次の方法で共有


SharePoint Foundation でのデータのバックアップと復元の概要

最終更新日: 2015年3月9日

適用対象: SharePoint Foundation 2010

この記事の内容
バックアップできるデータと復元できるデータ
バックアップと復元の種類
4 種類のカスタム バックアップ/復元アプリケーション

このトピックでは、Microsoft SharePoint Foundation でのデータのバックアップおよび復元方法に関する基本事項について説明します。

バックアップできるデータと復元できるデータ

SharePoint Foundation に組み込まれている複数の種類のコンテンツ コンポーネントを、以下で説明する機能を使用してバックアップおよび復元できます。使用できる機能は、コンポーネントの種類によって異なります。

  • サーバーの全体管理のアプリケーション ユーザー インターフェイス (UI)

  • stsadm.exe コマンド ライン ツール

  • SharePoint 管理シェルに含まれる Windows PowerShell コマンドレット

  • カスタム アプリケーション、カスタム stsadm 操作、またはカスタム Windows PowerShell コマンドレットで SharePoint Foundation のバックアップおよび復元オブジェクト モデルを使用するコード

表1: コンポーネント種類別の使用できるバックアップ機能

コンポーネント

サーバーの全体管理 UI、stsadm 操作、または Windows PowerShell コマンドレットでのバックアップおよび復元のサポート

カスタム コードでのバックアップおよび復元のサポート

リスト アイテム内の特定のフィールド

復元サポートはありません。親コンテンツ データベースのバックアップから分離してバックアップすることはできません。

接続されていないデータベース オブジェクト モデルを使用して個別に復元することはできますが、親コンテンツ データベースから分離してバックアップすることはできません。

リスト アイテム

復元サポートはありません。親コンテンツ データベースのバックアップから分離してバックアップすることはできません。

接続されていないデータベース オブジェクト モデルを使用して個別に復元することはできますが、親コンテンツ データベースから分離してバックアップすることはできません。

リスト

個別の復元はサポートされていますが、親コンテンツ データベースのバックアップから分離してバックアップすることはできません。

接続されていないデータベース オブジェクト モデルを使用して個別に復元することはできますが、親コンテンツ データベースから分離してバックアップすることはできません。

Web サイト

個別の復元はサポートされていますが、親コンテンツ データベースのバックアップから分離してバックアップすることはできません。

接続されていないデータベース オブジェクト モデルを使用して個別に復元することはできますが、親コンテンツ データベースから分離してバックアップすることはできません。

サイト コレクション

サポートされています。

サポートされています。SPSiteCollection.Backup および Restore() を使用します。

コンテンツ データベース

サポートされています。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) を使用します。

Web アプリケーション

サポートされています。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) を使用します。

コンテンツの発行 Web サービス*

サポートされています。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) を使用します。

Search Windows サービス。データベースとインデックスも含まれます。**

サポートされています。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) を使用します。

Service Application Framework を実装する Web サービス、およびそれに関連付けられているサービス アプリケーション プロキシ

サポートされています。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) または フレームワークによって提供される補助のバックアップおよび復元オブジェクト モデルを使用します。

Service Application Framework を実装する Web サービスによって使用される IIS アプリケーション プール

サポートされています。

サポートされています。Service Application Framework によって提供される補助のバックアップおよび復元オブジェクト モデルを使用します。

SharePoint Foundation ファーム全体

サポートされています。ただし、復元先のトポロジとサーバー名が、バックアップ元のファームのものと一致している必要があります (一致していない場合は、復元後作業を行ってコンテンツとサービスを再構成する必要があります)。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) を使用します。ただし、復元先のトポロジとサーバー名が、バックアップ元のファームのものと一致している必要があります (一致していない場合は、復元後作業を行ってコンテンツとサービスを再構成する必要があります)。

ファームおよびコンテンツの発行 Web サービスの構成設定*

サポートされています。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) を使用します。

カスタム コンテンツ コンポーネント

サポートされています。ただし、コンポーネントに IBackupRestore を実装する必要があります。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) および IBackupRestore を使用します。

カスタム構成設定

サポートされています。ただし、コンポーネントに IBackupRestoreConfiguration を実装する必要があります。

サポートされています。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル (Microsoft.SharePoint.Administration.Backup) および IBackupRestoreConfiguration を使用します。

