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Internet Explorer 8 開発者向け技術概要

更新日: 2009 年 3 月 16 日


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Internet Explorer 8 開発者向け技術概要 (Word 形式、962 KB)

目次

  1. 概要
  2. 実現可能な相互運用性と互換性
    1. 標準の強化
    2. 既定のレイアウト モード
    3. ActiveX
    4. 適応型ページ ズーム
    5. 印刷機能の向上
    6. W3C ARIA のサポート
    7. ファイル アップロード コントロール
  1. 迅速で簡単な Web 開発
    1. 統合された開発者ツール
    2. CSS 2.1 準拠
    3. Acid2 テストへの準拠
    4. HTML と DOM の向上
    5. Ajax ナビゲーション
    6. DOM ストレージ
    7. 接続イベント
    8. クロス ドメイン リクエスト (XDR)
    9. クロス ドキュメント メッセージング (XDM)
    10. 安全なマッシュアップ: HTML サニタイズ
    11. 安全なマッシュアップ: JSON のサニタイズ
    12. セレクタ API
    13. データ URI のサポート
    14. 名前空間サポートの向上
    15. MIME 処理の変更
  1. ページの概念を超えた Web エクスペリエンス
    1. アクセラレータ
    2. ウェブ スライス
    3. 拡張されたクイック検索機能
  2. エンド ユーザーと IT プロフェッショナルのための機能
    1. 異常終了からの回復
    2. パフォーマンスとメモリーの向上
    3. アドオンの管理
    4. ドメイン名のハイライト表示
    5. アドオンの管理の拡張
    6. データ実行防止機能
  3. 結論

© 2008 Microsoft Corp. All rights reserved.

このドキュメントは暫定版であり、このソフトウェアの最終的な製品版の発売時に実質的に変更されることがあります。

このドキュメントに記載されている情報は、対象事項に関する発行時における米国 Microsoft Corporation の考えを表しています。マイクロソフトは市場の変化に対応する必要があるため、このドキュメントの内容に関する責任をマイクロソフトは問われないものとします。また、発行日以降に発表される情報の正確性を保証できません。

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Microsoft、ActiveX、Internet Explorer、Internet Explorer ロゴ、Windows、Windows ロゴ、および Windows Vista は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。

このドキュメントで使用されている実在の会社名および製品名は、該当各社の商標です。

Microsoft Corporation • One Microsoft Way • Redmond, WA 98052-6399 • USA


重要な注意事項

この資料は暫定的なものであり、予告なしに変更される場合があります。
最新の情報については、Windows® Internet Explorer® Developer Center on MSDN® (https://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/) をご参照ください。


1. 概要

インターネットの進化は、これまでにない多彩な情報源と、アクセス方法の多様化をもたらしました。インターネットの発達は Web に新たな機会、臨場感溢れる体験、オンライン サービス、各種の標準を生み出しました。このように Web への集約度と依存度が増すにつれ、Web 開発者とデザイナーはニーズの進化に直面しています。そのために、Windows® Internet Explorer® 8 の開発プロセスでは主要な三つのテーマに焦点を合わせました。

  • 他のブラウザーとの実現可能な相互運用性と既存のサイトに対する互換性を提供する。
  • ビルト インの開発者ツールにより、迅速で簡単な Web 開発を可能にする。
  • ユーザーが革新的な Web サービスに簡単に接続できるブラウザーの新機能を通じて、ページの概念を超えたエクスペリエンスを実現する。

Internet Explorer 8 には、Web を活用するための新機能や拡張機能のほか、実際のシナリオやユーザーの希望に基づいたその他の機能強化が多数含まれています。本ドキュメントでは Web 開発者とデザイナーのために Internet Explorer 8 の新機能と機能拡張について高度な概要を提示します。

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2. 実現可能な相互運用性と互換性

Internet Explorer はそのバージョンごとに、より良いパフォーマンス、信頼性の向上、バグの修正、セキュリティの改善を実現してきました。Internet Explorer 8ではコア プラットフォームとアーキテクチャに多くの拡張を行い、パフォーマンス、安全性、信頼性、互換性を改善します。

a. 標準の強化

過去のバージョンの Internet Explorer では、開発者やデザイナーが Internet Explorer は Web 標準やHTML のハンドリング、カスケーディング スタイル シート (CSS)、スクリプトなどにおいて、独自の解釈を行っていると気づく事がしばしばありました。このような解釈の差異は Internet Explorer 内の各仕様の定義されたタイミングが Web 標準が完成する前だったためです。Web 標準の完成時に内容が変更された場合、Internet Explorer での実装は標準とは異なってしまう可能性があります。

Internet Explorer チームは、レガシーな動作に大きく依存しているユーザーが存在している事を念頭に置いて、アプリケーションの互換性への対応を重視しています。そのため開発済みのサイトが新しいバージョンの Internet Explorer でも期待通りに動作し続けるよう、可能な限り以前の Internet Explorer の動作モデルをサポートしてきました。今回はそれを更に推し進めてページ単位を基準にしてレンダリング モードを選択できるようにすることで、以前の動作をサポートするか、Web 標準に準拠するかを Web 開発者が決定できるようにしています。

Internet Explorer 8 には複数のレンダリング モードが搭載されており、これを X-UA-Compatible ヘッダーを使用して設定できます。モードの概要を 表 1 に示します。

表 1 Internet Explorer 8 の互換モード

互換モード値 レンダリング動作
IE=5 Quirks (クワークス) モード
IE=7 Internet Explorer 7 標準準拠モード
IE=EmulateIE7

!DOCTYPE 宣言によりモードが決定されます

  • Quirks モード の !DOCTYPE 宣言の場合は Quirks モード
  • 標準モードの !DOCTYPE 宣言の場合は Internet Explorer 7 標準準拠モード
IE=8 Internet Explorer 8 標準モード
IE=EmulateIE8

!DOCTYPE 宣言によりモードが決定されます

  • Quirks モード の !DOCTYPE 宣言の場合は Quirks モード
  • 標準モードの!DOCTYPE 宣言の場合は Internet Explorer 8 標準モード
IE=edge Internet Explorer 8 と将来のすべてのバージョンのブラウザーがサポートする最新の標準を使用。実稼働サイトには非推奨

 

この値を HTTP 応答ヘッダーとして設定するか、次のように head タグに追加します。

<meta http-equiv="X-UA-Compatible" content="IE=EmulateIE7" >

既定では、Internet Explorer 8 はコンテンツを Internet Explorer 8 標準モードでレンダリングします。また content 属性に複数の値を設定し、複数の標準をサポートすることもできます。引き続き Internet Explorer 7 標準準拠モードでサイトが表示されるようにしたい場合は、head ブロックに以下を追加します。

<meta http-equiv="X-UA-Compatible" content="IE=EmulateIE7" >

META タグによるドキュメント内の設定は、常に HTTP ヘッダーの設定に優先することに留意してください。詳しくは、次のサポート技術情報を参照してください: Windows Internet Explorer 8 で一部の Webサイトが正しく表示されない、または正常に動作しないことがある

ドキュメントの互換性についての追加情報は、MSDN の “ドキュメント互換性の定義” を参照してください。

b. 既定のレイアウト モード

Internet Explorer 8 は複数のレイアウト モードを搭載して出荷される予定です。レイアウト モードの選択は公式な Web 標準を基本としており、コンテンツが正しく表示され、アプリケーションが予期した通りに動作するよう、開発者が最も適切な標準を選択できます。この動作について表 2 に示します。

