SharePoint での PowerPivot ブックの使用
PowerPivot ブックを作成すると、ファイルを共有する場合の一般的な方法で、他のユーザーとモデルを共有できるようになります。 ただし、通常は、SharePoint を使用してブックを共有した方が効率的です。 PowerPivot 対応の SharePoint サイトにブックをパブリッシュした場合、適切な権限を持つユーザーは、その URL アドレスにアクセスしてファイルを表示または変更することも、そのブックを Reporting Services レポートまたはその他の PowerPivot ブックのデータ ソースとして使用することもできます。
Excel ブックまたは Reporting Services レポートで PowerPivot データを使用する場合は、バックグラウンドで PowerPivot データを読み込んで計算する PowerPivot ソフトウェアが必要です。 クライアント ワークステーションでは、データを読み込んで計算するデータ処理ソフトウェアが PowerPivot for Excel に用意されています。 ただし、サーバー環境ではサーバーベースのソリューションが必要になります。 SharePoint 2010 上で動作する PowerPivot サーバー ソフトウェアは、PowerPivot データを使用するブックやレポートに Web ブラウザーからアクセスできるバックグラウンド処理をサポートしています。
このトピックの内容は次のとおりです。
SharePoint 2010 で PowerPivot サーバー ソフトウェアを使用する
SharePoint で PowerPivot ギャラリーを使用する
その他のシナリオで PowerPivot ブックを使用する
SharePoint 2010 で PowerPivot サーバー ソフトウェアを使用する
PowerPivot ブックを SharePoint にパブリッシュする利点は多数ありますが、特に便利なのは、Excel ブックをローカルで使用する場合と同じように、サーバー ドキュメントのデータをスライスしてフィルターできることです。
ブラウザーに表示したブックでデータを操作できるので、データを Excel で表示したり使用したりするために、ファイルをワークステーションにダウンロードする必要がありません。 サーバー環境でデータにアクセスして操作するには、SharePoint 2010 と PowerPivot サーバー ソフトウェアが必要です。 PowerPivot サーバー ソフトウェアは SharePoint 環境以外では使用できません。
PowerPivot for SharePoint について
PowerPivot for SharePoint は、SharePoint で PowerPivot のデータ アクセスを実現する追加のサーバー ソフトウェアです。
PowerPivot for SharePoint は以下の機能を追加します。
サーバーでの PowerPivot データ アクセス。 PowerPivot データを使用しているブックやレポートをパブリッシュすると、PowerPivot サーバーは SharePoint サーバーにデータを読み込んで、データを使用するブックやレポートで操作できるようにします。 Excel Services と Reporting Services は、ブックやレポートに追加した PowerPivot データを表示することはできますが、これらのサーバーは PowerPivot データを読み込んで計算することはできません。 PowerPivot サーバー ソフトウェアは、SharePoint 環境でアクセスする PowerPivot データにこのロールを実行します。
専用の SharePoint ドキュメント ライブラリ、PowerPivot ギャラリー。パブリッシュ済みの PowerPivot ブックや、その他の種類のドキュメントの豊富なプレビュー機能とドキュメント管理機能を備えています。 PowerPivot ギャラリーを使用すると、ブックや Reporting Services レポートへのアクセスと共有、大きいファイルのプレビュー (ファイルをあらかじめ開いておく必要はありません)、データ更新のスケジュール、ギャラリーにパブリッシュ済みのデータに基づく新しいブックやレポートの作成などができます。 詳細については、このトピックの「PowerPivot ギャラリーを使用する」を参照してください。
データの自動更新。PowerPivot ブックが一定間隔で最新のデータに自動的に更新されるように設定できます。
データ フィードの管理。 SharePoint でデータ サービス ドキュメントを作成したり使用したりできます。 フィードを提供する URL を指すサービス ドキュメントのコンテンツ タイプが PowerPivot for SharePoint によって追加されます。
サーバーの全体管理における PowerPivot データ アクセスの使用状況レポート。 自分のレポートを誰がどのくらいの頻度で使用しているのかを SharePoint 管理者に確認できます。
SharePoint で PowerPivot ギャラリーを使用する
PowerPivot ギャラリーは SharePoint の特殊なライブラリで、PowerPivot データが格納されている Excel ブックをプレビューできます。さらに、データ更新スケジュールを設定するオプションや、パブリッシュした PowerPivot ブックに基づいて Reporting Services アドホック レポートを作成するオプションも使用できます。
PowerPivot ギャラリーは SharePoint の組み込み機能ではありません。 PowerPivot for SharePoint サーバー コンポーネントがインストールされている SharePoint コンピューターに、サイトやアプリケーションの管理者が追加する必要があります。 追加された後であれば、Shared Documents を使用する場合と同様に検索し、使用できます。
PowerPivot ギャラリーでは、ファイルのコンテンツを正確に表示すると共に、ドキュメントのパブリッシュ元に関する情報も参照できます。 ドキュメントの作成者と最終変更日時をすぐに確認できます。 ライブラリで使用するビュー (ギャラリー ビューまたはシアター ビュー) に応じて、プレビューの形式が変わります。 ギャラリー ビューでは、マウス ポインターをブック内の個別のワークシート上に置くと、プレビュー領域でそのシートにフォーカスが移ります。
