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SharePoint Portal Server 2003 から Office SharePoint Server 2007 へのアップグレードと、一般的なカスタマイズの新しい方法の概要

この記事の内容 :

  • アップグレード プロセスについて

  • 一般的なカスタマイズの概要

  • カスタマイズ : エリア ページ用の特定の設計

  • カスタマイズ : カスタム認証

  • カスタマイズ : 特定のナビゲーション スキーム

  • カスタマイズ : テンプレート用にカスタマイズした外観と機能セット

この記事は、「Office SharePoint Server 2007 にアップグレードする」のガイドを補足するものです。このガイドは、Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003 から Microsoft Office SharePoint Server 2007 へのアップグレードの計画と実行のプロセスについて説明しています。この記事では、SharePoint Portal Server 2003 ではカスタム コードの開発が必要であったが、Office SharePoint Server 2007 ではこの開発が不要になった一般的なカスタマイズについていくつか説明しています。また、将来のアップグレードが円滑に行われるようにするための、カスタマイズのベスト プラクティスについても説明します。

以下に示す追加のリソースが、MSDN および TechNet の各 Web サイトで利用できます。

アップグレード プロセスについて

SharePoint Portal Server 2003 から Office SharePoint Server 2007 へアップグレードする場合は、カスタマイズを行なっていない環境でもいくつかの手順が必要です。カスタマイズを行っている場合は、環境のアップグレードに使用する最適な方法と、カスタマイズした要素をアップグレード プロセス中に処理する方法を決定する必要があります。SharePoint Portal Server 2003 から Office SharePoint Server 2007 へのアップグレードに関連するすべての手順の詳細については、「Office SharePoint Server 2007 にアップグレードする」を参照してください。このドキュメントのダウンロード可能なバージョンを https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=85556&clcid=0x411 から入手することもできます。

以下では、アップグレード プロセスを構成する 4 つの手順 (計画、準備、アップグレードの実行、およびアップグレード後の手順の実行) の概要を示します。

手順 1 : 計画

アップグレードを計画する際は、環境でのカスタマイズを確認し、サイトの機能にとって重要なものと、外観的であって製品の新機能によって置き換えることができるものとを判別します。このような判別は、アップグレード方法を決定すると共に、新しい Office SharePoint Server 2007 環境をカスタマイズする計画を作成するうえで役立ちます。

この計画の一部として、アップグレードを実行する前に環境を監査し、環境に何があるのかと、環境で何を変える必要があるのかを正確に把握します。たとえば、以下の点を考慮します。

  • 現在のハードウェアで十分かどうか、または新しいハードウェアを購入する必要があるかどうか。

  • 使用しているサードパーティー製ソフトウェアは何か、またそのソフトウェアの最新バージョンは利用可能かどうか。

計画の決定にあたっては、以下のリソースを参照してください。

計画手順の完全な一覧については、「章の概要 : アップグレードを計画および準備する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

手順 2 : 準備

アップグレードについて計画を作成し、その方法を決定した後は、アップグレードを準備する必要があります。この手順では、カスタム サイト定義がある場合はそのアップグレードを準備し、アップグレード前のスキャン ツールを実行します。これらのタスクの実行にあたっては、以下のリソースを参照してください。

準備手順の完全な一覧については、「章の概要 : アップグレード前の手順を実行する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

手順 3 : アップグレードの実行

アップグレード前の手順を完了したら、アップグレードを実行できます。詳細については、選択したアップグレード方法に応じて、以下のいずれかの章を参照してください。

手順 4 : アップグレード後の手順の実行

アップグレードが完了した後も、小規模なカスタマイズを再適用し、アップグレードを終了するための作業がいくつか残っています。詳細については、以下のリソースを参照してください。

アップグレード後の手順の完全な一覧については、以下の章を参照してください。

カスタマイズのベスト プラクティス

Windows SharePoint Services 用に書かれた記事「Best Practices for Ensuring Application Reusability and Upgrade in Windows SharePoint Services (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=105301&clcid=0x411) では、SharePoint 製品とテクノロジ向けのカスタマイズを開発する際のベスト プラクティスについていくつか説明しています。特に、ソフトウェア更新プログラムの適用や、カスタマイズの新しいバージョンへのアップグレードについて説明しています。この記事では、カスタマイズを計画する際に、将来のソフトウェアの更新とアップグレードを簡単に実行する際のベスト プラクティスについても説明しています。この記事のアドバイスのほとんどは、Office SharePoint Server 2007 のカスタマイズを検討する場合にも有効です。

