Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードの展開を計画する
適用先: Exchange Server 2013, Office 2013, Office 365 ProPlus, Outlook 2013
トピックの最終更新日: 2016-12-16
概要: Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードの展開を計画します。
対象ユーザー: IT 担当者
Exchange Server コンピューターに接続する場合、Outlook 2013 には Exchange キャッシュ モードとオンライン モードという 2 種類の基本的な接続モードがあります。Outlook 2013 では、「Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードまたはオンライン モードを選択する」の「オンライン モードを使用する状況」で特に注意を喚起している状況を除き、すべての状況で Exchange キャッシュ モードが第 1 の推奨される構成です。
この記事では重要な Exchange キャッシュ モード機能について説明し、Outlook 2013 での展開に関する計画の考慮事項を紹介します。また、ここでは同期スライダーおよび新しい Outlook 圧縮データ ファイル (.ost) 形式に関する情報も説明されています。
この記事の内容
Exchange キャッシュ モードにおける同期、ディスク空き領域、およびパフォーマンスに関する考慮事項
低速回線接続と認識された場合の Outlook の動作管理
Exchange キャッシュ モードを段階的に展開するオプション
現在の Exchange キャッシュ モード ユーザーを Outlook 2013 にアップグレードする
Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モード設定
Exchange キャッシュ モードにおける同期、ディスク空き領域、およびパフォーマンスに関する考慮事項
状況によっては、組織全体またはユーザー グループ (リモート ユーザーなど) について、Exchange キャッシュ モードのパフォーマンスを向上させることができます。
Outlook 2013 での同期の変更点
Outlook 2013 では、Exchange キャッシュ モードで Exchange ファスト アクセスと同期スライダーという 2 つの新機能を使用できます。
Exchange ファスト アクセスは、オンライン モードのインスタントアクセスと、Exchange キャッシュ モードのオフライン機能および堅牢な同期機能とを組み合わせた機能で、特に、データをローカルで同期しようとするとユーザーにわかるくらい時間がかかる状況 (初回同期時、作業再開時、休暇明けなど) で使用するのが効果的です。Outlook 2013 を最初に起動したとき、最新の電子メール メッセージと最新の予定表がすぐに表示されます。Outlook 2013 は、オフラインで使用できるようにアイテムをバックグラウンドでキャッシュするため、ユーザーの操作が中断することはありません。
Outlook 2013 ユーザーは同期スライダーを使用して、ローカルで同期する Outlook データ ファイル (.ost) 内の電子メール メッセージを制限できます。Exchange キャッシュ モードが有効になっている場合、Outlook 2013 は、既定で過去 12 か月間の電子メール メッセージのみをキャッシュし、それよりも古い電子メール メッセージをローカル キャッシュからすべて削除します。ローカル キャッシュから削除されたメッセージを表示するには、フォルダー内で電子メールの一覧の末尾までスクロールし、[ここをクリックして Microsoft Exchange で詳細を表示] というメッセージを選択します。また、オフラインで保持するメールの数を変更することもできます。IT 管理者は、電子メール メッセージの既定の保存期間を変更したり、電子メール メッセージをローカル キャッシュから強制的に削除したりできます。その場合は、グループ ポリシーや Office カスタマイズ ツールを使用して、[Exchange キャッシュ モードの同期の設定] を設定します。詳細については、後述する「Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードの設定」を参照してください。
Outlook データ ファイル (.ost) に関する推奨事項
Outlook 2013 の展開の一環としてオンライン モードから Exchange キャッシュ モードに切り替えた場合、ユーザーのローカル .ost ファイルのサイズは、Exchange Server で報告されるメールボックスのサイズよりも 50 ~ 80% 大きくなる可能性があります。Exchange キャッシュ モードのデータをローカルに格納するために Outlook が使用するファイル形式は、サーバー データのファイル形式よりもスペース効率が良くありません。その結果、Exchange キャッシュ モードのローカル コピーを使用するためにメールボックスをダウンロードすると、より多くのディスク領域が必要になります。
Outlook 2013 をインストールし、Exchange キャッシュ モードを有効にすると、既定で、新しい圧縮版の Outlook データ ファイル (.ost) が作成されます。この新しい圧縮版の .ost は、以前のバージョンの Outlook で作成された .ost ファイルよりもサイズが最大 40% 小さくなります。
