Windows SharePoint Services の物理オブジェクト階層

Windows SharePoint Services 3.0 のオブジェクト モデルは、3 つの階層に分けることができます。ここでは、物理オブジェクト階層について説明します。物理オブジェクト階層には、物理エンティティ (サーバー、ファイルなど) を表すクラスと、このようなエンティティのコンテナ (ファーム、フォルダなど) を表すクラスが含まれます。

重要

階層内のクラスによって表されるエンティティについては、「バックグラウンド : Windows SharePoint Services の物理オブジェクト」を参照してください。

コンテンツ階層には、データの公開可能なアイテム (リスト アイテムなど) を表すクラス、データの入れ子になったコンテナ (リストなど) を表すクラス、コンテンツ データベース、Web サイト、Web サイトのコレクション、および Web アプリケーションと呼ばれるサイト コレクションのグループが含まれます。コンテンツ階層については、「Windows SharePoint Services のコンテンツ階層」を参照してください。

3 番目のサービス階層には、サービスやサービスのインスタンスを表すクラスが含まれます。この階層については、「Windows SharePoint Services のサービス階層」で説明しています。

注意

一部のクラスは簡単に分類できず、複数の階層に属すると見なされるという意味で、これらの階層は部分的に重なっています。

物理オブジェクト階層

物理オブジェクト階層のクラスは、実際の物理オブジェクトであるエンティティ、またはコンテキストに応じて物理オブジェクトと見なすことも、非物理オブジェクトと見なすこともできるオブジェクトであるエンティティを表します。図 1 に示すように、この階層には 4 つの主要クラスがあります。

図 1. 物理オブジェクト階層

物理オブジェクト階層

SPFolder クラスと SPFile クラスについてはここでは説明しません。ただし、誤解を防ぐために、SPFolder オブジェクトまたは SPFile オブジェクトによって表されるエンティティは、サーバーのファイル システムではなく、Windows SharePoint Services コンテンツ データベースに配置されることに注意してください。たとえば、Windows SharePoint Services ドキュメント ライブラリ内のスプレッドシート ファイルは、サーバーのいずれかにあるフォルダではなく、データベースのセルに格納されます。

SPFarm

Windows SharePoint Services ファームは、SPFarm クラスによって表されます。サーバー ファームとは、物理サーバーのクラスタです。クラスタには、1 台以上のフロントエンド サーバー、ゼロ台以上のアプリケーション サーバー、および専用データベース サーバーまたはいずれかのアプリケーション サーバー (アプリケーション サーバーが 1 つしかない場合はフロントエンド サーバー) 上でホストされる SQL Server が含まれます (厳密には、Windows SharePoint Services 3.0 の展開全体を格納する 1 台のコンピュータだけで "ファーム" が構成されている場合もありますが、展開は常にファーム上でホストされます)。

SPFarm クラスの特性の一部を以下に示します。

  • SPFarm クラスは 1 つ以上の物理サーバーのファームを表すため、物理階層に含まれます。ただし、このクラスは、コンテンツ階層の最上位と見なすこともできます。たとえば、Windows SharePoint Services ファームの (構成以外の) すべてのコンテンツをバックアップおよび復元できます。

    注意

    Windows SharePoint Services 3.0 では、ファームの構成データベースを復元することはできませんが、バックアップすることはできます。バックアップは、トラブルシューティングのためにデータベースの現在の状態と比較できる、データベースのスナップショットとして役立つことがあります。

  • Windows SharePoint Services 3.0 では、SPFarm クラスは、ファームに関連付けられた構成データベースを表すものと考えることもできます。Windows SharePoint Services 3.0 には、構成データベース自体を表すクラスがないためです。たとえば、SPFarm オブジェクトの DisplayName() プロパティは、構成データベースの名前でもあります。

  • SPFarm オブジェクトには、SPServerSPService、および SPSolution という 3 つの主要な型の子クラスがあります。

  • SPFarm は、SPPersistedObject から継承します。つまり、このクラスをインスタンス化するオブジェクト (1 つのみ) は、構成データベースに保持されます。

  • SPFarm は、ファームを作成し、ローカル ファームまたはリモート ファームへの参照を返す静的メンバを持ちます。

  • SPFarm には、管理機能の開発に使用できる数多くのメンバがあります。いくつかのより重要なメンバは、以下の管理に役立ちます。

    • ファームのバックアップおよび復元

    • ファームのアップグレード

    • ファームの移行

    • エラー報告

    • キャッシュ

SPServer

Windows SharePoint Services ファームの物理サーバーは、SPServer クラスによって表されます。継承された多数のメンバに加え、このクラスには、サーバーの IP アドレスを保持する Address プロパティと、ファームでのサーバーのロールを示す Role プロパティがあります。サーバーが 1 台しかない場合、サーバーのロールは SingleServer です。複数のサーバーがある場合、フロントエンド サーバーのロールは WebFrontEnd になり、他のほぼすべてのサーバーのロールは Application になります。ただし、Windows SharePoint Services コンテンツ データベースを物理的にホストしているサーバーの Role プロパティの値は、通常、Invalid です。これは、このようなサーバーが実行している Windows SharePoint Services サービスは、通常、データベース サービス (Windows サービス) だけであり、このデータベース サービスは、実際には Windows SharePoint Services に含まれていない SQL Server Windows サービスのエイリアスにすぎないためです。したがって、サーバーは Windows SharePoint Services コードを実際には実行していないので、アプリケーション ロールには適合しません。アプリケーション、ロール、およびサービスの詳細については、「Windows SharePoint Services のサービス階層」および「バックグラウンド : Windows SharePoint Services でのサービス エンティティ」を参照してください。

SPServer クラスには、サーバー上で実行される Windows サービスと Web サービスのすべてのインスタンスへの参照を保持する ServerInstances() プロパティもあります。サービス インスタンスの詳細については、「Windows SharePoint Services のサービス階層」および「バックグラウンド : Windows SharePoint Services でのサービス エンティティ」を参照してください。

SPServer は、SPPersistedObject から継承します。SPPersistedObject をインスタンス化するオブジェクトは、Windows SharePoint Services 構成データベースに保持されます。

標準的なファームとそのサーバーを示す図については、「バックグラウンド : Windows SharePoint Services でのサービス エンティティ」を参照してください。

See Also

参照

SPFarm

SPServer

概念

サーバーとサイトのアーキテクチャ : オブジェクト モデルの概要

Working with List Objects and Collections (英語)

概要 : オブジェクト モデルを使用して管理をカスタマイズする

コード例 : 管理オブジェクト モデルを使用する

Windows SharePoint Services のコンテンツ階層

バックグラウンド : Windows SharePoint Services のコンテンツ エンティティ

バックグラウンド : Windows SharePoint Services の物理オブジェクト

Windows SharePoint Services のサービス階層

バックグラウンド : Windows SharePoint Services でのサービス エンティティ

その他のリソース

Windows SharePoint Services 3.0 の管理オブジェクト モデル

Windows SharePoint Services の管理

Windows SharePoint Services Administration Development Resource Center