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OPENXML による XML へのクエリ

Transact-SQL キーワードの 1 つである OPENXML を使用すると、インメモリ XML ドキュメントに対してテーブルやビューと同様の行セットが提供されます。OPENXML を使用することで、リレーショナル行セット同様に XML データにアクセスできるようになります。これを実現するため、XML ドキュメントの内部表現の行セット ビューが用意されています。行セット内のレコードは、データベース テーブルに格納できます。

OPENXML を使用できるのは、行セット プロバイダ、ビュー、または OPENROWSET をソースとして指定できる SELECT ステートメントおよび SELECT INTO ステートメントです。OPENXML の構文については、「OPENXML (Transact-SQL)」を参照してください。

OPENXML を使用して XML ドキュメントに対するクエリを記述するには、最初に sp_xml_preparedocument を呼び出す必要があります。このプロシージャは XML ドキュメントを解析し、使用準備が整った解析後のドキュメントへのハンドルを返します。解析後のドキュメントは、XML ドキュメント内のさまざまなノードを DOM (ドキュメント オブジェクト モデル) ツリーで表現したものです。このドキュメント ハンドルは OPENXML に渡されます。OPENXML では渡されたパラメータを基にドキュメントの行セット ビューを用意します。

ms175160.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
SQL Server 2005 では、SQL 用に更新された MSXML パーサー (Msxmlsql.dll) が sp_xml_preparedocument で使用されます。このバージョンの MSXML パーサーは、MSXML Version 2.6 との下位互換性を維持したまま SQL Server 2005 もサポートするように設計されました。

XML ドキュメントの内部表現は、sp_xml_removedocument システム ストアド プロシージャを呼び出してメモリを解放することによって、メモリから削除する必要があります。

次の図は、この処理を示しています。

OPENXML で解析された XML

OPENXML を理解するには、XPath クエリと XML を詳しく理解している必要があります。SQL Server での XPath のサポートの詳細については、「SQLXML 4.0 での XPath クエリの使用」を参照してください。

ms175160.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
OPENXML では、XPath の行と列のパターンを変数としてパラメータ化できます。プログラマがこのようなパラメータ化を外部ユーザーに公開すると (たとえば、外部で呼び出されるストアド プロシージャからパラメータが指定される場合など)、XPath 式を外部から挿入できる可能性があります。このような潜在的なセキュリティの問題を回避するために、XPath パラメータを外部の呼び出し元に公開しないでください。

OPENXML のパラメータ

OPENXML のパラメータは、次のとおりです。

  • XML ドキュメント ハンドル (idoc)
  • 行にマップされるノードを特定するための XPath 式 (rowpattern)
  • 生成される行セットの説明
  • 行セット列と XML ノード間のマッピング

XML ドキュメント ハンドル (idoc)

ドキュメント ハンドルは、sp_xml_preparedocument ストアド プロシージャから返されます。

処理するノードを特定するための XPath 式 (rowpattern)

rowpattern として指定する XPath 式で、XML ドキュメントに含まれる一連のノードを特定します。rowpattern によって特定される各ノードが、OPENXML で生成される行セット内の 1 行に相当します。

XPath 式で特定するノードは、XML ドキュメント内のどの XML ノードでもかまいません。XML ドキュメント内の一連の要素を rowpattern で特定すると、特定した要素ノードごとに 1 行の行セットが形成されます。たとえば、rowpattern の結果が属性になる場合は、rowpattern によって選択された属性ノードごとに行が作成されます。

生成される行セットの説明

OPENXML では行セット スキーマを使用して、結果の行セットを生成します。行セット スキーマを指定するときは、次の方法を使用できます。

エッジ テーブル形式の使用

行セット スキーマを指定するにはエッジ テーブル形式を使用してください。WITH 句は指定しないでください。

これによって、OPENXML からエッジ テーブル形式の行セットが返されます。この行セットは、解析した XML ドキュメント ツリーのすべてのエッジが行セットの各行にマップされるので、エッジ テーブルと呼ばれます。