Outlook 2013 で、新しい圧縮版の Outlook データ ファイル (.ost) を作成しないようにする必要がある場合は、Outlook グループ ポリシー テンプレート (Outlk15.admx) を使用して [アップグレード時に新しい OST ファイルを作成しない] ポリシーを有効にします。この設定は、[ユーザーの構成]\[管理用テンプレート]\[Microsoft Outlook 2013]\[アカウント設定]\[Exchange] にあります。
新しい圧縮形式の .ost ファイルの最大サイズは構成可能です。既定のサイズは 50 GB です。ユーザーの .ost ファイルが、ユーザーのメールボックスを格納するのに十分なディスク領域を持つフォルダーに配置されるようにしてください。たとえば、システム プログラム用に小さなディスク領域を割り当てるためにユーザーのハード ディスク ドライブがパーティションに分割されている場合 (.ost ファイルを格納するフォルダーの既定の場所はシステム ドライブ)、ユーザーの .ost ファイルの格納場所として、より大きなディスク領域を持つ別のドライブおよびフォルダー (規定の場所以外) を指定してください。
.ost ファイルを既定の場所以外の場所に展開する方法の詳細については、「Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを構成する」の「グループ ポリシーを使用して .ost の既定の場所を構成する」を参照してください。
Unicode 形式の .ost ファイルのサイズを構成する方法の詳細については、「Outlook の .pst ファイルと .ost ファイルの両方のサイズ制限を構成する方法」を参照してください。Outlook 2010 または Outlook 2013 の .pst ファイルのサイズを小さくする必要がある場合は、.pst ファイルから別の .pst ファイルにデータをエクスポートできます。
Outlook でのパフォーマンスに関する問題を管理する
多くのユーザーは、Exchange キャッシュ モードがオンライン モードよりも高速であると感じます。しかし、ハード ディスクのサイズと速度、CPU 速度, .ost ファイル サイズ、期待されるパフォーマンス レベルなど、いくつかの要因がユーザーの感じる Exchange キャッシュ モードのパフォーマンスに影響することがあります。
Outlook でのパフォーマンスに関する問題の診断と対処についてのトラブルシューティングのヒントについては、「Outlook でのパフォーマンスの問題のトラブルシューティングを行う方法」および「Outlook 2007 の展開に関するパフォーマンス上のヒント」を参照してください。
Outlook フォルダーの共有を管理する
Outlook 2013 と Outlook 2010 では、Exchange キャッシュ モードが有効なとき、既定で、ユーザーがアクセスする他のメールボックス内の共有メール フォルダーとメール以外の共有フォルダーがダウンロードされ、ユーザーのローカル .ost ファイルにキャッシュされます。この動作は Outlook 2007 とは異なります。Outlook 2007 では、既定でメール以外の共有フォルダーのみがキャッシュされます。たとえば、同僚 1 が同僚 2 と予定表を共有している場合、同僚 2 が予定表を開くと、Outlook 2013 はそのフォルダーのローカル キャッシュを開始します。これにより、同僚 2 はそのフォルダーにオフラインでアクセスでき、考えられるネットワークの問題から遮断されます。同様に、管理者が自分の受信トレイへのアクセスをチーム メンバーに委任している場合、そのチーム メンバーがそのフォルダーにアクセスすると、Outlook 2013 は受信トレイ フォルダーのローカル キャッシュを開始します。
キャッシュされたフォルダーでは、オフライン アクセスが有効で、低速のネットワークや信頼性の低いネットワークでも安定した操作感を得ることができます。ただし、キャッシュされたフォルダーは最初の時点でのデータの設定に多少時間を要するので注意してください。同期するデータ量が多いので、ローカル .ost ファイルのサイズが増えます。また、低速の接続回線やユーザーがオフラインの状況では、最新の変更が同期されてダウンロードされるまで、フォルダーは最新の状態になりません。
Exchange キャッシュ モードが有効になっているプロファイルのすべての共有フォルダーのキャッシュを無効にすることができます。これを行うには、Exchange キャッシュ モードの展開をカスタマイズするときに、Office カスタマイズ ツール (OCT) で [メール以外の共有フォルダーをダウンロードする] オプションを構成します。この設定は Outlook 2013 のメール フォルダーとメール以外のフォルダーの両方に適用されることに注意してください。
共有メール フォルダー (委任された受信トレイなど) のキャッシュを無効にし、メール以外の共有フォルダー (予定表など) を無効にしない場合は、「共有メール フォルダーをキャッシュ モードでダウンロードするよう初期設定されている (Outlook 2010 および Outlook 2013)」を参照してください。
これらの設定の変更方法の詳細については、後述する「Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードの設定」と、「Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを構成する」の手順説明を参照してください。
パブリック フォルダーのお気に入りに関する考慮事項