表 2 Internet Explorer 8 のレイアウト モード

Page Content Declaration Layout Mode
既知の標準の !DOCTYPE と未知の!DOCTYPE IE8 標準
注意 IE=7 または IE=EmulateIE7 が宣言されている場合は、コンテンツは Internet Explorer 7 標準準拠モードで表示されます。
public 識別子 "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Transitional//EN"

public 識別子 "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Frameset//EN"

public 識別子 "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN" (システム識別子を伴う)

public 識別子 "-//W3C//DTD HTML 4.01 Frameset//EN" (システム識別子を伴う)
“ほぼ” 標準 行の高さを除いてすべてのコンテンツは Internet Explorer 8 標準モードで解釈されます。
行の高さは、テーブルのセルにイメージが含まれ、かつイメージの周囲には余白が無いことを想定している古い動作のサイトにとっては特に重要です。
注意  これらの !DOCTYPE では、IE=7 または IE=EmulateIE7 が宣言されている場合、Internet Explorer 7 標準準拠モードを使用します。
Quirks モードの !DOCTYPE (!DOCTYPE の無い場合を含む) Quirks モード

 

注意 !DOCTYPE についての追加情報は、MSDN の !DOCTYPE 要素のリファレンス (英語) を参照してください。

Web ページを標準モードで表示する事で、作成したコンテンツは最新のブラウザーであればどれを用いても同じように表示されるようになります。

meta 互換性タグは !DOCTYPE に関わらず開発者が必要なレイアウト モードを示す方法を指定できるため、後方互換性に起因する問題の解決に役立ちます。

c. ActiveX

Internet Explorer 8 では、読み込む場所や方法に加え、読み込みを許可するユーザーを指定できるなど、Microsoft® ActiveX® コントロールの管理機能が向上しています。

Windows Vista® と Windows Server® 2008 用の Internet Explorer 8 には、ユーザーが管理者の手を借りず自分自身のプロファイル内へインストールできるように ActiveX をパッケージする機能が導入されます。この機能は、以前のバージョンの Internet Explorer でのコントロールの管理が不便だというユーザーの声に対応したものです。もしユーザーがそれと気づかずに悪意のある ActiveX コントロールをインストールしてしまった場合でも、影響はそのユーザーのプロファイル内に限定されます。加えて、ほとんどの既存の ActiveX コントロールは、コードを書き直す必要なしにこの機能の利点を活用できます。ただし再パッケージは必要となります。

Web オブジェクトとして埋め込まれた ActiveX コントロールはアドオンとしてユーザーに表示されますが、その使用は特定の Web サイトに制限される場合があります。Web サイトがアドオンの読み込みを要求すると情報バーが表示されます。ユーザーは情報バーを使いコントロールを現在の Web サイトにだけ制限するか、どの Web サイトでも使用できるようにするかを選択できます。この動作での選択は、Internet Explorer の新しいアドオンの管理を使ってユーザーが簡単に変更できます。

Internet Explorer 8 のActiveX の改良点についての詳細情報は、Internet Explorer Team Blog の投稿を参照してください。

ユーザーごとの (管理者権限不要の) ActiveX

Internet Explorer 8 を Windows Vista 上で動作させた場合、管理者権限を持たない標準ユーザーでも、特別にパッケージされた ActiveX コントロールを自身のユーザー プロファイルにインストールできます。日常的なブラウズで利用する ActiveX コントロールを標準ユーザーがインストールできるため、企業などの組織ではユーザー アカウント制御 (UAC) の全てのメリットをより簡単に享受できます。悪意のある ActiveX コントロールをインストールしても、コントロールは特定のユーザー アカウントのみにインストールされるため、システム全体は影響を受けません。

この機能は互換性を念頭に設計されました。ほとんどの既存の ActiveX コントロールはこの機能のためにコードを書き直す必要はなく、ActiveX コントロールの .CAB に含まれる INF ファイルを変更する必要があるだけです。ActiveX コントロールのインストールを必要とする Web ページでは、Internet Explorer 7 のように情報バーが表示されます。表示された情報バーをクリックし、インストールの対象をコンピュータ全体とするか、自分自身のユーザーアカウントに限定するかを選択することができます。表示される選択肢は、ユーザーごとの ActiveX インストールに関するグループ ポリシーの設定と ActiveX コントロールがユーザーごとのインストールに対応しているかによって決定されます。

サイトごとの ActiveX

ActiveX を実行する場合、ユーザーが ActiveX コントロールを含む Web サイトを訪問すると、Internet Explorer 8 はコントロールが実行を許可されている場所かどうかの判定を含む多くのチェックを行います。これは悪意のある ActiveX コントロールの再利用を阻止するための防御メカニズムで、サイトごとの ActiveX と呼ばれます。このセキュリティ機能はブラウザーを強化します。既定では、ActiveX コントロールは自分自身をインストールしたサイトのドメインだけで実行可能です。インストール済みの ActiveX コントロールが許可されていない Web サイトで実行されようとした場合、情報バーが表示され、現在の Web サイトでの実行を許可するかの確認が表示されます。

d. 適応型ページ ズーム

Internet Explorer 8 の適応型ページ ズームを使うと、ユーザーは読みやすさを向上させるため Web ページを拡大/縮小して表示できるようになります。この機能はページのレイアウトを意図どおりに維持したままコンテンツの大きさを変えられるので、表示が非常に大きい場合、あるいは非常に小さい場合に特に有益です。

Internet Explorer 7 バージョンの初期のズーム機能は "デジタル" ページ ズームでしたが、Internet Explorer 8 は、"適応型" ページ ズームと呼ばれる、より高品質でより予測性の高いズーム機能を提供します。ズームを実行すると、Internet Explorer 8 はページを読みやすくするため、テキストとイメージのサイズを変更し、ページを再構成します。この動作によって多くの場合水平スクロール バーが非表示になり、またズーム状態を固定できるようになります。開発者であれば、適応型ページ ズームの動作と、この機能が Web サイトのデザイン与える影響について理解したいと考えるでしょう。

Internet Explorer 8 の適用型ページ ズームはレイアウト前に各要素を拡大もしくは縮小する事で成立しています。この点が Internet Explorer 7 のズーム機能との大きな違いです。Internet Explorer 7 は各要素を、レイアウト後に拡大もしくは縮小して画面に描画するため、Web ページを拡大鏡で見ているようでした。今回の変更によって、拡大したコンテンツの固定幅がビューポートの幅より広い場合にのみ水平スクロールバーが表示されるようになりました。これはズームしていない Web ページ上で通常のレイアウトを拡大縮小する動作と同じです。

テキストの折り返しもこの変更の影響を受けます。Internet Explorer 7 の場合、ズームの倍率を変更しても行の長さと改行は再計算されませんでした。そのため行が短すぎて大きな余白が表示される場合や、逆に行が長すぎるためにテキストが画面の外にはみ出して、水平スクロールバーが表示される場合がありました。Internet Explorer 8 は、テキストが再描画される前に行の長さを利用可能なスペースに基づいて計算しなおし、この計算に基づいて新しい改行を挿入します。