エッジ テーブルは XML ドキュメントの詳細構造を 1 つのテーブル内に表現します。表現される構造には、要素名、属性名、ドキュメント階層、名前空間、処理命令などがあります。エッジ テーブル形式を使用すると、メタプロパティでは公開されない追加情報を取得できます。メタプロパティの詳細については、29bfd1c6-3f9a-43c4-924a-53d438e442f4 「OPENXML 内でのメタプロパティの指定」を参照してください。

エッジ テーブルに含まれる追加情報によって、要素と属性のデータ型、ノードの種類、XML ドキュメント構造に関する情報の保存およびクエリを実行できます。また、独自の XML ドキュメント管理システムを構築することもできます。

エッジ テーブルを使用することで、XML ドキュメントを BLOB (バイナリ ラージ オブジェクト) 入力として受け取り、エッジ テーブルを生成し、ドキュメントを詳細なレベルまで展開および分析するストアド プロシージャを作成できます。詳細なレベルでは、ドキュメント階層、要素名、属性名、名前空間、および処理命令を検出できます。

また、他のリレーショナル形式へのマッピングが論理的でなく、ntext 型のフィールドでは構造情報が十分得られない場合に、エッジ テーブルを XML ドキュメントの格納形式としても使用できます。

XML パーサーを使用して XML ドキュメントを検査できる場合は、エッジ テーブルを使用しても同じ情報を入手できます。

次の表で、エッジ テーブルの構造について説明します。

列名 データ型 説明

id

bigint

ドキュメント ノードの一意 ID です。

ルート要素の ID 値は 0 です。負の ID 値は予約済みです。

parentid

bigint

ノードの親を識別します。この ID で識別される親が親要素だとは限りません。識別された親が親要素であるかどうかは、この ID で識別されるノードを親とするノードの NodeType によって決まります。たとえば、ノードがテキスト ノードの場合、その親は属性ノードである可能性があります。

ノードが XML ドキュメント内の最上位レベルにある場合、その ParentID は NULL です。

node type

int

XML DOM (オブジェクト モデル) でノードの種類に付けられている番号に応じた、ノードの種類を識別するための整数です。

この列に示される、ノードの種類を示す値を次に示します。

1 = 要素ノード

2 = 属性ノード

3 = テキスト ノード

4 = CDATA セクション ノード

5 = エンティティ参照ノード

6 = エンティティ ノード

7 = 処理命令ノード

8 = コメント ノード

9 = ドキュメント ノード

10 = ドキュメント型ノード

11 = ドキュメント フラグメント ノード

12 = 注釈ノード

詳細については、Microsoft XML (MSXML) SDK の「nodeType Property」を参照してください。

localname

nvarchar(max)

要素または属性のローカル名です。DOM オブジェクトに名前がない場合は NULL になります。

prefix

nvarchar(max)

ノード名の名前空間プレフィックスです。

namespaceuri

nvarchar(max)

ノードの名前空間 URI です。値が NULL の場合は、名前空間がありません。

datatype

nvarchar(max)

要素行または属性行の実際のデータ型です。それ以外は NULL になります。データ型は、インライン DTD またはインライン スキーマから推定されます。

prev

bigint

前の兄弟要素の XML ID です。前に直接の兄弟がない場合は NULL になります。

text

ntext

テキスト形式で表した属性の値または要素のコンテンツです。エッジ テーブルのエントリに値が必要ない場合は NULL になります。

WITH 句を使用した既存のテーブルの指定

WITH 句を使用して、既存のテーブルの名前を指定できます。これを行うには、OPENXML で使用して行セットを生成できるスキーマを持つ既存のテーブルの名前を指定するだけです。

WITH 句を使用したスキーマの指定

WITH 句を使用して、スキーマ全体を指定できます。行セットのスキーマを指定するときは、列名と、そのデータ型および XML ドキュメントへのマッピングを指定します。

