保持タグおよびアイテム保持ポリシーについて

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2016-11-28

メッセージング レコード管理 (MRM) は Microsoft Exchange Server 2010 のレコード管理テクノロジで、組織における電子メールおよびその他の通信に関連する法的リスクの軽減に役立ちます。MRM を使用すると、企業ポリシー、政府規制、または法的要件への準拠に必要なメッセージを保持し、法的価値またはビジネス上の価値を持たなくなったコンテンツを削除することがより簡単になります。

組織は、電子メール メッセージの各種クラスに保存期間を指定する MRM ポリシーを作成します。ただし、これまで多くの場合、これらのポリシーの適用は困難でした。MRM プロセスを自動化する試みも、限られた成果しか上げていません。Exchange 2010 の MRM 機能は、これらの課題に対応するものです。

MRM に関連する管理タスクについては、「メッセージング レコード管理の展開」を参照してください。

目次

メッセージング レコード管理戦略

要件

保持タグ

アイテム保持ポリシー

管理フォルダー アシスタント

保存機能

メッセージング レコード管理戦略

Exchange 2010 の MRM は、保持タグおよびアイテム保持ポリシーを使用することによって実行されます。これらの各保持機能の詳細を説明する前に、Exchange 2010 MRM 戦略全体で機能を使用する方法を理解することは重要です。この方法は、以下の作業に基づきます。

  • 保持ポリシー タグ (RPTs) を [受信トレイ] などの既定フォルダーに割り当てます。

  • 既定ポリシー タグ (DPT) をメールボックスに適用して、タグがないすべてのアイテムの保持を管理します。

  • ユーザーに個人タグをカスタムフォルダーおよび個別アイテムに割り当てることを許可します。

  • MRM 機能をユーザーの受信トレイの管理およびファイリング慣行から切り離します。ユーザーは、保持要件に基づいて管理フォルダー内のメッセージをファイリングする必要がありません。個々のメッセージには、それらが置かれたフォルダーに適用される保持タグではなく別の保持タグを設定できます。

次の図に、この方式の実装に必要になる作業を示します。

メッセージング レコード管理戦略

メッセージング レコード管理戦略

要件

次の表は、メールボックス サーバーとクライアント アプリケーションの要件を示しています。

アイテム保持タグとアイテム保持ポリシーの要件

場所 要件

メールボックス サーバー

Exchange 2010 が必要です。

クライアント アプリケーション (保持タグの表示および個人タグの適用のため)

Microsoft Outlook 2010 および Microsoft Office Outlook Web App ユーザーのみが個人タグを適用し、メールボックスまたはアイテムに適用されている保持タグを表示します。

注意

アイテム保持ポリシーはメールボックス サーバーで処理されるため、組織のユーザーが使用する Outlook バージョンとは無関係です。アイテム保持ポリシーは、Microsoft Office Outlook 2007 および以前のバージョンを実行しているユーザー メールボックスにも適用できます。このような場合、アイテム保持ポリシー内のアイテム保持ポリシー タグ (RPT) はメールボックス内の既定フォルダーに、既定のポリシー タグ (DPT) はタグがないメールボックス アイテムに適用されます。

メッセージング レコード管理戦略

保持タグ

前の図に示すように、保持タグはフォルダーと、電子メール メッセージやボイス メールなどの個別アイテムに保存期間の設定を適用するために使用されます。これらの設定は、メールボックス内にメッセージを残す期間と、指定されたメッセージ保存期限に達したときに行われる操作を指定します。メッセージの保存期限に達すると、メッセージは個人用アーカイブに移動されるか、削除されます。

管理フォルダー (Exchange Server 2007 で導入された MRM 機能) と異なり、保持タグを使用すると、ユーザーがメールボックス フォルダーと個別アイテムに保持用のタグを付けることができます。ユーザーは、メッセージ保持要件に基づいて管理者によって準備された管理フォルダー内のアイテムをファイリングする必要がなくなりました。

注意

管理フォルダーは Exchange 2010 でも利用できます。詳細については、「管理フォルダーについて」を参照してください。

保持タグの種類

保持タグには次の 3 種類があります。

  • 既定のポリシー タグ   DPT はメールボックス全体の中にあるタグがないメールボックス アイテムに適用します。タグのないアイテムは、それらが置かれたフォルダーからの継承またはユーザーのいずれかによって、保持タグがまだ適用されていないメールボックス アイテムです。

