Word、Excel、および PowerPoint のファイルを 2007 Office system に移行する

適用対象: Office Resource Kit

 

トピックの最終更新日: 2015-03-09

Word、Excel、および PowerPoint の各ファイルは手動で変換できます。また、OMPM Office File Converter を使用してファイルを一括で変換することもできます。OMPM をインストールする方法の詳細については、「Office Migration Planning Manager (OMPM) の概要」を参照してください。

OMPM を使用してファイルを一括で変換する

Office File Converter (OFC) を使用するには、変換するファイルが存在するコンピュータに Microsoft Office 互換機能パックがインストールされている必要があります。詳細については、「Microsoft Office 互換機能パックを展開する」を参照してください。

Office File Converter を実行する前に、最初に、ofc.ini ファイルを編集して該当するパラメータを設定します。

ファイルを変換するには

  1. コマンド プロンプトで、OFC がインストールされているフォルダに移動します。

  2. 次のように入力します。

    ofc <ofc.ini>
    

このコマンドのパラメータは、次のとおりです。

パラメータ 説明

ofc.ini

ofc.ini ファイルの場所。パスが指定されていない場合、OFC は実行可能ファイルと同じディレクトリを検索します (省略できます)。

[!メモ] FileListFolder および FoldersToConvert を同じファイル セットに設定した場合、そのファイル セットは 2 回変換されます。

ofc.ini の設定

ofc.ini の設定と値を次の表に示します。

設定 説明 設定可能な値 値が設定されていない場合 値が無効な場合

[Run]

このセクションでは、この変換の一意の ID と説明を記述します。必須です。

エラー メッセージが表示されて変換が終了します。

Error: [Run] section heading invalid or missing in OFC.INI.

RunID

現在の変換の追跡番号です。さまざまなコンピュータの変換をレポート ツールでまとめるときに使用します。必須です。

数値であること

エラー メッセージが表示されて変換が終了します。

Error: Invalid or missing RunID value in OFC.INI.

説明

現在実行している変換を説明するために使用されるテキストです (省略できます)。

自由形式のテキスト (255 文字で切り捨てられます)。

無視します。

適用されません。

LogDestinationPath

ログ ファイルの場所。必須です。

物理ドライブかマップされたドライブ、または UNC。たとえば、c:\Conversion\logs、

\\server\vba\logs です。

環境変数もサポートされます。

エラー メッセージが表示されて変換が終了します。

Error: Invalid or missing ‘LogDestinationPath’ value in OFC.INI.

[ConversionOptions]

変換オプションが記述されている INI ファイルの部分のセクション見出しです。.ini ファイルで変換オプションが指定されない場合を除いて必須です。

エラー メッセージが表示されて変換が終了します。

Error: [ConversionOptions] section heading invalid or missing in OFC.INI.

FullUpgradeOnOpen

アプリケーション ファイルを対応する Office 2007 アプリケーションで開いたときに、"完全にアップグレード済み" となるように、ユーザーが指定できるようにします (省略できます)。

有効な値は次のとおりです。

1 – 完全にアップグレード

0 – 完全なアップグレードなし

既定値は、"完全にアップグレード" です。

Error: ‘FullUpgradeOnOpen’ value in OFC.INI.

DoNotCab

ログ ファイルの CAB ファイルの作成を無効にできます (省略できます)。

有効な値は次のとおりです。

1 – ログ ファイルの CAB ファイルの作成を無効にする

0 – ログ ファイルの CAB ファイルの作成を有効にする

エラー メッセージが表示されて変換が終了します。

Error: Invalid or missing DoNotCab value in OFC.INI.

MacroControl

変換の際にマクロ プロジェクトを対象にするかどうかを指定します。1 に設定すると、OFC はマクロの含まれない Office 2007 文書形式 (.docx、xlsx、pptx など) を生成します。元の文書に含まれるマクロ コードおよび VBA コードは移行されません (省略できます)。

有効な値は次のとおりです。

1 – 変換で VBA を無視

0 – 元の文書のマクロ状態を維持

既定値は 0 です。

Error: Invalid ‘MacroControl’ value in OFC.INI.

[FoldersToConvert]

このセクションでは、スタンドアロン操作で変換するディレクトリを記述します。FileList は無視されます (省略できます)。

フォルダの一覧。

入力ファイルが渡された場合には無視されます。

Error: [FoldersToConvert] section invalid in OFC.INI.

ConvertSubfolders

フォルダが指定されている場合に 1 に設定すると、サブフォルダにある、すべての Word 文書、Excel ブック、および PowerPoint 文書が OFC により変換されます (省略できます)。

0 または 1

既定値は 0 です。

Error: Invalid ‘ConvertSubfolders’ value in OFC.INI.

[ConversionInfo]

このセクションでは、入力ファイルと出力先の情報を記述します。必須です。

[ConvertedFolders]

エラー メッセージが表示されて変換が終了します。

Error: [ConversionInfo] section heading invalid or missing in OFC.INI.

FileList

FileList へのパス (省略できます)。

このパラメータが指定されておらず、[FoldersToConvert] が空の場合にはエラーが発生します。

SourcePathTemplate

変換されたファイルの場所を決定するために使用されます。ワイルドカードを使用できます。アスタリスク (*) はパスの 1 つのセグメントを表します (省略できます)。

物理ドライブかマップされたドライブ、または UNC。* または ‘.’ も使用できます。

Error: Invalid ‘SourcePathRoot’ value in OFC.INI.