注意

* これは、オブジェクト モデルで、SPWebService オブジェクトによって表されるコンテンツ発行 "Web サービス" (実際には、コンテンツのパーティション) を指します。通知 (websvcAlerts) サービス、会議 (websvcMeetings) サービスなどの一般的な意味での "Web サービス" ではありません。コンテンツ発行 "Web サービス" の詳細については、「サーバーとサイトのアーキテクチャ : オブジェクト モデルの概要」と「Microsoft SharePoint Foundation の管理オブジェクト モデル」を参照してください。

** Search Web サービス websvcSPSearch ではありません。

制限事項

バックアップおよび復元できるデータにはいくつかの制限があります。以下ではそれについて説明します。

  • **SharePoint Foundation サーバー ファームの構成データベースまたはサーバーの全体管理アプリケーションのコンテンツ データベースを、ファーム全体のバックアップと切り離してバックアップすることはできません。**ただし、ファームおよびコンテンツの発行 Web サービスの構成設定をバックアップおよび復元することはできます。

  • **サーバー ファームの構成データベースまたはサーバーの全体管理アプリケーションのコンテンツ データベースを復元することはできません。**ファームのバックアップに含まれるこれらのコンポーネントのバックアップでは、バックアップの時点でのこれらのコンポーネントのスナップショットが提供されます。SQL Server ツールを使用すると、スナップショットとコンポーネントの現在の状態を比較できるので、スナップショットはトラブルシューティングに役に立ちます。ただし、ファームの完全な構成データベースとサーバーの全体管理アプリケーションのコンテンツ データベースを含むファームの復元は、復元先ファームのサーバー名とトポロジ情報がバックアップ元ファームの対応するデータと一致している必要があるため、柔軟なオプションではありません。ファーム管理者にお勧めするのは、SharePoint Foundation を復元先ファームにインストールした後、構成設定を復元し、それから必要に応じて Web アプリケーションと他のコンテンツを復元するという方法です。このようにすると、構成設定はある種の "ファーム テンプレート" として機能し、特定のファーム トポロジが満たされている必要はありません。

  • インターネット インフォメーション サービス (IIS) 構成ストアはバックアップできません (IIS 構成ストアは主として applicationhost.config ファイルで構成されています)。

  • **IIS アプリケーション プールはバックアップできません。**ただし、Service Application Framework を実装する Web サービスをホストするアプリケーション プールはバックアップできます。

次の種類のコンテンツは、サーバーの全体管理アプリケーションの UI、stsadm コマンド プロンプト ユーティリティ、または SharePoint Foundation に含まれる Windows PowerShell コマンドレットではバックアップできません。ただし、Microsoft SharePoint 2010 Software Development Kit (SDK) を使用すると、これらの種類のコンテンツを含むカスタム バックアップ ソリューションを作成できます。

  • レジストリ キー。

  • フロントエンド サーバー上に置かれているファイル。つまり、特定のマスター ページ、ascx ファイル、web.config ファイル、その他の構成ファイルなど、コンテンツ データベースの外部に置かれるファイル。

    注意

    SPWebConfigModification クラスによって web.config ファイルに対して行われた構成の変更はバックアップされます。

最後に、表 1 で示されているように、サーバーの全体管理アプリケーションの UI、stsadm コマンド プロンプト ユーティリティ、または SharePoint Foundation に含まれるコマンドレットを使用して、個別のリスト アイテムを復元することはできません。ただし、接続されていないデータベース オブジェクト モデルを使用してカスタム ソリューションを作成すれば、特定のリスト アイテムを復元できます。

バックアップと復元の種類

特定のコンポーネントは、完全バックアップまたは差分バックアップできます。後者の場合、前回の完全バックアップ以降に変更された部分のみがバックアップされます。

注意

SharePoint Foundation 検索インデックスは、差分バックアップできません。検索インデックスが差分バックアップ ジョブに含まれている場合、そのインデックスは完全バックアップされます。

復元は、元のバックアップ ソースを上書きすることも、新しい場所に作成することもできます。つまり、SharePoint Foundation のバックアップおよび復元機能は、コンテンツ コンポーネントの移行にも使用できます。