  • **保持ポリシー タグ  ** RPT は、保存期間の設定を [受信トレイ]、[削除済みアイテム]、および [送信済みアイテム] などの既定のフォルダーに適用します。RPT が適用された既定フォルダーのメールボックス アイテムは、フォルダーのタグを継承します。ユーザーは既定フォルダーに適用された RPT を適用または変更できませんが、既定のフォルダー内のアイテムに別のタグを適用できます。

    次の表に示すフォルダーに RPT を作成できます。

    RPT を作成可能なフォルダー

    フォルダー名 詳細

    予定表

    この既定のフォルダーは会議および予定を格納するために使用します。

    重要

    予定表およびタスクの既定フォルダーの RPT は、Microsoft Exchange Server 2010 SP2 RU4 でサポートされます。詳細については、Exchange Server Team Blog の記事「Exchange 2010 SP2 RU4 での予定表とタスクの保持タグのサポート」を参照してください。

    会話の履歴

    このフォルダーは、Microsoft Lync (以前の Microsoft Office Communicator) で作成されます。Outlook では既定のフォルダーとしては扱われていませんが、Exchange では特殊なフォルダーとして扱われており、RPT を適用できます。

    削除済みアイテム

    この既定フォルダーは、メールボックスの他のフォルダーから削除されたアイテムを格納するために使用します。Outlook および Outlook Web App ユーザーは、このフォルダーを手動で空にできます。また、Outlook を終了する際にフォルダーを空にするように Outlook を構成することもできます。

    下書き

    この既定フォルダーは、ユーザーが送信していない下書きメッセージを格納するために使用します。Outlook Web App では、ユーザーが送信したが、ハブ トランスポート サーバーに送信されていないメッセージを保存するためにもこのフォルダーを使用します。

    受信トレイ

    この既定フォルダーは、メールボックスに送信されたメッセージを格納するために使用します。

    ジャーナル

    この既定フォルダーには、ユーザーが選択した操作が格納されます。これらのアクションは、Outlook によって自動的に記録され、タイムライン ビュー内に置かれます。

    迷惑メール

    この既定フォルダーは、Exchange サーバーのコンテンツ フィルター、または Outlook 内のスパム対策フィルターによって迷惑メールとしてマークされたメッセージを保存するために使用します。

    メモ

    このフォルダーには、Outlook でユーザーが作成したメモが格納されます。これらのメモは、Outlook Web App でも表示できます。メモ フォルダーに対する RPT は、Exchange 2010 SP1 でのみサポートされています。

    送信トレイ

    この既定フォルダーは、ユーザーが送信したメッセージを、ハブ トランスポート サーバーに送信されるまでの間一時的に格納するために使用します。送信されたメッセージのコピーは、既定の [送信済みアイテム] フォルダーに保存されます。通常、メッセージがこのフォルダーに維持されるのは短期間であるため、このフォルダーに RPT を作成する必要はありません。

    RSS フィード

    この既定フォルダーには RSS フィードが含まれます。

    回復可能なアイテム

    これは、非 IPM サブツリーの隠しフォルダーです。これには、Deletions、Versions、Purges および Audits サブフォルダーが含まれます。このフォルダーのアイテム保持タグは、ユーザーのプライマリ メールボックスの回復可能なアイテム フォルダーから、ユーザーのアーカイブ メールボックスの回復可能なアイテム フォルダーに移動します。このフォルダーのタグに対して [アーカイブへ移動] 保存期間用のアクションだけを割り当てることができます。詳細については、「回復可能なアイテムについて」を参照してください。

    送信済みアイテム

    この既定フォルダーは、ハブ トランスポート サーバーに送信されたメッセージを格納するために使用します。

    同期の問題

    このフォルダーには同期ログが含まれます。詳細については、「同期エラー フォルダー」を参照してください (このサイトは英語の場合があります)。

    タスク

    この既定フォルダーにはタスク アイテムが含まれます。ユーザーによりフラグを設定されたメッセージも To-Do 一覧ビューに表示されます。ただし、これらのメッセージはタスク アイテムではないため、タスク フォルダーには存在しません。