さらに一般的なページ要素とプロパティが、ズームによってどのような影響を受けるのかを理解する必要があります。

  • フォントとテキスト: グリフ自体の大きさを変更するのではなく、まずフォント サイズのサイズを変更した上で、それに対して適切なグリフが生成されます。仕様によりフォント サイズは等比級数的に変更されない点に注意が必要です。例えば、12pt のテキストを 110% に拡大した場合、計算上のフォント サイズは 13.2pt となりますが、実際にはこのようなフォント サイズは存在しないため、最も近似で利用可能なサイズである 13pt に丸められます。
  • Fixed、 auto、relative のサイズ: 寸法のサイズ変更は、適応型ページ ズームの最も進化した部分です。絶対単位 (例えば in、cm、mm など) またはデバイスやフォントに依存する単位 (例えば px、ex、em など) で示される寸法は、倍率通りにサイズの変更が行われます。そのため 拡大率 200% の場合、100px は 200px となり、20pt は 40pt となります。コンテンツに依存する寸法 (パーセントでの指定や auto) のサイズは変更されず、レイアウトの際に再計算されます。そのため、ビューポートに対する 50% の指定は、ズーム倍率 200% の拡大を行った場合でも 100% にはなりません。これは Internet Explorer 7 のズーム機能との大きな違いとなります。
  • ポジショニング: 位置を指定された要素も in-flow な要素のようにサイズが変化します。新しい位置はプロパティ セットと適用されているオフセットに基づいて決定されます。絶対配置の要素がたとえば左に 100px のオフセットが指定されている場合、ズームインの際には右に移動します。この場合は画面内に表示されない可能性があります。同様にフロート要素も通常の CSS 規則によって、コンテナに連動して配置される可能性があります。ズームによってコンテナの幅が変動すると、フロート要素の位置も変わります。隣接しているフロート要素のズームは、ウィンドウ サイズの変更に似ています。ビューポートの幅がフロート要素を配置するために必要となる領域を確保できない場合、マークアップの最後にあるフロート要素は次の行に移動します。
  • DHTML のプロパティ: Internet Explorer 7 のズーム機能は、一部のプロパティ (例えばマウスによる調整) を物理的に処理し、その他のプロパティは論理的に (オフセット) 処理しました。この実装は Web 開発者の注意深い対応、もしくは使用するプロパティを基準にしたズーム状態の手動計算が必要になります。Internet Explorer 8 の適用型ページ ズーム機能では、すべての DHTML プロパティが論理的に処理されます。これによってフライアウト メニューや "ドラッグ アンド ドロップ" のような重要なシナリオでの利用が可能となりました。

Internet Explorer 8 の適用型ページ ズームに向けた準備

適用型ページ ズーム機能向けの特殊なコードを書く必要はありません。すべてのプロパティは論理的に、サイズ変更は完全に内部的に処理されます。ズーム機能に対応したユーザー エクスペリエンスの向上に興味のある開発者には、複数のズーム倍率、解像度、ウィンドウ サイズでテストすることをお勧めします。テストの際には以下の点についての検討をお願いします。

  • どの段階で水平スクロールバーが表示されるか。1 行のテキストを読むためにスクロールさせる必要があるか。
  • サイズと位置が固定されているために、すぐにコンテンツが画面からはみ出さないか。
  • overflow:hidden を設定した任意の要素によって、コンテンツが操作不能とならないか。
  • フライアウト メニューが実際に利用できる画面の領域に対応しているか、オプションが画面からはみ出して操作不能とならないか。

Internet Explorer 8 のズーム機能に関する詳細については、MSDN の “Making the Web Bigger: DPI Scaling and Internet Explorer 8 (英語)” を参照してください。

e. 印刷機能の向上

Internet Explorer 8 には印刷に関する新機軸があります。 CSS 2.1 規格に対する準拠の状態が改善されたことによって、印刷媒体に対する機能と制御の拡張により、開発者はコンテンツがどのように印刷されるかを強力に制御できます。特に次のような印刷構成に対するサポートが追加されています。

  • page-break-after と page-break-before プロパティの avoid、left、right 値に対する正しい動作
  • page-break-inside プロパティ
  • widows プロパティ
  • orphans プロパティ

これらの CSS 機能の使用により、マージンの領域や分割すべきでないコンテンツ、その他の指定が可能となり、印刷した Web ページの読みやすさが大きく向上します。

Internet Explorer 8 で CSS を使用した印刷機能の向上についての詳細情報は、MSDN の “CSS の互換性と Internet Explorer” 内の “印刷” セクションを参照してください。

f. W3C ARIA のサポート

Accessible Rich Internet Applications (ARIA) は Web 開発者がコンテンツに役割、状態、プロパティをマークアップする方法を定義するための構文を構成しています。これらの定義はブラウザーがユーザー補助技術と情報をやり取りする場合に使用されます。ARIA によって、補助が必要なエンド ユーザーが本来のエクスペリエンスと遜色なく、動的な操作で Web サイトにアクセスできるようになります。

Window Eyes のような多くのサードパーティ製のアクセス支援技術 (assistive technologies、AT) には、ユーザー インターフェイスに関する情報を取得してエンド ユーザーに公開するため、Microsoft Active Accessibility (MSAA) API (application programming interfaces) が実装されています。Internet Explorer 8 では MSAA 経由で ARIA を公開するため、既に MSAA を使用しているアクセス支援技術は簡単に ARIA をサポートできます。ただし、MSAA の機能を通じてサポートできるのは、ARIA の一部のみです。

Internet Explorer 8 の ARIA サポートについての追加情報は、MSDN の “Mapping ARIA Roles, States, and Properties to UI Automation” を参照してください。

g. ファイル アップロード コントロール

過去において、HTML の ファイル アップロード コントロール (input type=file) はかなりの数の情報漏洩につながる脆弱性の温床でした。この問題を解決するため、ファイル アップロード コントロールの動作に二つの変更を行いました。Internet Explorer 8 では、拡張されたファイル アップロード コントロールとインターネット ゾーンでのファイル ロックにより、ファイルをアップロードする際に使用される情報を制御します。

ユーザーが入力するローカル ファイルのパスをキーストロークの監視によって “盗む” 攻撃を防ぐため、ファイル パスの編集ボックスを読み取り専用にしました。ファイルをアップロードする場合、ユーザーはファイルの参照ダイアログ ボックスを使用してファイルを指定する必要があります。

図 1 ファイル パスの編集ボックスは読み取り専用です。ユーザーは参照ボタンをクリックしてファイルを選択する必要があります。

図 1 ファイル パスの編集ボックスは読み取り専用です。ユーザーは参照ボタンをクリックしてファイルを選択する必要があります。

さらに 「サーバーにファイルをアップロードするときにローカルディレクトリのパスを加える」 の設定で、インターネット ゾーンの既定値を無効に変更しました。これにより、インターネットにローカルのファイル システムに関する潜在的に機密性のある情報が流出する危険を防止します。例えば、Internet Explorer 8 では次のようにフル パスを送信するのではなく、

C:\users\seanpurcell\documents\secret\image.png

次のようにファイル名だけを送信します。

image.png

 