Exchange キャッシュ モードは、Outlook パブリック フォルダーのユーザーのお気に入りフォルダーに含まれているパブリック フォルダーをダウンロードおよび同期するように構成できます。既定では、パブリック フォルダーのお気に入りは同期されません。ただし、組織でパブリック フォルダーを広範に使用している場合は、このオプションを有効にすることもできます。Exchange キャッシュ モードの展開をカスタマイズする際に, .ost でパブリック フォルダーのお気に入りをダウンロードするオプションを構成できます。
ユーザーのパブリック フォルダーのお気に入りフォルダーにサイズの大きいパブリック フォルダーが含まれる場合, .ost ファイルのサイズも大きくなる可能性があるため、Exchange キャッシュ モードの Outlook のパフォーマンスに影響を与えることがあります。Exchange キャッシュ モードでこのオプションを有効に構成する前に、ユーザーのパブリック フォルダーのお気に入りに含まれるパブリック フォルダーをユーザーが選択できることを確認してください。また、ユーザーの .ost ファイルが、パブリック フォルダーをダウンロードする際の追加の記憶域要件を満たす十分な大きさであり、十分なディスク領域を持つフォルダーに格納されていることを確認してください。
パブリック フォルダーに代わるものとして、サイト メールボックスを検討してください。サイト メールボックスを使用すると、同じクライアント インターフェイスにある SharePoint 2013 ドキュメントと Exchange 電子メールの両方にアクセスできるので、グループ作業とユーザー生産性が向上します。サイト メールボックスは、SharePoint 2013 サイトのメンバーシップ (所有者とメンバー)、電子メール メッセージ用の Exchange Server 2013 メールボックスとドキュメント用の SharePoint 2013 サイトによる共有ストレージ、およびプロビジョニングとライフサイクルの要件を満たす管理インターフェイスから構成されます。サイト メールボックスに表示される SharePoint 2013 ドキュメントは、SharePoint 2013 にのみ格納されます。
サイト メールボックスには、Exchange Server 2013 と SharePoint Server 2013 の統合と構成が必要です。詳細については、「次期 Office のサイト メールボックス」と「サイト メールボックスを構成する (SharePoint Server 2013)」を参照してください。
低速回線接続と認識された場合の Outlook の動作管理
Outlook は、ユーザーのコンピューターのネットワーク アダプターの速度をチェックすることで、(オペレーティング システムから提供される) ユーザーの接続回線速度を判断するように構成されています。ネットワーク アダプターの速度が 128 KB 以下と報告された場合は低速回線接続と見なされます。
Exchange Server コンピューターへの接続が低速であると判断すると、Outlook はユーザーの操作感を向上させるために、Exchange Server コンピューターと同期される重要度の低い情報の量を減らします。低速回線接続の場合、Outlook は同期処理を次のように変更します。
ヘッダーだけをダウンロードするように切り替える。
オフライン アドレス帳 (OAB) の更新内容をダウンロードしない。
ユーザーから要求があった場合にのみ、アイテムの本文および関連する添付ファイルをダウンロードする。
Outlook はモバイル デバイスとの Outlook データの同期は引き続き行い、クライアント側の一部のルールが実行されることもあります。
注意
Exchange キャッシュ モードの [ヘッダーのみをダウンロードする] が有効な場合はモバイル デバイスを同期させないことをお勧めします。モバイル デバイスを (ActiveSync などを使用して) 同期させると、Outlook でアイテム全体がダウンロードされるほか、ユーザーのコンピューターに対する通常の Outlook の同期処理よりも効率の良くない同期方法が使用されます。
[ヘッダーのみをダウンロードする] モードの同期は、ダイヤルアップ接続や携帯電話の無線接続を使用する Outlook ユーザーが、低速の回線接続またはコストのかかる接続環境でネットワーク トラフィックを可能な限り少なくできるように設計されています。
ネットワーク アダプターの速度が、ユーザーのデータ スループットを正確に反映しないことがあります。たとえば、ユーザーのコンピューターが、ローカル ファイル サーバーに高速でアクセスするためにローカル エリア ネットワーク (LAN) に接続している場合、ネットワーク アダプターの速度は、ユーザーが LAN に接続しているので、高速と報告されます。しかし、ユーザーが組織のネットワーク上の他の場所 (Exchange Server コンピューターが含まれる) にアクセスする場合には、ISDN 接続などの低速のリンクが使われることもあります。ネットワーク アダプターについては高速回線接続であると報告されたとしても、ユーザーの実際のデータ スループットは低速であるというこうした状況では、Outlook の動作を変更またはロックするオプションを構成できます。これを行うには、たとえば、グループ ポリシー オプションの [[低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] を無効にする] を使用して、ヘッダーのみのダウンロードに自動的に切り替わる機能を無効します。同様に、Outlook では低速回線接続と判断される一方で、ユーザーの実際のデータ スループットが高速な場合もあります。この場合も、ヘッダーのみのダウンロードに自動的に切り替わる機能を無効にできます。
