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EdgeSync および送信コネクタ

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-03-01

エッジ トランスポート サーバーが Microsoft Exchange 組織で購読された後、そのエッジ トランスポート サーバー用の送信コネクタのすべての構成はハブ トランスポート サーバー上で実行する必要があります。その後、EdgeSync の同期プロセスは、構成データの一部として、これらの送信コネクタを Active Directory Application Mode (ADAM) ディレクトリ サービスにレプリケートします。ここでは、EdgeSync の同期プロセス中に自動的に作成される送信コネクタと、エッジ サブスクリプションがエッジ トランスポート サーバー用の送信コネクタの構成にどのように影響するかについて説明します。

自動的に作成される送信コネクタ

既定では、エッジ サブスクリプション ファイルをハブ トランスポート サーバーにインポートしてエッジ サブスクリプション プロセスを完了すると、インターネットと Exchange 組織の間のエンド ツー エンドのメール フローを可能にするために必要な送信コネクタが自動的に作成されます。エッジ トランスポート サーバー上の既存の送信コネクタは削除されます。送信コネクタの自動作成を抑制し、送信コネクタの手動構成を選択することもできます。購読済みのエッジ トランスポート サーバー用の送信コネクタの手動構成については、後の「送信コネクタの手動構成」で説明します。

EdgeSync の同期プロセスでは、以下の送信コネクタが準備されます。

  • Exchange 組織からインターネットに電子メール メッセージを中継するように構成された送信コネクタ
  • エッジ トランスポート サーバーから Exchange 組織に電子メール メッセージを中継するように構成された送信コネクタ

また、Exchange 組織でエッジ トランスポート サーバーを購読することによって、エッジ トランスポート サーバーを購読する Active Directory ディレクトリ サービス サイト内にあるハブ トランスポート サーバーが、組織内の送信コネクタを使用してそのエッジ トランスポート サーバーにメッセージを中継できるようになります。これらの送信コネクタについて、以降のセクションで説明します。

自動的に作成されるインターネットへの送信コネクタ

ハブ トランスポート サーバー上の Exchange 管理シェルで New-EdgeSubscription コマンドレットを実行する際に、CreateInternetSendConnector パラメータは既定で $true に設定されます。次の表は、この送信コネクタの既定の構成を示しています。

インターネット送信コネクタの自動構成

パラメータ

Name

EdgeSync - <サイト名> からインターネットへ

AddressSpace

SMTP:*;100

SourceServer

エッジ サブスクリプションの名前

note注 :
エッジ サブスクリプションの名前は、購読済みのエッジ トランスポート サーバーの名前と同じです。

Enabled

True

DNSRoutingEnabled

True

DomainSecureEnabled (相互認証 TLS)

True

同一の Active Directory サイトで複数のエッジ トランスポート サーバーを購読している場合、インターネットへの送信コネクタが追加作成されることはありません。代わりに、すべてのエッジ サブスクリプションが送信元サーバーとして同一の送信コネクタに追加されます。この構成では、インターネットへの送信接続は、購読済みのエッジ トランスポート サーバー間で負荷分散されます。

この送信コネクタは、Exchange 組織からすべてのリモート SMTP (簡易メール転送プロトコル) ドメインに電子メール メッセージを送信するように構成されます。この送信コネクタでは、DNS (ドメイン ネーム システム) ルーティングを使用して、ドメイン名を MX (mail exchange) レコードに解決します。このコネクタの構成は手動で変更できます。ただし、たとえばスマート ホスト経由で送信電子メールをルーティングする必要があるような場合は、このコネクタの作成を抑制し、インターネットへの送信コネクタを手動で構成することができます。

note注 :
スマート ホストを使用して電子メールをルーティングするように構成された送信コネクタでは、DNSRoutingEnabled パラメータが $false に設定されている必要があります。また、DNSRoutingEnabled パラメータを $false に設定する場合は、DomainSecureEnabled パラメータも $false に設定する必要があります。

自動的に作成される受信用の送信コネクタ

ハブ トランスポート サーバー上の Exchange 管理シェルで New-EdgeSubscription コマンドレットを実行する際に、CreateInboundSendConnector パラメータは既定で $true に設定されます。Exchange 管理コンソールでエッジ サブスクリプションの新規作成ウィザードを使用する場合は、このパラメータの値は変更できません。次の表は、この送信コネクタの構成を示しています。

受信用の送信コネクタの自動構成

パラメータ

Name

<サイト名> への EdgeSync 受信

AddressSpace

SMTP:--;1

SourceServer

エッジ サブスクリプションの名前

Enabled

True

DNSRoutingEnabled

False

SmartHosts

--

受信用の送信コネクタのアドレス スペース内のプレースホルダ -- は、Exchange 組織の権限のあるドメインおよび内部の中継が承認されているドメインを表し、リテラル文字が表示されます。エッジ トランスポート サーバーが受信する、権限のあるドメインや内部の中継が承認されているドメイン宛てのメッセージは、この送信コネクタにルーティングされ、スマート ホストに中継されます。

