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PowerPivot の概要

PowerPivot は複数のアプリケーションとサービスから構成され、Excel と SharePoint を使用してビジネス インテリジェンスを作成および共有するためのエンド ツー エンドのソリューションを提供します。

PowerPivot は、Excel および SharePoint に統合されます。Excel 環境では、PowerPivot for Excel を利用することで、使い慣れた作成操作と分析操作がワークステーション上で実現されます。SharePoint ファームでは、PowerPivot for SharePoint によって、サーバー側のアプリケーションと機能が追加されます。これらは、PowerPivot データ アクセスと SharePoint にパブリッシュするブックの管理をサポートします。PowerPivot サーバー コンポーネントは、データの読み込み、クエリの処理、定期データ更新の実行、ファーム内のサーバーとブックの使用状況の追跡などを行います。

クライアント、中間層、およびバックエンド アドインから成る 3 層構造の図

このトピックの内容は次のとおりです。

PowerPivot for Excel とは

PowerPivot for SharePoint とは

SharePoint 内の PowerPivot データのクエリ

PowerPivot の対象ユーザー

PowerPivot for Excel とは

PowerPivot for Excel は、Excel ブックで PowerPivot データを作成するための作成ツールです。ピボットテーブルやピボットグラフなどの Excel データ ビジュアル化オブジェクトを使用して、Excel ブック (.xlsx) ファイルに埋め込んだ PowerPivot データやブックで参照する PowerPivot データを表します。

PowerPivot for Excel は、セルフサービス型のビジネス インテリジェンスを次のようにサポートします。

  • Excel における行と列の現在の制限をなくして、さらに多くのデータをインポートできるようにします。

  • データ リレーションシップ レイヤーを使用すると、さまざまなソースのデータを統合し、全体的なデータ処理を行うことができます。データの入力、他のワークシートのデータのコピー、企業データベースのデータのインポートが可能です。データ間にリレーションシップを構築すると、単一ソースのデータと同じように分析できます。

  • 移植および再利用できるデータを作成します。データはブック内部に保持されます。外部データ接続を管理する必要はありません。ブックをパブリッシュ、移動、コピー、または共有すると、すべてのデータにそれらの操作が反映されます。

  • すべての PowerPivot データは、ブックの他の部分ですぐに使用可能になります。Excel と PowerPivot のウィンドウを切り替えることで、データ自体の操作や、ピボットテーブルまたはグラフ内でのデータ表示の操作を、対話的に実行できます。データの操作とデータの表示は、別々のタスクではありません。同じ Excel 環境内で両方を同時に操作します。

PowerPivot for Excel を使用すると、Excel の最大行数である 100 万行を大幅に超える何百万行ものデータを、インポート、フィルター処理、および並べ替えることができます。並べ替えとフィルター処理は、Excel 内で実行されているローカル Analysis Services VertiPaq プロセッサによって行われるため、非常に高速です。

さらに、PowerPivot for Excel では、類似または同一のデータを含む列をマッピングすることにより、まったく異なるデータ ソースのデータ間にリレーションシップを構築できます。データにリレーションシップを構築することによって、Excel にこれまでなかったオブジェクトが作成され、ピボットテーブル、ピボットグラフ、または任意の Excel データ表示オブジェクトで使用できるようになります。

保存したデータは、Excel ブック内に格納されます。データは大幅に圧縮され、クライアント ワークステーションで管理しやすいサイズのファイルが作成されます。

最終的にユーザーが手にするのは、データが埋め込まれた 1 つのブック (.xlsx) ファイルです。抽出と処理は内部プロセッサによって行われますが、描画は Excel のみを使用して行われます。圧縮と処理は、Analysis Services の VertiPaq エンジンで行われます。クエリの処理はバックグラウンドで透過的に実行され、Excel で大規模なデータをサポートできるようになります。並べ替えとフィルター処理は、ローカルの Analysis VertiPaq エンジンで実行されるため、非常に高速です。

