利益チャート (Analysis Services - データ マイニング)
データ マイニング デザイナの [マイニング精度チャート] タブにある [リフト チャート] タブでは、リフト チャートおよび利益チャートの 2 つのチャートを表示できます。モデルの構成と、使用するデータ ソースの構成が完了したら、グラフの種類を選択できます。このボックスの一覧の [利益チャート] をクリックすると、[利益チャートの設定] ダイアログ ボックスが自動的に開きます。利益チャートを定義するパラメータを設定すると、[マイニング精度チャート] タブに表示されるグラフは自動的に利益チャートに変更されます。
シナリオ
利益チャートには、マイニング モデルの使用に関連して予測される利益増加分が表示されます。たとえば、ビジネスのシナリオでどの顧客にコンタクトするべきかを予測するモデルの利益チャートでは、x 人の顧客にコンタクトするためのターゲット メーリング キャンペーンの実施コストに関する情報を取り込んで、予測される利益を計算します。一般的には、利益チャートでは、ある時点まで利益の増加が見られますが、その時点以降では、コンタクトする顧客数が増加するにつれて利益は減少します。
たとえば、「基本的なデータ マイニング チュートリアル」で作成する TM_Decision Tree というデシジョン ツリー モデルでは、AdventureWorks の顧客の中で自転車を購入する可能性が高い顧客を予測することができますが、それらの顧客のみにダイレクトメールを送付する場合のコストと利益を表示する利益チャートを生成するには、リフト チャートを作成するための一般的な手順を実行し、利益チャートに固有の設定を構成します。それらのパラメータの設定が完了すると、グラフが自動的に利益チャートに変更されます。次の図はこれらの前提条件に基づいています。
設定 |
値 |
---|---|
使用するモデル |
TM_DecisionTree |
予測する値 |
[Bike Buyer] =1 (自転車を購入する可能性がある顧客) |
精度の評価に使用するデータセット |
精度や潜在的利益を評価するには、マイニング構造の作成時に保存したテスト セットを使用します。 実際にダイレクトメールを作成するときには別のデータセットを使用します。 |
対象になる母集団の合計 |
データベース内のすべての顧客のうち 20,000 人の顧客のみに、対象を絞ったダイレクトメールを送付します。 |
20,000 人の顧客に対するターゲット メーリング キャンペーンの準備にかかる 1 回のコスト |
500 |
ターゲット メーリング キャンペーンの単位あたりのコスト この金額に 20,000 以下の数 (実際の数は、モデルで適切な候補として予測された顧客の数によって決まります) を掛けた値が計算されます。 |
3 |
成功した場合に予想される利益または収入 この金額を使用して、可能性が高いケースに関連する利益総額が算出されます。 |
25 |
利益チャートについて
このチャートの Y 軸は利益を、X 軸はコンタクトした母集団の割合を示します。
利益チャートには、対象になる母集団の割合を示す灰色の垂直線が描かれています。この線は、グラフ内の任意の場所をクリックして移動することができます。線を移動するたびに [マイニング凡例] が更新されて、割合の値、利益のスコア、および灰色の垂直線が示す母集団の割合に関連付けられている予測確率が表示されます。利益が最大になるグラフ内の点に灰色の線を移動すると、その予測確率の値を使用して顧客へのコンタクトの戦略を決定できます。
ケースの割合 |
シリーズ、モデル |
利益 |
予測確率 |
---|---|---|---|
30 |
|
$103,000 |
67.23% |
40 |
TM_Decision Tree |
$128,500 |
60.90% |
50 |
|
$149,500 |
50.70% |
60 |
|
$168,000 |
44.05% |
このグラフを試してみると、利益曲線は母集団が 55% のときに最高点に達すること、その母集団の割合に関連付けられている予測確率は 20% であることがわかります。これらの結果から、最大の利益を得るためには 20% 以上の予測回答率のある顧客のみにコンタクトすればよいことがわかります。
利益チャートの作成
利益チャートを作成するには、以下の基本的な手順を実行します。
[入力の選択] で、モデルを選択します。
予測可能な属性を選択します。
必要に応じて、予測する値を指定します。
評価に使用するデータ ソースを選択します。
[リフト チャート] をクリックしてグラフ ビューに切り替えます。
[リフト チャート] タブで、[グラフの種類] ボックスをクリックして、一覧からグラフの種類を選択します。
利益チャートに固有のオプションを構成します。
すべての種類のグラフを作成するための詳しい手順については、「マイニング モデルの精度チャートを作成する方法」を参照してください。「基本的なデータ マイニング チュートリアル」には、リフト チャートの作成方法に関するチュートリアルも含まれています。詳細については、「リフト チャートを使用した精度テスト (基本的なデータ マイニング チュートリアル)」を参照してください。
次の一覧に、[利益チャートの設定] ダイアログ ボックスで設定できるパラメータを示します。
[母集団]
リフト チャートを作成するときに使用するデータセット内のケースの数。モデルは常に確率が高い順にケースを選択します。したがって、潜在顧客を評価する際に顧客データベースのレコード数の半分に相当する数を選択すると、そのモデルに最適なケースのサブセットで精度が測定されます。
これは、そのモデルを使用してダイレクトメールを生成したりキャンペーンを作成したりする際には、各ケースに関連付けられている予測確率を使用して、前向きな反応を示す確率が最も高い顧客のみに対象を絞り込むからです。
[固定コスト]
そのビジネス問題に関連した固定コスト。ターゲット メーリング ソリューションの例では、ダイレクトメールの準備の初期コストをカバーする印刷業者の設定料などを表します。
このコストは、対象になる母集団全体に 1 回だけ適用されます。
[変動コスト]
固定コストへの追加コストで、各顧客コンタクトに関連したコストです。たとえば、ダイレクトメールの郵送料や電話料金などを入力できます。このコストは、対象になる母集団全体で同じである必要があります。それぞれの値に、対象になるケースの数を掛けた値が計算されます。
[個人ごとの収益]
成功した各販売に関連した収益です。