チュートリアル:Azure の Linux 仮想マシンを監視する

Azure Monitoring は、エージェントを使用して Azure VM からブート データとパフォーマンス データを収集します。そのデータは、Azure Storage に格納され、ポータルや Azure PowerShell モジュール、Azure CLI からアクセスできるようになります。 Azure Monitor for VMs でパフォーマンス メトリックを収集し、VM にインストールされているアプリケーション コンポーネントを検出すると共に、パフォーマンス グラフと依存関係マップを追加することによって、先進の監視機能が実現されます。

このチュートリアルでは、以下の内容を学習します。

  • VM でブート診断を有効にする
  • ブート診断を表示する
  • VM ホストのメトリックを表示する
  • Azure Monitor for VMs の有効化
  • VM のパフォーマンス メトリックを表示する
  • アラートを作成する

Azure Cloud Shell を起動する

Azure Cloud Shell は無料のインタラクティブ シェルです。この記事の手順は、Azure Cloud Shell を使って実行することができます。 一般的な Azure ツールが事前にインストールされており、アカウントで使用できるように構成されています。

Cloud Shell を開くには、コード ブロックの右上隅にある [使ってみる] を選択します。 https://shell.azure.com/powershell に移動して、別のブラウザー タブで Cloud Shell を起動することもできます。 [コピー] を選択してコードのブロックをコピーし、Cloud Shell に貼り付けてから、Enter キーを押して実行します。

CLI をローカルにインストールして使用する場合、このチュートリアルでは、Azure CLI バージョン 2.0.30 以降を実行していることが要件です。 バージョンを確認するには、az --version を実行します。 インストールまたはアップグレードが必要な場合は、Azure CLI のインストールに関するページを参照してください。

VM を作成する

診断とメトリックの動作を確認するには、VM が必要です。 最初に、az group create を使用して、リソース グループを作成します。 次の例では、myResourceGroupMonitor という名前のリソース グループを場所 eastus に作成します。

az group create --name myResourceGroupMonitor --location eastus

ここで az vm create を使用して VM を作成します。 次の例では、myVM という名前の VM を作成し、SSH キーを生成します ( ~/.ssh/ にまだ存在していない場合)。

az vm create \
  --resource-group myResourceGroupMonitor \
  --name myVM \
  --image UbuntuLTS \
  --admin-username azureuser \
  --generate-ssh-keys

ブート診断を有効にする

Linux VM が起動すると、ブート診断拡張機能によってブート出力がキャプチャされて Azure Storage に格納されます。 VM の起動に関する問題は、このデータを使ってトラブルシューティングすることができます。 Azure CLI を使用して Linux VM を作成した場合、ブート診断が自動的に有効になりません。

ブート診断を有効にするにはまず、ブート ログを格納するためのストレージ アカウントを作成しておく必要があります。 ストレージ アカウントには、グローバルに一意の名前が必要です。名前は 3 ~ 24 文字とし、数字と小文字のみを使用できます。 ストレージ アカウントは、az storage account create コマンドで作成します。 この例では、ランダムな文字列を使って一意のストレージ アカウント名を作成しています。

storageacct=mydiagdata$RANDOM

az storage account create \
  --resource-group myResourceGroupMonitor \
  --name $storageacct \
  --sku Standard_LRS \
  --location eastus

ブート診断を有効にするときは、Blob Storage コンテナーの URI が必要となります。 次のコマンドは、ストレージ アカウントを照会して、この URI を取得しています。 この URI 値を bloburi という変数に格納しておき、次の手順で使用します。

bloburi=$(az storage account show --resource-group myResourceGroupMonitor --name $storageacct --query 'primaryEndpoints.blob' -o tsv)

今度は、az vm boot-diagnostics enable を使用して、ブート診断を有効にします。 --storage の値は、前の手順で取得した BLOB の URI です。

az vm boot-diagnostics enable \
  --resource-group myResourceGroupMonitor \
  --name myVM \
  --storage $bloburi

ブート診断を表示する

ブート診断が有効になっている場合、VM を停止して起動するたびに、ブート プロセスに関する情報がログ ファイルに書き込まれます。 この例ではまず、次のように az vm deallocate コマンドで VM の割り当てを解除します。

az vm deallocate --resource-group myResourceGroupMonitor --name myVM

次に、az vm start コマンドで VM を起動します。

az vm start --resource-group myResourceGroupMonitor --name myVM

myVM のブート診断データは、次のように az vm boot-diagnostics get-boot-log コマンドで取得できます。

az vm boot-diagnostics get-boot-log --resource-group myResourceGroupMonitor --name myVM