    タスク フォルダー用の RPT を作成するには、Exchange 管理シェル を使用する必要があります。詳細については、「New-RetentionPolicyTag」を参照してください。

    > [!IMPORTANT]
    > 予定表およびタスクの既定フォルダーの RPT は、Exchange Server 2010 SP2 RU4 でサポートされます。詳細については、Exchange Server Team Blog の記事「<A href="https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=263478">Exchange 2010 SP2 RU4 での予定表とタスクの保持タグのサポート</A>」を参照してください。
    
    > [!IMPORTANT]
    > 1 つのアイテム保持ポリシー内に同じ既定フォルダー タイプの複数の RPT を指定できません。たとえば、アイテム保持ポリシーに受信ボックス タグがある場合、受信トレイ タイプの別の RPT をその保持ポリシーに追加することはできません。<BR>連絡先フォルダーには RPT を適用できません。
    
    • 個人タグ   個人タグは Outlook 2010 および Outlook Web App ユーザーが自身のアイテム保持ポリシーの一部として使用できます。ユーザーは、既に別のタグが適用されている場合でも、作成するフォルダーまたは個別のアイテムに個人タグを適用できます。Outlook 2010 および Outlook Web App では、次の図のように、[アーカイブへ移動] アクションを持つ個人タグは、[アーカイブ ポリシー] として表示され、[削除して回復を許可する] または [完全に削除] アクションを持つ個人タグは [アイテム保持ポリシー] として表示されます。

      Outlook 2010 および Outlook Web App での個人タグ

      個人タグが適用されているメッセージは常に、その個人タグの設定に基づいて処理されます。作成する個人タグに依存して、ユーザーはメッセージに対して個人タグを適用して、DPT または RPT で指定した設定がユーザーのメールボックスに適用されると、遅かれ早かれ移動または削除されるようにします。また、保存期間の設定を無効化した保持タグを作成することも可能です。これにより、ユーザーはアイテムにタグ付けをすることで、アイテムがアーカイブに移動されたり、有効期限が切れたりしないようにします。

      注意

      ユーザーはアーカイブ ポリシーを既定のフォルダー、ユーザーが作成したフォルダーまたはサブフォルダー、および個別アイテムに適用できます。ユーザーはアイテム保持ポリシーを、ユーザーが作成したフォルダーまたはサブフォルダーおよび個別アイテム (サブフォルダーおよび既定のフォルダー内のアイテムを含む) に適用できますが、既定のフォルダーには適用できません。

      Exchange 2010 SP1 では、ユーザーは Exchange コントロール パネル (ECP) を使用して、アイテム保持ポリシーにリンクしていない追加の個人タグを選択します。すると、選択されたタグが Outlook 2010 および Outlook Web App で利用できるようになります。ユーザーが ECP から追加のタグを選択できるようにするには、MyRetentionPolicies 役割 をユーザーの役割の割り当てポリシーに追加する必要があります。ユーザーの役割割り当てポリシーの詳細については、「管理役割の割り当てポリシーについて」を参照してください。ユーザーが追加の個人タグを選択できるようにすると、Exchange 組織のすべての個人タグをユーザーが利用できるようになります。

      注意

      個人タグは、プレミアム機能です。これらのタグを含むポリシーを持つメールボックス (またはユーザーがタグを自身のメールボックスに追加した結果として) は、Exchange Enterprise クライアント アクセス ライセンス (CAL) が必要です。

    保存期限と保存期間用のアクション

    保持タグを有効にする場合、タグの保存期限を指定する必要があります。この保存期限とは、メッセージがユーザーのメールボックスに到着した後に保持される日数を指します。

    電子メール メッセージなどの定期的でないアイテムの保存期限は、終了日が設定されているアイテムや、会議やタスクなどの定期的なアイテムとは異なった方法で計算されます。各種アイテムの保存期限の計算方法については、「保存期間の計算方法」を参照してください。

    保存期間の設定を無効化した保持タグを作成したり、保持タグの作成後にタグを無効化することも可能です。無効化されたタグが適用されたメッセージは管理フォルダー アシスタントによって処理されないため、保存期間用のアクションは実行されません。そのため、ユーザーは無効化された個人タグを [移動しない] タグまたは [削除しない] タグとして使用すれば、普通ならメッセージに適用されるはずの DPT や RPT を無効にできます。

