SQL Server PowerPivot for SharePoint のインストールに関する注意点
SQL Server 2008 R2 セットアップは、SQL Server PowerPivot for SharePoint をインストールする場合に使用します。また、必要に応じて、SQL Server PowerPivot for SharePoint を構成する場合にも使用します。構成は、このインストールの前提条件を満たすシステムで使用できる、[新しいサーバー] オプションを利用することでサポートされます。
このトピックでは、次の作業に関する情報と推奨事項を示します。
物理サービス インスタンスのインストール
セットアップ ロールの選択
インストールする機能と共有コンポーネント
PowerPivot サービス アカウントの指定
PowerPivot の名前付きインスタンスのインストール
Analysis Services の複数のインスタンスおよびバージョンのインストール
インストールのシナリオ
物理サービス インスタンスのインストール
このリリースでは、SharePoint 2010 が提供する共有サービス アーキテクチャ内に Analysis Services が実装されています。新しい SharePoint サービス アーキテクチャでは、管理者が、サービスを Web アプリケーションに簡単に関連付けたり、必要に応じて役割や機能を切り替えたりできます。モジュール構成のファームでは、任意のサーバーやアプリケーションの有効化および構成を行えます。また、サーバーやアプリケーションを、同じファーム内で実行中の他のメンバー サーバーが検出することもできます。Analysis Services は、こうしたファームの環境内で機能します。これは、SQL Server セットアップによって、Analysis Services が共有サービスとしてインストールおよび構成されるためです。
新しいアーキテクチャでは、任意のアプリケーションに対する機能やサービスの有効化が容易になりますが、サービスは、引き続きファーム内の物理コンピューター上に常駐します。SQL Server セットアップを実行すると、Analysis Services の物理サービス インスタンスがローカル サーバー上に配置されます。この物理サービス インスタンスは SQL Server Analysis Services のライセンス コピーであり、クエリ プロセッサを提供します。また、ファーム内の他のアプリケーションやコンポーネントとの対話をサポートする、新しいシステム管理インターフェイスも提供します。
PowerPivot for SharePoint をファームに追加するには、大規模なデータ処理に使用するファーム内の各物理コンピューターで、SQL Server セットアップを実行する必要があります。スケールアウト要件のため PowerPivot サーバー インスタンスが 3 つ必要な場合は、SQL Server セットアップを 3 台のコンピューターで実行して、それぞれに物理インスタンスをインストールする必要があります。
物理的なインストール プロセスが完了したら、PowerPivot for SharePoint 機能を使用する SharePoint Web アプリケーションに対して PowerPivot サーバーを構成することにより、サービス アプリケーションを論理エンティティとして管理できます。複数の PowerPivot サーバー インスタンスをインストールすると、それらは単一のシステムとして使用されます。実際の要求の処理は、インストールした物理サーバー インスタンスのいずれかで行われます。
セットアップ ロールの選択
SQL Server 2008 R2 セットアップでは、特定の構成に SQL Server 機能コンポーネントを配置する、新しいセットアップ ロールのインストール オプションが導入されました。このリリースのセットアップには、SQL Server PowerPivot for SharePoint をインストールするセットアップ ロールが 2 種類用意されています。
[既存のファーム] オプション。このオプションは、既に構成されているファームまたはサーバーに PowerPivot for SharePoint を追加するために使用します。このオプションでは、インストール後に PowerPivot for SharePoint を手動で構成する必要があります。
[新しいサーバー] オプション。SharePoint、Excel Services、Analysis Services、およびその他の PowerPivot サーバー コンポーネントを同じコンピューター上に配置する、シングルサーバー配置の場合にお勧めします。このオプションでは、すべてのサービスと機能が自動的に構成されます。
PowerPivot for SharePoint は、他の SQL Server 機能コンポーネント (MOLAP、ROLAP、および HOLAP の各ストレージ オプションをサポートする他の Analysis Services インスタンスなど) とは別に、固定セットアップ ロールとして必ずインストールされます。このセットアップ ロールを使用すると、必須のコンポーネントと機能があらかじめ選択されるため、セットアップで PowerPivot for SharePoint を動作中に配置できます。また、PowerPivot for SharePoint のインスタンスが物理サーバーごとに 1 つだけインストールされます。
