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_expand_dbg

ブロックの拡張や縮小によって、ヒープ内の指定されたメモリのブロックをサイズ変更します (デバッグ バージョンのみ)。

void *_expand_dbg( 
   void *userData,
   size_t newSize,
   int blockType,
   const char *filename,
   int linenumber 
);

パラメーター

  • userData
    以前に割り当てられていたメモリ ブロックへのポインター。

  • newSize
    ブロックのために要求する新しいサイズ (バイト単位)。

  • blockType
    サイズ変更するブロックのために要求する型: _CLIENT_BLOCK または _NORMAL_BLOCK。

  • filename
    拡張操作を要求したソース ファイル名へのポインター、または NULL。

  • linenumber
    拡張操作が要求されたソース ファイル内の行番号または NULL。

filename パラメーターと linenumber パラメーターを使用できるのは、_expand_dbg が明示的に呼び出された場合、または _CRTDBG_MAP_ALLOC プリプロセッサ定数が定義されている場合だけです。

戻り値

正常に終了した場合、_expand_dbg は、サイズ変更されたメモリ ブロックへのポインターを返します。 メモリが移動されないため、アドレスは userData と同じです。 エラーが発生したか、要求されたサイズまでブロックを拡張できない場合は、NULL が返されます。 エラーが発生すると、errno にはエラーの性質に関するオペレーティング システムからの情報が設定されます。 errno の詳細については、「errno、_doserrno、_sys_errlist、および _sys_nerr」を参照してください。

解説

_expand_dbg 関数は、_expand 関数のデバッグ バージョンです。 _DEBUG が定義されていない場合、_expand_dbg への各呼び出しは _expand への呼び出しになります。 _expand と _expand_dbg はベース ヒープ内でメモリ ブロックをサイズ変更しますが、_expand_dbg はいくつかのデバッグ機能を提供します。たとえば、リークをテストするための、ブロックのユーザー部分の両側のバッファー、特定の割り当ての種類を追跡するためのブロック型パラメーター、割り当て要求の起点を特定するための filename/linenumber 情報などです。

_expand_dbg は、要求された newSize よりも少し多い領域を使用して指定されたメモリ ブロックをサイズ変更します。 newSize は、最初に割り当てられたメモリ ブロックのサイズより大きくなったり小さくなったりする場合があります。 追加の領域は、デバッグ メモリ ブロックをリンクし、アプリケーションにデバッグ ヘッダー情報と上書きバッファーを提供するために、デバッグ ヒープ マネージャーによって使用されます。 サイズ変更は、元のメモリ ブロックを拡張または縮小することで実現されます。 _expand_dbg は、メモリ ブロックを移動しません。一方、_realloc_dbg 関数は、メモリ ブロックを移動します。

newSize が元のブロック サイズよりも大きい場合、メモリ ブロックは拡張されます。 拡張時に、要求されたサイズに合うようにメモリ ブロックを拡張できない場合は、NULL が返されます。 newSize が元のブロック サイズ未満の場合、メモリ ブロックは新しいサイズになるまで縮小されます。

デバッグ バージョンのベース ヒープに対するメモリ ブロックの割り当て、初期化、管理方法の詳細については、「CRT デバッグ ヒープ」を参照してください。 割り当てブロック型と、それらがどのように使用されるかについては、「デバッグ ヒープ上のメモリ ブロックの型」を参照してください。 アプリケーションのデバッグ ビルドで標準ヒープ関数を呼び出す場合とデバッグ バージョンを呼び出す場合との違いについては、「デバッグ バージョンのヒープ割り当て関数」を参照してください。

この関数は、パラメーターを検証します。 memblock が null ポインターであるか、サイズが _HEAP_MAXREQ より大きい場合は、「パラメーターの検証」に説明されているように、この関数は無効なパラメーター ハンドラーを呼び出します。 実行の継続が許可された場合、errno が EINVAL に設定され、関数から NULL が返されます。

必要条件

ルーチン

必須ヘッダー

_expand_dbg

<crtdbg.h>

互換性の詳細については、「互換性」を参照してください。

ライブラリ

C ランタイム ライブラリのデバッグ バージョンのみ。

使用例

// crt_expand_dbg.c
//
// This program allocates a block of memory using _malloc_dbg
// and then calls _msize_dbg to display the size of that block.
// Next, it uses _expand_dbg to expand the amount of
// memory used by the buffer and then calls _msize_dbg again to
// display the new amount of memory allocated to the buffer.
//

#include <stdio.h>
#include <malloc.h>
#include <stdlib.h>
#include <crtdbg.h>

int main( void )
{
   long *buffer;
   size_t size;

   // Call _malloc_dbg to include the filename and line number
   // of our allocation request in the header
   buffer = (long *)_malloc_dbg( 40 * sizeof(long),
                                 _NORMAL_BLOCK, __FILE__, __LINE__ );
   if( buffer == NULL )
      exit( 1 );

   // Get the size of the buffer by calling _msize_dbg
   size = _msize_dbg( buffer, _NORMAL_BLOCK );
   printf( "Size of block after _malloc_dbg of 40 longs: %u\n", size );

   // Expand the buffer using _expand_dbg and show the new size
   buffer = (long *)_expand_dbg( buffer, size + sizeof(long),
                                 _NORMAL_BLOCK, __FILE__, __LINE__ );

   if( buffer == NULL )
      exit( 1 );
   size = _msize_dbg( buffer, _NORMAL_BLOCK );
   printf( "Size of block after _expand_dbg of 1 more long: %u\n",
           size );

   free( buffer );
   exit( 0 );
}
  

コメント

このプログラムの出力は、すべてのセクションを拡張するためのコンピューターの能力によって異なります。 すべてのセクションが拡張される場合、出力は出力セクションに反映されます。

同等の .NET Framework 関数

使用できません。標準 C 関数を呼び出すには、PInvoke を使用します。詳細については、「プラットフォーム呼び出しの例」を参照してください。

参照

関連項目

デバッグ ルーチン

_malloc_dbg