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3. 迅速で簡単な Web 開発

Internet Explorer 8 では、開発プラットフォームの向上に加え、開発を支援するツールが提供されています。 また、AJAX (Asynchronous JavaScript and XML) アプリケーションのサポートの向上と、クロス ブラウザー アプリケーションの構築プロセスを簡素化する機能強化により、開発者が最大限堅牢な Web アプリケーションを構築する際の生産性を向上させます。

a. 統合された開発者ツール

Internet Explorer 7 は、開発者が個別にダウンロードして、ブラウザーの拡張機能として実行する開発者ツールバー (Developer Toolbar) をサポートしていました。このツールはテストやデバッグ、プロファイリング、Web ページの実証モデルの構築にとても便利だと評価されてきましたが、ブラウザー拡張として動作するため、そのパフォーマンスは限定的で、追加のメモリー使用量も必要でした。Internet Explorer 8 は開発者ツールバーを組み込み型の統合開発者ツールに置き換えました。このツールは F12 を押すか、ツール メニューの 開発者ツール をクリックすることで起動できます。開発者ツールはブラウザーに組み込まれているため、パフォーマンスが向上し、未使用時にメモリーを消費することもありません。統合された開発者ツールは動的なコンテンツを含むサイトの開発とトラブルシュートを速やかで簡単なものにします。

開発者ツールはソース コードを直接編集する代わりに、全ての操作を対象の Web ページが動作しているブラウザーの内部表現を表示したリッチでビジュアルな環境で実行します (CSS と HTML の編集とデバッグ、スクリプトのテストとデバッグ、スクリプトのパフォーマンス解析、DOM (Document Object Model) の表示と変更、適用されるルールの調査、スタイル値の定義元の追跡などの機能が利用できます)。これらの操作は Internet Explorer 8 の内部処理に繰り返し反映することができます。属性やスタイルの規則を変更し、すぐにその結果を確認することができます。変更した HTML と CSS はテキスト ファイルとしてディスクに保存でき、元のアプリケーションに統合できます。また開発者ツールは Internet Explorer 8 に含まれるレイアウト エンジンを簡単に切り替えることができるため、以前のバージョンの Internet Explorer でもサイトが正しく動作するようにするにはどうすればよいか、迅速かつ容易に判断できます。

開発者ツールを使うとソース コードを変更し、それを保存した上で、結果を確認するためにブラウザーを更新するといった一連の操作が不要になるので、実証モデルの構築や新しいページのテスト、デバッグ操作などを速やかに実行できるようになります。また Web 開発についてより多くのことが学習できます。

開発者ツールには高度な機能を持つ新しい JavaScript デバッグ ツールが含まれていて、ブレークポイントの設定、コードのステップ イン / ステップ オーバー、変数の監視、ローカル変数のチェック、イミディエイト ウィンドウでのコマンドの入力などが可能です。このツールは JavaScript に対応していることを除けば、これまでのコード デバッガーとほとんど同じです。

Internet Explorer 8 の開発者ツールについての追加情報は、Internet Explorer 8 の開発者ツールの概要をご覧ください。

b. CSS 2.1 準拠

CSS は Web ドキュメントにスタイル (フォント、色、間隔、位置など) を追加するためのシンプルなメカニズムです。CSS が登場する以前は、スタイルのプロパティをHTML 内に直接設定していました。これは、Web 作成者にとって負担の大きい作業でした。現在では、CSS によって一連のデザイン パターンを組み込むことで、作成者がデータと表示ロジックを切り離して作業できるようになりました。そのため、マークアップの構成が向上し、サイトのメンテナンスも容易になっています。

CSS に準拠する最大の目標は、Web 開発者とデザイナーがページを一度記述するだけで、すべてのブラウザーで適切に表示できるようにすることです。CSS 2.1 仕様は 2007 年 7 月 17日時点で W3C Candidate Recommendation 段階に到達しました。Internet Explorer 8 の標準モードのレイアウト エンジンは策定中の CSS 2.1 仕様に準拠するよう構築されました。Internet Explorer 8 は、この CSS 2.1 に準拠した標準モードの他にも複数のエンジンを搭載し、Internet Explorer 8 の標準モードを既定の設定にすることで、開発者による最新のテクノロジーのサポートを促進しつつ、必要な場合は作成者が Internet Explorer 7 (またはそれ以前) と互換性のある動作で表示できるようにしています。

Internet Explorer 8 は CSS 2.1 に完全には準拠していませんが、最終版のリリース時にはこの標準に完全に準拠する予定です。Internet Explorer 8 の CSS 準拠と Beta 1 からの変更についての追加情報は、MSDN の “Internet Explorer 8 における CSS の改良点” を参照してください。

c. Acid2 テストへの準拠

大量の HTML と CSS コマンドを用いてレイアウトの問題を検出する Web Standards Project の Acid2 テストに合格したことで、Internet Explorer 8 が広く認められている標準に準拠していることが証明されました。その一方でマイクロソフトは Internet Explorer 8 をこのテストに合格させるための作業中に、標準に存在するあいまいで、紛らわしい事案に遭遇しました。Web の標準化をサポートするという公約の一環として、マイクロソフトは Web や他の Web ブラウザーの開発者のために 1000 を超える検定用のテスト ケースを W3C に提供しました。すべてのテスト ケースは “Windows Internet Explorer Testing Center (英語)” で利用できます。Microsoft は このように Web 標準の仕様についての解釈をコミュニティと共有し、活発な議論を交わすことによって、テストの標準化と Web の完全な標準化を推進していきます。

Internet Explorer 8 と Acid2 テストについての追加情報が、Internet Explorer チームの Blog の次の投稿に含まれています: “Internet Explorer 8 and Acid2: A Milestone (英語)

d. HTML と DOM の向上

HTML 言語は要素 (element) を用いてドキュメントの構造とその意味を表します。HTML 4 で提案されている要素を開発者が最大限に活用できるよう、Internet Explorer 8 ではいくつかの表現的な要素についてアップグレードしたサポートを提供します。例えば、Q 要素はインラインでの引用文を表現し、object 要素はイメージを含む全てのオブジェクトを表現できるようになりました。これらの HTML 要素のサポートを向上させることによって、Web 開発者はより表現的で理解しやすい HTML マークアップの実現が可能となります。

Internet Explorer の DOM 機能に関するフィードバックとして、属性の処理に関連するものが寄せられていました。従来、これは他のブラウザーで使用されている実装と互換性がありませんでした。Windows Internet Explorer 8 では、ブラウザー間の不整合の多くを次のように改善しています。

  • 相対 URL を属性経由で絶対 URL をプロパティ経由で取得できるよう、属性とプロパティの URL 処理を分離
  • get/set/removeAttribute の実装が他のブラウザーと互換となるよう、要素の属性の配列修飾子を修正
  • Attributes オブジェクトの動作によって、要素に関連付けられた正確な '属性' の数を報告する
  • XHTML 1.1 DTD に合わせ、マークアップでの指定に関わらず HTML の既定の属性が常に要素に存在する

Internet Explorer 8 での HTML と DOM のサポートについての追加情報は、MSDN の “Internet Explorer 8 の HTML 強化” を参照してください。

e. Ajax ナビゲーション

AJAX を使用する大きなメリットの 1 つは、従来のページ ナビゲーションを使用しなくてもページのコンテンツを更新できることです。その反面、ページ ナビゲーション後にしか更新されないアドレス バーや戻るボタンや進むボタン、トラベル ログ (ブラウザーの履歴) などのコンポーネントでは問題が発生する場合があります。AJAX コンテンツの更新内容はナビゲーションとして保存されないので、ブラウザー コンポーネントによって更新内容が取得されずに以前の表示のままとなり、エンド ユーザーが困惑する結果になっていました。この制約への対策として AJAX でコンテンツを更新している間に、非表示の iframe 要素 (英語) に遷移する方法がよく使用されますが、これはパフォーマンスの低下につながります。

