Windows 7 からエンタープライズを検索する (SharePoint Server 2010)
適用先: SharePoint Server 2010
トピックの最終更新日: 2016-11-30
フェデレーションを使用することで Windows 7 クライアントからエンタープライズ検索を実行できます。ユーザーがエクスプローラーの検索ボックスに検索クエリを入力すると、Windows 7 クライアントが Microsoft SharePoint Server 2010 から検索結果を取得し、ユーザーがクエリを入力したエクスプローラーのウィンドウに結果を表示します。この記事では、1 つまたは複数のフェデレーション検索コネクタを SharePoint Server 2010 から Windows 7 クライアントにインストールすることによって、管理者およびユーザーがこの検索機能を有効にできる複数の方法について説明します。また、SharePoint Server の検索センターからのエンタープライズ検索と Windows 7 クライアントからのエンタープライズ検索のそれぞれの利点を比較します。
この記事の内容
フェデレーションと OpenSearch プロトコルについて
Windows 7 クライアントに対するフェデレーション プロバイダーとしての SharePoint Server 2010
エンドユーザーが Windows 7 クライアントにフェデレーション検索コネクタをインストールする方法 (プル方式)
管理者が Windows 7 クライアントにフェデレーション検索コネクタをインストールする方法 (プッシュ方式)
SharePoint Server 2010 でのエンタープライズの検索と Windows 7 クライアントからのエンタープライズの検索
フェデレーションと OpenSearch プロトコルについて
エンタープライズ検索におけるフェデレーションとは、検索クエリを外部の検索結果プロバイダー (検索エンジンなど) に送信し、検索結果を取得し、その結果をユーザーに対してローカルに表示するプロセスのことです。このプロセスでは、フェデレーション クライアントが検索クエリを送信することによって検索結果を要求し、フェデレーション プロバイダーがクエリに応答して結果を提供します。
フェデレーションでは、通常、OpenSearch v1.1 プロトコルが使用されます。このプロトコルでは、フェデレーション クライアントは、フェデレーション プロバイダーが認識できる標準の URL 形式で検索要求を送信します。検索結果はフェデレーション プロバイダー サーバーで集約され、フェデレーション プロバイダーが、RSS、Atom など、標準の XML 形式で結果をフェデレーション クライアントに返します。この後、フェデレーション クライアントはクライアント ブラウザーと同様に機能して、検索結果をユーザーに表示します。次の図は、OpenSearch プロトコルで規定されているように、フェデレーション クライアントからフェデレーション プロバイダーへ送信され、そしてフェデレーション クライアントへ返送されるデータの構造と流れを示しています。
フェデレーション検索のデータ フロー (OpenSearch プロトコル)
OpenSearch プロトコルの詳細については、「www.opensearch.org (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=198082&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
Windows 7 クライアントに対するフェデレーション プロバイダーとしての SharePoint Server 2010
SharePoint Server は、Office SharePoint Server 2007 を適用した Microsoft Office サーバー製品インフラストラクチャ更新プログラム以降、フェデレーション クライアントとしてもフェデレーション プロバイダーとしても、OpenSearch 標準をサポートしてきました。SharePoint Server がフェデレーション クライアントとして検索結果を利用できるようにするには、検索の管理者がフェデレーション対象を構成します。これは、検索システムが外部のコンテンツ リポジトリから検索結果を取得する方法を定義するものです。SharePoint Server は、OpenSearch プロトコルに従って、要求に応じて検索結果をクライアントに提供することもできます。つまり、SharePoint Server 検索システムでは、URL で外部システムから検索クエリを受け取り、検索可能な RSS フィードで検索結果を外部システムに返すことができます。
Windows 7 クライアントも、OpenSearch プロトコルを使用して外部データ ソースから検索結果を取得することによって、フェデレーション クライアントとしての機能を果たすことができます。Windows 7 クライアントが検索結果を取得できるソースの 1 つに、SharePoint Server の RSS フィードがあります。Windows 7 クライアントが SharePoint Server から検索結果を取得できるためには、Windows 7 クライアントにフェデレーション検索コネクタをインストールする必要があります。これには、エンドユーザーがコネクタをインストールする方法 (プル方式) と、検索の管理者がコネクタをインストールする方法 (プッシュ方式) があります。
エンドユーザーが Windows 7 クライアントにフェデレーション検索コネクタをインストールする方法 (プル方式)
管理者はユーザーに対して、ユーザー自身が SharePoint Server からフェデレーション検索コネクタをインストールすることで、Windows 7 クライアントからのエンタープライズ検索を簡単に有効にできる方法を説明できます。ユーザーが SharePoint Server の検索センターで検索クエリを送信すると、検索システムは検索結果ページに結果を表示します。クライアントのオペレーティング システムが Windows 7 の場合、検索結果ページの主要な検索結果 Web パーツの上部で、[通知] アイコンと [RSS フィード] アイコンの右側に、[フェデレーション検索コネクタ] アイコンが表示されます。次のスクリーン ショットは、検索結果ページ上の [フェデレーション検索コネクタ] アイコンを示しています。
