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DTMF インターフェイスについて

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2006-11-27

Microsoft Exchange Server 2007 ユニファイド メッセージング (UM) では、発信者がデュアル トーン多重周波数 (DTMF) (タッチトーンとも呼ばれます) や音声入力を使用してシステムを操作することができます。発信者が使用できる方法は、UM ダイヤル プランや自動応答の構成方法によって異なります。

DTMF インターフェイスを使用すると、発信者はダイヤル プランで構成されているサブスクライバ アクセス番号または自動応答で構成されている電話番号を呼び出すときに、電話のキーパッドを使用してユーザーを検索したり、UM メニュー システムを操作したりすることができます。ここでは、DTMF インターフェイスと、発信者が DTMF インターフェイスを使用してユーザーを検索したり、Exchange 2007 ユニファイド メッセージングのメニュー システムを操作したりする方法について説明します。

ユニファイド メッセージングで音声入力を使用する方法の詳細については、「自動音声認識のディレクトリ参照について」を参照してください。

DTMF の概要

DTMF を使用する場合、発信者は、ユニファイド メッセージングのメニュー オプションに対応する電話のキーパッドのキーを押すか、またはキーの文字を使用してユーザーの名前か電子メール エイリアスを指定することによってユーザー名を入力する必要があります。発信者が DTMF を使用する理由としては、自動音声認識 (ASR) が有効になっていないことや、音声コマンドを使用しようとして失敗したことなどが考えられます。いずれの場合も、DTMF の入力は、メニューの操作やユーザーの検索に使用されます。

Exchange 2007 ユニファイド メッセージングでは、既定で、DTMF の入力はダイヤル プランで使用され、UM 自動応答の既定の発信者インターフェイスになっています。

note注 :
音声認識を有効にすることができるのは、英語を使用するように構成されている自動応答のみです。

発信者は DTMF の入力を次の目的に使用できます。

  • Outlook Voice Access を使用したダイヤル プラン サブスクライバ アクセス
  • ダイヤル プラン ディレクトリ検索およびユーザーの検索
  • 音声認識が有効になっていない自動応答
  • 音声認識が有効になっている自動応答 (DTMF フォールバック自動応答は構成されている場合も、構成されていない場合もある)
  • DTMF フォールバック自動応答 (音声認識は有効になっていない)

UM ダイヤル プランと名前によるダイヤル

UM ダイヤル プランを作成する場合は、発信者がユーザーを検索するときやユーザーに連絡したいときに名前を検索するために使用する第 1 と第 2 の入力方法を構成できます。これらの設定はダイヤル プランの [設定] タブにあり、[名前によるダイヤルの第 1 の方法] および [名前によるダイヤルの第 2 の方法] と呼ばれます。以下のオプションは、[名前によるダイヤルの第 1 の方法] および [名前によるダイヤルの第 2 の方法] で使用できます。

  • 姓 名
  • 名 姓
  • SMTP アドレス

さらに、[名前によるダイヤルの第 2 の方法] では [なし] オプションも使用できます。

既定では、[名前によるダイヤルの第 1 の方法] では [姓 名] が選択され、[名前によるダイヤルの第 2 の方法] では [SMTP アドレス] が選択されます。そのため、発信者が UM ダイヤル プランで構成されているサブスクライバ アクセス番号にダイヤルすると、ダイヤル プランのウェルカム メッセージが再生され、オペレータから "こちらは Contoso Outlook Voice Access です。メールボックスにアクセスするには、内線番号を入力してください。担当者に連絡するには、# キーを押してください" などのような案内を受けます。発信者が # キーを押すと、システムから "通話先の担当者のスペルを姓から先に言ってください。または、通話先の担当者の電子メール エイリアスを指定するには # キーを 2 回押してください" という応答があります。このシナリオの場合、ダイヤル プランの構成方法によっては、発信者は次にシステムから、最初にユーザーの姓、次に名の順序で入力するか ([姓 名])、またはドメイン名を除く電子メール エイリアスを指定するように求められます。