Internet Explorer 8 標準モードでレンダリングされたページでは、window.location.hash プロパティ (英語) に追加された機能を利用することで、AJAX アプリケーション内のナビゲーションを処理し、トラベル ログとアドレス バーを更新することができます。

Ajax ナビゲーションについての追加情報は、MSDN の “Introducing Ajax Navigations” を参照してください。また MSDN Code Gallery の Ajax Hands-on Lab (英語) をダウンロードしてください。

f. DOM ストレージ

現在は、Web ページは document.cookie プロパティ (英語) を使用して、ローカル コンピュータ上にデータを保存しています。Cookie は 1 ドメインあたり 50 組のキーと値しか格納できないため、機能に限界があります。さらに、Cookie のプログラミング モデルは煩雑で、データの Cookie 文字列全体をプログラマが解析する必要があります。

W3C の HTML 5 Draft で定義された DOM ストレージ オブジェクトによって、クライアント サイドの構造化データのためのグローバル ストレージとセッション ストレージの双方で、より単純なモデルを使用できます。

DOM ストレージについての追加情報は、MSDN の “DOM Storage 入門” を参照してください。また MSDN Code Gallery の Ajax Hands-on Lab (英語) をダウンロードしてください。

g. 接続イベント

W3C の HTML 5 ドラフトの定義では、接続イベントによってユーザーがネットワークに接続していることを Web サイトが確認できます。このイベントは、ネットワーク接続の変化をシームレスに処理できるので、動的なアプリケーションの開発者にとって有益です。たとえばネットワーク接続が切断された場合、アプリケーションはローカルにキャッシュされたデータを使用し、ネットワーク ソースに接続できないことをユーザーに通知できます。アプリケーションはネットワーク アクセスが復旧したときに、更新データをスムーズに適用し、現在のデータを最新の内容にできます。

接続イベントはドキュメントの body 要素で発生させることが可能で、その状態はスクリプトで常にチェックできます。

接続イベントについての追加情報は、MSDN の “Connectivity Enhancements in Internet Explorer 8” を参照してください。また MSDN Code Gallery の Ajax Hands-on Lab (英語) をダウンロードしてください。

h. クロス ドメイン リクエスト (XDR)

ドメイン間の通信は、AJAX アプリケーションの開発とマッシュアップにおいて重要な要素です。悪意のある攻撃からのユーザー保護に対して関心が増していることもあり、ドメイン間でのデータ要求の作成は、現在のブラウザーにとって課題となっています。

Internet Explorer 8 は、新たに追加された XDomainRequest オブジェクト (英語) を利用することで、サーバー対サーバーのリクエストを使わずに、ブラウザー内のクロス ドメイン データリクエスト (XDR) を簡単に作成することができます。XDR は Web ページとサーバーで相互同意を必要とします。クロス ドメイン データリクエストは window オブジェクトから XDomainRequest オブジェクトを生成し、特定のドメインへの接続を開くことで開始できます。ブラウザーは要求元の値を持った Origin ヘッダーを送信し、ドメインのサーバーからのデータを要求します。サーバーがこの要求に対して Access-Control-Allow-Origin: * ヘッダーを返した場合にのみ接続が確立されます。この方式は、XDomainRequest を含むクライアント サイドのクロス ドメインに関する、W3C の Web Application Working Group のドラフトの枠組みの一部です。

クロス ドメイン リクエストについての追加情報は、MSDN Code Gallery の Ajax Hands-on Lab (英語)、MSDN の XDomainRequest (英語) オブジェクトのリファレンス、MSDN Code Gallery の Client-side Cross-domain Security Whitepaper (英語) を参照してください。

i. クロス ドキュメント メッセージング (XDM)

Cross Document Messaging (XDM) の提供する window.postmessage() メソッドは、相互の同意を基に別のドメインとの通信を許可するメソッドです。XDM を用いることで、アプリケーション マッシュアップを安全に実行できるようになります。XDM は iframe の埋め込みや別ドメインのスクリプトをホストする方法に比べ、シンプルで効率的な双方向ドメイン間通信の手法を提供します。

クロス ドメイン メッセージングについての追加情報は、MSDN の postMessage メソッド (英語) のリファレンスを参照してください。また MSDN Code Gallery の Ajax Hands-on Lab (英語) をダウンロードしてください。

j. 安全なマッシュアップ: HTML サニタイズ

Internet Explorer 8 には toStaticHTML (英語) と呼ばれる window オブジェクトを制御する新しいメソッドが搭載されています。HTML 文字列がこの機能に送られた場合、潜在的に実行可能なスクリプトを構成する部分が存在しないかを走査し、存在する場合はその文字列を返さずに削除します。この機能はサーバー側で実行される Microsoft Anti-Cross Site Scripting Library と同じ技術を内部的に用いています。

JSON のサニタイズによる安全なマッシュアップについての追加情報は、Internet Explorer チーム ブログのこの記事と、MSDN の toStaticHTML (英語) メソッドのリファレンスを参照してください。

k. 安全なマッシュアップ: JSON のサニタイズ

JavaScript Object Notation (JSON) はマッシュアップされたコンポーネント間の通信で多用される軽量な JavaScript オブジェクトの表記方法です。残念ながら多くのマッシュアップは必ずしも安全ではない方法で JSON を利用しています。これは JSON のストリングを JavaScript オブジェクトに復元する際、スクリプトを実行してしまう潜在的な可能性がある eval メソッドを用いる手法に依存しているためです。セキュリティを重視する開発者は JSON オブジェクトに実行可能なスクリプトが含まれていないかを確認するために JSON-parser を用いることがありますが、この場合パフォーマンスの低下を避けることができません。

Internet Explorer 8 は JSON を扱うための機能として ECMA Script 3.1 プロポーザル (Douglas Crockford 氏が作成した json2.js API を利用します) を実装しました。JSON.stringify メソッドは script オブジェクトを JSON ストリングに変換し、JSON.parse は JSON ストリングを Java Script オブジェクトを安全に復元します。JSON メソッドは、Java Script エンジンそのものと同一のコードを用いてネイティブで動作するため、非ネイティブ動作の他の方式に比べ、パフォーマンスの劇的な向上を可能としました。DOM へのストリング インジェクションを目的としたオブジェクトは、前述の toStaticHTML 機能によって阻止されます。

JSON のサニタイズによる安全なマッシュアップについての追加情報は、Internet Explorer チーム ブログのこの記事を参照してください。

l. セレクタ API

セレクタは Web ページ内でタグ (要素) を検索および 選択するためのクエリ言語です。これは、CSS で特定のプロパティを適用する要素グループを "選択" する場合に、よく使用されます。

Internet Explorer 7 では、CSS とは独立してセレクタを "実行" する方法がありませんでした。Internet Explorer 8では Selectors API によって、Web 開発者は CSS セレクタの機能と柔軟性を活かし、要素を迅速に参照できるようになりました。

