メールボックスの移動
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2010-07-28
メールボックス データベース間、サーバー間、ドメイン間、Active Directory ディレクトリ サービス サイト間、およびフォレスト間で、メールボックスを移動できます。また、異なるバージョンの Exchange Server 間でメールボックスを移動することもできます。ここでは、メールボックスの移動に関するさまざまなシナリオおよびサポートされている方法について説明します。
メールボックスを移動するには、メールボックスの移動ウィザードまたは Move-Mailbox コマンドレットを使用できます。メールボックスの移動ウィザードを使用するには、Exchange 管理コンソールの操作ウィンドウに移動する必要があります。Move-Mailbox コマンドレットを使用するには、Exchange 管理シェルを使用する必要があります。
.gif "note") 注 : |
|---|
| フォレスト間でメールボックスを移動する場合は、メールボックスの移動ウィザードを使用できません。フォレスト間でメールボックスを移動するには、Move-Mailbox コマンドレットを使用する必要があります。 |
メールボックス移動のシナリオ
メールボックスの移動ウィザードと Move-Mailbox コマンドレットを使用すると、次のシナリオでメールボックスを移動できます。
- アップグレード 組織で使用している既存の Microsoft Exchange Server 2003 または Exchange 2000 Server 組織を Exchange Server 2007 にアップグレードするときは、既存の Exchange サーバーからメールボックス サーバーの役割がインストールされている Exchange 2007 サーバーに、メールボックスを移動します。この移動は、同じ Exchange フォレスト内でも異なるフォレスト間でも行うことができます。
- 負荷分散 既存の Exchange 2007 サーバー、Exchange 2003 サーバー、および Exchange 2000 サーバーの間で負荷を分散させるため、メールボックスを移動できます。たとえば、指定した限度よりサイズが大きいすべてのメールボックスを移動することができます。
- 再配置 指定した値に基づいてメールボックスを移動し、再配置することができます。たとえば、メールボックスを、あるデータベースから、よりサイズの限度が大きな別のデータベースに移動できます。
- 問題の調査 メールボックスに関する問題を調査する必要がある場合に、そのメールボックスを別のサーバーに移動できます。たとえば、メッセージが破損したすべてのメールボックスを、1 つのサーバーに移動することができます。
- 物理的な場所の変更 異なる Active Directory サイトにあるサーバーに、メールボックスを移動できます。たとえば、ユーザーが物理的に別の場所に移動する場合、そのユーザーのメールボックスを新しい場所に近いサイトのサーバーに移動できます。
- データベースの移動 データベース ファイル全体を新しい場所に移動した後、Move-Mailbox コマンドレットを使用して Active Directory の構成情報を変更し、すべてのメールボックスがデータベースの新しい場所を参照するように設定することができます。この種のデータベース移動は単一のフォレスト内でのみ行うことができ、フォレスト間では実行できません。
- メールボックスの結合 あるメールボックスの内容を別のメールボックスと結合することができます。
- 買収や合併の後のフォレスト間の移動 買収や合併などの組織的な変更の後では、2 つの異なる Exchange フォレストがフォレスト間のシナリオで同時に稼働している場合があります。その後、メールボックスを 1 つのフォレストに移動することがあります。このシナリオで、Move-Mailbox コマンドレットを使用してメールボックスを移動できます。フォレスト間の移動時にユーザーがメールボックスにアクセスできない時間を短縮するには、Move-Mailbox コマンドレットで AllowMerge パラメータを指定する方法があります。
- 再編成前のフォレスト間の移動 再編成などで組織を変更する前に、メールボックスのグループを別のフォレストに移動する場合があります。Move-Mailbox コマンドレットを使用すると、既存のフォレストから新しいフォレストにメールボックスを移動できます。フォレスト間の移動時にユーザーがメールボックスにアクセスできない時間を短縮するには、Move-Mailbox コマンドレットで AllowMerge パラメータを指定する方法があります。
- 管理役割の分離 Microsoft Exchange の管理を Microsoft Windows アカウントの管理から分離する場合があります。そのような場合は、メールボックスを単一のフォレストからリソース フォレストのシナリオに移動することができます。このシナリオでは、Microsoft Exchange メールボックスはあるフォレストに存在し、それに関連付けられた Windows ユーザー アカウントは別のフォレストに存在します。
