Set-CsClientPin
トピックの最終更新日: 2012-03-25
指定のユーザーに新しい暗証番号 (PIN) を割り当てます。
構文
Set-CsClientPin -Identity <UserIdParameter> [-Pin <String>] [-Confirm [<SwitchParameter>]] [-Force <SwitchParameter>] [-WhatIf [<SwitchParameter>]]
解説
Lync Server 2010 を使用すると、ユーザーは、電話を使用してシステムに接続したり、公衆交換電話網 (PSTN) 会議に参加したりできます。一般的に、システムにログオンしたり会議に参加したりするには、ユーザーがユーザー名とパスワードを入力する必要があります。ただし、英数字キーパッドがない電話を使用している場合には、ユーザー名とパスワードの入力が問題になる可能性があります。そのため、Lync Server 2010 により、ユーザーに数値のみの PIN を提供できます。入力が求められた場合、ユーザーは、ユーザー名とパスワードの代わりに PIN を入力することで、システムにログオンしたり会議に参加したりできます。
Lync Server 2010 で有効なユーザーに対しては、PIN が割り当てられません。つまり既定では、PIN 認証を使用してシステムにアクセスすることはできません。ダイヤルイン会議の Web ページから PIN を取得することができます。または、管理者が Set-CsClientPin コマンドレットを使用して各ユーザーに PIN を割り当てることもできます。Set-CsClientPin を使用すると、ユーザーに対して特定の PIN を割り当てるか、Lync Server 2010 による PIN 生成を許可することができます。PIN を自動生成するには、Set-CsClientPin を呼び出す際に PIN パラメーターを省略するだけです。上記の操作を実行すると、新しい PIN が生成され、コマンドの完了後にユーザーの ID と新しい PIN が画面に表示されます。
明示的に割り当てる PIN は、対象のユーザーに適用される PIN 認証ポリシーの指定条件に適合する必要があります。たとえば PIN は、MinPasswordLength プロパティで指定されている桁数以上の数字で構成される必要があります。また、PIN は数字のみで構成される必要があります。文字その他の数字以外の文字は使用できませんので注意してください。
Set-CsClientPin を使用してクライアント PIN を設定する場合は、PIN 履歴の数は適用されません。たとえば、あるユーザーが 12345 という PIN を使用し、クライアント PIN ポリシーにより、同じ PIN をすぐに再使用することが防止されているとします。このユーザーがダイヤルイン電話会議の Web ページを使用して自らのクライアント PIN の更新を試みる場合は、同じ PIN (12345) を再使用するあらゆる試行は拒否されます。一方、Set-CsClientPin を使用して管理者がこのユーザーに対して 12345 という PIN を発行することは可能です。Set-CsClientPin は、PIN 履歴の数ポリシーに拘束されないからです。
既定では、Lync Server 2010 Standard Edition をインストールするときに、SQL Server Express に対してファイアウォールの例外は有効になっていません。これは、Windows PowerShell のリモート インスタンスから Set-CsClientPin を実行できないことを意味します。コマンドがファイアウォールを通過して SQL Server Express データベースにアクセスすることができないからです (ただし、このコマンドレットを Standard Edition サーバー自体でローカル実行することは可能です)。Set-CsClientPin を Standard Edition サーバーに対してリモート実行するには、SQL Server Express に対するファイアウォールの例外を手動で有効にする必要があります。
このコマンドレットを実行できるメンバー。既定では、次のグループのメンバーが Set-CsClientPin コマンドレットのローカル実行を承認されています。RTCUniversalServerAdmins。このコマンドレットが割り当てられているすべての役割ベースのアクセス制御 (RBAC) の役割の一覧 (自身が作成したカスタムの RBAC の役割を含む) を戻すには、Windows PowerShell プロンプトから次のコマンドを実行します。
Get-CsAdminRole | Where-Object {$_.Cmdlets –match "Set-CsClientPin"}
パラメーター
パラメーター | 必須かどうか | 型 | 説明 |
---|---|---|---|
Identity |
必須 |
UserIdParameter |