たとえば、ユーザーの電子メール エイリアスが tsmith@contoso.com の場合、発信者は「tsmith」と入力します。既定の設定ではニーズに合わないためにこの構成を変更する必要がある場合は、発信者がユーザーの電子メール エイリアスを最初に入力するか、またはユーザーの名、姓の順に入力できるように構成を変更することができます。この場合は、[名前によるダイヤルの第 1 の方法][SMTP アドレス] 設定に構成し、[名前によるダイヤルの第 2 の方法][名 姓] 設定に構成します。名前によるダイヤルの方法の設定は、そのダイヤル プランに関連付けられたすべての UM 自動応答にも適用されます。発信者が DTMF の入力、つまり電話のキーパッドのキーを使用してユーザーの名前を入力できるようにするには、そのユーザーに対する DTMF マップと値が Active Directory ディレクトリ サービス内に存在している必要があります。

ユニファイド メッセージング ダイヤル プランの名前によるダイヤルの第 1 の方法および第 2 の方法を変更する方法の詳細については、「ユニファイド メッセージング ダイヤル プランで名前によるダイヤルの第 1 の方法を変更する方法」と「ユニファイド メッセージング ダイヤル プランで名前によるダイヤルの第 2 の方法を変更する方法」を参照してください。

DTMF マップ

Exchange 2007 組織では、Active Directory 内に作成される各ユーザーに msExchUMDtmfMap という名前の属性が関連付けられます。この属性は、ユーザーの名、姓、および電子メール エイリアスを一連の数字に関連付けるために、ユニファイド メッセージングによって使用されます。このマッピングは DTMF マップと呼ばれます。DTMF マップを使用すると、発信者は、ユーザーの名前や電子メール エイリアスの文字に対応する電話のキーパッドの数字を入力できます。この属性には、名、姓の順になっているユーザーの名前、姓、名の順になっているユーザーの名前、およびユーザーの電子メール エイリアスに対応した DTMF マップを作成するために必要な値が含まれています。

表 1 は、tsmith@contoso.com というエイリアスを持つ、UM が有効な Tony Smith というユーザーの msExchUMDtmfMap 属性について Active Directory に格納される DTMF マップ値を示しています。

表 1   UM が有効な Tony Smith というユーザーについて Active Directory に格納される DTMF 値

Active Directory エントリ ユーザーの名前
  • firstNameLastName:866976484

tonysmith

  • lastNameFirstName:764848669

smithtony

  • emailAddress:876484

tsmith

  • 名前や電子メール エイリアスには、コンマ、ハイフン、アンダースコア、ピリオドなどのアルファベット以外の文字が含まれている場合があります。これらの文字は、ユーザーの DTMF マップでは使用されません。たとえば、Tony Smith の電子メール エイリアスが tony-smith@contoso.com の場合は、DTMF マップ値は 866976484 となり、ハイフンは含まれません。ただし、ユーザーの電子メール エイリアスに 1 つまたは複数の数字が含まれている場合 (たとえば、tonysmith123@contoso.com)、作成される DTMF マップにはこれらの数字が使用されます。tonysmith123 の DTMF マップは 866976484123 になります。

発信者がユーザーの名前または電子メール エイリアスを入力できるようにするためには、そのユーザーの DTMF マップが存在している必要があります。ただし、場合によっては、一部のユーザーにユーザー アカウントに関連付けられた DTMF マップが存在しないことがあります。

UM が有効になっていないユーザーの DTMF マップ

既定では、ユーザー (メールボックスが有効なユーザーを含む) のユニファイド メッセージングは有効になっていません。そのため、msExchUMDtmfMap 属性には、それらのユーザーの DTMF マップに必要な値が入力されていません。図 1 は、msExchUMDtmfMap 属性が入力されていないユーザーのプロパティを示しています。