DestinationPathTemplate

変換されたファイルの場所を決定するために使用されます。ワイルドカードを使用できます。アスタリスク (*) とそれに続く数値を使用して、パスの 1 つのセグメントを表します。指定方法については、以下の例を参照してください (省略できます)。

物理ドライブかマップされたドライブ、または UNC。* または ‘.’ も使用できます。

Error: Invalid ‘DestinationPathRoot’ value in OFC.INI.

次に、SourcePathTemplate および DestinationPathTemplate の設定例を示します。

例 1

この例では、変換元のファイルは \\userfiles\<ユーザー名>\docs\ に存在し、変換後のファイルは \\newserver\docs\<ユーザー名>\ に出力されます。

この結果を得るには、SourcePathTemplate および DestinationPathTemplate を次のように設定します。

SourcePathTemplate = *\*\*\
DestinationPathTemplate = \\newserver\*3\*2

この例では、SourcePathTemplate のアスタリスクで表される各ディレクトリ セグメントに対して、DestinationPathTemplate で次のように数値が割り当てられます。

*1 = userfiles

*2 = <ユーザー名>

*3 = docs

上記の設定で変換を行った場合の、変換元ファイルの場所と変換後のファイルの場所の例を、次の表に示します。

変換元ファイル 変換後ファイル
\\userfiles\Cliff\docs\notes.doc
\\newserver\docs\Cliff\notes.docx
\\userfiles\Bob\docs\Personal\Rept1.doc
\\newserver\docs\Bob\Personal\Rept1.docx
\\userfiles\James\docs\New Folder\Schedule.doc
\\newserver\docs\James\New Folder\Schedule.docx

例 2

この例では、変換元のファイルはユーザーのローカル コンピュータの [マイ ドキュメント] フォルダに存在します。UNC パスは、\\<コンピュータ名>\<ドライブ文字>$\Documents and Settings\<ユーザー名>\My Documents\です。出力先は、\\DocServer\docs\<ユーザー名>\ です。

この結果を得るには、SourcePathTemplate および DestinationPathTemplate を次のように設定します。

SourcePathTemplate = *\*\*\*\*\
DestinationPathTemplate = \\DocServer\*4\

この例では、SourcePathTemplate のアスタリスクで表される各ディレクトリ セグメントに対して、DestinationPathTemplate で次のように数値が割り当てられます。

*1 = <コンピュータ名> (たとえば、DESKTOP3)

*2 = <ドライブ文字>$ (たとえば、c$)

*3 = Documents and Settings

*4 = <ユーザー名> (たとえば、bobsmith)

*5 = My Documents

上記の設定で変換を行った場合の、変換元ファイルの場所と変換後のファイルの場所の例を、次の表に示します。

変換元ファイル 変換後ファイル
\\DESKTOP3\c$\Documents and Settings\bobsmith\My Documents\Plans.doc
\\DocServer\bobsmith\Plans.docx
LPTP4\d$\Documents and Settings\James\My Documents\Reports\q1.xls
\\DocServer\James\Reports\q1.xlsx

VET を使用して Word ファイルのバージョンを抽出する

OMPM に含まれる Version Extraction Tool (VET) を使用すると、Office 2000、Office XP、および Office 2003 で作成された、バージョン情報を含む Word ファイルからファイルのバージョンを抽出できます。このツールでは、OMPM のレポート ユーティリティで生成されたファイル リストを使用できます。

[!メモ] VET を実行するには、Microsoft .NET Framework Version 2.0 再頒布可能パッケージ (x86) (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=81886&clcid=0x411) および Microsoft Word 2003 が必要です。

Word ファイルからバージョン情報を抽出するには

  1. コマンド プロンプトで、VET がインストールされているフォルダに移動します。

  2. 次のように入力します。

    vet <OMPM file list directory> <output directory>
    

このコマンドのパラメータは、次のとおりです。

パラメータ 説明

OMPM ファイル リストのディレクトリ

OMPM によって生成されたファイル リストの場所です。必須です。

出力ディレクトリ

Word ファイルのすべてのバージョンのコピー先のディレクトリです。必須です。

たとえば、c:\ompm\filelists ディレクトリに含まれるファイル リストを使用して、バージョンを c:\ompm\output ディレクトリに抽出するには、次を入力します。

vet c:\ompm\filelists c:\ompm\output

VET エラー メッセージ

VET がログ ファイルおよびアクション ファイルの両方に書き込むエラー メッセージを次の表に示します。

エラー メッセージ 説明

IssueID 9090: Could not open document <文書名>.

バージョン情報を持つとマークされている元の文書を、Word で開くことができませんでした。

IssueID 9096: Could not get the number of versions for document <文書名>.

VET は、指定された文書のバージョンの数を文書にクエリできませんでした。オブジェクト モデル コマンド Versions.Count が失敗しました。

IssueID 9091: Could not delete existing version folder <フォルダ パス>.

特定のファイルに対して、バージョン フォルダが既に存在します。VET はこのフォルダを削除できず、新しいバージョン ファイルのための新しいフォルダを作成できませんでした。

IssueID 9092: Could not create directory to hold versions <ディレクトリ名>.

VET は、特定の文書から抽出したバージョン情報を保持するディレクトリを作成できませんでした。

IssueID 9093: Failed to access version item.

VET は、Word オブジェクト モデル コマンド Versions.Item(i) を使用してバージョン情報にアクセスできませんでした。

IssueID 9094: Failed to open version <バージョン番号> from <ファイル名>.

VET は、Word オブジェクト モデル コマンド Versions.Item(i).Open() を使用して指定されたバージョンを開くことができませんでした。

IssueID 9095: Failed to save version <バージョン番号> from <ファイル名> to <バージョン フォルダ名>.

VET は、文書から指定されたバージョンをバージョン フォルダに保存できませんでした。