カスタマイズのための一般的なベスト プラクティスとして、カスタマイズに関する詳細なメモをセットアップ ディレクトリ内の任意のファイルに記録しておいてください。このようなカスタマイズはまれにしか行わないと考えられますが、実際に行った場合、更新またはアップグレード中に上書きされる可能性があります。詳細なメモを残しておくと、カスタマイズが失われた場合でも簡単に再適用できます。

Office SharePoint Server 2007 Software Development Kit (SDK) 内の一連の記事でも、Office SharePoint Server 2007 の一般的なカスタマイズのベスト プラクティスについて説明しています。詳細については、「SharePoint 製品とテクノロジのカスタマイズの成功事例」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=106349&clcid=0x411) を参照してください。

一般的なカスタマイズの概要

SharePoint Portal Server 2003 用のいくつかの種類のカスタマイズでは、独自の開発が必要でした。Office SharePoint Server 2007 では、新機能によってこのようなカスタマイズの必要性が減ると共に、新しい方法を利用して要素をカスタマイズできます。以下の表は、SharePoint Portal Server 2003 で独自の開発が必要であったいくつかの一般的なカスタマイズと、Office SharePoint Server 2007 で使用する新しい方法を示しています。

カスタマイズ SharePoint Portal Server 2003 での最も一般的な実装 Office SharePoint Server 2007 での推奨の方法

エリア ページ用の特定の設計

エリア ページのカスタム テンプレート

サブサイト テンプレートまたはマスタ ページとページ レイアウトを使用してエリアの外観を制御します。

カスタム認証

カスタム認証またはシングル サインオン ソリューション

ASP.NET 認証方法を使用します (フォーム ベースの認証など)。

特定のナビゲーション スキーム

カスタム ナビゲーション

既定のナビゲーションを使用するか、標準の ASP.NET メニュー コントロールとナビゲーション プロバイダを使用します。

テンプレート用のカスタマイズした外観と機能のセット

カスタム サイト定義、カスタム テーマ、および .css ファイル

カスタム機能、マスタ ページ、およびページ レイアウトを作成するか、カスタム サイト定義を作成します。カスタム .css ファイルとテーマの使用を継続することもできます。

カスタマイズの検索

通知、スケジュール、およびカスタム コンテンツ ソースの検索

検索ベースの通知を作成し、スケジュールにコンテンツ ソースを使用します。詳細については、「アップグレードによる検索機能への影響」を参照してください。

以降では、Office SharePoint Server 2007 での一般的なカスタマイズと、要素のカスタマイズ方法の変更点について説明します。さらに、各セクションでは、要素のカスタマイズの詳細情報の参照先と、ベスト プラクティスのための推奨事項を示します。

SharePoint Portal Server 2003 と Office SharePoint Server 2007 での特定の機能の変更点の詳細については、「主な機能の比較」を参照してください。

カスタマイズ : エリア ページの特定の設計

SharePoint Portal Server 2003 では、エリア ページには独自のページ定義がありました。Office SharePoint Server 2007 では、SharePoint Portal Server 2003 のエリアはサブサイトにアップグレードされ、他のサブサイトで使用できるのと同じサイト定義が使用されます。

エリア ページのカスタム テンプレートのアップグレードに関する考慮事項

SharePoint Portal Server 2003 にカスタム エリア ページがあった場合は、それらのページを目的のサイト定義に正しくアップグレードするために、特定の手順を実行する必要がありました。これには、新しいバージョンのカスタム テンプレートの作成 (マスタ ページとページ レイアウトを含む) と、古いカスタム エリア ページ テンプレートから新しいテンプレートとページ レイアウトに要素をマップするためのアップグレード定義の作成が含まれます。発行サイトでは、古いカスタム エリア ページ テンプレート用のマスタ ページ、ページ レイアウト、およびウェルカム ページ レイアウトのサイト定義が必要です。