インストールする機能と共有コンポーネント
次の表に、PowerPivot for SharePoint セットアップ ロールの選択時にインストールされる、SQL Server の機能と共有コンポーネントの一覧を示します。
項目 |
説明 |
---|---|
Analysis Services サービス |
SharePoint 統合モードの Analysis Services を使用すると、Excel 2010 ブック内の圧縮された PowerPivot データをメモリ内で格納して計算することができます。 |
PowerPivot サービス アプリケーション ([新しいサーバー] の場合のみ) |
PowerPivot System サービスにエンドポイントを提供する共有サービス アプリケーション。 |
PowerPivot ソリューション パッケージ ([新しいサーバー] の場合のみ SQL Server セットアップによって配置される) |
Web フロント エンド上への PowerPivot for SharePoint の配置と、ファーム内のサーバーに対するアプリケーション ファイルのコピーに使用されます。 Powerpivotfarm.wsp は、グローバルに適用されるソリューション パッケージです。テンプレート、コンテンツの種類、および Web パーツを追加します。 PowerPivotwebapp.wsp は、PowerPivot サービス アプリケーションの作成後に適用されるソリューション パッケージです。このソリューションの配置には、事前定義されたサービス アプリケーションが必要です。 |
データベース エンジン サービス ([新しいサーバー] の場合のみ) |
新しいファーム構成のオプションを選択すると、ファーム内でデータベース サーバーとして使用するデータベース エンジンの 'PowerPivot' という名前付きインスタンスが、セットアップでインストールされます。セットアップでは、データベース エンジンに加えて次のサービスが追加されます。 SQL Server Agent サービス SQL Server Browser サービス |
SQL Server Management Studio ([新しいサーバー] の場合のみ) |
Analysis Services サービス インスタンスによって読み込まれる PowerPivot データに関する接続の問題をトラブルシューティングし、診断するために、このツールがインストールされます。 |
SQL Server インポートおよびエクスポート ウィザード ([新しいサーバー] の場合のみ) |
このウィザードは、データベース エンジン サービスの主要なコンポーネントとしてインストールされます。SQL Server リレーショナル データベース間でデータを移動するための汎用ツールです。 |
構成ツール ([新しいサーバー] の場合のみ) |
構成ツールは、次のような SQL Server のサービスとデータベースを管理するために提供されています。 SQL Server 構成マネージャー SQL Server エラーと使用状況レポート SQL Server インストール センター |
パフォーマンス ツール ([新しいサーバー] の場合のみ) |
パフォーマンス ツールは、次のデータベース エンジン インスタンスのインストールに含まれています。 データベース エンジン チューニング アドバイザー SQL Server Profiler |
SQL Server オンライン ブック |
製品ドキュメント。 |
PowerPivot サービス アカウントの指定
SQL Server PowerPivot for SharePoint のインストール方法によっては、セットアップでいくつかのサービス アカウントが構成されます。構成時には、既定アカウントと提供された個人情報を組み合わせて使用します。アカウントごとに、セットアップで次のものが構成されます。
アカウント |
説明 |
---|---|
Analysis Services サービス |
このサービス アカウントは、セットアップの実行中、提供したドメイン ユーザー アカウント情報を使用して指定されます。ドメイン ユーザー アカウントが必要となります。アカウント要件の詳細については、「SharePoint ファームへの PowerPivot の配置の計画」を参照してください。 |
PowerPivot サービス アプリケーション プール |
PowerPivot System サービスのサービス アカウントは、PowerPivot サービス アプリケーション プール の ID です。このアカウントには、Analysis Services サービス インスタンスに対する管理権限が必要です。これらの権限は SQL Server セットアップで自動的に付与されます。 [新しいサーバー] オプションによるインストールの場合は、このアプリケーション プール ID がサーバー ファーム アカウントに設定されます。セットアップ完了後、サーバーの全体管理で別の ID を指定できます。 |
ファーム アカウント ([新しいサーバー] の場合のみ) |
新しいサーバーを構成する場合にのみ、重要なサービスの実行と構成データベースに対するアクセスのためのドメイン ユーザー アカウントを指定する必要があります。 |