- 電子メール管理のアウトソーシング 電子メールの管理をアウトソーシングし、Windows ユーザー アカウントの管理は続けたい場合があります。そのような場合は、メールボックスを単一のフォレストからリソース フォレストのシナリオに移動することができます。このシナリオでは、Microsoft Exchange メールボックスはあるフォレストに存在し、それに関連付けられた Windows ユーザー アカウントは別のフォレストに存在します。
- 電子メールの管理とユーザー アカウントの管理の統合 電子メールを分離またはアウトソーシングして管理するモデルから、電子メールとユーザー アカウントを同じフォレスト内から管理するモデルに、変更したい場合があります。そのような場合は、メールボックスをリソース フォレストのシナリオから単一フォレストに移動できます。このシナリオでは、Microsoft Exchange のメールボックスと Windows のユーザー アカウントが、同じフォレストに存在します。
Exchange 2007 と以前のバージョンの Exchange との間でのメールボックスの移動
Exchange 2003 または Exchange 2000 から Exchange 2007 にメールボックスを直接移動するには、メールボックスの移動ウィザードまたは Move-Mailbox コマンドレットを使用できます。Exchange システム マネージャまたは Active Directory ユーザーとコンピュータを使用して、Exchange 2003 または Exchange 2000 から Exchange 2007 にメールボックスを移動することはできません。
Microsoft Exchange Server version 5.5 から Exchange 2007 にメールボックスを直接移動することはできません。Exchange Server 5.5 から Exchange 2007 にメールボックスを移動するには、まずメールボックスを Exchange 2003 サーバーまたは Exchange 2000 サーバーに移動し、次に Exchange 2007 に移動する必要があります。Exchange Server 5.5 から Exchange 2000 にメールボックスを移動する方法の詳細については、「Microsoft Exchange Server version 5.5 から Microsoft Exchange 2000 Server へのメールボックスの移行」を参照してください。Exchange Server 5.5 から Exchange 2003 にメールボックスを移動する方法の詳細については、Exchange タスク ウィザードを使用してメールボックスを移動する方法に関するページを参照してください (このサイトは英語の場合があります)。
メールボックスを Exchange 2003 または Exchange 2000 から Exchange 2007 に移動し、そのメールボックスが電子メール アドレス ポリシーの一部である場合、そのメールボックスの電子メール アドレスは、電子メール アドレス ポリシーの構成に基づいて自動的に更新されます。メールボックスに、電子メール アドレス ポリシーによって適用される電子メール アドレスとは異なるプライマリ SMTP (簡易メール転送プロトコル) アドレスがある場合、その SMTP アドレスはセカンダリ SMTP アドレスとなり、電子メール アドレス ポリシーによって生成される電子メール アドレスがプライマリ SMTP アドレスになります。この動作は、Exchange 2003 および Exchange 2000 とは異なります。Exchange 2003 または Exchange 2000 では、移動されたメールボックスに電子メール アドレス ポリシーは適用されません。Exchange 2007 環境で、メールボックスのプライマリ SMTP アドレスが誤って変更されるのを防ぐには、電子メール アドレス ポリシーに基づいて電子メール アドレスが自動的に更新されないようにメールボックスを構成する必要があります。Exchange 2003 または Exchange 2000 のメールボックスを構成するには、[Active Directory ユーザーとコンピュータ] で、受信者を右クリックし、[プロパティ] を選択します。[電子メール アドレス] タブで [電子メール アドレス ポリシーに基づいて電子メール アドレスを自動更新する] チェック ボックスをオフにします。
Windows Server 2003 のドメイン コントローラではなく Windows 2000 Server のドメイン コントローラのみを含む以前のバージョンの Exchange を使用するフォレストの場合は、Move-Mailbox コマンドレットを使用してメールボックスを Exchange 2007 フォレストに移動することはできません。Move-Mailbox コマンドレットが通信できるのは、Windows Server 2003 のドメイン コントローラだけです。メールボックスを移動するには、移動元と移動先の両方のフォレストに、Windows Server 2003 ドメイン コントローラが少なくとも 1 つは存在する必要があります。