Selectors API によって、非線形の要素の検査とフィルターのパフォーマンスが向上します。独立した要素の参照や、DOM の手動によるスクリプト検査に代わる選択肢として最適です。この API は参照に必要なコード量も大幅に削減します。

Internet Explorer 8 の Selectors API の実装は、W3C Working Draft for Selectors (http://www.w3.org/TR/selectors-api (英語)) をベースにしています。

Internet Explorer 8 のセレクタ API についての追加情報は、MSDN の “Javascript を使用するオブジェクトの選択” を参照してください。

m. データ URI のサポート

データ URI によって、Web 開発者は小さい外部リソース (CSS ファイルやイメージなど) を Web ページの URL に直接埋め込めるようになります。

データ URI の主な使用例は、スタイル シートやイメージへの参照 URL 内にバイナリ ファイルをカプセル化することです。バイナリ ファイルは文字列としてインラインに記述できるので、それをローカル ストアに保存し、後から取り出すことができます。その時ネットワークから何かを取得する必要はありません。

データ URI は別途のダウンロードが必要ない点も従来の URI にとって代わる選択肢です。これは、サブダウンロードがブロックされている場合や使用できない場合に利点があります。データ URI は 32kb を上限とし、frame、iframe、または script 要素のソースとして用いることはできません。

Internet Explorer 8 のデータ URI についての追加情報は、MSDN の data プロトコル (英語) のリファレンスを参照してください。

n. 名前空間サポートの向上

Microsoft Internet Explorer 5 から Windows Internet Explorer 7 までは、名前空間のサポートは限定的でしたが、パーサーによるネイティブな HTML としての処理から要素を除外する場合によく使用されていました。要素に名前空間を付けることで、Web 開発者は HTC (HTML コンポーネント) として知られる特別な HTML マークアップを通じて要素に "ビヘイビア" を適用でき、COM 開発者は ActiveX コントロールの一種である "バイナリ ビヘイビア" を適用できます。名前空間内の要素のみが要素に適用されたバイナリ ビヘイビアを取得できます。

Windows Internet Explorer 8 はバイナリ ビヘイビアのインスタンス化と使用に必要なコード量を抑えることで、名前空間のサポートを向上させています。ベンダーによって提供された名前空間ハンドラをユーザーが一度インストールすれば、ハンドラは適切に呼び出され、意図どおりに表示されます。

Internet Explorer 8 の名前空間サポートの向上についての追加情報は、MSDN Code Gallery の Improved Namespace Support ホワイトペーパー (英語) を参照してください。

o. MIME 処理の変更

Web サーバーが送信するファイルにはファイルの特性 (例えば、画像、テキスト、アプリケーションなど) を示す MIME Type (Content-type とも呼ばれます) が付与されています。互換性を維持するため、Internet Explorer は、ダウンロードしたファイルの Content-type を特定する MIME Sniffing 機能を搭載しています。稀に Internet Explorer が報告した MIME Type とサーバーが指定した MIME Type が異なることがあります。例えば HTTP 応答ヘッダーに Content-Type: text/plain と記述されているファイルの中から HTML 内容を検出した場合、Internet Explorer はこのコンテンツを HTML として描画しようとします。Web 上には現在の基準に適合しない動作を行うサーバー (例えば、すべてのファイルに test/plain を付与するものなど) も存在するため、MIME-sniffing による互換性の維持は重要です。

残念なことに MIME-sniffing は信頼性の低いコンテンツの配信を行うサーバーのためにセキュリティ的な問題を発生させることもあります。匿名ユーザーが投稿する画像を共有する Web サービスを例にあげると、攻撃者は JPEG ファイルに巧みに偽装したスクリプトをアップロードし、このファイルの URL を不用意な被害者にメールで送信します。被害者がこのサーバーを訪れて悪意のあるファイルをダウンロードすると、スクリプトが検出されて画像共有サイトのセキュリティ コンテキストで実行されてしまいます。このスクリプトではユーザーの Cookie の盗用や偽装ページの作成など、様々なことが実行可能でしょう。

この問題に対処するため、Internet Explorer 8 では MIME-type を判定するコードに大規模な変更を加えました。変更の内容には "Upsniff" 処理の制限 (Content-type: image/* が付与されているファイルを HTMLや Script として処理しない)、MIME-sniffing のオプトアウト、さらに信頼できないコンテンツがサイトのセキュリティを低下しないようにする新しいメカニズムを含んでいます。

Internet Explorer 8 の MIME 処理の変更についての追加情報は、Internet Explorer チーム ブログのこの記事を参照してください。

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4. ページの概念を超えた Web エクスペリエンス

基本プラットフォームと開発者のエクスペリエンスが強化された以外にも、Internet Explorer 8 では Web 開発者が既存の Web ページの概念を超えてエクスペリエンスを拡張できる、新機能がいくつか採用されています。これらの新機能は、ブラウザー間の相互運用性の無いカスタム コードを構築するのではなく、コミュニティの標準を使って利用することができます。

a. アクセラレータ

道順の検索やブログ エントリの投稿、またはその他の一般的なアクションの実行を問わず、今日の Web ユーザーは、ある Web ページから別の Web ページに情報をコピー & ペーストする機会が多くなっています。これまではこの操作で "十分" でしたが、Internet Explorer 8 はアクセラレータと呼ばれる新機能を通じて、これら Web サービスの強化に向け、さらに進化しています。

アクセラレータは外部サイトのサービスに任意の Web ページから即座にアクセスできるコンテキスト サービスです。通常は次の 2 つアクションのいずれかを呼び出します。

  • 現在の Web ページ内のデータと関連した情報を "参照"
  • 現在の Web ページから別のアプリケーションにコンテンツを "送信"

たとえば、ユーザーが現在のページに表示された会場の位置に関心を持ったとします。以前は、サイトの開発者が地図サービスとの統合を行っていない限り、住所をコピーして新しいブラウザー ウィンドウに貼り付ける必要がありました。新しい "地図" アクセラレータをサポートすることで、ユーザーはお気に入りの地図サービスを使用して、マップ上の該当する部分を Web ページ 上に重ねて表示できます。さらにアクセラレータをクリックすることで、地図サービスの Web ページに移動できます。

図 3. Internet Explorer 8 のアクセラレータのイメージ

図 3. Internet Explorer 8 のアクセラレータのイメージ

 

"送信" アクセラレータの例としては、ニュース記事の一部のブログ アプリケーションへの送信などが考えられます。ユーザーは関心のあるセクションをハイライト表示し、その後ブログ アクセラレータを使ってブログ サイトにナビゲートできます。ブログ サイトでは、選択していた部分が編集フィールド内で既に有効になっています。

Internet Explorer 8 でのアクセラレータについての追加情報は、OpenService Accelerators Developer Guide (英語) を参照してください。

b. ウェブ スライス

一般的に、ユーザーは多くの Web サイトを毎日何度か訪問して、更新をチェックします。Really Simple Syndication (RSS) フィードの登場によって、ユーザーにとってこのエクスペリエンスは容易になりましたが、開発者側には少なからぬ作業が要求されます。

ウェブ スライスはシンプルな HTML の注釈を用いて、Web ページ内で利用頻度の高いコンテンツを直接購読できる新機能です。ウェブ スライスの動作は、ユーザーがサイトを購読しておくと、コンテンツが変更されときに更新通知を受信できる点でフィードと似ています。RSS フィードと同様に、サイトは一定の間隔でポーリングされます。電子メールの受信箱やオークション サイトのように頻繁に更新されるコンテンツの場合、サイトの運営者は推奨する更新間隔を設定できます。

