Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを構成する
適用先: Office 365 ProPlus, Outlook 2013
トピックの最終更新日: 2017-03-21
概要: ユーザーがオフラインで最近の Exchange サーバー電子メール メッセージにアクセスできるように Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードを構成します。
対象ユーザー: IT 担当者
社員が出張中でもビジネスは停止しません。Exchange キャッシュ モードはエンタープライズ ユーザーが出張中で Exchange Server から切り離されていても最近の電子メール メッセージ (既定では 12 か月分だが、増減できる) にアクセスできるようにします。彼らは、オフライン中にキャッシュ メッセージを読んで応答できます。また、彼らがオフライン中に作成した新しいメッセージまたは応答は再接続時に自動的に送信されます。
管理者でないユーザーの場合、この記事で想定している対象ユーザーではありませんが、Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを有効にする方法や、オフラインで保持するメールの数を変更する方法を理解する上で役立ちます。 |
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あなたが管理者の場合は、この記事から Outlook 2013 の Outlook Exchange キャッシュ モードを組織規模で構成する方法を学ぶことができます。 |
この記事の内容
概要
はじめに
Exchange キャッシュ モードを構成する
OCT を使用して Exchange キャッシュ モードの設定を構成する
グループ ポリシーを使用して Exchange キャッシュ モードの設定を構成する
グループ ポリシーを使用して .ost の既定の場所を構成する
新しい .ost ファイルが作成されないようにする
概要
Outlook 2013 アカウントが Exchange キャッシュ モードを使用するように構成している場合は、必ず、ユーザーのコンピューター上のオフライン データ ファイル (.ost ファイル) (既定では、C:\Users\<username>\AppData\Local\Microsoft\Outlook フォルダー内) にユーザーの Exchange メールボックスのローカル コピーが配置されます。
ユーザーがオフラインで Outlook 2013 を使用している場合は、プログラムがこのローカル コピーからオフライン アドレス帳 (OAB) を使用して機能します。ユーザーがオンラインの場合は、キャッシュ メールボックスと OAB がバックグラウンドで定期的に Exchange Server コンピューターから更新されます。ユーザーがオフライン中に下書きした電子メール メッセージはすべて、ユーザーがオンラインに復帰したときに自動的に送信されます。
重要
Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードは、Exchange Server 2007 以降の電子メール アカウントでのみ機能します。
ユーザーが以前のバージョンの Outlook から Outlook 2013 にアップグレードして、過去に Outlook を Exchange キャッシュ モード用に構成していた場合は、古い Exchange キャッシュ モードの設定が自動的に Outlook 2013 に適用されます。たとえば、Office Outlook 2003、Office Outlook 2007、または Outlook 2010 でユーザー アカウントが Exchange キャッシュ モードを使用するように構成されていた場合は、そのユーザーが Outlook 2013 にアップグレードしても Exchange キャッシュ モードは有効なままになります。新しい .ost ファイルまたは OAB ファイルの既定の場所は、%userprofile%\AppData\Local\Microsoft\Outlook\Offline Address Books です。管理者は、まだ .ost ファイルを使用していない組織内のユーザーのために別の .ost ファイルの場所を構成できます。別の .ost ファイルの場所を指定しなかった場合は、ユーザーが Outlook を Exchange キャッシュ モードで起動したときに Outlook が .ost ファイルを既定の場所に作成します。
Outlook 2013 をインストールすると、既定で、新しい圧縮版の .ost ファイルが作成されます。この圧縮版の .ost は、以前のバージョンの Outlook で作成された .ost ファイルよりもサイズが最大 40% 小さくなります。この新しい圧縮版の .ost ファイルの使用をお勧めしますが、古い非圧縮版の .ost ファイルを使用し続けなければならない場合は、Outlook グループ ポリシー テンプレートを使用して [アップグレード時に新しい OST ファイルを作成しない] ポリシーを有効にします。
同期スライダー (Outlook 2013 の [サーバーの設定] ダイアログ ボックスの [オフラインにしておくメール] スライダー) と Exchange ファスト アクセスの 2 つが Outlook 2013 の Exchange キャッシュ モードで既定で使用可能な新機能です。
Exchange ファスト アクセスは、オンライン モードのインスタントアクセスと、Exchange キャッシュ モードのオフライン機能および堅牢な同期機能とを組み合わせた機能で、特に、データをローカルで同期しようとするとユーザーにわかるくらい時間がかかる状況 (初回同期時、作業再開時、休暇明けなど) で使用するのが効果的です。