表 1 は、サポートされるメールボックスの移動と、各移動の種類に使用するツールの一覧です。
表 1 サポートされるメールボックス移動シナリオ
| メールボックスの移動 | Exchange 2000 に | Exchange 2003 に | Exchange 2007 に | ||
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Exchange 2000 から |
Exchange 2000 Server の Exchange タスク ウィザードを使用します。 |
Exchange Server 2003 の Exchange タスク ウィザードを使用します。 |
Exchange 2007 の Move-Mailbox コマンドレットまたはメールボックスの移動ウィザードを使用します。 |
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Exchange 2003 から |
Exchange 2003 の Exchange タスク ウィザードを使用します。 |
Exchange 2003 の Exchange タスク ウィザードを使用します。 |
Exchange 2007 の Move-Mailbox コマンドレットまたはメールボックスの移動ウィザードを使用します。
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Exchange 2007 から |
Exchange 2007 の Move-Mailbox コマンドレットまたはメールボックスの移動ウィザードを同じフォレスト内で使用します。
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Exchange 2007 の Move-Mailbox コマンドレットまたはメールボックスの移動ウィザードを使用します。 |
Exchange 2007 の Move-Mailbox コマンドレットまたはメールボックスの移動ウィザードを使用します。 |
共有メールボックスとリソース メールボックス
既定のユーザー メールボックスに加えて、Exchange 2007 では共有メールボックスとリソース メールボックスを作成できます。共有メールボックスは、複数のユーザーがログオンできるメールボックスです。リソース メールボックスは、会議室やビデオ機材などのリソースの種類を表すメールボックスです。リソース メールボックスの Active Directory には、容量などの、ユーザー メールボックスや共有メールボックスにはない追加プロパティがあります。
Exchange 2003 と Exchange 2000 は、リソース メールボックスをサポートしていません。代わりに、共有メールボックスを使用してリソースを表す必要があります。Exchange 2003 または Exchange 2000 から Exchange 2007 に共有メールボックスを移動する場合、Move-Mailbox コマンドレットは、共有 Exchange 2007 メールボックスとしてメールボックスを作成します。メールボックスを Exchange 2007 に移動した後、リソース メールボックスに変換できます。共有メールボックスをリソース メールボックスに変換する方法の詳細については、「メールボックスを変換する方法」を参照してください。
メールボックスの移動後の Outlook Web Access の使用
メールボックスを移動した後、移動したメールボックスに Microsoft Outlook Web Access を使用してアクセスするときに長い遅延が発生する場合があります。以下の条件が発生すると、この遅延は数分間続く場合があります。
- メールボックスを移動した後、初めて Outlook Web Access を使用してメールボックスにアクセスした。
- メッセージを受信した日付に基づいてユーザーの Outlook Web Access 表示が並べ替えられていない。
- メールボックスのサイズが 1 GB を超えている。
Outlook Web Access は Exchange データベースのメッセージ テーブルを使用して、並べ替えられたメッセージの表示を取得します。Exchange は、メッセージを受信した日付に基づいて並べ替えられた表示のメッセージ テーブルを自動的に作成します。他の表示については、Exchange はクライアントが要求するまでメッセージ テーブルを作成しません。大容量のメールボックスを保有しているユーザーやメッセージの受信日以外の基準でメールボックスを並べ替える表示を持つユーザーが、メールボックスの移動後に初めて Outlook Web Access を使用すると、Outlook Web Access は Exchange のメッセージ テーブルを要求します。このメッセージ テーブルの作成には、数分かかる可能性があります。
メッセージの単一インスタンスの記憶域とメールボックス移動時のストアへの影響