PowerPivot for SharePoint とは

Excel ブック内の PowerPivot データは Analysis Services データ ソースであり、データの読み込みと、Excel ブックから実行された対話的クエリへの応答には、SharePoint 統合モードの Analysis Service サーバー インスタンスが必要です。クライアント ワークステーション上の Analysis Services サーバーは、Excel 内でインプロセスとして実行されます。SharePoint ファームの Analysis Services は、アプリケーション サーバー上で実行され、PowerPivot System サービスと組み合わされて、PowerPivot データに対するサーバー側要求を処理します。ファーム内で PowerPivot ブックを共有するには、Excel Services と SQL Server PowerPivot for SharePoint を使用します。

PowerPivot for SharePoint は、PowerPivot データの読み込みとアンロードのためのサービスとインフラストラクチャを追加します。他の大規模な企業 BI データ ソースでは、データ ソースの数が制限され、データベース担当者による密接な管理が行われるのに対して、PowerPivot データはサービスとインフラストラクチャによって管理されます。ファーム内にある複数のアプリケーション サーバー上のメモリで、何十、何百もの PowerPivot ブックを同時に開くことができます。PowerPivot System サービスは、既にメモリに読み込まれているデータに新しい接続を設定し、キャッシュを実行し、使用されなくなった際やシステム リソースに競合が発生した際にデータをアンロードすることにより、この利用状況を追跡します。サーバーの状態データやその他の使用状況データは収集されてレポートに表示され、システム パフォーマンスを理解するのに役立ちます。

SharePoint 内の PowerPivot データのクエリ

PowerPivot ブックを SharePoint ライブラリから表示すると、ブック内の PowerPivot データがファームにある Analysis Services サーバー インスタンスで個別に検出、抽出、および処理されて、同時に Excel Services によってプレゼンテーション層が描画されます。完全に処理されたブックは、ブラウザー ウィンドウ、または PowerPivot アドインを持つ Excel 2010 デスクトップ アプリケーションで表示できます。

次の図は、クエリ処理の要求がファーム内をどのように移動するかを示しています。PowerPivot データは Excel 2010 ブックの一部なので、クエリ処理の要求は、ユーザーが Excel ブックを SharePoint ライブラリから開いて、PowerPivot データを含むピボットテーブルまたはピボットグラフを操作したときに発生します。

データ処理要求の図

Excel Services と PowerPivot for SharePoint コンポーネントは、同じブック (.xlsx) ファイルの異なる部分を処理します。Excel Services は、PowerPivot データを検出して、ファーム内の PowerPivot サーバーから処理を要求します。PowerPivot サーバーは、コンテンツ ライブラリのブックからデータを抽出して読み込む Analysis Services サービス インスタンスに要求を割り当てます。メモリに格納されたデータは描画されたブックにマージされ、ブラウザー ウィンドウに表示するために Excel Web Access に返されます。

PowerPivot ブックのデータの一部は、PowerPivot for SharePoint によって処理されません。ワークシートのテーブルおよびセル データは Excel Services によって処理されます。PowerPivot サービスによって処理されるのは、PowerPivot データに合わないピボットテーブル、ピボットグラフ、およびスライサーだけです。

PowerPivot の対象ユーザー

SQL Server PowerPivot のクライアント アプリケーションとサーバー アプリケーションは、強力な分析機能を提供するセルフサービス型のビジネス インテリジェンスをサポートしているため、組織の意思決定、目標、イニシアチブの実現に役立つ情報や数値データの取得および検証が可能になります。PowerPivot for Excel と PowerPivot for SharePoint は、次のようなユーザーに新しいツールとインフラストラクチャを提供します。

  • ブックやピボットテーブルで多次元データを構築、分析、および計算する方法を理解している Excel ユーザー。

  • チーム サイトとドキュメント管理機能を使用して、情報の格納や同僚とのコラボレーションを行う SharePoint ユーザー。

  • ビジネス データの開発タスクはデータを最も必要とするユーザーに委任するが、データのセキュリティ保護、監視、再現、およびアーカイブは完全に制御することを必要としているデータベース担当者および IT 担当者。