注意

Web サイト、リスト、およびサイト コレクションより小さい他のコンテンツ タイプの移行方法の詳細については、「コンテンツの移行」を参照してください。

4 種類のカスタム バックアップ/復元アプリケーション

SharePoint Foundation オブジェクト モデルを使用して、カスタム バックアップ/復元アプリケーションを作成する方法は 4 つあります。

1: メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル

メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデルを使用して、バックアップおよび復元アプリケーションを作成できます。このアプリケーションは、主に Microsoft.SharePoint.Administration.Backup 名前空間に配置されますが、個別のサイト コレクションのバックアップと復元は、SPSiteCollection.Backup メソッドと SPSiteCollection.Restore メソッドを使用して実行されます。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデルの使用方法の詳細については、「SharePoint Foundation のバックアップ/復元オブジェクト モデルを使用したプログラミング」を参照してください。

2: ボリューム シャドウ コピー サービスとのインターフェイス

SharePoint Foundation を展開すると、Windows Server 2008 のボリューム シャドウ コピー サービス (VSS) も利用できます。SharePoint Foundation には、展開されているネイティブおよびカスタム コンテンツのシャドウ コピーを作成する SharePoint 2010 の VSS Writer サービスが含まれています。サービスの VSS 書き出しプログラムは、すべてのネイティブ SharePoint Foundation データベースとすべてのカスタム データベースのシャドウ コピーを書き込みます。データベース以外のカスタム コンポーネントも、SPVssComponentDefinition クラスと SPVssDiscoveryHelper クラスを使用して、サービスに登録できます。このようなデータベース以外のカスタム コンポーネント用の VSS 書き出しプログラムも作成する必要があります。SharePoint Foundation の VSS へのインターフェイスをプログラムする方法については、「SharePoint Foundation およびボリューム シャドウ コピー サービス」を参照してください。

注意

VSS サービスを使用すると、データベース シャドウ コピーの対象をファーム全体または個々のコンテンツ データベースのみに指定できます。個別の Web アプリケーションおよび個別のコンテンツ発行 "Web サービス" のシャドウ コピーを、ファーム全体のシャドウ コピーの作成とは別に設定することはできません ("コンテンツ発行 Web サービス" の詳細については、表 1 の後にある注意を参照してください)。

3: データベース スナップショット管理

SharePoint Foundation に組み込まれているタイマー サービス ジョブは、SharePoint Foundation データベースが Microsoft SQL Server の Enterprise エディションまたは Developer エディションでホストされていると、データベース スナップショットの作成と削除を行います。カスタム アプリケーションでは、スナップショット作成の頻度やスナップショットの有効期間などの設定を構成できます。また、組み込みのタイマー サービス ジョブをカスタム ジョブに置き換えることもできます。カスタム コンテンツ データベースは、スナップショットから復元できるようにプログラムで構成できます。プログラムによるデータベース スナップショットの管理の詳細については、「データベース スナップショットのプログラムによる管理」および「[方法] スナップショットから復元できるデータベース クラスを作成する」を参照してください。

4: 接続されていないデータベースの復元

接続されていないデータベースとは、ファーム構成データベースに登録されていないデータベースです。ただし、接続されていないデータベースのデータをファームに復元またはインポートすることはできます。接続されていないデータベースは、通常、コンテンツ データベースのバックアップ コピーですが、VSS のシャドー コピー (Microsoft SQL Server でマウントされている場合) またはデータベース スナップショットとしても使用できます。完全なコンテンツ データベースのような大きいデータ単位から、単一のリストのような小さいものまで、サーバーの全体管理の UI または stsadm 操作を使用して、接続されていないデータベースから復元できます。カスタム アプリケーションで接続されていないデータベースのオブジェクトを作成し、そのオブジェクトからコンテンツ データベースにデータを移動することもできます。カスタム アプリケーションで復元できる最も小さいデータの単位は単一のリスト アイテムです。接続されていないデータベースをプログラムで処理する方法の詳細については、「接続されていないデータベースからの詳細なデータ復元」を参照してください。

関連項目

概念

接続されていないデータベースからの詳細なデータ復元

データベース スナップショットのプログラムによる管理

SharePoint Foundation のバックアップ/復元オブジェクト モデルを使用したプログラミング

SharePoint Foundation およびボリューム シャドウ コピー サービス

その他の技術情報

コンテンツの移行

Stsadm コマンドライン ツール (Windows SharePoint Services)