SharePoint 検索結果ページ上の [フェデレーション検索コネクタ] アイコン
[フェデレーション検索コネクタ] アイコンをクリックすると、検索システムでは以下の処理が行われます。
OpenSearch 記述ファイル (.osdx) ファイルが生成されます。これは Microsoft 拡張機能が含まれる XML ファイルです。このファイルでは、SharePoint Server へ検索クエリを送信する方法と、エクスプローラーで検索結果を表示する方法を定義します。.osdx ファイルは、Office SharePoint Server 2007 の .fld ファイルの後継バージョンです。.osdx ファイルの形式と機能の詳細については、「Creating an OpenSearch Description File in Windows Federated Search (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=198085&clcid=0x411) (英語) および「Federating Windows Search with Enterprise Data Sources (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=198087&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
"この検索コネクタを Windows に追加しますか? 検索プロバイダー: <検索センター タイトル> (<検索センター URL>)。Windows のお気に入りに、ショートカットが追加されます。" というメッセージがユーザーに表示されます。
メッセージに対して、[追加] または [キャンセル] をクリックできます。[追加] をクリックすると, .osdx ファイルが開き、ユーザーの検索フォルダー (<ドライブ>:\Users\<ユーザー名>\Searches) に Windows 7 フェデレーション検索コネクタが作成され、そのコネクタへのショートカットがエクスプローラーのお気に入りに追加されます。これ以降、Windows 7 ユーザーはエクスプローラーでそのショートカットをクリックし、エクスプローラーの検索ボックスに検索クエリを入力して、SharePoint Server にクエリを送信できます。SharePoint Server では検索結果と関連するメタデータ (作成者、日付など) を返し、これがエクスプローラーに表示されて、ユーザーが表示および操作できます。どのクエリの場合も、Windows 7 クライアントに表示される検索結果は、同じ検索を SharePoint Server で直接実行したときに主要な検索結果 Web パーツに表示される結果と同じです。ただし、Windows 7 クライアントに検索結果が表示されるときに、おすすめコンテンツなど、いくつかの関連設定は保持されない可能性があります。次のスクリーン ショットは、フェデレーション検索結果がエクスプローラーにどのように表示されるかを示しています。
エクスプローラーに表示されるフェデレーション検索結果
Windows 7 からの検索範囲は、ユーザーが [フェデレーション検索コネクタ] アイコンをクリックする前に SharePoint Server の検索センターで実行された最後の検索の範囲と同じになります。たとえば、検索センターでの最後の検索の範囲がユーザーのチーム サイトだった場合、そのチーム サイトが、Windows 7 からの検索における対応するフェデレーション検索コネクタ ショートカットの範囲です。異なる範囲を使用して Windows 7 で検索結果を取得できるようにするには、SharePoint Server の検索センターで異なる範囲を使用して新しい検索を最初に実行し、SharePoint Server の対応する検索結果ページ上の [フェデレーション検索コネクタ] アイコンをクリックする必要があります。これによって、新しい範囲を持つフェデレーション検索コネクタのショートカットがエクスプローラーに作成されます。
管理者が Windows 7 クライアントにフェデレーション検索コネクタをインストールする方法 (プッシュ方式)
管理者は、プッシュ方式を使用して SharePoint Server から Windows 7 クライアントへフェデレーション検索コネクタをインストールできます。部門全体または企業全体の検索用のフェデレーション検索コネクタは従業員にとって役立つため、多数の Windows 7 クライアント コンピューターに同時にプッシュするのに適しています。
管理者がクライアント コンピューターにフェデレーション検索コネクタをプッシュするには、グループ ポリシーを使用する方法、ログオン スクリプトを使用する方法、フェデレーション検索コネクタをデスクトップ イメージに追加する方法など、さまざまな方法があります。.osdx ファイルの作成およびグループ ポリシーを使用したフェデレーション検索コネクタの展開の詳細については、『Windows 7 Federated Search Provider Implementer's Guide (英語)』(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=198088&clcid=0x411) (英語) および「Creating an OpenSearch Description File in Windows Federated Search (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=198089&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