PIN を設定する必要のあるユーザー アカウントの ID です。ユーザーの Identity は、以下の 4 つの形式のうちの 1 つを使用して指定できます。1) ユーザーの SIP アドレス、2) ユーザーのユーザー プリンシパル名 (UPN)、3) ドメイン\ログオン形式 (litwareinc\kenmyer など) のユーザーのドメイン名とログオン名、および 4) ユーザーの Active Directory 表示名 (Ken Myer など)。ユーザーの Active Directory 識別名を使用してユーザーの Identity を参照することもできます。 また、表示名をユーザーの Identity として使用する場合は、アスタリスク (*) ワイルドカード文字を使用できます。たとえば、"* Smith" という Identity は、末尾が " Smith" という文字列値の表示名を持つすべてのユーザーを返します。 |
Pin |
省略可能 |
整数 |
ユーザーに割り当てるオプションの PIN です。PIN パラメーターを含めないと、Lync Server 2010 によってランダムに PIN が生成され、対象のユーザーに割り当てられます。PIN は、ユーザーに割り当てられているクライアント PIN ポリシーの最小文字数、およびよくあるパターンの設定に従う必要があります。 |
Force |
省略可能 |
スイッチ パラメーター |
コマンド実行中に発生する可能性のある、致命的ではないすべてのエラー メッセージを表示しないようにします。 |
WhatIf |
省略可能 |
スイッチ パラメーター |
実際にコマンドを実行せずに、コマンドの実行結果がわかります。 |
Confirm |
省略可能 |
スイッチ パラメーター |
コマンドの実行前に確認メッセージを表示します。 |
入力の種類
文字列値または Microsoft.Rtc.Management.ADConnect.Schema.ADUser オブジェクト。Set-CsClientPin は、ユーザー アカウントの ID を表す、パイプ処理された文字列値の入力を受け入れます。このコマンドレットは、ユーザー オブジェクトのパイプ処理された入力も受け入れます。
戻り値の種類
Set-CsClientPin は、値やオブジェクトを戻しません。代わりに、Microsoft.Rtc.Management.UserPinService.PinInfoDetails オブジェクトのインスタンスが構成されます。
例
-------------------------- 例 1 ------------------------
Set-CsClientPin -Identity "litwareinc\kenmyer"
例 1 のコマンドを実行すると、自動的に生成された PIN がユーザー litwareinc\kenmyer に対して割り当てられます。自動生成した PIN を割り当てるには、Set-CsClientPin を呼び出す際に Pin パラメーターを省略します。コマンドの完了後に Ken Myer に割り当てられた新しい PIN が画面上に表示され、この情報がユーザーに取り次がれます。
-------------------------- 例 2 ------------------------
Set-CsClientPin -Identity "litwareinc\kenmyer" -Pin 18723834
例 2 のコマンドを実行すると、18723834 という PIN がユーザー litwareinc\kenmyer に対して割り当てられます。Pin パラメーターの後に、割り当てる番号を使用することで、特定の PIN を割り当てます。
-------------------------- 例 3 ------------------------
Get-CsUser -OU "OU=Finance,DC=litwareinc,DC=com" | Set-CsClientPin
例 3 では、新しい PIN を特定の Active Directory 組織単位 (OU) 内の全ユーザーに対して自動的に割り当てる方法について示します。これを実行するため、Get-CsUser と OU パラメーターを使用して、財務 OU 内にアカウントがある全ユーザーのコレクションを戻します。次に、このコレクションを Set-CsClientPin にパイプ処理します。この結果、コレクション内の各ユーザーの新しい PIN が生成されます。
-------------------------- 例 4 ------------------------
Get-CsUser | Get-CsClientPinInfo | Where-Object {$_.IsPinSet -eq $False} | Set-CsClientPin
例 4 のコマンドを実行すると、現在 PIN が割り当てられていないすべてのユーザーに対して新しい PIN が割り当てられます。このタスクを実行するため、Get-CsUser を使用して、Lync Server 2010 で有効なすべてのユーザーのコレクションを戻します。次に、このコレクションを Get-CsClientPin コマンドレットと Where-Object コマンドレットにパイプ処理します。この 2 つのコマンドレットを一緒に使用することで、IsPinSet プロパティが False と等しいユーザーのみが選択されます。続いて、この PIN を持たないユーザーのみが含まれるコレクションを Set-CsClientPin にパイプ処理します。この結果、コレクション内の各ユーザーの PIN が自動生成されます。