Outlook 2013 を初めて起動すると、最新の電子メール メッセージと最新の予定表がすぐに表示されます。Outlook 2013 は、ユーザー エクスペリエンスに影響を与えることなく、バックグラウンドでアイテムをキャッシュしてオフライン使用に備えます。同期スライダーを使用すれば、Outlook 2013 ユーザーは Outlook データ ファイル (.ost) 内でローカルに同期化される電子メール メッセージを制限できます。既定で、Exchange キャッシュ モードが有効になっている場合は、Outlook 2013 が最新の 12 か月分の電子メール メッセージのみをキャッシュして、それより古いメッセージをローカル キャッシュから削除します。ユーザーは、Microsoft Exchange 上でフォルダー内のメッセージ リストの最後にスクロールして、メッセージの [ここをクリック] をクリックすることにより、ローカル キャッシュから削除されたメッセージを表示できます。また、オフラインで維持する電子メールの数を変更することもできます。管理者は、既定の有効期間を変更することも、ローカル キャッシュから削除する電子メール メッセージの有効期間を強制することもできます。
Outlook グループ ポリシー管理用テンプレートを使用して、Exchange キャッシュ モードをカスタマイズする設定をロックすることができます。または、Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用して既定の設定を構成することもできます。OCT を使用した場合は、ユーザーが後から Outlook の [アカウントの変更] ダイアログ ボックスで設定を変更できます。
はじめに
展開を開始する前に、「Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードの展開を計画する」と「Office 2013 の Office カスタマイズ ツール (OCT) リファレンス」を参照して、Exchange キャッシュ モード用の構成が必要になる可能性がある既定の設定以外の設定を特定します。Exchange キャッシュ モードのカスタマイズは任意ですが、既定の設定がほとんどの組織に適合するはずです。
グループ ポリシー テンプレート ファイルまたは Office カスタマイズ ツール ファイルを初めて使用する場合は、それらに精通する時間を設けてください。その上で、グループ ポリシー経由で Exchange キャッシュ モードを構成することにした場合は、「Office 2013 のグループ ポリシーの概要」をお読みください。OCT を使用して Exchange キャッシュ モードを構成することにした場合は、「Office 2013 の Office カスタマイズ ツール (OCT) リファレンス」から始めてください。
Outlook 2013 管理用テンプレートをダウンロードするには、「Office 2013 管理用テンプレート ファイル (ADMX/ADML) と Office カスタマイズ ツール」を参照してください。
Exchange キャッシュ モードを構成する
Exchange キャッシュ モード設定を構成するには、次の手順を実行します。Exchange キャッシュ モード設定のカスタマイズは任意であることを思い出してください。
OCT を使用して Exchange キャッシュ モード設定を構成するには
OCT のツリー ビューで、[Outlook] を探して、[アカウントの追加] をクリックします。[アカウント名] 列で、構成するアカウントをクリックし、[変更] をクリックします。[Exchange の設定] ダイアログ ボックスが表示されます。
[詳細設定] をクリックします。
[キャッシュ モード] タブをクリックします。
ユーザーに対して Exchange キャッシュ モードを有効にするには、[Exchange キャッシュ モードを構成する] をクリックし、[Exchange キャッシュ モードを使用する] チェック ボックスをオンにします (既定で、Exchange キャッシュ モードは無効になっています)。
[キャッシュ モード] タブで既定のダウンロード オプションを選択します。
[ヘッダーのみをダウンロードする]。ユーザーには、メッセージのヘッダー情報と先頭部分が表示されます。メッセージをダブルクリックして開く、閲覧ウィンドウの [メッセージの残りの部分を今すぐダウンロードする] をクリックするなどの方法でメッセージ全体をダウンロードすることができます。
[ヘッダーに続いてアイテム全体をダウンロードする]。すべてのヘッダーがダウンロードされてから、アイテム全体がダウンロードされます。ダウンロードの順序は時系列でない場合がありますが、ユーザーに気付かれることはないはずです。Outlook によって、ユーザーが現在アクセスしているフォルダー内のヘッダーに続いてアイテム全体がダウンロードされ、次に、ユーザーが最近表示したフォルダー内のヘッダーに続いてアイテム全体がダウンロードされます。
[アイテム全体をダウンロードする]。アイテム全体がダウンロードされます。低速ネットワーク接続でない限り、このオプションの使用をお勧めします。ダウンロードの順序は時系列でない場合がありますが、ユーザーに気付かれることはないはずです。Outlook によって、ユーザーが現在アクセスしているフォルダー内のアイテム全体がダウンロードされ、次に、ユーザーが最近表示したフォルダー内のアイテム全体がダウンロードされます。これと [低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] オプションをペアで使用することができます。
