    }

    public double Multiply(double n1, double n2)
    {
        Interlocked.Increment(ref operationCount);
        return n1 * n2;
    }

    public double Divide(double n1, double n2)
    {
        Interlocked.Increment(ref operationCount);
        return n1 / n2;
    }

    public string GetInstanceContextMode()
    {   // Return the InstanceContextMode of the service
        ServiceHost host = (ServiceHost)OperationContext.Current.Host;
        ServiceBehaviorAttribute behavior = host.Description.Behaviors.Find<ServiceBehaviorAttribute>();
        return behavior.InstanceContextMode.ToString();
    }

    public int GetInstanceId()
    {   // Return the id for this instance
        return instanceId;
    }

    public int GetOperationCount()
    {   // Return the number of ICalculator operations performed
        // on this instance
        lock (syncObject)
        {
            return operationCount;
        }
    }
}

static void Main()
{
    // Create a client.
    CalculatorInstanceClient client = new CalculatorInstanceClient();
    string instanceMode = client.GetInstanceContextMode();
    Console.WriteLine("InstanceContextMode: {0}", instanceMode);
    DoCalculations(client);

    // Create a second client.
    CalculatorInstanceClient client2 = new CalculatorInstanceClient();

    DoCalculations(client2);

    Console.WriteLine();
    Console.WriteLine("Press <ENTER> to terminate client.");
    Console.ReadLine();
}

このサンプルを実行すると、操作要求および応答がクライアントのコンソール ウィンドウに表示されます。 サービスで実行されているインスタンス モードが表示されます。 各操作後に、インスタンス モードの動作が反映されたインスタンス ID と操作数が表示されます。 クライアントをシャットダウンするには、クライアント ウィンドウで Enter キーを押します。

サンプルをセットアップ、ビルド、および実行するには

  1. Windows Communication Foundation サンプルの 1 回限りのセットアップの手順を実行したことを確認します。

  2. ソリューションの C# 版または Visual Basic .NET 版をビルドするには、「 Building the Windows Communication Foundation Samples」の手順に従います。

  3. 単一または複数コンピューター構成でサンプルを実行するには、「Windows Communication Foundation サンプルの実行」の手順に従います。