シアター ビューのレイアウトはこれとは異なります。 プレビュー領域は中央にあり、個々のワークシート上にマウス ポインターを置くと、そのワークシートが前面に表示されます。
PowerPivot ギャラリーでのドキュメントのプレビュー
PowerPivot ギャラリーでは、Excel ブックと Reporting Services レポート定義 (.rdl) ファイルのプレビュー イメージが生成されるので、ライブラリから開く前にドキュメントの内容を確認できます。
ブックのプレビュー
PowerPivot ギャラリーは、埋め込み PowerPivot データが含まれていたり、同じギャラリーの別のブックでパブリッシュされた PowerPivot データに接続している Excel ブックのプレビュー イメージを作成します。
ほとんどのブックは、埋め込まれた PowerPivot データを使用します。 ただし、別のブックの PowerPivot データへの接続を介して PowerPivot データにアクセスする場合は、両方のブックが同じ PowerPivot ギャラリーになければプレビュー イメージが生成されません。PowerPivot ギャラリーは他のサイトやライブラリに接続してデータを取得することはできません。
プレビュー イメージは、Excel Services がブックを表示する方法に基づいています。 PowerPivot ギャラリーでの表示は、ブックを Excel Web ビューアーで表示したときと同じはずです。 ただし、プレビュー領域が限られているため、使用可能な領域に合わせてブックやレポートの一部が省略される場合があります。 ブックまたはレポートを開くと、いつでもドキュメント全体を表示できます。
レポートのプレビュー
PowerPivot ギャラリーは、以下の条件を満たしている Reporting Services レポートのプレビュー イメージを作成できます。
レポートに PowerPivot データが含まれている。
PowerPivot データとレポートの両方が同じギャラリーにある。
Excel ブックと異なり、レポートには PowerPivot データが埋め込まれません。 つまり、レポートを開いたとき、レポート内の PowerPivot データは常に外部データ ソースとしてアクセスされます。 PowerPivot ギャラリーは他のサーバーやサイトからデータを取得してプレビュー イメージを作成できないため、埋め込み PowerPivot データが含まれているブックが同じライブラリでパブリッシュされていなければ、レポートのプレビュー イメージを作成できません。
PowerPivot ギャラリーへの Excel ブックの保存
PowerPivot ギャラリーは SharePoint 上にあります。 共有ドキュメントに似たドキュメント ライブラリで、PowerPivot ブックの保存場所としてサイトの所有者が作成できます。 SharePoint で作成されるすべてのライブラリと同様、それを作成したサイト所有者が自由に名前を付けることができるため、サイトに PowerPivot ギャラリーが見当たらない場合は、ライブラリを見つける方法をサイト所有者に問い合わせてください。
Excel 2010 では、いくつかの方法でファイルを SharePoint ライブラリに保存できます。 [名前を付けて保存] では、ライブラリへの SharePoint の完全修飾パスを指定できます。 また、Excel 2010 では、[名前を付けて保存] ダイアログ ボックスを使用してサーバー URL の一部を入力し、SharePoint サイトを参照して、使用するライブラリを見つけることができます。 詳細については、「SharePoint への保存」を参照してください。
PowerPivot ギャラリーで PowerPivot ブックに基づいて新しい Excel ブックまたはレポート ビルダー レポートを作成する
PowerPivot ギャラリーには [新しい Excel ブックを開く] オプションが追加されているので、パブリッシュ済みのデータを新しいブックで操作できます。 また、[レポート ビルダー レポートの作成] オプションでは、ライブラリにパブリッシュされたブックに基づいてアドホック レポートを作成できます。 データ ソースの接続が自動作成されるので、レポートをデザインすればよいだけです。 パブリッシュされたブックに基づくレポートを作成する方法の詳細については、「PowerPivot データを使用した Reporting Services レポートの作成」を参照してください。
注 |
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PowerPivot ギャラリーで SQL Server Reporting Services の追加や構成はできません。 SharePoint を統合するには、SharePoint 管理者がインストールして構成する必要があります。 |
その他のシナリオで PowerPivot ブックを使用する
推奨はできませんが、PowerPivot ブックを部分的なサーバー ホストまたはサーバー ホストなしで使用できます。
サーバー サポートなし
パブリック フォルダー、電子メール、ポータブル メディア、ファイル サーバーなどを介してドキュメントを共有すると、PowerPivot ブックをサーバー ソフトウェアなしで使用できます。 この場合、PowerPivot データを表示するには、ワークステーションに Excel 2010 と PowerPivot for Excel がインストールされている必要があります。 このシナリオは、サーバーからブラウザーでブックやレポートを開き、PowerPivot データを表示したり、操作したりするためのサーバー ソフトウェアが含まれていないので、お勧めできません。
SharePoint でのホストの制限
Excel Services や PowerPivot サーバー機能のない SharePoint サイトにも PowerPivot ブックをアップロードまたはパブリッシュできますが、オンライン形式でそのデータを表示することはできません。SharePoint 自体には、サーバーに PowerPivot データを読み込むデータ エンジンが含まれていません。 つまり、PowerPivot データを使用するレポートやブックをブラウザーで開いた場合に、そのデータが表示されません。 SharePoint を単独で使用するこのシナリオでは、PowerPivot データが含まれているドキュメントを表示するには、Excel 2010 と PowerPivot for Excel がインストールされているクライアント ワークステーションにレポートやブックをダウンロードする必要があります。