SchemaDeclaration 内で ColPattern パラメータを使用することによって、列パターンを指定できます。指定された列パターンを使用するのは、rowpattern によって識別される XML ノードに行セットの列をマップする場合、およびマッピングの種類を決定する場合です。

列に ColPattern が指定されていない場合、行セットの列は、flags パラメータで指定したマッピングに基づいて、同じ名前の XML ノードにマップされます。一方、ColPattern が WITH 句のスキーマ指定の一部として指定されている場合は、flags パラメータで指定したマッピングが上書きされます。

行セット列と XML ノード間のマッピング

OPENXML ステートメントでは、必要に応じて、rowpattern で特定される XML ノードと行セットの列の間のマッピングの種類 (属性中心、要素中心など) を指定できます。この情報は、XML ノードと行セットの列の間で変換を行うときに使用されます。

マッピングの指定方法は 2 種類で、それらを同時に指定することもできます。

  • flags パラメータを使用する方法
    flags パラメータで指定されるマッピングは、XML ノードが行セット内の対応する同名の列にマップされるという名前の対応が前提になっています。
  • ColPattern パラメータを使用する方法
    ColPattern は XPath 式であり、WITH 句で SchemaDeclaration の一部として指定されます。ColPattern で指定されるマッピングは、flags パラメータで指定されるマッピングを上書きします。
    ColPattern でマッピングの種類 (属性中心、要素中心など) を指定できます。ここでの指定は、flags による既定のマッピングを上書きしたり、拡張するものです。
    ColPattern は次の場合に指定します。
    • 行セット内の列名が、マップされる要素名または属性名と異なっている場合。このとき ColPattern は、行セットの列をマップする XML の要素名または属性名を特定するために使用されます。
    • メタプロパティ属性を列にマップする場合。このとき ColPattern は、行セットの列をマップするメタプロパティを特定するために使用されます。メタプロパティの使用方法の詳細については、「OPENXML 内でのメタプロパティの指定」を参照してください。

flags パラメータと ColPattern パラメータはどちらも省略できます。マッピングの指定がない場合、属性中心のマッピングが想定されます。属性中心のマッピングが、flags パラメータの既定値です。

属性中心のマッピング

OPENXML の flags パラメータを 1 (XML_ATTRIBUTES) に設定すると、属性中心のマッピングが指定されます。flags に XML_ATTRIBUTES が含まれていると、公開される行セットで使用される行は、各 XML 要素が 1 行として表現されます。XML 属性は名前の対応を基に、SchemaDeclaration で定義した属性、または WITH 句の Tablename で指定した属性にマップされます。名前の対応とは、特定の名前の XML 属性が、行セット内の同名の列に格納されることを意味します。

列名がマップ先の属性名と異なっている場合は、ColPattern を指定する必要があります。

XML 属性に名前空間の修飾子がある場合は、行セット内の列名にも修飾子が必要です。

要素中心のマッピング

OPENXML の flags パラメータを 2 (XML_ELEMENTS) に設定すると、要素中心のマッピングが指定されます。要素中心のマッピングは、次の相違点を除けば属性中心のマッピングと同じです。

  • 列レベルのパターンが指定されていなければ、マッピングで通例行われる名前の対応 (同名の XML 要素への列のマッピング) によって、非複合サブ要素が選択されます。取得のとき、サブ要素がさらにサブ要素を含んでいて複合型になっている場合、列は NULL に設定され、含まれているサブ要素の属性値は無視されます。
  • 同名のサブ要素が複数ある場合、最初のノードが返されます。

参照

関連項目

FOR XML および OPENXML の使用による XML データのパブリッシュと処理

概念

xml データ型
サンプル XML アプリケーション

その他の技術情報

sp_xml_preparedocument (Transact-SQL)
sp_xml_removedocument (Transact-SQL)
OPENXML (Transact-SQL)

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手