    RPT を作成または構成する際は、次のアクションのいずれかを選択して、メールボックス アイテムが保存期限に到達したときに実行する必要がある保存期間用のアクションを指定できます。

    • アーカイブへ移動   ユーザーのアーカイブ メールボックスにメッセージを移動します。このアクションが適用されるタグは、アーカイブ タグと呼ばれます。メッセージは、ユーザーのプライマリ メールボックス内の移動元フォルダーと同じ名前のアーカイブ メールボックス内のフォルダーに移動されます。これにより、ユーザーが簡単にアーカイブ メールボックス内でメッセージを特定できるようになります。[アーカイブへ移動] アクションは、DPT と個人タグに対してのみ使用できます。[アーカイブへ移動] アクションを指定して RPT を作成できません。メールボックス ユーザーがアーカイブ メールボックスを持っていない場合は、何のアクションも実行されません。アーカイブ メールボックスの詳細については、「個人アーカイブについて」を参照してください。

    • 削除して回復を許可する   [削除済みアイテム] フォルダーが空になるときの動作をエミュレートします。このアクションが適用されるタグは、削除タグと呼ばれます。このアクションが発生すると、削除済みアイテムの保持がメールボックス データベースまたはユーザーに構成され、メッセージが [回復可能なアイテム] フォルダーに移動します。[回復可能なアイテム] フォルダー (以前は「収集」と呼ばれていたフォルダー) は、削除済みメッセージを回復する機会をもう 1 度ユーザーに提供します。これを行うために、ユーザーは Outlook 2010 または Outlook Web App の [削除済みアイテムを復元] ダイアログ ボックスにアクセスします。回復可能なアイテムの詳細については、「回復可能なアイテムについて」を参照してください。

    • 完全に削除   メッセージを完全に削除します。[削除して回復を許可する] アクションを設定したタグと同様、このアクションが適用されたタグは削除タグとも呼ばれます。このアクションがメッセージに適用されると、メールボックスから削除されます。このアクションは、削除済みメッセージを [回復可能なアイテム] フォルダーから削除することに似ています。これが行われると、ユーザーはメッセージを回復できません。

    • [保存期限経過としてマークする]   このアクションは、Exchange 管理コンソール (EMC) では利用できません。シェルを使用する必要があります。このアクションは、メッセージがその保持期限に達したあとに、有効期限切れとしてマークします。Outlook 2010 および Outlook Web App では、保存期間が経過したアイテムは、「このアイテムは有効期限が切れています」および「このアイテムは、0 日後に期限が切れます」で始まる通知と共に表示されます。Outlook 2007 では、保存期間経過としてマークされたアイテムは取り消し線付きのテキストで表示されます。

      重要

      メールボックス ユーザーに対して訴訟ホールドが有効になっている場合、完全に削除されたアイテムは、訴訟ホールドが削除されるまで [回復可能なアイテム] フォルダーに維持されます。複数のメールボックス検索では、これまでどおり完全に削除されたメッセージが検索結果に返されます。詳細については、「訴訟ホールドについて」と「複数のメールボックスの検索について」を参照してください。
      メールボックスに対して単一アイテムの回復が有効である場合、メールボックス データベースの削除済みアイテムの保存期間 (または、指定した場合は、メールボックスの削除済みアイテムの保存期間) に達するまで、完全に削除されたアイテムは [回復可能なアイテム] フォルダー内に維持されます。詳細については、「回復可能なアイテムについて」を参照してください。
      Exchange 2010 SP1 では、[削除済みアイテム フォルダーに移動する] および [管理されたカスタム フォルダーに移動する] アクションは、保持タグから削除されました。

    保持タグの作成方法については、「保持タグの作成」を参照してください。

    メッセージング レコード管理戦略

    アイテム保持ポリシー

    アイテム保持ポリシーを使用すると、1 つまたは複数の保持タブをグループ化して、それらをメールボックスに適用できます。メールボックスには複数のアイテム保持ポリシーを設定することはできません。保持タグは、いつでもアイテム保持ポリシーにリンク可能で、またリンク解除が可能です。変更は、ポリシーが適用されたすべてのメールボックスに対して自動的に有効になります。