OCT で [低速回線接続ではヘッダーのみをダウンロードする] オプションを構成することも、グループ ポリシーで [[低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] を無効にする] を設定して、このオプションをロックすることもできます。この設定をカスタマイズする方法の詳細については、後述する「Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードの設定」、または「Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを構成する」の手順説明を参照してください。
Exchange キャッシュ モードを段階的に展開するオプション
大きなユーザー グループを Outlook のオンライン モード展開から Exchange キャッシュ モードを有効にした Outlook 2013 へとアップグレードする予定なら、時間をかけて段階的にロールアウトを行ってください。段階的にロールアウトを行うと、組織の Exchange Server コンピューターでユーザーの .ost ファイルを作成または更新する要件を管理するのに役立ちます。
ヒント
多くのユーザー アカウントを Exchange キャッシュ モードを使用するように一度に更新した後、同じ時期 (たとえば、週末のアップグレード後の月曜日の朝など) に Outlook を開始すると、Exchange Server コンピューターにパフォーマンス上の重大な問題が発生する可能性があるため、段階的アプローチが望ましいと言えます。
以下のシナリオは、展開時に Exchange Server コンピューターに深刻なパフォーマンス問題が発生することを避け、状況により、初回の同期処理におけるユーザーの待機時間を最小化するように、Exchange キャッシュ モードを展開する方法の例です。
シード .ost ファイルをリモート ユーザーに配布し、ユーザーがそのシード .ost ファイルをインストールした後に Exchange キャッシュ モードを展開します。 組織の大部分のユーザーが .ost ファイルを現在保持していない場合や、Exchange キャッシュ モードを使用していない場合は、Exchange キャッシュ モードを無効にして Outlook 2013 を展開します。次に、Exchange キャッシュ モードの展開予定日の前に、ユーザーのメールボックスのスナップショットを含む初期の .ost ファイル (シードとなるファイル) を各ユーザーに提供します。たとえば、そのファイルが記録された CD をインストール方法の指示付きで各ユーザーに手渡すか郵送します。このとき、完全な詳細情報を含む組織の Office アドレス帳 (OAB) の最新バージョンを配布することもできます。ユーザーがファイルをインストールしたことを確認します。
ユーザーがシード .ost ファイルをインストールしたことを確認したら、Exchange キャッシュ モードを使用するように Outlook の展開を更新します。Exchange Server はユーザーの既存の (シードされた) .ost ファイルを更新するので、ユーザーごとに新しく .ost ファイルと OAB を作成する場合と比較して同期するデータ量がずっと少なくなります。各ユーザーの .ost ファイル用に個別の CD を作成する作業は時間がかかります。そのため、このシード ファイルを展開する方法は、別の方法を使用するとメールボックスおよび OAB の初回の同期作業を長い間待機することになり、リモートの接続環境によってはコストがかかることが予想されるリモート ユーザーの一部のグループに適用するのが最も効果的と考えられます。
初期 .ost ファイルの作成方法の詳細については、「Outlook の Exchange キャッシュ モード展開の初期 OST ファイルを作成する」を参照してください。
ユーザー グループに対して Outlook を Exchange キャッシュ モードで時間をかけて展開します。 一定期間にわたって、ユーザー グループを Exchange キャッシュ モードへアップグレードすることによって、Exchange Server コンピューターとローカル エリア ネットワークの負荷のバランスをとることができます。段階的に新しい機能を展開することによって、ネットワーク トラフィックと、ユーザーのメールボックス アイテムの .ost ファイルへの入力および OAB のダウンロードというサーバーに負荷のかかる作業を軽減できます。
Exchange キャッシュ モードを作成してユーザー グループに展開する方法は、組織の通常の展開方法によって異なります。たとえば、Microsoft System Center 構成マネージャー でユーザー グループを作成し、Exchange キャッシュ モードを使用するように Outlook を更新する System Center 構成マネージャー パッケージをそれらのグループに対して展開する場合が考えられます。その場合、このパッケージを各グループに対してある期間にわたって展開します。できる限り負荷のバランスをとるには、アカウントが Exchange Server コンピューターのグループに分散しているユーザー グループを選択します。
現在の Exchange キャッシュ モード ユーザーを Outlook 2013 にアップグレードする
Office Outlook 2003、Outlook 2007、または Outlook 2010 で既に Exchange キャッシュ モードを有効にしている場合にユーザーを Outlook 2013 にアップグレードするのは簡単です。Exchange キャッシュ モードの設定を変更しなければ、Outlook 2013 で同じ設定が保持されます。