スマート ホストの一覧内のプレースホルダ -- は、購読済みの Active Directory サイト内にあるすべてのハブ トランスポート サーバーを表し、リテラル文字が表示されます。エッジ サブスクリプションが確立された後で Active Directory サイトに追加されるハブ トランスポート サーバーは、EdgeSync の同期プロセスに参加しません。ただし、受信用の送信コネクタのスマート ホストの一覧には自動的に追加されます。購読済みの Active Directory サイトに複数のハブ トランスポート サーバーがある場合、受信接続はスマート ホスト間で負荷分散されます。

受信用の送信コネクタのアドレス スペースまたはスマート ホストの一覧を変更することはできません。ただし、ハブ トランスポート サーバー上でエッジサブスクリプションを作成する際に、Exchange 管理シェルで New-EdgeSubscription コマンドレットを使用する場合は、CreateInboundSendConnector パラメータの値を $false に設定することができます。これを行った場合は、受信用コネクタが作成されないため、エッジ トランスポート サーバーから Exchange 組織への送信コネクタを手動で構成する必要があります。

最初の EdgeSync の同期が完了すると、購読済みのエッジ トランスポート サーバー上の Exchange 管理シェルで Get-SendConnector コマンドレットを実行して、これらの送信コネクタが作成されていることを確認することができます。

組織内の送信コネクタ

組織内の送信コネクタは、Exchange Server 2007 によって自動的に計算される暗黙的で非表示の送信コネクタで、同じ組織内のハブ トランスポート サーバーが明示的な送信コネクタを使用せずに相互にメッセージを中継できるようにします。エッジ サブスクリプション用として Active Directory サイトとの関連付けを持つ構成オブジェクトが Active Directory 内に存在するため、組織内の送信コネクタは、エッジ トランスポート サーバーにメッセージを中継するためにも使用されます。

エッジ トランスポート サーバーを購読する同一の Active Directory サイト内にあるハブ トランスポート サーバーのみが、購読済みのエッジ トランスポート サーバーとの間で直接電子メールを送受信できます。複数サイトのフォレストがあり、Exchange 2007 が複数のサイトに展開されている場合、購読済みサイト以外のサイト内のハブ トランスポート サーバーは、送信電子メールを購読済みサイトにルーティングします。購読済みサイト内のハブ トランスポート サーバーは、送信電子メールをエッジ トランスポート サーバーにルーティングします。

次の図は、Exchange 組織内の購読済み以外の Active Directory サイトからの送信メール フローを示しています。2 つのサイトを持つ Active Directory フォレストで、エッジ サブスクリプションとサイト A が関連付けられています。サイト B からインターネット受信者にメッセージが送信される場合、最初にサイト A に中継されます。サイト A の受信側のハブ トランスポート サーバーは、組織内の送信コネクタを使用してエッジ トランスポート サーバーにメッセージを中継します。次に、エッジ トランスポート サーバーは、受信者ドメインへの配信のために、自動的に作成された EdgeSync – サイト A からインターネットへ送信コネクタにメッセージをルーティングします。

エッジ サブスクリプションでの送信メール フロー

次の図は、購読済みのエッジ トランスポート サーバーを経由するインターネットからの受信メール フローを示しています。この例では、サイト B のメールボックス サーバー上にメールボックスが置かれている受信者宛てのメッセージが受信されます。エッジ トランスポート サーバーは、メッセージを受信し、サイト A への EdgeSync 受信送信コネクタにメッセージをルーティングします。サイト A の受信側のハブ トランスポート サーバーは、組織内の送信コネクタを使用してサイト B にメッセージをルーティングします。

エッジ サブスクリプションでの受信メール フロー

送信コネクタの手動構成

Active Directory サイトでエッジ トランスポート サーバーを購読すると、エッジ トランスポート サーバー上で送信コネクタを作成および変更するためのタスクが無効になります。送信元サーバーとしてエッジ トランスポート サーバーを指定する送信コネクタを作成する場合は、Exchange 組織内部に送信コネクタを作成します。送信コネクタの送信元サーバーとして 1 つまたは複数のエッジ サブスクリプションを指定できます。同一の送信コネクタの送信元サーバーとしてハブ トランスポート サーバーとエッジ サブスクリプションの両方を指定することはできません。この送信コネクタは、EdgeSync の同期プロセスによって構成データが次回同期されるときに、送信元サーバーとして構成されているエッジ トランスポート サーバー上の ADAM インスタンスにレプリケートされます。送信元サーバーとして複数のエッジ サブスクリプションを指定した場合、その送信コネクタへの接続は、購読済みのエッジ トランスポート サーバー間で負荷分散されます。ただし、負荷分散が行われるためには、エッジ トランスポート サーバーが同じ Active Directory サイトで購読されている必要があります。異なる Active Directory サイト内のエッジ サブスクリプションが同一の送信コネクタで送信元サーバーとして構成されている場合、ハブ トランスポート サーバーは最も近い送信元サーバーのみにルーティングします。