ウェブ スライスは、フィードと同様の購読可能なアイテムとして処理される、Web ページ内のセクションです。Web サイト上でウェブ スライスを有効にするには、タイトル、説明、およびその他の購読可能なプロパティのクラス名を Web ページに注釈付けします。ウェブ スライスは hAtom マイクロフォーマットの一種を使用します。

Internet Explorer 8 のユーザーは Web ページ内で 見つけたウェブ スライスをお気に入りバーに追加できます。これはアドレス バーの下にある専用のバーで、ここからリンクに簡単にアクセスできます。Internet Explorer 8 で Web ページを購読しておくと、ウェブ スライスの変更を検出し、更新が発生したときにユーザーへ通知されます。ユーザーはお気に入りバーから直接更新内容をプレビューすることも、必要な場合にはリンクをクリックして Web サイトで詳細を読むこともできます。

Internet Explorer 8 の ウェブ スライスについての追加情報は、MSDN の “Web Slice を使用するコンテンツの購読” を参照してください。

c. 拡張されたクイック検索機能

Internet Explorer 7 にはアドレス バーの右側にビルトインの検索ボックスがあります。ここに検索キーワードを入力するとキーワードは選択されている検索エンジンに送られて、そのプロバイダーから検索結果ページが返されます。

Internet Explorer 8 の検索ボックスは、見かけはよく似ていますがより便利になりました。検索キーワードの入力を開始すると、入力した内容に関連した推奨する検索キーワードが選択している検索プロバイダーからの検索候補としてリアルタイムに表示されます。検索キーワードを全て入力しなくても、表示された検索候補をクリックすれば、即座に検索を実行できます。この機能によっては時間が節約できるだけではなく、適正な検索結果が得られる可能性も向上します。

Internet Explorer 8 は検索プロバイダーが検索の結果を直接表示することや、検索の結果と共に画像も表示する "画像検索" も可能としました。株式銘柄コード (Microsoft であれば NASDAQ:MSFT) の入力に対して、検索プロバイダーは検索ボックスのドロップダウン リストに対応する株価とチャートを表示することもできます。Internet Explorer 8 はこのような可能性を実現するためのテクノロジーを提供しますが、どのようなものを表示するかは検索プロバイダーによって異なります。

Internet Explorer 8 での検索機能の拡張についての追加情報は、MSDN の “Search Provider Extensibility in Internet Explorer” を参照してください。

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5. エンド ユーザーと IT プロフェッショナルのための機能

これまでに紹介した機能に加えて、Internet Explorer 8 には、エンド ユーザーやネットワーク管理者のような IT プロフェッショナル向けの機能が多数導入されますが、こうした機能は開発者にも関係があります。各機能の詳細については下記の説明をお読みください。最新の情報は Internet Explorer 8: Features (英語) (エンド ユーザー向け) と Internet Explorer TechCenter (IT プロフェッショナル向け) をご参照ください。

a. 異常終了からの回復

タブ ブラウザーの登場により、1 つのブラウザー インスタンス内で複数のブラウザー ウィンドウがアクティブ化された状態が一般的になっています。Internet Explorer 8 に搭載される LCIE (Loosely-coupled Internet Explorer) と呼ばれる新機能によって、ウィンドウ フレームとブラウザー タブは異なるプロセスで実行され、また状況によっては異なるプロセス整合レベルで動作します。LCIE アーキテクチャによって、ブラウザー タブのクラッシュがブラウザー全体のクラッシュを引き起こすことはなくなり、ブラウズ中の Web ページを見失うこともなくなりました。この機能はユーザーにとって時間の節約となるだけではなく、IT プロフェッショナルにとってもユーザーが失ったデータを回復するための時間を節約できることを意味します。ブラウザーのクラッシュからうまく回復できることにより仕事を中断する必要が減るため、ユーザーや IT プロフェッショナルの生産性が向上し、時間と費用の節約ができます。

Internet Explorer 8 にはクラッシュ時の自動復旧機能も搭載されています。クラッシュしたタブは自動的にクラッシュ前の状態に復元されます。ウィンドウ フレーム全体がクラッシュした場合や、意図せず閉じられてしまった場合も、タブを含む全てのセッションが完全に復元されます。書きかけの電子メールや入力途中のフォームなどについても、Internet Explorer 8 は可能な限り入力された情報の復元を試みます。

図 4. Internet Explorer 8 での異常終了からの回復のイメージ

図 4. Internet Explorer 8 での異常終了からの回復のイメージ

 

突然のクラッシュ程ではありませんが、誤ってタブを閉じてしまいがっかりしたことがあるかも知れません。Internet Explorer 8 は、新しいタブのページで最近閉じたタブが復元できるため、このようなフラストレーションは軽減されます。

b. パフォーマンスとメモリーの向上

Internet Explorer 8 には素晴らしいユーザー エクスペリエンスを提供するよりリッチでインタラクティブな Web ページの開発を可能とするパフォーマンスの改善が数多く含まれます。スクリプト エンジンは顕著に高速化され、JavaScript や Ajax をベースにした大半の Web ページでページのロード時間の短縮とレスポンスの向上が見られます。Internet Explorer 8 は HTML パーサーや CSS 規則の処理、マークアップ ツリーの操作などを高速に処理するよう改良されたコンポーネントを含みます。

Internet Explorer 8 はメモリー管理の面でも大きく改良されています。例えば、スクリプト オブジェクトと DOM の循環参照によるメモリー リークを抑制することでより安定した Web エクスペリエンスの提供が可能になりました。

c. アドオンの管理

ブラウザー上で動作するアドオンを管理できるようにすることは、個人を特定できる情報 (personally identifiable information - PII) とブラウザーを保護するための重要な要素です。アドオンの管理を一元化することは開発者と管理者の手間を減らし、生産性を向上させます。疑わしいアドオンを管理し、簡単に削除できるようにすることは、マルウェアについて心配しているユーザーとの信頼関係を構築するため重要な意味を持ちます。アドオンの管理 で実行した変更内容は即座に適用されますが、一部の変更 (ツール バーやエクスプローラー バーの無効化など) は Internet Explorer の再起動が必要です。

図 5. Internet Explorer 8 のアドオンの管理 ウィンドウのイメージ

図 5. Internet Explorer 8 のアドオンの管理 ウィンドウのイメージ

 

アドオンの管理は解像度が異なる場合のためにウィンドウ サイズを変更できます。表示する項目の変更やグループ化、表示順序の変更などをカスタマイズすることも可能です。アドオンの管理ウィンドウでは次のような設定も可能です。

  • 複数のアドオンの選択 (CTRL+クリックまたはドラッグで複数選択)
  • コンテキスト メニュー (右クリック) のサポート
  • 管理者やテクニカル サポート、開発者と情報を共有するため、詳細情報をクリップボードにコピーし、電子メール、文書エディター、スプレッドシートへ貼り付け可能

既存のコントロールを更新する必要はありません

既存のコントロールを Internet Explorer 8 でも管理できるように変更する必要はありません。Internet Explorer 8 ではより多くの情報や制御権がユーザーに提供されるため、コントロールの作成者は詳細な情報を提供したいと思うかも知れません。また Internet Explorer 8 は発行者名やバージョンといった従来の情報を利用することが可能で、かつこれらの情報を確認しやすくなりました。