カスタム エリア ページのアップグレードの詳細については、Microsoft SharePoint Products and Technologies Team Blog の「How to Upgrade an Area based on a Custom Site Definition (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=106108&clcid=0x411) を参照してください。

サブサイトのカスタマイズのベスト プラクティス

サイトを再設計していて、トップ レベル サイトのサブサイト用に新しいテンプレートを作成する場合は、サブサイトの外観を制御する新しいサブサイト テンプレートまたはマスタ ページとページ レイアウトを作成します。個別のページをカスタマイズするのではなく、テンプレートとマスタ ページ (および発行サイトのページ レイアウト) を使用して、ページで使用できる外観と機能を制御することをお勧めします。

詳細については、以下のリソースを参照してください。

カスタマイズ : カスタム認証

SharePoint Portal Server 2003 で独自の認証プロバイダを使用する場合は、カスタム認証ソリューションを作成する必要がありました。Office SharePoint Server 2007 では、完全なカスタム認証ソリューションを作成しなくても、フォーム ベースの認証などの ASP.NET 認証方法を使用できるようになりました。サードパーティの認証ソリューションを使用していて、その使用を継続したい場合は、そのソフトウェア ベンダに問い合わせ、アップグレードされたバージョンの認証ソリューションがあるかどうかを確認してください。

カスタム認証ソリューションのアップグレードに関する考慮事項

試用版アップグレードを使用すると、カスタム認証ソリューションが Office SharePoint Server 2007 でも引き続き動作するかどうかを確認できます。または、段階的なアップグレード手法を使用する方法もあります。段階的なアップグレードでは、サイトを確認するまでは変更をコミットすることなく、認証ソリューションが動作するかどうかを確認できます。

試用版アップグレードの実行の詳細については、「試用版のアップグレードを使用して潜在的な問題を発見する (Office SharePoint Server)」を参照してください。アップグレード方法の詳細については、「アップグレード方法を決定する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

認証方法のカスタマイズのベスト プラクティス

完全なカスタム認証ソリューションを作成する代わりに、新しい ASP.NET 認証方法をカスタマイズできます。詳細については、「認証方法を計画する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

カスタマイズ : 特定のナビゲーション スキーム

SharePoint Portal Server 2003 では、既定のオプションにない動作が必要であった場合は (たとえば、ポータル サイトの階層表示が必要であるなど)、カスタム ナビゲーション ソリューションを作成する必要がありました。Office SharePoint Server 2007 では、サイトのナビゲーションは既定でサイト階層に基づいています。これにより、既定のナビゲーションを多くの場合に使用できます。

さらに、Office SharePoint Server 2007 のナビゲーションは標準の ASP.NET メニュー コントロールとナビゲーション プロバイダに基づいています。そのため、フライアウトなど他の要素を含むカスタム ナビゲーションが必要な場合は、ASP.NET ナビゲーション プロバイダ (SiteMapProvider) を使用して目的のナビゲーションを作成できます。

ナビゲーションのアップグレードに関する考慮事項

試用版アップグレードを使用すると、カスタム ナビゲーションが Office SharePoint Server 2007 でも引き続き動作するかどうかを確認できます。または、段階的なアップグレード手法を使用する方法もあります。段階的なアップグレードでは、サイトを確認するまでは変更をコミットすることなく、ナビゲーションの外観を確認できます。

一般的に、カスタム ナビゲーション コントロールは Web パーツとして実装されました。これらの Web パーツはアップグレード前に ASP.NET 2.0 を使用した再コンパイルが必要な場合があります。ただし、アップグレード後は引き続き動作し、既定のナビゲーションと共にページに表示されます。ここで、コントロールを比較し、カスタム ナビゲーション コントロールの使用を継続するか、既定のナビゲーション コントロールを構成して目的どおりに表示されるようにするかを決定できます。Office SharePoint Server 2007 ではパフォーマンスやナビゲーション機能が大幅に強化されているので、カスタム ソリューションの使用の継続について検討するときは、デザインに加えてパフォーマンスも評価してください。

試用版アップグレードの実行の詳細については、「試用版のアップグレードを使用して潜在的な問題を発見する (Office SharePoint Server)」を参照してください。アップグレード方法の詳細については、「アップグレード方法を決定する (Office SharePoint Server)」を参照してください。