ホストのメトリックを表示する

Azure には、Linux VM と連動する専用のホストがあります。 メトリックは、そのホストを対象に自動的に収集され、Azure Portal に次のように表示されます。

  1. Azure Portal で [リソース グループ] を選択し、 [myResourceGroupMonitor] を選択します。次に、リソース一覧から [myVM] を選択します。

  2. ホスト VM のパフォーマンスを確認するには、VM ウィンドウで [メトリック] を選択し、[使用可能なメトリック] で [ホスト] メトリックのいずれかを選択します。

    ホストのメトリックを表示する

高度な監視を有効にする

Azure Monitor for VMs を使用した Azure VM の監視を有効にするには、次の手順に従います。

  1. Azure Portal で [リソース グループ] をクリックし、 [myResourceGroupMonitor] を選択して、リソース一覧から [myVM] を選択します。

  2. [VM] ページの [監視] セクションで、 [Insights (プレビュー)] を選択します。

  3. [Insights (プレビュー)] ページで、 [今すぐ試す] を選択します。

    VM に対して Azure Monitor for VMs を有効にする

  4. [Azure Monitor Insights Onboarding](Azure Monitor Insights の配布準備) ページで、同じサブスクリプションに既存の Log Analytics ワークスペースがある場合は、ドロップダウン リストでそれを選択します。

    この一覧では、サブスクリプションで VM がデプロイされている既定のワークスペースと場所が事前に選択されています。

    Note

    VM からの監視データを格納するための新しい Log Analytics ワークスペースを作成するには、Log Analytics ワークスペースの作成に関するページを参照してください。 ワークスペースは、サポートされているリージョンのいずれかに属している必要があります。

監視を有効にした後、VM のパフォーマンス メトリックが表示されるまでに数分かかることがあります。

Azure Monitor for VMs の監視デプロイ プロセスを有効にする

VM のパフォーマンス メトリックを表示する

VM 用 Azure Monitor には、仮想マシンがどの程度効果的に実行されているかを判定するのに役立ついくつかの主要業績評価指標 (KPI) を対象とする一連のパフォーマンス グラフが含まれています。 VM からアクセスするには、次の手順を行います。

  1. Azure Portal で [リソース グループ] をクリックし、 [myResourceGroupMonitor] を選択して、リソース一覧から [myVM] を選択します。

  2. [VM] ページの [監視] セクションで、 [Insights (プレビュー)] を選択します。

  3. [パフォーマンス] タブを選択します。

このページには、パフォーマンス使用率グラフだけでなく、検出された各論理ディスクについて、その容量、使用率、およびメジャーごとの全体平均も表示されます。

アラートを作成する

特定のパフォーマンス メトリックに基づいてアラートを作成することができます。 平均 CPU 使用率が特定のしきい値を超えたときや、空きディスク領域が特定の容量を下回ったときなどに、アラートによって通知を受け取ることができます。 アラートは、Azure Portal に表示されるほか、電子メールで送信することもできます。 アラートが生成されたことへの対応として、Azure Automation Runbook または Azure Logic Apps をトリガーすることもできます。

平均 CPU 使用率のアラートを作成する例を次に示します。

  1. Azure Portal で [リソース グループ] をクリックし、 [myResourceGroupMonitor] を選択して、リソース一覧から [myVM] を選択します。

  2. VM ブレードの [アラート ルール] をクリックし、アラート ブレード上部にある [メトリック アラートの追加] をクリックします。

  3. [名前] にアラートの名前を入力します (例: myAlertRule)。

  4. CPU の割合が 1.0 を超えた状態が 5 分間続いたときにアラートをトリガーするために、それ以外の選択肢はすべて既定値のままにします。

  5. 必要に応じて [所有者、共同作成者、閲覧者に電子メールを送信] のチェック ボックスをオンにして、電子メール通知を送信することもできます。 既定のアクションでは、ポータルに通知が表示されます。

  6. [OK] をクリックします。

次のステップ

このチュートリアルでは、VM のパフォーマンスを構成して確認しました。 以下の方法を学習しました。

  • リソース グループと VM を作成する
  • VM でブート診断を有効にする
  • ブート診断を表示する
  • ホストのメトリックを表示する
  • Azure Monitor for VMs の有効化
  • VM のメトリックを表示する
  • アラートを作成する

次のチュートリアルに進み、Azure Security Center について学習してください。