チュートリアル: Windows フォーム間でのデータの受け渡し

[アーティクル]
12/14/2016

公開日: 2016年4月

このチュートリアルでは、フォーム間でデータを渡す手順について説明します。 Northwind の Customers テーブルと Orders テーブルを使用して、1 つのフォームで顧客を選択し、選択した顧客の注文が 2 番目のフォームで表示されるようにします。このチュートリアルでは、最初のフォームからデータを受け取るもう 1 つのフォームにメソッドを作成する方法を示します。

注意

このチュートリアルでは、フォーム間でデータを渡す 1 つの方法についてのみ説明します。フォームにデータを渡す他の方法として、データを受け取る 2 番目のコンストラクターを作成する方法や、最初のフォームからのデータで設定できるパブリックプロパティを作成する方法もあります。

このチュートリアルでは、以下のタスクを行います。

新しい Windows アプリケーション プロジェクトを作成します。
データソース構成ウィザードを使用して、データセットを作成して構成します。
[データソース] ウィンドウから項目をドラッグしたときにフォーム上に作成するコントロールを選択します。詳細については、「[データソース] ウィンドウからドラッグしたときに作成されるコントロールを設定する」を参照してください。
[データソース] ウィンドウからフォームに項目をドラッグして、データバインドコントロールを作成します。
データを表示するグリッドのある 2 番目のフォームを作成します。
特定の顧客の注文をフェッチする TableAdapter クエリを作成します。
フォーム間でデータを渡します。

必須コンポーネント

このチュートリアルを完了するための要件は次のとおりです。

Northwind サンプルデータベースにアクセスします。詳細については、「方法 : サンプルデータベースをインストールする」を参照してください。

Windows アプリケーションの作成

新しい Windows プロジェクトを作成するには

[ファイル] メニューで新しいプロジェクトを作成します。
プロジェクトに PassingDataBetweenForms という名前を付けます。
[Windows フォームアプリケーション] をクリックし、[OK] をクリックします。詳細については、「クライアントアプリケーション」を参照してください。

PassingDataBetweenForms プロジェクトが作成され、ソリューションエクスプローラーに追加されます。

データソースの作成

データソースを作成するには

[データ] メニューの [データソースの表示] をクリックします。
[データソース] ウィンドウで、[新しいデータソースの追加] をクリックしてデータソース構成ウィザードを起動します。
[データソースの種類を選択] ページで、[データベース] をクリックし、[次へ] をクリックします。
[データベースモデルの選択] ページで、[データセット] が指定されていることを確認し、[次へ] をクリックします。
[データ接続の選択] ページで、次のいずれかの操作を行います。
- Northwind サンプルデータベースへのデータ接続がドロップダウンリストに表示されている場合は選択します。
  
  または
- [新しい接続] を選択して [接続の追加] または [接続の変更] ダイアログボックスを表示します。
データベースにパスワードが必要であり、重要情報を含めるオプションを有効にする場合は、このオプションを選択し、[次へ] をクリックします。
[アプリケーション構成ファイルに接続文字列を保存] ページで、[次へ] をクリックします。
[データベースオブジェクトの選択] ページの [テーブル] ノードを展開します。
Customers テーブルと Orders テーブルを選択し、[完了] をクリックします。

プロジェクトに NorthwindDataSet が追加され、[データソース] ウィンドウに Customers テーブルと Orders テーブルが表示されます。

最初のフォーム (Form1) の作成

[データソース] ウィンドウから Customers ノードをフォームにドラッグして、データバインドグリッド (DataGridView コントロール) を作成します。

フォームにデータバインドグリッドを作成するには

[データソース] ウィンドウから Form1 にメインの [Customers] ノードをドラッグします。

DataGridView と、レコード間を移動するためのツールストリップ (BindingNavigator) が Form1 上に表示されます。 NorthwindDataSet、CustomersTableAdapter、BindingSource、および BindingNavigator がコンポーネントトレイに表示されます。

2 番目のフォーム (Form2) の作成

データの渡し先となる 2 番目のフォームを作成するには

[プロジェクト] メニューから [Windows フォームの追加] を選択します。
名前を既定の Form2 のままにして、[追加] をクリックします。
[データソース] ウィンドウから Form2 にメインの [Orders] ノードをドラッグします。

DataGridView と、レコード間を移動するためのツールストリップ (BindingNavigator) が Form2 上に表示されます。 NorthwindDataSet、CustomersTableAdapter、BindingSource、および BindingNavigator がコンポーネントトレイに表示されます。
コンポーネントトレイから OrdersBindingNavigator を削除します。