(オプション) [メール以外の共有フォルダをダウンロードする] オプションをオフにすることによって、ユーザーの .ost ファイルに対する Exchange キャッシュ モード同期の一部として、共有メール フォルダー (委任された受信トレイなど) とその他のフォルダー (共有の予定表など) のダウンロードを無効にします。既定で、Outlook 2013 では、共有メール フォルダーと非メール フォルダーの両方がダウンロードされます。この場合は、必然的に、ユーザーの .ost ファイルのサイズが増加します。[メール フォルダー以外の共有フォルダーをダウンロードする] の設定は、共有メール フォルダーとそれ以外の共有フォルダーの両方に適用される点に注意してください。共有メール フォルダーのダウンロードのみを無効にする場合は、次の手順を実行します。
OCT のツリー ビューで、[追加内容] を探して、[レジストリ エントリの追加] をクリックします。
閲覧ウィンドウで、[追加] をクリックします。
次の情報を入力します。
共有メール フォルダーのダウンロードを無効にするレジストリ キー
ルート データ型 キー 値の名前 値データ HKEY_Current_User
REG_SZ
Software\Microsoft\Office\15.0\Outlook\Cached Mode
CacheOthersMail
0
[OK] をクリックします。
(オプション) [パブリック フォルダのお気に入りをダウンロード] オプションをオンにすることによって、Exchange キャッシュ モード同期の一部として、ユーザーのパブリック フォルダーのお気に入りをユーザーの .ost ファイルにダウンロードします。既定では、パブリック フォルダーのお気に入りはダウンロードされません。共有フォルダーの場合と同様に、パブリック フォルダーのお気に入りをダウンロードすると、ユーザーの .ost ファイルのサイズが増加します。また、パブリック フォルダーのお気に入りを同期すると、ネットワークのトラフィックが増加し、低速接続回線のユーザーをイライラさせる可能性があります。
グループ ポリシーを使用して Exchange キャッシュ モード設定を構成する
グループ ポリシーに Outlook 2013 テンプレートを読み込みます。
グループ ポリシー管理コンソール (GPMC) を開いて、ツリー ビューで、[ドメイン] を展開し、[グループ ポリシー オブジェクト] を展開します。
目的のポリシー オブジェクトを右クリックして、[編集] をクリックします。グループ ポリシー管理エディター ウィンドウが開きます。
ツリー ビューで、[ユーザーの構成]、[管理用テンプレート]、[Microsoft Outlook 2013]、[アカウント設定] の順に展開し、[Exchange] をクリックします。[Exchange] を展開して、[Exchange キャッシュ モード] をクリックすることもできます。
閲覧ウィンドウの [設定] 列で、設定するポリシーをダブルクリックして開きます。たとえば、[Exchange] 閲覧ウィンドウで、[新規および既存の Outlook プロファイルで Exchange キャッシュ モードを使用する] を開きます。
[有効にする] を選択し、必要に応じてオプションを選択します。
[OK] をクリックします。
グループ ポリシーを使用して .ost の既定の場所を構成する
グループ ポリシーに Outlook 2013 テンプレートを読み込みます。
グループ ポリシー管理コンソール (GPMC) を開いて、ツリー ビューで、[ドメイン] を展開し、[グループ ポリシー オブジェクト] を展開します。
目的のポリシー オブジェクトを右クリックして、[編集] をクリックします。グループ ポリシー管理エディター ウィンドウが開きます。
ツリー ビューで、[ユーザーの構成]、[管理用テンプレート]、[Microsoft Outlook 2013]、[その他] の順に展開し、[PST 設定] をクリックします。
[OST ファイルの既定の場所] ダブルクリックして開きます。
[有効] をクリックしてポリシーの設定を有効にします。
[OST ファイルの既定の場所] ボックスに, .ost ファイルの既定の場所を入力します。たとえば、次のように入力します。
%userprofile%\Local Settings\Application Data\Microsoft\新規フォルダー
[OK] をクリックします。
個人用 Outlook データ ファイル (.pst) と .ost ファイルの両方の新しい既定の場所を定義できます。ツリー ビューで [PST 設定] をクリックしてから、閲覧ウィンドウで [PST ファイルの既定の場所] 設定をダブルクリックして開きます。
新しい .ost ファイルが作成されないようにする
グループ ポリシーに Outlook 2013 テンプレートを読み込みます。
グループ ポリシー管理コンソール (GPMC) を開いて、ツリー ビューで、[ドメイン] を展開し、[グループ ポリシー オブジェクト] を展開します。
目的のポリシー オブジェクトを右クリックして、[編集] をクリックします。グループ ポリシー管理エディター ウィンドウが開きます。
ツリー ビューで、[ユーザーの構成]、[管理用テンプレート]、[Microsoft Outlook 2013]、[アカウント設定] の順に展開し、[Exchange] をクリックします。
[アップグレード時に新しい OST ファイルを作成しない] をダブルクリックして開きます。
[有効] をクリックしてポリシーの設定を有効にし、[OK] をクリックします。