次の方法で共有


ユーザー設定フィールドと OLAP キューブ

適用対象: Office 2010 | Project 2010 | Project Server 2010 | SharePoint Server 2010

Microsoft Project Server 2010 では、OLAP キューブのユーザー設定フィールド用の新しいオプションが導入されました。これらのオプションには、部署ごとに異なるユーザー設定フィールド セットを定義できる OLAP 分析向けの複数のデータベースを作成するオプションや、組み込みのメジャーを使用してフィールドのグループを追加するオプションがあります。

この記事は次のセクションで構成されます。

  • キューブにユーザー設定フィールドを追加する

  • ユーザー設定フィールドをディメンションおよびメジャーとして使用する場合のルール

各 OLAP データベースで使用可能な 14 個のキューブについては、「キューブ作成サービス」を参照してください。

キューブにユーザー設定フィールドを追加する

Project Web App を使用することで、カスタム開発作業を行うことなく、エンタープライズ ユーザー設定フィールドのような新しいデータに合わせて Project Server OLAP キューブを変更できます。Project Server 2010 の新しいオプションは [データベース構成] ページに含まれています。これらのオプションは、個々のデータベースに対して設定できます。

注意

ディメンションとしてのユーザー設定フィールドは、時間単位のキューブと時間単位以外のキューブの両方に適宜追加できます。メジャーとしてのユーザー設定フィールドは、時間単位以外のキューブのみに追加できます。

Project Server Interface (PSI) の CubeAdmin クラスに、指定されたキューブとデータベースに対するユーザー設定フィールドの設定を読み取るおよび更新するためのメソッドが含まれています。たとえば、ReadCubeFieldSettings メソッドを使用して、CubeFieldSettingDataSet を取得し、データを変更した後、UpdateCubeFieldSettingForDimension メソッドと UpdateCubeFieldSettingForMeasure メソッドを使用して変更を加えます。Project Web App の [データベース構成] ページでは多くの同じメソッドが使用されているので、各 CubeAdmin メソッドの目的を理解する上で役立ちます。

OLAP データベースのユーザー設定フィールドを変更するには、Project Web App を使用して、次の操作を行います。

  1. Project Web App の [サーバーの設定] ページで、[OLAP データベースの管理] をクリックします。

  2. [OLAP データベースの管理] ページで、変更する OLAP データベースを含む行を選択し、[構成] をクリックします。

    選択したデータベースの [データベース構成] ページに、ユーザー設定フィールドを追加するためのオプションが表示されます (図 1)。

  3. [データベース構成] ページで、[キューブのディメンション] セクションおよび [キューブのメジャー] セクションのドロップダウン リストから各エンティティ ([プロジェクト]、[リソース]、[タスク]、または [割り当て]) を選択します。

  4. 使用するエンティティごとに、ディメンションとメジャーとして使用可能なフィールドを追加します。

  5. [組み込みのメジャー] セクションで、使用するフィールドのグループを選択します。

  6. [計算されるメジャー] セクションでは、ReadCalculatedMemberDefinitions メソッドと UpdateCubeCalculatedMemberDefinition メソッドを使用して、使用可能な 14 個のキューブのいずれかで計算されるメジャーの多次元式 (MDX) スクリプトの読み取りと更新を行います。

図 1. OLAP キューブへのユーザー設定フィールドの追加

OLAP キューブへのユーザー設定フィールドの追加

注意

計算されるメンバーは、時間単位以外のキューブにのみ含めることができます。

計算されるメンバー式には Analysis Services の MDX 形式を使用する必要があります。MDX スクリプトにエラーがあると、キューブはビルドされません。たとえば、[Work Variance] という名前のユーザー設定フィールドを使用して計算されるメンバーを作成できます。この場合の MDX 式は [Work] - [Actual Work] です。