ナビゲーションのカスタマイズのベスト プラクティス

Microsoft Visual Studio 開発システムまたは Microsoft Office SharePoint Designer 2007 を使用して、標準の ASP.NET メニュー コントロールとナビゲーション プロバイダをカスタマイズし、目的のナビゲーションを作成します。ナビゲーション リンクのカスタマイズの詳細については、「ページ設計のロードマップ」を参照してください。

カスタマイズ : テンプレート用にカスタマイズした外観と機能セット

SharePoint Portal Server 2003 では、サイトまたはサブサイトに独自の外観と機能セットが必要な場合は、必要な要素を含むカスタム サイト定義を作成する必要がありました。また、カスタム .css ファイルとテーマを作成することもできました。Office SharePoint Server 2007 では、カスタム サイト定義を .css ファイルとテーマと共に使用して、サイト用にカスタマイズしたテンプレートを作成することができますが、フィーチャー、マスタ ページ、ページ レイアウトなど、そのサイト定義のコンポーネントを設計するためのより多くのオプションがあります。

カスタム サイト定義のアップグレードに関する考慮事項

SharePoint Portal Server 2003 にカスタム サイト定義がある場合は、特定の手順を実行してそれらの定義を正しくアップグレードする必要があります。最初に、Office SharePoint Server 2007 に基づいて新しいサイト定義を作成する必要があります。次に、古いサイト定義の要素 (たとえば、特定のリストまたはライブラリ) を新しいサイト定義の要素にマップするアップグレード定義を作成します。新しいサイト定義とアップグレード定義の両方を作成するまでは、アップグレード プロセスを開始しないでください。

カスタマイズしたサイト定義のアップグレードの詳細については、以下のリソースを参照してください。

テーマと .css ファイルのアップグレードに関する考慮事

.css ファイルで使用されるスタイルとタグの一部は、Office SharePoint Server 2007 で変更されており、テーマも Office SharePoint Server 2007 で再設計されています。段階的なアップグレード手法を使用して、アップグレード後にサイトを確認することを検討してください。こうすると、アップグレード後のスタイルを確認し、新しい環境でそのスタイルを調整できます。または、以前のバージョンに戻し、SharePoint Portal Server 2003 でスタイルを変更して、再度アップグレードを試すことができます。以前のバージョンに戻す方法については、「以前のバージョンのサイトに戻す (Office SharePoint Server)」を参照してください。

FrontPage でカスタマイズしたページをサイト定義にリセットし、カスタム スタイルとテーマを削除して、既定のサイト定義を適用することもできます。詳細については、以下のリソースを参照してください。

Web パーツのアップグレードに関する考慮事項

Web パーツは、アップグレード前に ASP.NET 2.0 を使用して再コンパイルする必要がありますが、アップグレード後は引き続き動作します。段階的アップグレード手法を使用し、アップグレード後に Web パーツを確認することを検討してください。こうすると、アップグレード後の Web パーツの動作を確認し、以下の手順が必要かどうかを判断できます。

  • 新しい環境でカスタム Web パーツを調整する。

  • 代わりに既定の Web パーツを使用するように変更する。

  • Office SharePoint Server 2007 の新機能に基づいて新しいカスタム Web パーツを作成する。

カスタム フィーチャー、マスタ ページとページ レイアウト、またはカスタム サイト定義の作成のベスト プラクティス

これらのカスタマイズに関しては、次のようなベスト プラクティスがあります。

  • 既定のサイト定義を直接編集してカスタマイズしないでください。既定のサイト定義に基づいてサイト定義を作成する場合は、サイト定義をコピーし、一意の名前を付けて専用のディレクトリに保存してから、コピーをカスタマイズします。

  • 個別のページをカスタマイズするのではなく、ページ レイアウトとマスタ ページを使用して、ページの外観とページ内で使用できる機能を制御します。

  • 可能な限り、フィーチャーを使用してカスタム リストまたはサイトで使用できるその他の要素を作成します。これにより、カスタム要素の展開に柔軟性が生まれます。

詳細については、以下のリソースを参照してください。

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