    アイテム保持ポリシーは、次の保持タグを持つことができます。

    • サポートされている既定フォルダー用の 1 つまたは複数の RPT

      注意

      同じ保持ポリシーに特定の既定フォルダー ([削除済みアイテム] など) 用の複数の RPT を指定できません。

    • [アーカイブへ移動] アクションを持つ 1 つの DPT

    • [削除して回復を許可する] または [完全に削除] アクションを持つ 1 つの DPT

    • Exchange 2010 SP1 のボイス メール メッセージ用の 1 つの DPT

    • 個人タグの数

    アイテム保持ポリシーには個人タグをいくつでも追加できますが、さまざまな保存期間の設定がある個人タグを数多く設定するとユーザーを混乱させることがあります。アイテム保持ポリシーにリンクする個人タグは 10 以下にすることをお勧めします。

    注意

    アイテム保持ポリシーに保持タグをリンクする必要はありませんが、このシナリオの使用はお勧めしません。アイテム保持ポリシー付きのメールボックスに保持タグがリンクされていない場合、メールボックス アイテムが期限切れにならないことがあります。

    アイテム保持ポリシーには、アーカイブ タグ (個人用アーカイブ メールボックスにアイテムを移動するタグ) および削除タグ (アイテムを削除するタグ) の両方を含めることができます。 また、メールボックス アイテムには両方のタイプのタグを適用させることもできます。アーカイブ メールボックスには、別のアイテム保持ポリシーはありません。プライマリ メールボックスとアーカイブ メールボックスには同じアイテム保持ポリシーが適用されます。

    アイテム保持ポリシーの作成を計画する場合は、アイテム保持ポリシーにアーカイブ タグと削除タグの両方を含めるかどうかを検討する必要があります。前述したように、アイテム保持ポリシーには、[アーカイブへ移動] アクションを使用する DPT を 1 つ、[削除して回復を許可する] または [完全に削除] アクションのいずれかを使用する DPT を 1 つ含めることができます。[アーカイブへ移動] アクションを持つ DPT の保存期間は、削除アクションを持つ DPT の保存期間より短く指定する必要があります。たとえば、[アーカイブへ移動] アクションを持つ DPT を使用して 2 年後にアーカイブ メールボックスにアイテムを移動し、削除アクションを持つ DPT を使用して 7 年後にメールボックスからアイテムを削除できます。

    アイテム保持ポリシーの作成方法については、「アイテム保持ポリシーの作成」を参照してください。

    保持ポリシーをアイテム保持ポリシーに追加する方法の詳細については、「アイテム保持ポリシーに保存期間タグを追加する」を参照してください。

    メールボックスにアイテム保持ポリシーを適用する方法については、「メールボックスにアイテム保持ポリシーを適用する」を参照してください。

    既定のアーカイブ ポリシーおよびアイテム保持ポリシー

    Exchange 2010 SP1 では、Exchange セットアップにより、"既定のアーカイブ ポリシーおよびアイテム保持ポリシー" と呼ばれるアイテム保持ポリシーが作成されます。メールボックスに対して個人用アーカイブを有効にすると、メールボックスにアイテム保持ポリシーがない場合は、メールボックスに対して "既定のアーカイブ ポリシーおよびアイテム保持ポリシー" が自動的に適用されます。後になってメールボックスにアイテム保持ポリシーを適用した場合、"既定のアーカイブ ポリシーおよびアイテム保持ポリシー" はメールボックスで使用できなくなります。"既定のアーカイブ ポリシーおよびアイテム保持ポリシー" のタグが適用されている既存のアイテムはこれまでどおり処理され、このタグに基づいてアーカイブに移動されたり、アーカイブから削除されます。

