オブジェクト モデルの拡張

Windows SharePoint Services 3.0 では、既存の Windows SharePoint Services 2.0 名前空間のオブジェクト モデルを大幅に拡張および変更し、新機能に対しては完全に新しい名前空間を追加しています。Windows SharePoint Services 3.0 で変更されたすべてのオブジェクト モデルは Windows SharePoint Services 2.0 との高い下位互換性を重視して作成されているため、管理などのためにオブジェクト モデルの領域が完全にリファクタされても、Windows SharePoint Services 2.0 に基づいたコードはそのまま機能します。ただし、古いコードが機能する場合も、新しいオブジェクト モデル階層に関しては期待どおりの動作を行わない場合があることに注意してください。

管理

Microsoft.SharePoint.Administration 名前空間のオブジェクト モデルは、より大きな拡張性を得るため、完全にリファクタされています。新しい階層オブジェクトの格納方法では、サード パーティのアプリケーションと共通のフレームワークを提供して、管理データを操作および格納します。管理 Web サイトおよびコマンド ラインの操作の両方を拡張できます。新しい Microsoft.SharePoint.Administration.Backup 名前空間では、メンバにバックアップ処理および復元処理を提供します。

作業項目およびタイマ

Windows SharePoint Services 3.0 のジョブ サービスでは、時間の決められたジョブを設定するための機能を提供します。このジョブが実行される時間は、次のとおりです。

  • 定義可能な間隔で実行 (n 分ごと)。

  • 時間、日、週、月、年など、特定の期間中に実行。

またジョブ サービスでは、ファームのサーバー間で作業を分散する機能も提供します。たとえば、フロントエンド Web サーバーからのサイト作成の要求に基づいて、一時的なジョブはインデックス サーバーですぐに実行されます。ジョブ サービスのメイン オブジェクトは、Microsoft.SharePoint.Administration.SPJobDefinition および Microsoft.SharePoint.SPWorkItem です。

  • SPJobDefinition - 一時的なスケジュールまたは単純な定期的スケジュールを実行することのできる管理タイマです。スケジュールを設定してから Execute メソッドを実行します。

  • SPWorkItem - 一時的な実行を含むコンテンツ関連ジョブです。管理タイマ ジョブを通じてバッチ処理します。

イベント

開発者プラットフォームとしての Windows SharePoint Services 3.0 にとって、イベントは非常に重要です。大きく機能の拡張されたイベント インフラストラクチャによって、サードパーティ アプリケーションは Windows SharePoint Services の既定の動作を実装でき、これに上書きすることもできます。

イベントは大きく 2 つのカテゴリに分けられます。

  • リスト イベント   このカテゴリには、リスト アイテムに加えてリスト列の変更、追加、削除などのコア イベントが含まれます (たとえば、スキーマの変更)。

  • 単純なサイト イベント   このカテゴリには、サイトまたはサイト コレクションの削除が含まれます。

イベントは、"XYZing" という形式の名前で指定される同期の Before イベントと、"ABCed" という形式の名前で指定される非同期の After イベントのどちらかです。

リスト アイテム、リスト、Web サイト、またはコンテンツ タイプに対して定義されるフィーチャーを通じて、イベント レシーバを登録することができます。たとえば、ドキュメントのフッターに著作権表示が必ず含まれていることを保証するイベント レシーバを中心的なコンテンツ タイプに関連付け、そのタイプに関連付けられているドキュメント ライブラリ全体にそのイベント レシーバを反映させることができます。

Windows SharePoint Services 2.0 の場合と同様に、イベント ハンドラ メソッドを拡張および上書きできます。新しい連番パラメータにより、複数のイベントの発生順序をより細かく制御できます。

イベントの詳細については、「イベントの基礎」を参照してください。

Web サービス

Windows SharePoint Services 3.0 ではいくつかの既存の Web サービスが拡張され、Lists、Site Data、Users and Groups、Web Part Pages、Webs Web サービスで提供されるメソッドの数が増加しました。たとえば、Lists および Webs にはコンテンツ タイプの統合のための新しいメソッドが含まれ、Lists Web サービスでは、ドキュメント ライブラリのファイルを操作するための新しいメソッドが提供されています。さらに Windows SharePoint Services 3.0 では、認証、ファイルのコピー、セキュリティ プリンシパルの管理、ポータル サイトの検索、メッセージング アプリケーションの同期のためのディレクトリ管理などの新しい Web サービスを複数導入しています。

Windows SharePoint Services Web サービスの詳細については、「Web サービス」を参照してください。

ごみ箱

ごみ箱および削除の取り消し機能も、Windows SharePoint Services 3.0 における重要な新機能です。この機能はリストとドキュメント ライブラリの両方で使用可能で、Microsoft.SharePoint 名前空間の新しいタイプを通じてアクセスできます。

リストからアイテムを削除すると、多重レベルで一連のイベントがトリガされます。まず、アイテムは Web レベルのごみ箱に送られます。適切な権限を与えられたユーザーであれば、そこでアイテムの削除を取り消すことができます。このごみ箱からアイテムが削除されると、アイテムはサイト管理者の制御する 2 番目のごみ箱に送られます。このごみ箱の設計機能の中には、古いドキュメントの削除を自動化するタイマがあります。たとえば、大多数のアイテムの削除の取り消し要求を 90 日間に限り有効にすると管理者が決定したとします。このシナリオでは、管理者は削除後 90 日以上経過したアイテムについては、完全に消去されるようタイマを設定することができます。

プロパティ バッグ

現在、SPWebSPFileSPFolderSPListItem クラスを含む Microsoft.SharePoint 名前空間の複数のメジャー オブジェクトで、プロパティ バッグが公開されています。これらとその他のクラスは、指定されたオブジェクトのプロパティ バッグを返す Properties プロパティを提供します。このプロパティ バッグは、値が格納されるハッシュ テーブルから構成されます。オブジェクトの Update メソッドを呼び出すことで、プロパティ バッグに設定された値が保持されます。Web サービスのメソッドを使用すれば、すべての値を格納および取得することができます。

See Also

その他のリソース

イベントの基礎

Web サービス