ただし、Outlook 2013 をインストールし、Exchange キャッシュ モードを有効にすると、既定では新しい圧縮版の Outlook データ ファイル (.ost) が作成されます。この新しい圧縮版の .ost は、以前のバージョンの Outlook で作成された .ost ファイルよりもサイズが最大 40% 小さくなります。Exchange キャッシュ モードが有効になっている以前のバージョンの Outlook からアップグレードすると、以前のバージョンの .ost ファイルが保持されるので、もし必要なら、Outlook 2013 で開くことができます。Outlook 2013 で新しい圧縮版の Outlook データ ファイル (.ost) が作成されないようにする必要がある場合は、Outlook グループ ポリシー テンプレート (Outlk15.admx) を使用して [アップグレード時に新しい OST ファイルを作成しない] ポリシーを有効にします。詳細については、後述する「Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードの設定」を参照してください。
また、Outlook 2013 では、Exchange キャッシュ モードが有効なとき、既定で、ユーザーがアクセスする他のメールボックス内のメールとメール以外の共有フォルダーがダウンロードされ、ユーザーのローカル .ost ファイルにキャッシュされることにもご注意ください。この動作は、既定でメール以外の共有フォルダーのみがキャッシュされる Outlook 2007 とは異なります。そのため、ユーザーの既存の Office Outlook 2003 プロファイルまたは Outlook 2007 プロファイルで Exchange キャッシュ モードが有効になっていて、そのプロファイルが Outlook 2013 にアップグレードされる場合、メールとメール以外の共有フォルダーが、ユーザーによるアクセス時にダウンロードされます。組織が広範囲にわたって共有フォルダーを使用していて, .ost ファイルのサイズが上限 (ANSI .ost ファイルの場合は 2 GB、Unicode または圧縮版の .ost ファイルの場合は既定で 20 GB) に近くなっている場合は、このことが問題になる可能性があります。これらの条件に両方とも該当する場合は、共有フォルダーをダウンロードすると、パフォーマンス上の問題やその他の問題が発生することがあります。ファイル サイズの上限の詳細については、「Outlook 2010 および Outlook 2013 で .pst ファイルと .ost ファイルのサイズ上限が大きくなった」を参照してください。
新しい Outlook 2013 プロファイルを使用する場合、あるいは Office Outlook 2003、Outlook 2007、または Outlook 2010 の既存のプロファイルをアップグレードする場合は、OCT またはグループ ポリシーによって共有フォルダーのダウンロード オプションを無効にできるので、共有フォルダーのダウンロードにかかわる問題を回避できます。[メール フォルダー以外の共有フォルダーをダウンロードする] の設定は、Outlook 2013 のメール フォルダーとメール以外のフォルダーの両方に適用されます。
共有メール フォルダー (委任された受信トレイなど) のキャッシュを無効にし、メール以外の共有フォルダー (予定表など) を無効にしない場合は、「共有メール フォルダーをキャッシュ モードでダウンロードするよう初期設定されている (Outlook 2010 および Outlook 2013)」を参照してください。
また、共有フォルダーのキャッシュと Exchange キャッシュ モードでのその他のキャッシュは、動作が異なるという点に注意してください。共有フォルダーでは、ユーザーが共有フォルダーを選択したときにのみ、ローカルの .ost ファイルのレプリケーションが開始されます。ユーザーがフォルダーを選択 (クリック) してそのフォルダーのキャッシュを開始すると、Outlook は、Exchange キャッシュ モードで同期されている他の Outlook フォルダーが更新されるのと同様に、そのフォルダーを更新します。ただし、ユーザーが少なくとも 45 日ごと (既定値) にそのフォルダーに移動しなければ、ユーザーがそのフォルダーを再び選択するまで、ローカルにキャッシュされたデータは .ost ファイルから削除され、ダウンロードされません。
キャッシュされた共有データが .ost ファイルから削除されるまでの日数を構成する場合は、OCT またはグループ ポリシーで [共有フォルダーのデータを同期する] オプションを構成できます。詳細については、後述する「Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードの設定」を参照するか、「Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを構成する」の手順説明を参照してください。
Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードの設定
Outlook グループ ポリシーの管理用テンプレート (Outlk15.admx) を使用すると、Exchange キャッシュ モードをカスタマイズする設定をロックできます。または、Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用して、既定の設定を構成することもできます。その場合はユーザーが設定を変更できます。
グループ ポリシーを使用すると、ユーザーが Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを有効化できないようにしたり、Exchange キャッシュ モードのダウンロード オプションを適用したり、その他の Exchange キャッシュ モードのオプションを構成したりできます。たとえば、Exchange Server コンピューター上またはクライアント コンピューター上でデータが変更されたときに Exchange Server を同期させる既定の間隔を指定できます。