    次の表は、既定のアーカイブ ポリシーおよびアイテム保持ポリシーにリンクされる既定の保持タグの一覧です。

    Exchange 2010 SP1 で既定のアーカイブ ポリシーおよびアイテム保持ポリシーにリンクされる既定の保持タグ

    名前 種類 保存期限 (日) 保存期間用のアクション

    既定 - 2 年でアーカイブへ移動

    DPT

    730

    アーカイブへ移動

    個人 - 1 年でアーカイブへ移動

    個人タグ

    365

    アーカイブへ移動

    個人 - 5 年でアーカイブへ移動

    個人タグ

    1,825

    アーカイブへ移動

    個人 - アーカイブへ移動しない

    個人タグ

    該当なし

    アーカイブへ移動

    回復可能なアイテム - 14 日でアーカイブへ移動

    [回復可能なアイテム] フォルダー

    14

    アーカイブへ移動

    1 週間で削除

    個人タグ

    7

    削除して回復を許可する

    1 か月で削除

    個人タグ

    30

    削除して回復を許可する

    6 か月で削除

    個人タグ

    180

    削除して回復を許可する

    1 年で削除

    個人タグ

    365

    削除して回復を許可する

    5 年で削除

    個人タグ

    1,825

    削除して回復を許可する

    削除しない

    個人タグ

    該当なし

    削除して回復を許可する

    Exchange 2010 の RTM (Release to Manufacturing) 版では、Exchange セットアップにより [既定のアーカイブ ポリシー] と呼ばれるアイテム保持ポリシーが作成されます。このポリシーには、[削除して回復を許可する] アクションを持つ個人タグは含まれません。

    メッセージング レコード管理戦略

    管理フォルダー アシスタント

    管理フォルダー アシスタントは、メールボックス サーバー上で実行されるメールボックス アシスタントであり、アイテム保持ポリシーが適用されたメールボックスを処理します。

    管理フォルダー アシスタントは、メールボックス内のアイテムを検査し、保持するかどうかを確認することで、アイテム保持ポリシーを適用します。それから、適切な保持タグで保持するアイテムをスタンプして、それらの保存期限が過ぎたアイテムに対して指定の保持アクションを実行します。

    Exchange 2010 SP1 では、管理フォルダー アシスタントは調整ベースのアシスタントです。調整ベースのアシスタントは常に実行中であるため、スケジュールする必要はありません。消費可能なシステム リソースは調整されます。一定の期間 (ワーク サイクル) 内にメールボックス サーバーのすべてのメールボックスを処理するように管理フォルダー アシスタントを構成できます。 さらに、指定した間隔 (ワーク サイクル チェックポイント) で管理フォルダー アシスタントは処理対象となるメールボックスの一覧を更新します。更新中に、管理フォルダー アシスタントは新しく作成されたメールボックスや移動されたメールボックスをキューに追加します。また、失敗のため正常に処理されなかった既存のメールボックスを再度順位付けし、同じワーク サイクル中に処理できるようにキュー内のより高い優先順位に移動します。

    指定したメールボックスを処理するようにアシスタントを手動で開始するには、Start-ManagedFolderAssistant コマンドレットも使用できます。詳細については、「管理フォルダー アシスタントをスケジュールする」を参照してください。

    Exchange 2010 RTM では、管理フォルダー アシスタントは、指定したスケジュールで実行されます。既定では、毎日 01:00 ~ 09:00 (1:00 A.M. ~ 09:00 A.M.) に実行するようスケジューリングされます。メールボックス サーバーが相対的に利用されていないか高負荷でないときにアシスタントを実行するようスケジューリングできます。アシスタントのスケジュールを決める場合、メールボックス データベースおよびウイルス対策スキャンのオフライン最適化など、メールボックス サーバー リソースを争うその他のプロセスについて考慮します。

    注意

    管理フォルダー アシスタントは、保持しないメッセージに対してはアクションを実行しません。これは、保持タグを無効にすることによって指定されます。また、特定の保持タグを無効にして、その保持タグのアイテムの処理を一時的に中断することも可能です。

    フォルダー間のアイテム移動

    フォルダー間で移動したメールボックス アイテムは、移動先のフォルダーに適用されるタグを継承します。タグが割り当てられていないフォルダーにアイテムが移動した場合、既定のポリシー タグ (DPT) が適用されます。アイテムにタグが明示的に割り当てられている場合、そのタグがフォルダーレベル タグまたは既定タグよりも常に優先されます。

    アイテム保持ポリシーからの保持タグの削除

    メールボックスに適用される保持ポリシーから保持タグが削除されると、タグをユーザーが使用できなくなり、メールボックス内のアイテムに適用できなくなります。

    そのタグでスタンプされた既存のアイテムは、引き続いて、それらの設定に基づき管理フォルダー アシスタントによって処理され、タグ内で指定された保持アクションがそれらのメッセージに適用されます。

