カスタマイズしたフィルターを使用した動的配布グループの作成
適用先: Office 365 for enterprises, Live@edu
使用する属性が既定のフィルターで使用できない場合や、ワイルドカードの一致を使用する場合は、カスタマイズしたフィルターを使用して動的配布グループを作成します。たとえば、Department 属性値 "R*" および Title 属性 "Engineer" でフィルター処理される動的配布グループを作成すると、このグループに送信されるメッセージは、それらの属性を持つユーザー アカウントにのみ配信されます。
既定のフィルターを使用して動的配布グループを作成する方法については、「既定のフィルターを使用した動的配布グループの作成」を参照してください。
Windows PowerShell を使用して動的配布グループを作成および変更します。カスタマイズしたフィルターでは、OPATH (Windows PowerShell で使用するフィルター処理構文) を使用する必要があります。
開始する前に
Windows PowerShell のインストールと構成を行う方法、およびサービスへの接続方法については、「Windows PowerShell の使用」を参照してください。
カスタマイズしたフィルターを作成する場合は、以下の点に注意してください。
中かっこ
{ }
を使用して OPATH 構文文字列全体を囲みます。演算子の前には必ずハイフンを付けます。
最も頻繁に使用される演算子は以下のとおりです。
-and
-lt (より小さい)
-or
-gt (より大きい)
-not
-like (文字列の比較)
-eq (等しい、大文字と小文字を区別しない)
-notlike (文字列の比較)
-ne (等しくない、大文字と小文字を区別しない)
注 -like または -notlike 演算子を使用する場合は、文字列にワイルドカードを使用する必要があります。たとえば、
Department -
like'Sales*'
などです。注 ワイルドカードを使用する場合、ワイルドカードは最初の文字としては使用できません。文字列の後に使用する必要があります。たとえば、Sales* は使用できますが、*Sales は使用できません。
カスタマイズしたフィルターを使用した新しい動的配布グループの作成
次のコマンドを実行します。
New-DynamicDistributionGroup -Name <group name> -RecipientFilter {<custom filter attribute conditions>}
例 カスタマイズしたフィルターを使用して、"Washington Management Team" という名前の新しい動的配布グループを作成するコマンドを以下に示します。この動的配布グループに送信されたメッセージは、役職が "Director" または "Manager" で始まるワシントン州の全ユーザーに配信されます。
カスタマイズしたフィルターを使用して新しい動的配布グループを作成するには、次のコマンドを実行します。
New-DynamicDistributionGroup -Name "Washington Management Team" -RecipientFilter {(RecipientType -eq 'UserMailbox') -and (Title -like 'Director*' -or Title -like 'Manager*') -and (StateOrProvince -eq 'WA')}
ワンポイント アドバイス
カスタマイズしたフィルターで使用できる主な受信者プロパティの一部を以下に示します。この表には、使用可能なプロパティがすべて記載されているわけではないことに注意してください。
プロパティ名 | 使用可能なクラウドベースの受信者の種類 | 値の種類 | ワイルドカード文字の使用 * | Exchange コントロール パネルでのプロパティの表示 |
---|---|---|---|---|
City |
|
文字列 |
○ |
○ |
Company |
|
文字列 |
○ |
○ |
CountryOrRegion |
|
文字列 この文字列は、ISO 3166 の 2 文字の国コードまたは国や地域の名前に基づきます。CountryOrRegion パラメーターの有効な値は、Exchange コントロール パネルのアカウント プロパティの [連絡先の情報] セクションにある "国/地域名" フィールドから参照できます。 |
X |
○ |
CustomAttributeN (N は 1 ~ 15 の整数) |
|
文字列 |
○ |
X |
Department |
|
文字列 |
○ |
○ |
ExtensionCustomAttributeN (N は 1 ~ 5 の整数) |
|
複数値文字列。各 ExtensionCustomAttributeN は、最大 1,300 個の値を保持できます。 |
○ |
X |
Manager |
|
文字列 |
○ |
○ |
Notes |
|
文字列 |
○ |
○ |
Office |
|
文字列 |
X |
○ |
PostalCode |
|
文字列 |
○ |
○ |
RecipientType |
すべての受信者の種類 |
|
X |
該当なし |
StateOrProvince |
|
文字列 |
○ |
○ |
StreetAddress |
|
文字列 |
X |
○ |
Title |
|
文字列 |
X |
○ |
* 前述のとおり、ワイルドカードは最初の文字としては使用できません。文字列の後に使用する必要があります。
動的配布グループへの受信者フィルターの追加
動的配布グループを使用して電子メール メッセージを送信する場合、意図せずにシステム メールボックスにメッセージを送付してしまう場合があります。システム メールボックスの中には、そのメールボックスに直接送信された電子メールを拒否するものがあり、配信不能レポート (NDR) が生成されます。メッセージがシステム メールボックスに送信されないようにするには、動的配布グループに受信者フィルターを追加します。
既定の受信者フィルターの表示
受信者フィルターを追加する前に、次のコマンドを実行して、システム メールボックスにメッセージが配信されないようにするために Exchange がすべての動的配布グループに自動的に適用する追加の受信者フィルターを表示します。
Get-DynamicDistributionGroup <name> | Format-List Name,RecipientFilter
たとえば、このコマンドの出力には、前の例で作成した "Washington Management Team" 動的配布グループの次の情報が表示されます。
Name: Washington Management Team
RecipientFilter: ((((((RecipientType -eq 'UserMailbox') -and (((Title -like 'Director*') -or (Title -like 'Manager*'))))) -and (StateOrProvince -eq 'WA'))) -and (-not(Name -like 'SystemMailbox{*')) -and (-not(Name -like 'CAS{*')) -and (-not(RecipientTypeDetailsValue -eq 'MailboxPlan')) -and (-not(RecipientTypeDetailsValue -eq 'ArbitrationMailbox')))
自動的に追加された既定の受信者フィルターによって、この動的配布グループに送信されたメッセージは、次のいずれにも送信されません。
- Name の値に "SystemMailbox" または "CAS_" があるメールボックス
- メールボックス プラン
- 調停メールボックス
受信者フィルターのさらなる追加による NDR の回避
"Washington Management Team" 動的配布グループの既定の受信者フィルターに含まれない追加の受信者フィルターを追加するコマンドを次に示します。
Set-DynamicDistributionGroup "Washington Management Team" -RecipientFilter {((RecipientType -eq 'UserMailbox') -and (Title -like 'Director*' -or Title -like 'Manager*') -and (StateOrProvince -eq 'WA') -and (Alias -ne $null) -and -not (Name -like "FederatedEmail*"))}
このコマンドで追加されるフィルターにより、メッセージが次のいずれにも送付されなくなります。
- Alias に対する値のないメールボックス
- Name の値に "FederatedEmail" があるメールボックス
重要 既存の動的配布にフィルターを追加する場合は、既存の受信者フィルターを必ず含めてください。理由は、Set-DynamicDistributionGroup コマンドレットによって、既存の受信者フィルターが指定した値に置き換えられるためです。また、既定の受信者フィルターを指定する必要はありません。これらのフィルターは Exchange によって自動的に追加されます。