以下のシナリオでは、送信コネクタを手動で作成する必要があります。

  • インターネット送信コネクタまたは受信用の送信コネクタの自動作成を抑制した。
  • 外部の中継ドメインとして構成されている承認済みドメインがある。

送信コネクタの自動作成の抑制

Exchange 組織のトポロジによっては、送信コネクタの自動作成を抑制する方がいい場合があります。以下のシナリオは、送信コネクタの自動作成を抑制する必要があるトポロジの例を示しています。

メール フローのパーティション分割

2 つのエッジ トランスポート サーバー間で受信メール処理と送信メール処理をパーティション分割する場合があります。このシナリオでは、1 つのエッジ トランスポート サーバーが送信メール フローの処理を担当し、もう 1 つのエッジ トランスポート サーバーが受信メール フローの処理を担当します。このシナリオを実現するには、次のようにエッジ サブスクリプションを構成します。

  • 送信メール フローのみを処理するエッジ トランスポート サーバー用に、ハブ トランスポート サーバー上の Exchange 管理シェルで次のコマンドを実行します。

    New-EdgeSubscription -File "c:\edge1subscriptionfile.xml" -Site "Site-A" -CreateInboundSendConnector $false -CreateInternetSendConnector $true
    
  • 受信メール フローのみを処理するエッジ トランスポート サーバー用に、ハブ トランスポート サーバー上の Exchange 管理シェルで次のコマンドを実行します。

    New-EdgeSubscription -File "c:\edge2subscriptionfile.xml" -Site "Site-A" -CreateInboundSendConnector $true -CreateInternetSendConnector $false
    

スマート ホストへの送信電子メールのルーティング

Exchange 組織がすべての送信電子メールをスマート ホスト経由でルーティングする場合、既定で自動的に作成されるインターネットへの送信コネクタでは正しい構成が行われません。

このシナリオでは、ハブ トランスポート サーバー上の Exchange 管理シェルで次のコマンドを実行して、インターネットへの送信コネクタの自動作成を抑制します。

New-EdgeSubscription -File "c:\edgesubscriptionfile.xml" -Site "Site-A" -CreateInternetSendConnector $false

エッジ サブスクリプション プロセスが完了した後で、インターネットへの送信コネクタを手動で作成します。Exchange 組織内部の送信コネクタを作成し、このコネクタの送信元サーバーとしてエッジ サブスクリプションを選択します。使用法として [カスタム] を選択し、1 つまたは複数のスマート ホストを構成します。EdgeSync が構成データを次回同期するときに、この送信コネクタはエッジ トランスポート サーバー上の ADAM インスタンスにレプリケートされます。ハブ トランスポート サーバー上の Exchange 管理シェルで Start-EdgeSynchronization コマンドレットを実行することによって、EdgeSync の同期を強制的に直ちに開始することもできます。

次のコードは、Exchange 管理シェルを使用して、購読済みのエッジ トランスポート サーバー用の送信コネクタを構成し、すべてのインターネット アドレス スペース宛てのメッセージをスマート ホスト経由でルーティングする方法の例を示しています。このタスクは、エッジ トランスポート サーバー上ではなく、Exchange 組織内部で実行します。

New-SendConnector -Name "EdgeSync - Site-A to Internet" -Usage Custom -AddressSpaces SMTP:*;100 -DNSRoutingEnabled $false -SmartHosts 192.168.10.1 -SmartHostAuthMechanism None -SourceTransportServers EdgeSubscriptionName
important重要 :
この例では、スマート ホストの認証機構を指定していません。自分の Exchange 組織でスマート ホスト コネクタを作成するときには、正しい認証機構を構成し、必要な資格情報をすべて指定してください。

外部の中継ドメイン用の送信コネクタの構成

外部の中継ドメインとして構成されている承認済みドメインが Exchange 組織内にある場合は、これらのアドレス スペース用の送信コネクタを手動で作成する必要があります。外部の中継ドメインに配信されるメッセージは、エッジ トランスポート サーバーによって中継されます。エッジ サブスクリプション プロセスでは、外部の中継ドメイン用の送信コネクタは自動的に作成および構成されません。このため、これらのドメイン用の送信コネクタを構成し、これらの送信コネクタの送信元サーバーとして 1 つまたは複数のエッジ サブスクリプションを指定する必要があります。

外部の中継ドメイン用の DNS MX リソース レコードは、エッジ トランスポート サーバーに解決されます。外部の中継ドメインに電子メールを中継する送信コネクタは、ルーティングにスマート ホストを使用するように構成します。DNS ルーティングを使用するように外部の中継ドメイン用の送信コネクタを構成すると、ルーティング ループが発生します。外部の中継ドメインの詳細については、「承認済みドメインの管理」を参照してください。

詳細情報

詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。