    ただし、タグを削除する場合、Active Directory に保存されたタグ定義が削除されます。このようにすると、管理フォルダー アシスタントはメールボックス内のすべてのアイテムを処理し、削除されたタグが適用されているアイテムを再スタンプします。メールボックスおよびメッセージの数に応じて、この処理は、削除されたタグを含むアイテム保持ポリシーのメールボックスで構成されるすべてのメールボックスに対して、著しくリソースを消費する場合があります。

    重要

    保持ポリシーから保持タグが削除されると、タグが適用された既存のメールボックス アイテムは引き続き、タグの設定に基づいて有効期限が切れます。タグの設定をアイテムに適用しないためには、タグを削除する必要があります。タグを削除すると、タグを含むアイテム保持ポリシーからタグが削除されます。

    保持タグの無効化

    保持タグを無効にすると、管理フォルダー アシスタントはタグが適用されたアイテムを無視します。保存期間の設定が無効化された保持タグがあるアイテムは、指定されている保存期限用のアクションによって移動または削除されなくなります。これらのアイテムはタグ付けされたアイテムとまだ見なされるため、DPT がそれらに適用されません。たとえば、保持タグ設定のトラブルシューティングを行う場合、一時的に保持タグを無効にして、管理フォルダー アシスタントにそのタグ付きメッセージの処理を停止させることができます。

    注意

    無効化された保持タグの保存期限は、ユーザーには [実行しない] として表示されます。決して削除されることはないと考えているアイテムにユーザーがタグを付けている場合、後になってそのタグを有効化すると、ユーザーが削除したくなかったアイテムが意図せずに削除されることがあります。[アーカイブへ移動] アクションを持つタグについても同様です。

    メッセージング レコード管理戦略

    保存機能

    ユーザーが一時的に仕事から離れ、電子メールにアクセスできない場合、ユーザーが仕事に戻るか電子メールにアクセスする前に、新しいメッセージに保存期間の設定を適用できます。アイテム保持ポリシーに応じて、メッセージの削除またはユーザーの個人アーカイブへの移動を行います。メールボックスの保存機能を有効にすることによって、指定の期間にアイテム保持ポリシーでメールボックスを処理することを一時的に停止できます。メールボックスの保存機能を有効にすると、保存機能の開始および終了スケジュールなど、保存機能についてメールボックス ユーザー (またはメールボックスへのアクセスが許可された別のユーザー) に知らせる保持コメントも指定できます。保持コメントは、サポートされた Outlook クライアントで表示されます。保存機能コメントは、ユーザーの優先言語でローカライズすることもできます。

    注意

    メールボックスの保存機能を有効にしても、メールボックス格納域の制限の処理に影響しません。メールボックス使用と適用可能なメールボックス制限に応じて、ユーザーが休暇中であるか長期間にわたって電子メールにアクセスしない場合、ユーザー用メールボックス格納域の制限が一時的に増加することを考慮します。メールボックスの格納域の制限の詳細については、「メールボックスの記憶域のクォータを構成する」を参照してください。

    長期間仕事を離れている間に、ユーザーは電子メールを大量にためることがあります。電子メールの量と不在期間によっては、これらのユーザーがメッセージを分類するのに数週間かかる場合があります。そのような場合、保存機能からユーザーを削除する前にユーザーがメールの遅れを取り戻すために長い時間がかかることを考慮します。

    組織が MRM を実装したことがなく、ユーザーがその機能に慣れていない場合は、MRM 展開の最初のウォームアップとトレーニング段階で保存機能を使用することもできます。アイテム保持ポリシーを作成および展開し、ユーザーがアイテムをタグ付けできるようになる前にアイテムを移動または削除するという危険を犯させないように、ポリシーについての十分な指導をユーザーに対して行ってください。ウォームアップとトレーニング期間が終了する数日前に、ユーザーに対してウォームアップの期限が近付いていることを通知する必要があります。期限が過ぎたら、ユーザーのメールボックスから保存機能を削除し、管理フォルダー アシスタントがメールボックス アイテムを処理し、指定した保存期間用のアクションを実行できるようにします。

    メールボックスの保存機能を有効にする方法の詳細については、「メールボックスの保存機能を有効にする」を参照してください。

    メッセージング レコード管理戦略

     © 2010 Microsoft Corporation.All rights reserved.