ファーム管理者 ([新しいサーバー] の場合のみ) |
新しいサーバーを構成する場合にのみ、SharePoint Server セットアップと SQL Server セットアップを実行したユーザーのアカウントに基づいて、ファーム管理者、サービス管理者、およびプライマリ サイト コレクション管理者が構成されます。セットアップ完了後、SharePoint サーバーの全体管理で管理ロールを他のユーザーに委任できます。 |
プライマリ サイト コレクション管理者 ([新しいサーバー] の場合のみ) |
新しいサーバーを構成する場合にのみ、既定の SharePoint Web アプリケーションのプライマリ サイト コレクション管理者とファーム管理者が同じになります。このロールを他のユーザーに委任するには、SharePoint サーバーの全体管理を使用します。 |
SQL Server データベース エンジン システム管理者、Analysis Services システム管理者 ([新しいサーバー] の場合のみ) |
SQL Server セットアップで、SQL Server データベース エンジンと Analysis Services の両方を管理するシステム管理者を指定する必要があります。設定を行っているユーザーを両方のサーバーのシステム管理者ロールに追加しておきます。これらのロールは、セットアップ完了後、SQL Server Management Studio を使用して他のユーザーに委任できます。 |
サービス アカウントの構成の詳細については、「サービス アカウントとパスワードの変更 (PowerPivot for SharePoint)」を参照してください。
PowerPivot の名前付きインスタンスのインストール
PowerPivot for SharePoint は、常に Analysis Services の名前付きインスタンスとしてインストールされます。インスタンス名は 'PowerPivot' です。インスタンス名はハードコードされているため、独自の名前に置き換えることはできません。
Analysis Services の複数のインスタンスおよびバージョンのインストール
1 台のコンピューターで使用できる PowerPivot サービスのインスタンスは 1 つだけですが、同じ物理コンピューターに別の Analysis Services インスタンスをインストールしてネイティブ モード動作 (MOLAP、HOLAP、および ROLAP) をサポートできます。サイド バイ サイド インストールを実行するには、次の操作を行います。
インストール ウィザードの [機能の選択] ページ使用して Analysis Services をインストールします。Analysis Services は、既定の SQL Server インスタンスとして、または定義した名前付きインスタンスとしてインストールされます。
インストール ウィザードの [セットアップ ロール] を使用して PowerPivot for SharePoint をインストールします。Analysis Services は、'PowerPivot' という名前付きインスタンスとしてインストールされます。
インストールのシナリオ
PowerPivot for SharePoint をインストールする準備ができたら、次のリンクのいずれかを選択します。
リンク |
シナリオ |
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SQL Server インストール ウィザードを使用して、事前計画や SharePoint 製品に関する知識の習得に時間をかけずにできるだけ早く PowerPivot を配置します。このシナリオでは、サーバー機能をすぐに使用できるように、セットアップによってインストールと事前構成の両方が行われます。 |
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SQL Server インストール ウィザードを使用して、SharePoint 2010 が既にインストールされているシステム上に PowerPivot を配置します。この場合、SharePoint 環境で使用できるようにファイルがコピーされて、最小構成のインストールが実行されます。SharePoint 管理者は、配置を完了するには PowerPivot ソフトウェアを有効にする必要があります。 |
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SQL Server 2008 R2 には、SharePoint と統合される機能が複数あります。このインストール手順では、Reporting Services と PowerPivot for SharePoint を同じファームにインストールする方法を確認できます。 |
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PowerPivot ソフトウェアを追加のアプリケーション サーバーにインストールすることで、PowerPivot for SharePoint の配置をスケール アウトすることができます。 |
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コマンド ラインからセットアップを実行することによって自動インストールが可能です。 |