計算されるメンバーは、組織が、Project Server の既定の定義とは異なる独自のリソース利用可能時間の定義を持っている場合などに非常に便利です。組織は、Project Server の時間単位以外の任意のキューブを使用する内部レポート用にリソース利用可能時間を定義できます。また、計算されるメジャーを使用してフィールドの名前を変更することや、リソースの最大利用可能時間のようなフィールドのカスタム定義を作成することもできます。詳細については、「How to: Calculate Resource Availability in OLAP Cubes」を参照してください。

ユーザー設定フィールドをディメンションおよびメジャーとして使用する場合のルール

ユーザー設定フィールドをディメンションまたはメジャーとして使用できます。たとえば、タスク ディメンションを基準にして値を合計するためのメジャーとして数値ユーザー設定フィールドを使用できます。Project Server の Cube Build Service (CBS) には、OLAP キューブへのユーザー設定フィールドの追加に関する数多くのルールがあります。図 2 と図 3 は、CBS 機能と、OLAP キューブへのユーザー設定フィールドの追加に関する制限の要約です。CBS ルールは、次のとおりです。

  • ユーザー設定フィールド (全般):

    • 時間単位のキューブにはメジャーとして追加できません。

    • 式と一緒に追加できません。

  • ディメンション:

    • 参照テーブルを持つユーザー設定フィールドのみ (フラグ ユーザー設定フィールドを除く) をサポートします。

    • フラグ ユーザー設定フィールドをサポートします。フラグ ユーザー設定フィールドは参照テーブルを持てません。

  • タスク ユーザー設定フィールド:

    • タスク ユーザー設定フィールドに参照テーブルがある場合、そのフィールドはサマリー タスクに重ね合わせられず、メジャーとして使用できません。
  • メジャー:

    • コスト、期間、および数値のユーザー設定フィールドのみをサポートします。リソースおよびプロジェクトのエンティティ用のこれらのユーザー設定フィールドは、メジャーにすることができます。

    • タスク エンティティのコスト、期間、または数値のユーザー設定フィールドに参照テーブルがある場合、そのユーザー設定フィールドはメジャーにできません。

  • 複数値のユーザー設定フィールド:

    • キューブではサポートされていません。

      ヒント

      [プロジェクトの部署] ユーザー設定フィールドと [リソースの部署] ユーザー設定フィールドが [部署名] 参照テーブルの複数の値を受け入れるように構成されている場合、これらのユーザー設定フィールドは [選択可能なフィールド] リストに表示されません。ただし、1 つ以上の部署を基準に OLAP データベースをフィルター処理することができます。[プロジェクトの部署] ユーザー設定フィールドと [リソースの部署] ユーザー設定フィールドで複数の値が認められていない場合は、これらのユーザー設定フィールドをキューブに追加できます。

      [部署名] 参照テーブルは、階層構造または単一レベルにすることができます。どちらの場合でも、制限は、[プロジェクトの部署] ユーザー設定フィールドまたは [リソースの部署] ユーザー設定フィールドが複数値かどうかです。

図 2 は、OLAP キューブにユーザー設定フィールドをディメンションとして追加する場合の CBS のルールの要約です。ユーザー設定フィールドの属性で、"なし" は、ユーザー設定フィールドに参照テーブルがないことを意味します。たとえば、キューブ ディメンションにすることのできるユーザー設定フィールドの種類は、フラグ ユーザー設定フィールドのみ (プロジェクト、タスク、またはリソース エンティティのいずれか) です。

タスク サマリー行の重ね合わせセクションは、タスク ユーザー設定フィールドのみに適用されます。その場合、"なし" は、そのタスク ユーザー設定フィールドはタスク サマリー行に重ね合わせられないことを意味します。たとえば、重ね合わせが設定されていないタスク エンティティの期間ユーザー設定フィールドはキューブ ディメンションにすることができます。ただし、タスク期間ユーザー設定フィールドに、使用可能な重ね合わせパラメーターのいずれかが設定されている場合、そのフィールドはキューブ ディメンションとして追加できません。