追加情報は、Internet Explorer チーム ブログのこの投稿を参照してください。

アドオンの情報検索が容易に

Internet Explorer 8 ではインストール済みのアドオンに関する詳細な情報をひと目で確認できます。次のような一般的な操作を簡単にするリンクを追加しました。

  • 追加のアドオンを探す場合 - 追加のアドオンを検索
  • 特定のアドオンに関する情報をオンラインで検索する場合 - 既定の検索プロバイダーでこのアドオンを検索
  • アドオンを選択すると、プロパティが表示されます。プロパティをクリックすると、ファイル名、バージョン情報などの詳細な技術情報が表示されます。サイトごとの ActiveX コントロールのインストールで実行が許可されているサイトを一覧表示することや、サイトのリストを削除することができます。
  • アドオンを右クリックすると、有効化や無効化といった共通の操作が簡単に選択できます。

新しい種類のアドオンの管理が可能に

Internet Explorer 8 では管理できるアドオンのリストが拡張され、ツールバーと拡張機能、検索プロバイダー、およびアクセラレータに対応しました。

ツールバーと拡張機能

これまでのバージョンの Internet Explorer でも、ツールバーと同じくエクスプローラー バーをサポートしていますが、アドオンの管理には表示されていませんでした。Internet Explorer 8 はブラウザーで実行されているアドオンをより細かく設定できるようにするため、エクスプローラー バーの管理に対応しました。

図 6. Internet Explorer 8 でのエクスプローラー バーの情報のイメージ

図 6. Internet Explorer 8 でのエクスプローラー バーの情報のイメージ

 

検索プロバイダー

Internet Explorer 7 には OpenSearch 仕様の検索プロバイダーに対するサポートを追加しましたが、この機能は独自の管理画面が搭載されていました。Internet Explorer 8 は、検索プロバイダーの管理機能をアドオンの管理へ移動しました。Internet Explorer 8 では、インストール済みの検索プロバイダー、既定の検索プロバイダー、および検索を実行したときの情報の送信先を簡単に調べることができます。検索プロバイダーを表示する順番も変更できます (IE7 では常にアルファベット順に表示されていました)。

新規に導入した検索プロバイダーが既定の検索プロバイダーの "変更を推奨" することを抑制する新機能も搭載されています。この機能は、プログラムがユーザーの同意を得ずに既定の検索プロバイダーを変更し、これまでの設定が失われることを防ぐための機能です。

Internet Explorer 8 は Internet Explorer 7 と同様に OpenSearch 標準仕様の検索プロバイダーを引き続きサポートします。

d. ドメイン名のハイライト表示

ドメイン名のハイライト表示によって、ユーザーは訪問中のサイトが目的のサイトであることを正確かつ即座に確認できるようになります。これは、正当な Web サイトを訪問しているとユーザーに信じ込ませるため、URL 内に紛らわしいドメイン名を埋め込んだ多くの悪意のあるサイトに対して特に有益です。

 

図 7. Internet Explorer 8 でのドメイン名のハイライト表示のイメージ

図 7. Internet Explorer 8 でのドメイン名のハイライト表示のイメージ

 

図 8 は、Extended Validation (EV) SSL 証明書を持つセキュアなサイトでドメイン名のハイライト表示が機能していることを示しています。HTTPS プロトコルとドメイン名がハイライト表示されていることに注目してください。Internet Explorer 7 では、ドメイン名のハイライト表示は EV SSL を利用しているサイトだけで利用できました。

図 8. Internet Explorer 8 での、EV SSL 証明書を持つセキュアなサイトでのドメイン名ハイライト表示のイメージ

図 8. Internet Explorer 8 での、EV SSL 証明書を持つセキュアなサイトでのドメイン名ハイライト表示のイメージ

 

Internet Explorer 7 には既にフィッシング サイトとして認識されているサイトにユーザーがアクセスしようとすると警告を発するフィッシング フィルターが搭載されており、Internet Explorer 8 はこの機能を改良した SmartScreen® フィルターを搭載しました。SmartScreen フィルターはフィッシング Web サイトや類似の詐欺サイト、マルウェアの配布元として認識されているサイトからユーザーを保護します。現在のページが SmartScreen によって安全ではない Web サイトと判定された場合、アドレスバーは図 9 のように表示されます。

図 9. Internet Explorer 8 で SmartScreen フィルターにより安全でない Web サイトと判定された際のアドレスバーのイメージ

図 9. Internet Explorer 8 で SmartScreen フィルターにより安全でない Web サイトと判定された際のアドレスバーのイメージ

 

ドメインを偽装する手口は短絡的で洗練された手法とは言えませんが、多用されている手法でもあります。ドメインを偽装する手口はオンラインバンキングの詐欺だけではなく、企業間取引用のポータル サイトを偽装するといったより洗練された偽装工作が発生する可能性もあります。ドキュメント共有サイトの偽装に成功した場合、偽装を見抜けず共有した機密文書が漏洩する可能性があります。ドメイン名のハイライト表示はこのような攻撃を防ぎ安全性と生産性の向上に役立ちます。

e. アドオンの管理の拡張

ユーザーがインストールしたカスタム ツールバーなどのアドオンはブラウザーがクラッシュする原因として高い割合を占めます。アドオンに起因するブラウザー のクラッシュは生産性を低下させ、問題解決に当たった IT 担当者の手を煩わせることがあります。Internet Explorer 8 はわかりやすいアドオンの管理機能が提供され、ユーザー自身による効果的なアドオンの管理が可能になりました。

ブラウザーと連動して動作するアドオンの管理は、ブラウザーと個人情報を保護するために重要な機能です。動作の遅いアドオン、疑わしいアドオンを簡単に管理し、削除する機能は、アドオンに悩まされているユーザーとの信頼関係の構築するために重要な機能です。Internet Explorer 8 はユーザーが希望しないツールバーを簡単に無効化できます。

f. データ実行防止機能

Windows Vista 環境で動作する Internet Explorer 7 では、インターネット オプションのコントロール パネルでオンラインからの攻撃の緩和に役立てるため、メモリー保護を有効にする の設定項目が導入されました。(既定値ではオフ)

これはデータ実行防止機能または No-Execute (DEP/NX) とも呼ばれます。

DEP/NX を使用すると実行不可領域として設定されたメモリー上にあるビデオや画像に偽装したウイルスなどのコードが実行されることを防ぎ、攻撃を未然に防ぐことができます。

DEP/NX の機能は、Windows XP Service Pack 3 (SP3)、Windows Server 2008、Windows Vista Service Pack 1 (SP1) およびそれ以降の上で動作する Internet Explorer 8 では、有効が既定値となりました。

DEP/NX についての追加情報は、Internet Explorer チーム ブログのこの投稿を参照してください。

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6. 結論

Internet Explorer 8 には、新機能や拡張機能のほか、現実的なシナリオとユーザーの希望に即した機能強化が多数含まれています。Web 上の新機軸、ビジネス的な価値観の提供、効率的な開発、そして安全、これらのプラットフォームとなるのが Internet Explorer 8 です。

以下の追加のリソースでも Internet Explorer 8 についての詳細をぜひご確認ください。

 

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