Windows SharePoint Services でのデータのバックアップと復元の概要

このトピックでは、Windows SharePoint Services 3.0 でのデータのバックアップおよび復元方法に関する基本事項について説明します。

バックアップできるデータと復元できるデータ

Windows SharePoint Services 3.0 には、サーバー全体管理アプリケーションの UI、stsadm.exe コマンド ライン ツール、または Windows SharePoint Services 3.0 のバックアップおよび復元オブジェクト モデルを使用しているカスタム アプリケーションからバックアップおよび復元できるコンテンツ コンポーネントが 6 種類組み込まれています。

  • サイト コレクション。複数の Web サイトが含ま れている可能性があります。

  • コンテンツ データベース。複数のサイト コレクションが含まれている可能性があります。

  • Web アプリケーション。複数のコンテンツ データベースが含まれている可能性があります。

  • コンテンツ発行 "Web サービス"。複数の Web アプリケーションが含まれている可能性があります。

    注意

    これは、オブジェクト モデルで、SPWebService オブジェクトによって表されるコンテンツ発行 "Web サービス" (実際には、コンテンツのパーティション) を指します。通知 (websvcAlerts) サービス、会議 (websvcMeetings) サービスなどの一般的な意味での "Web サービス" ではありません。コンテンツ発行 "Web サービス" の詳細については、「サーバーとサイトのアーキテクチャ : オブジェクト モデルの概要」と「The High Level Object Model of Windows SharePoint Sevices 3.0」を参照してください。

  • Search Windows サービス。データベースとインデックスも含まれます。

    注意

    Search Web サービス websvcSPSearch ではありません。

  • Windows SharePoint Services ファーム全体。

Windows SharePoint Services 3.0 に加えて、Microsoft Office SharePoint Server 2007 などの高度な機能を備えた製品がインストールされ、その製品が共有サービス プロバイダを搭載している場合、それらも Windows SharePoint Services 3.0 でバックアップおよび復元できます。

さらに、IBackupRestore インターフェイスを実装することで、バックアップおよび復元可能な新しい種類のコンテンツ オブジェクトを作成できます。

制限事項

サーバー全体管理アプリケーションの UI、stsadm コマンド ライン ユーティリティ、または Windows SharePoint Services 3.0 のバックアップおよび復元オブジェクト モデルを使用するカスタム アプリケーションからバックアップおよび復元できるデータには制約があります。

  • そのデータが属するコレクション全体をバックアップ (または復元) する場合を除いて、Web サイト、リスト、またはリスト アイテムを個別にバックアップ (または復元) することはできません (ただし、そのようなコンテンツ タイプを個別に移行することはできます。コンテンツの移行の詳細については、「コンテンツの移行」を参照してください)。

  • Windows SharePoint Services ファームの構成データベースとサーバー全体管理アプリケーションのコンテンツ データベースを、ファーム全体のバックアップと切り離してバックアップすることはできません。

  • ファームの構成データベースとサーバー全体管理アプリケーションのコンテンツ データベースは復元できません (ファームのバックアップには、これらのコンポーネントのバックアップが含まれていますが、バックアップ時に、これらのコンポーネントのスナップショットも作成されます。トラブルシューティングでは、SQL Server ツールを使用して、このスナップショットとコンポーネントの現在の状態を比較できます)。

  • Internet Information Server (IIS) メタベースをバックアップすることはできません。

次の種類のコンテンツは、サーバー全体管理アプリケーションの UI および stsadm コマンド ライン ユーティリティではバックアップできませんが、これらを含む Windows SharePoint Services SDK を使用して、カスタム バックアップ ソリューションを作成できます。

  • レジストリ キー。

  • フロントエンド サーバー上に置かれているファイル。つまり、特定のマスタ ページ, .ascx ファイル、web.config ファイル、その他の構成ファイルなど、コンテンツ データベース外部に置かれるファイル。

バックアップと復元の種類

コンポーネントは、完全バックアップまたは差分バックアップできます。後者の場合、前回の完全バックアップ以降に変更された部分のみがバックアップされます。

注意

Windows SharePoint Services 検索インデックスは、差分バックアップできません。検索インデックスが差分バックアップ ジョブに含まれている場合、インデックスは完全バックアップされます。

復元は、元のバックアップ ソースを上書きすることも、新しい場所に作成することもできます。 つまり、Windows SharePoint Services 3.0 のバックアップおよび復元機能は、コンテンツ コンポーネントの移行にも使用できます。

注意

Web サイト、リスト、およびサイト コレクションより小さいコンテンツ タイプの移行方法の詳細については、「コンテンツの移行」を参照してください。

2 種類のカスタム バックアップ アプリケーション

Windows SharePoint Services オブジェクト モデルを使用して、カスタム バックアップ アプリケーションを作成する方法は 2 つあります。

メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデル

メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデルを使用して、バックアップおよび復元アプリケーションを作成できます。"壊滅的な" バックアップおよび復元と呼ばれることもあります。 これは、主に Microsoft.SharePoint.Administration.Backup 名前空間に置かれますが、各サイト コレクションのバックアップと復元は、SPSiteCollection.Backup メソッドと SPSiteCollection.Restore メソッドを使用して実行されます。メインのバックアップおよび復元オブジェクト モデルの使用方法の詳細については、「Windows SharePoint Services のバックアップ/復元オブジェクト モデルを使用したプログラミング」を参照してください。

ボリューム シャドウ コピー サービスとのインターフェイス

Windows SharePoint Services 3.0 を展開すると、Windows Server 2003 のボリューム シャドウ コピー サービス (VSS) も利用できます。Windows SharePoint Services 3.0 には、展開されているネイティブおよびカスタム コンテンツのシャドウ コピーを作成する Windows SharePoint Services の VSS Writer サービスが含まれています。サービスの VSS 書き出しプログラムは、すべてのネイティブ Windows SharePoint Services 3.0 データベースとすべてのカスタム データベースのシャドウ コピーを書き込みます。データベース以外のカスタム コンポーネントも、SPVssComponentDefinition クラスと SPVssDiscoveryHelper クラスを使用して、サービスに登録できます。このようなデータベース以外のカスタム コンポーネント用の VSS 書き出しプログラムも作成する必要があります。Windows SharePoint Services の VSS へのインターフェイスをプログラムする方法については、「Windows SharePoint Services およびボリューム シャドウ コピー サービス」を参照してください。

注意

VSS サービスを使用すると、データベース シャドウ コピーの対象をファーム全体または個々のコンテンツ データベースのみに指定できます。Web アプリケーションとコンテンツ発行 "Web サービス" のシャドウ コピーを、ファーム全体のシャドウ コピーの作成とは別に設定することはできません ("コンテンツ発行 Web サービス" の詳細については、この記事の最初の注意を参照してください)。

See Also

概念

Windows SharePoint Services のバックアップ/復元オブジェクト モデルを使用したプログラミング

Windows SharePoint Services およびボリューム シャドウ コピー サービス

その他のリソース

コンテンツの移行

Stsadm.exe command-line tool (Office SharePoint Server)