グループ ポリシーを使用して設定をロックする手順については、「Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを構成する」を参照してください。
次の表は、Exchange キャッシュ モードに対して構成できる設定の一部を示しています。グループ ポリシーでは、これらの設定は [ユーザーの構成\管理用テンプレート\Microsoft Outlook 2013\アカウント設定\Exchange\Exchange キャッシュ モード] の下にあります。OCT 設定は、OCT の [ユーザー設定の変更] ページの対応する場所にあります。
Exchange キャッシュ モードの設定
設定名 | レジストリのパスおよび値の名前 | 説明 |
---|---|---|
Exchange キャッシュ モードの同期の設定 |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\outlook\cached mode!syncwindowsetting OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\cached mode!syncwindowsetting |
Outlook がメッセージの日付に基づいてローカルに同期させるユーザー電子メールの量を構成できます。日付に関係なく、すべての電子メール メッセージがユーザーのローカル メールボックス キャッシュに同期されるようにするには、一覧から [すべて] を選択します。この設定を構成しないと、Outlook は既定で過去 12 か月間に送信または受信した電子メール メッセージをユーザーのローカル メールボックス キャッシュ (.ost) に同期させます。 |
Exchange ファスト アクセスを無効にする |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\outlook\hybrid!localcaching OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\ hybrid!localcaching |
Exchange ファスト アクセスをオフにできます。これにより、ユーザー アカウントがローカル キャッシュのデータにアクセスするようになります。 |
[アイテムを完全にダウンロード] を無効にする |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!nofullitems OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!nofullitems |
Outlook の [アイテムを完全にダウンロード] オプションをオフにできます。このオプションを見つけるには、[送受信] タブを選択し、[ダウンロードの設定] を選択します。 |
[ヘッダーをダウンロード] を無効にする |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!noheaders OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!noheaders |
Outlook の [ヘッダーをダウンロード] オプションをオフにできます。このオプションを見つけるには、[送受信] タブを選択します。 |
[ヘッダーに続いてアイテムを完全にダウンロード] を無効にする |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!nodrizzle OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!nodrizzle |
Outlook の [アイテムを完全にダウンロード] オプションをオフにできます。このオプションを見つけるには、[送受信] タブを選択し、[ダウンロードの設定] を選択します。 |
[低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] を無効にする |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!noslowheaders OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\cached mode!noslowheaders |
Outlook の [低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] オプションをオフにできます。このオプションを見つけるには、[送受信] タブを選択し、[ダウンロードの設定] を選択します。 |
パブリック フォルダーのお気に入りをダウンロード |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!syncpffav OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\cached mode!syncpffav |
パブリック フォルダーのお気に入りを Exchange キャッシュ モードで同期できます。 |
メール フォルダー以外の共有フォルダーをダウンロードする |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!downloadsharedfolders OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\cached mode!downloadsharedfolders |