Form2 から OrdersBindingNavigator が消えます。

Form1 で選択した顧客の注文を読み込む TableAdapter クエリの Form2 への追加

TableAdapter クエリを作成するには

ソリューションエクスプローラーで、NorthwindDataSet.xsd ファイルをダブルクリックします。
[OrdersTableAdapter] を右クリックし、[クエリの追加] を選択します。
[SQL ステートメントを使用する] を既定のオプションのままにして、[次へ] をクリックします。
[複数行を返す SELECT] を既定のオプションのままにして、[次へ] をクリックします。
CustomerID に基づいて Orders を返すために、クエリに WHERE 句を追加します。クエリは次のようになります。
```
SELECT OrderID, CustomerID, EmployeeID, OrderDate, RequiredDate, ShippedDate, ShipVia, Freight, ShipName, ShipAddress, ShipCity, ShipRegion, ShipPostalCode, ShipCountry  
FROM Orders   
WHERE CustomerID = @CustomerID  
```
注意

データベースに対してパラメーターの構文が正しいことを確認します。たとえば、Microsoft Access では、WHERE 句は WHERE CustomerID = ? のようになります。
[次へ] をクリックします。
[DataTable にデータを格納する] の [メソッド名] に「FillByCustomerID」と入力します。
[DataTable を返す] オプションをオフにして、[次へ] をクリックします。
[完了] をクリックします。

データの渡し先となる Form2 のメソッドの作成

データの渡し先となるメソッドを作成するには

Form2 を右クリックし、[コードの表示] を選択してコードエディターで Form2 を開きます。

Form2 の Form2_Load メソッドの後に次のコードを追加します。

        internal void LoadOrders(String CustomerID)
        {
            ordersTableAdapter.FillByCustomerID(northwindDataSet.Orders, CustomerID);
        }

    Friend Sub LoadOrders(ByVal CustomerID As String)
        OrdersTableAdapter.FillByCustomerID(NorthwindDataSet.Orders, CustomerID)
    End Sub

データを渡し Form2 を表示する Form1 のメソッドの作成

Form2 にデータを渡すメソッドを作成するには

Form1 の Customer データグリッドを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
[プロパティ] ウィンドウで、[イベント] をクリックします。
CellDoubleClick イベントをダブルクリックします。

コードエディターが表示されます。

メソッド定義を次のサンプルのように更新します。

        private void customersDataGridView_DoubleClick(object sender, EventArgs e)
        {
            System.Data.DataRowView SelectedRowView;
            NorthwindDataSet.CustomersRow SelectedRow;

            SelectedRowView = (System.Data.DataRowView)customersBindingSource.Current;
            SelectedRow = (NorthwindDataSet.CustomersRow)SelectedRowView.Row;

            Form2 OrdersForm = new Form2();
            OrdersForm.LoadOrders(SelectedRow.CustomerID);
            OrdersForm.Show();
        }

    Private Sub CustomersDataGridView_DoubleClick() Handles CustomersDataGridView.DoubleClick

        Dim SelectedRowView As Data.DataRowView
        Dim SelectedRow As NorthwindDataSet.CustomersRow

        SelectedRowView = CType(CustomersBindingSource.Current, System.Data.DataRowView)
        SelectedRow = CType(SelectedRowView.Row, NorthwindDataSet.CustomersRow)

        Dim OrdersForm As New Form2
        OrdersForm.LoadOrders(SelectedRow.CustomerID)
        OrdersForm.Show()
    End Sub

アプリケーションを実行する

アプリケーションを実行するには

F5 キーを押してアプリケーションを実行します。
Form1 で顧客レコードをダブルクリックして、その顧客の注文を表示する Form2 を開きます。

次の手順

フォーム間でデータを渡した後に、アプリケーションの要件に応じてさらに操作を追加して実行できます。このチュートリアルで行うことができる拡張には次のものがあります。

データセットを編集し、データベースオブジェクトの追加または削除を行います。詳細については、「方法 : データセットを編集する」を参照してください。
データベースにデータを戻して保存する機能を追加します。詳細については、「方法 : データセットの変更をデータベースに保存する」を参照してください。

参照

データに関するチュートリアル
 Visual Studio でのデータへの Windows フォームコントロールのバインド
 データソースの概要
 TableAdapter の概要
 Visual Studio でのデータへの接続
 アプリケーションでデータを受け取る準備
 アプリケーションへのデータのフェッチ
 Visual Studio でのデータへのコントロールのバインド
 アプリケーションでのデータ編集
 データの検証
 データの保存