図 2. ディメンションとしてのユーザー設定フィールドの Cube Build Service サポート

ディメンションとしてのユーザー設定フィールドに対する CBS サポート

[キューブの構成] ページの [キューブのディメンション] セクションと [キューブのメジャー] セクションのドロップダウン リストには、[プロジェクト]、[リソース]、[タスク]、および [割り当て] のエンティティが表示されます。ユーザー設定フィールドが、ディメンションまたはメジャーに関する CBS のルールをすべて満たしていると同時に、グローバルなユーザー設定フィールドまたは OLAP データベースに指定されている部署のいずれかと一致する部署のユーザー設定フィールドである場合、そのユーザー設定フィールドは選択したエンティティの [選択可能なフィールド] の一覧に表示されます。ユーザー設定フィールドのいずれも CBS のルールを満たしていない場合、またはユーザー設定フィールドが、OLAP データベースに含まれていない別の部署に対して定義されている場合、[選択可能なフィールド] の一覧 (図 1) は空になります。

注意

図 2 と図 3 では、どのユーザー設定フィールドのエンティティがどのキューブに適用されるかは示されていません。たとえば、リソース エンティティのコスト ユーザー設定フィールドはリソース キューブでのみ使用できます。Project Web App の [キューブの構成] ページには、リソース キューブを選択した場合にのみリソース ユーザー設定フィールドが表示されます。

図 3 は、ユーザー設定フィールドをメジャーとして OLAP キューブに追加する場合のルールの要約です。CBS のルールのいくつかを確認するには、Project Web App の [ユーザー設定フィールドと参照テーブル] ページを使用して参照テーブルとユーザー設定フィールドを作成します。たとえば、最初に TaskDur という名前の参照テーブルを作成し、次に表 1 に示されている 3 つのタスク ユーザー設定フィールドを作成します。

表 1. サンプル タスクのカスタム フィールド

ユーザー設定フィールドの名前

エンティティ

種類

参照テーブル

重ね合わせ

細分化

TaskDurLUT

タスク

期間

TaskDur

該当なし

あり

TaskDurNLNR

タスク

期間

なし

なし

あり

TaskDurNLR

タスク

期間

なし

合計

あり

[キューブの構成] ページで、各種のキューブを選択して、表 1 に示したどのユーザー設定フィールドがディメンションおよびメジャーとして使用できるかを確認してください。ユーザー設定フィールドが表示された場合は、図 2 と図 3 の "はい" に該当します。表 2 は、サンプルのユーザー設定フィールドを使用できる箇所を示しています。

表 2. サンプル カスタム フィールドの使用

ディメンションまたはメジャー

キューブ

選択可能なフィールド

ディメンション

タスク

割り当て

TaskDurLUT_Task

TaskDurLUT_T_Assignment

TaskDurLUT_Task

メジャー

タスク

割り当て

TaskDurNLR

TaskDurLUT_T

TaskDurNLNR_T

TaskDurNLR_T

注意

Project Web App では、プロジェクト、割り当て、タスク、およびリソースの各ユーザー設定フィールドを識別するために [選択可能なフィールド] リストのユーザー設定フィールドの名前が変更されます。

Project Web App では、適切なユーザー設定フィールドを選択しやすいように、必要に応じてユーザー設定フィールドにエンティティ名または省略名が付加されます。たとえば、割り当ての細分化が適用された "Department Tax" というリソース コストのユーザー設定フィールドを作成した場合、割り当てキューブ ディメンションの選択可能なフィールドの一覧には、"Department Tax_R_Assignment" と "Department Tax_Resource" の両方が表示されます。割り当てキューブ メジャーの選択可能なフィールドの一覧には "Department Tax_R" が表示されます。

図 3. メジャーとしてのユーザー設定フィールドの Cube Build Service サポート

メジャーとしてのユーザー設定フィールドに対する CBS サポート

関連項目

概念

ユーザー設定フィールドで式とマークを使用する

ユーザー設定フィールドとレポート データベース

その他のリソース

キューブ作成サービス

How to: Calculate Resource Availability in OLAP Cubes