メール フォルダー以外の共有フォルダーを Exchange キャッシュ モードで同期できます。 |
新規および既存の Outlook プロファイルで Exchange キャッシュ モードを使用する |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\ outlook\cached mode!enable OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\cached mode!enable |
新規および既存の Outlook プロファイルで Exchange キャッシュ モードを使用する構成が有効になります。新規および既存の Outlook プロファイルでオンライン モードを使用する構成は無効になります。 |
次の表に、Exchange 接続に対して構成できる追加設定の一部を示します。グループ ポリシーでは、これらの設定は [ユーザーの構成\管理者用テンプレート\Microsoft Outlook 2013\アカウント設定\Exchange] の下にあります。OCT 設定は、OCT の [ユーザー設定の変更] ページの対応する場所にあります。
Exchange 接続の設定
設定名 | レジストリのパスおよび値の名前 | 説明 |
---|---|---|
Active Directory のプライマリ SMTP アドレスに基づいてプロファイルを自動的に構成する |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\outlook\autodiscover!zeroconfigexchange OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\autodiscover!zeroconfigexchange |
新規アカウントのセットアップに使用する SMTP 電子メール アドレスを Active Directory から取得したアドレスからユーザーが変更できないようにすることができます。 |
Outlook Anywhere のユーザー インターフェイス オプションを構成する |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\outlook\rpc!enablerpctunnelingui OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\rpc!enablerpctunnelingui |
ユーザーが Outlook Anywhere のユーザー インターフェイス (UI) オプションを表示および変更できるようにします。 |
OST ファイルを作成できないようにする |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\outlook\ost!noost OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\ost!noost |
オフライン フォルダーを使用できないようにします。 |
アップグレード時に新しい OST ファイルを作成しない |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\outlook\ost!donotcreatenewostonupgrade OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\ost!donotcreatenewostonupgrade |
以前のバージョンの Outlook で作成された既存の .ost ファイルを Outlook 2013 で強制的に使用させることができます。この設定を無効にするか構成しない場合 (推奨)、Outlook 2013 へのアップグレード時に新しい .ost ファイルが作成されます。 |
1 プロファイルあたりの Exchange アカウントの最大数を設定する |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\exchange!maxnumexchange OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\exchange!maxnumexchange |
Outlook プロファイルごとに許容される Exchange アカウントの最大数を設定できます。 |
共有フォルダーのデータを同期する |
グループ ポリシーのレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\policies\microsoft\office\15.0\outlook\cached mode!sharedfolderageoutdays OCT のレジストリ パス: HKEY_CURRENT_USER\software\microsoft\office\15.0\outlook\cached mode!sharedfolderageoutdays |
Outlook がフォルダーと Exchange の同期を停止する前にユーザーが Outlook にアクセスしない日数を制御できます。 |
関連項目
Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードまたはオンライン モードを選択する
Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを構成する