図 1   値が入力されていない msExchUMDtmfMap 属性

値を含まない msExchUMDtmfMap

前の図に示したユーザーには、ユーザー アカウントに対して定義された DTMF マップ値がないため、発信者が UM 自動応答メニューで電話のキーを押すか、またはディレクトリ検索を実行しても、そのユーザーには連絡できません。また、UM が有効なユーザーは、ASR を使用できない限り、DTMF マップのないユーザーにメッセージを送信したり、呼び出しを転送したりすることはできません。発信者が電話のキーパッドを使用して UM が有効になっていないユーザーに呼び出しを転送したり、連絡したりできるようにするには、それらのユーザーの DTMF マップの必要な値を作成する必要があります。ユニファイド メッセージングが有効になっていないユーザーの DTMF マップの値を作成するには、galgrammargenerator.exe -u コマンドを実行します。このコマンドは、Microsoft Exchange 内のすべてのユーザーの DTMF マップを更新します。galgrammargenerator.exe コマンドは、UM が有効になっていないすべてのユーザーの DTMF マップを更新または作成します。Set-User コマンドレットを -CreateDtmfMap パラメータと共に使用すると、1 人のユーザーの DTMF マップを作成および更新したり、DTMF マップが作成された後に名前が変更されたユーザーの DTMF マップを更新したりすることができます。必要に応じて、このコマンドレットを使用して Exchange 管理シェル スクリプトを作成し、複数のユーザーの DTMF マップ値を更新することができます。

Set-User Exchange 管理シェル コマンドレットの詳細については、「Set-User」を参照してください。

galgrammargenerator.exe の詳細については、「自動音声認識のディレクトリ参照について」を参照してください。

UM が有効なユーザーの DTMF マップ

発信者からの連絡が可能になるように、UM が有効な各ユーザーに対して DTMF マップが作成されます。既定では、ユーザーのユニファイド メッセージングを有効にすると、そのユーザーの DTMF マップが作成されます。これにより、外部の発信者、UM が有効になっていないユーザー、および電話のキーパッドを使用してユーザーの名前または電子メール エイリアスを指定する UM が有効なその他のユーザーから、UM が有効なユーザーに呼び出しを転送できるようになります。図 2 は、msExchUMDtmfMap 属性に DTMF マップ値が入力されたユーザー アカウントのプロパティを示しています。

図 2   値が入力された msExchUMDtmfMap 属性

値を含む msExchUMDtmfMap

UM が有効なユーザーに対して DTMF マップ値が作成されると、発信者はディレクトリ検索機能を使用できるようになります。発信者が電話のキーパッドを使用しているときにディレクトリ検索を使用する状況としては、次のような場合があります。

  • サブスクライバ アクセス番号を呼び出すときにユーザーを識別または検索する。
  • UM 自動応答を呼び出すときに UM が有効なユーザーを検索するか、または UM が有効なユーザーに呼び出しを転送する。

ユーザーのユニファイド メッセージングを有効にする方法の詳細については、「ユーザーのユニファイド メッセージングを有効にする方法」を参照してください。

ユーザーのユニファイド メッセージングが有効になった後で、そのユーザーの名、姓、または電子メール エイリアスが変更される場合があります。ユーザーの DTMF マップ値は、Active Directory 内では自動的に更新されません。発信者がユーザーの新しい姓または電子メール エイリアスを入力した場合に、そのユーザーの DTMF マップが名前または電子メール エイリアスの変更を反映するように更新されていないと、発信者はディレクトリ内でそのユーザーを検索したり、そのユーザーにメッセージを送信したり、そのユーザーに呼び出しを転送したりすることができません。ユーザーのユニファイド メッセージングが有効になった後でそのユーザーの DTMF マップを更新する必要がある場合は、Set-User コマンドレットを -CreateDtmfMap パラメータと共に使用します。また、UM が有効な複数のユーザーの DTMF マップを更新する必要がある場合は、このコマンドレットを使用して Exchange 管理シェル スクリプトを作成することができます。

note注 :
galgrammargenerator.exe -u コマンドを使用して、UM が有効なユーザーの DTMF マップを更新することもできます。ただし、galgrammargenerator.exe -u コマンドを使用した場合は、すべてのユーザーの DTMF マップが更新または作成されます。
Caution注意 :
ADSI Edit などのツールを使用してユーザーの DTMF 値を手動で変更すると、構成の不整合やその他のエラーが発生する可能性があるため、この方法はお勧めできません。ユーザーの DTMF マップを作成または更新する場合は、galgrammargenerator.exe または Set-User コマンドレットのみを使用することをお勧めします。

詳細情報

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。