Exchange Server 5.5、Exchange 2000 Server、および Exchange Server 2003 は、メッセージの単一インスタンスの記憶域を保持します。ある受信者にメッセージが送信され、同じメールボックス ストア内に存在する他の受信者 20 人にそのメッセージがコピーされる場合、Exchange はデータベース内にメッセージのコピーを 1 つだけ保持します。その後、Exchange は、元の受信者と追加の受信者 20 人の両方を元のメッセージにリンクするポインタを作成します。元の受信者と追加の受信者 20 人が別のメールボックス ストアに移動される場合、メッセージのコピー 1 つだけが新しいメールボックス ストアで保持されます。
新しいメールボックス ストアは、同じサイト内の別のサーバー上または管理グループ内に置くことができます。サーバーが別のサイト内にある場合、Exchange Server 2003 Service Pack 1 (SP1) 以降のバージョンでメールボックスの移動ウィザードを使用した場合にのみ、単一インスタンスの記憶域が保持されます。メールボックスの移動ウィザードには管理グループ間の移動機能があり、管理グループ間でメールボックスを移動できます。
以前のバージョンの Exchange の場合、ExMerge ツールを使用する必要があります。ExMerge を使用すると、単一インスタンスの記憶域が失われる可能性があります。ExMerge の詳細については、マイクロソフト サポート技術情報の記事 174197「Microsoft Exchange Mailbox Merge Program (Exmerge.exe) について」を参照してください。
たとえば、次の構成について考えてみます。
サーバー 1 メールボックス ストア 1: ユーザー A、B、および C。サーバー 2 メールボックス ストア 1: ユーザー D。
ユーザー A が同じメッセージをユーザー B、ユーザー C、およびユーザー D に送信する場合、これらのユーザーは同じサーバー上に存在しているため、3 人のユーザーすべてについてメッセージの単一インスタンスがサーバー 1 上に作成されます。ユーザー A の送信済みアイテム フォルダ内のメッセージでさえも、ユーザー B とユーザー C の受信トレイ内のメッセージの単一インスタンスとなります。ユーザー D は別のサーバー上に存在しているため、メッセージはサーバー 2 に送信されて格納されます。
| 注 : |
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| 同じサーバー上に存在しているが、送信者とは別のメールボックス ストア上にあるユーザーにメッセージが送信される場合、そのメールボックス ストアにもメッセージが格納されます。 |
ユーザーの移動時には、各受信メッセージが、クライアントでは表示できない内部的に割り当てられた ID と比較して確認されます。Exchange により、受信メッセージが複製されたものであることが確認された場合、新しく移動されたユーザーを指す既存のメッセージ用のポインタが設定されます。ユーザー B がサーバー 2 に移動されるとします。ユーザー D が持つメッセージのコピーに基づいて、メッセージの単一インスタンスがユーザー B 用に作成されます。これが当てはまるのは、ユーザー D がメッセージを削除していなかった場合です。ユーザー D が既にメッセージを削除していた場合、メッセージの単一インスタンスは、ユーザー D の削除済みアイテム フォルダ内にあるメッセージのコピーに基づいて作成されます。さらに、ユーザー D が削除済みアイテム フォルダ内のメッセージのコピーを削除した場合、新しいメッセージが作成され、サーバー 2 に送信されます。
ユーザー B とユーザー C がサーバー 2 に移動される場合、同様の処理が行われます。Exchange では、ユーザー B とユーザー C のメッセージの単一インスタンスを保持します。このことは、ユーザー D の受信トレイ内にあるメッセージに基づきます。ユーザー D が既にメッセージを削除していた場合、メッセージの単一インスタンスは、ユーザー D の削除済みアイテム フォルダ内にあるメッセージに基づいて作成されます。ユーザー D が既に削除済みアイテム フォルダを空にしていた場合、新しいメッセージが作成され、サーバー 2 に送信されます。
詳細情報
単一の Microsoft Exchange フォレスト内でメールボックスを移動する方法の詳細については、「単一フォレスト内でメールボックスを移動する方法」を参照してください。
異なる Microsoft Exchange フォレスト間でメールボックスを移動する方法の詳細については、「フォレスト間でメールボックスを移動する方法」を参照してください。
メールボックスを結合する方法の詳細については、「メールボックスを結合する方法」を参照してください。
自動検出を管理する方法の詳細については、「自動検出サービスの管理」を参照してください。
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。