以下の手順は、検索の管理者が SharePoint Server から Windows 7 クライアント コンピューターへフェデレーション検索コネクタを展開するためのもう 1 つの方法を示しています。この手順では、管理者が .osdx ファイルを作成し、それを共有ドキュメント ライブラリに保存します。次に, .osdx ファイルへのリンクと、リンク先の説明を記載した電子メール メッセージをユーザーに送信します。ユーザーが電子メール内のリンクをクリックすると、Windows 7 ファイル システムにフェデレーション検索コネクタが自動的に作成され、エクスプローラーのお気に入りにコネクタのショートカットも作成されます。Windows 7 からエンタープライズを検索する機能について、検索の管理者がユーザーにこのように伝えてください。
電子メールを使用してフェデレーション検索コネクタをクライアント コンピューターに展開するには
この手順を実行するユーザー アカウントが, .osdx ファイルが格納される共有ドキュメント ライブラリに対して投稿権限を持つことを確認します。また、対象のユーザーが共有ドキュメント ライブラリに対して読み取り権限を持つことも確認します。
SharePoint Server の検索センター、たとえば、部門全体または企業全体の検索センターからドキュメント検索を実行します。
検索結果ページ上の [フェデレーション検索コネクタ] アイコンを右クリックします。
[対象をファイルに保存] をクリックし, .osdx ファイルをローカル ドライブ上の適当な場所に保存します。
部門全体または企業全体の同じ検索センターで、ひとの検索を実行します。
検索結果ページ上の [フェデレーション検索コネクタ] アイコンを右クリックします。
[対象をファイルに保存] をクリックし, .osdx ファイルをローカル ドライブ上の適当な場所に保存します。
各 .osdx ファイルを共有ドキュメント ライブラリにアップロードします。
共有ドキュメント ライブラリにアップロードされた各 .osdx ファイルに対して、以下の操作を行います。
リンクを右クリックします。
[ショートカットのコピー] をクリックします。
ショートカットを電子メール メッセージに貼り付けます。各ショートカットに対して、"企業全体のドキュメント検索用のショートカットをエクスプローラーに追加する"、"部門全体のユーザー検索用のショートカットをエクスプローラーに追加する" など、ハイパーリンク表示テキストを使用できます。
電子メール メッセージの中で、以下の内容をユーザーに説明します。
メール内のリンクをクリックすると、エンタープライズ検索用のフェデレーション検索コネクタが Windows 7 クライアント コンピューター上に自動的に作成され、そのフェデレーション検索コネクタのショートカットがエクスプローラーのお気に入りに自動的に作成されます。
エクスプローラーでフェデレーション検索コネクタのショートカットをクリックし、エクスプローラーで検索クエリを入力して、フェデレーション検索コネクタに関連付けられている部門全体または企業全体の検索センターから検索結果を取得できます。検索結果は、クエリを入力したエクスプローラー ウィンドウに表示されます。
SharePoint Server 2010 でのエンタープライズの検索と Windows 7 クライアントからのエンタープライズの検索
SharePoint Server ユーザー インターフェイスで直接実行するエンタープライズ検索は、大規模なコーパス内の情報を検索する必要がある場合に特に役立ちます。ユーザーが SharePoint Server の検索センターから検索を実行すると、検索結果ページには、通常、結果と共に返されるメタデータを使用して結果を絞り込むことができる絞り込みパネルが表示されます。また、SharePoint Server ユーザー インターフェイスでは、おすすめコンテンツと優先するサイトを使用して、管理者が結果のランク付けを構成することもできます。クエリ提案、検索語句の候補などの機能も、ユーザーが情報を見つけるのに役立ちます。
これに対して、プル方式でインストールされたフェデレーション検索コネクタを使用してエクスプローラーに表示される結果に対しては、絞り込み、おすすめコンテンツなどの機能を使用することはできません (プッシュ インストール方式の場合、絞り込み機能を手動で .osdx ファイルに追加できます)。このため、Windows 7 クライアントからのエンタープライズ検索は、大規模なデータ ストアではなく既知の小規模なサイトから、ユーザーが身近な情報を取得する場合に最も役立ちます。たとえば、SharePoint チーム サイトに格納されている仕事仲間の技術仕様は、頻繁に参照される可能性があります。このような場合、作成者とアイテムの場所は既知であり、検索の絞り込みや関連性の設定を使用できる必要はありません。管理者はこのような考慮事項をユーザーに伝え、頻繁に使用するドキュメントが格納されている小規模なサイト用のフェデレーション検索コネクタをインストールするように勧めることができます。
Windows 7 のエクスプローラーで検索結果を表示する場合、ユーザーは、ファイルのプレビュー、ドラッグアンドドロップなどの Windows 機能を使用してデスクトップでの操作を効率的に行うことができます。Windows 7 におけるフェデレーション機能の詳細については、「Federated search in Windows (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=198091&clcid=0x411) (英語) を参照してください。SharePoint Server からの RSS フィードも、検索結果に関する多くのメタデータを提供します。メタデータには、イメージ、アイコン、サムネイル、およびビデオが含まれます。最後に、ユーザーが必要とする情報および機能がエクスプローラーのインターフェイスに表示されない場合は、エクスプローラーで [Web サイトで検索] リンク (前のスクリーン ショットを参照) をクリックすると、フェデレーション検索コネクタが作成された SharePoint Server Web サイトへのブラウザー タブが開きます。そのサイトでは、同じクエリと検索結果が表示され、絞り込みパネルを使用できます。
See Also
Other Resources
フェデレーション対象を管理する (SharePoint Server 2010)
フェデレーション検索の概要
Federating Windows Search with Enterprise Data Sources (英語)