Configuration Manager の階層の設計例
適用対象: System Center 2012 Configuration Manager,System Center 2012 Configuration Manager SP1,System Center 2012 Configuration Manager SP2,System Center 2012 R2 Configuration Manager,System Center 2012 R2 Configuration Manager SP1
[!メモ]
このトピックは次の場所に表示されます:「System Center 2012 Configuration Manager のサイト管理」ガイドおよび「System Center 2012 Configuration Manager を使用したシナリオとソリューション」ガイド
以下のセクションでは、業務の目的に合わせて System Center 2012 Configuration Manager を導入し、効率よく機能する階層を設定する例を示します。
シナリオ 1 :リモート オフィスの最適化
ここでは、ネットワーク全体の情報のフローの管理に必要な管理オーバーヘッドを削減するための System Center 2012 Configuration Manager の実装例を示します。
現在の状況
顧客が使用している Configuration Manager 2007 階層は、1 つのプライマリ サイトと、倉庫とリモートの地方事務所を含む 2 つのセカンダリ サイトからなるシンプルな構造です。 次の表に示すように、4 つの場所に 5,015 のクライアントが配置されています。
場所 |
サイトの種類 |
展開の詳細 |
本社への接続 |
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本社 |
プライマリ |
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適用できません |
倉庫 |
セカンダリ |
|
低速ネットワーク |
地方事務所 |
セカンダリ |
|
低速ネットワーク |
営業所 |
なし |
|
良好な接続 |
業務要件
System Center 2012 Configuration Manager 階層は、次の業務要件をサポートする必要があります。
業務要件 |
Configuration Manager 情報 |
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ネットワーク経由のデータ転送により帯域幅が過剰に使用されないようにします。 |
低速なネットワーク接続の場合、帯域幅制御をサポートする必要があります。 |
使用するサーバー数を最小限に抑えます。 |
最小限のサイト システム サーバーをインストールします。 |
デバイスに関する現在の状況を示すレポートを生成します。 |
クライアントは定期的にそのハードウェア インベントリ データ、ステータス メッセージ、および探索情報を送信する必要があります。 |
アプリケーション、ソフトウェア更新プログラム、オペレーティング システムの展開を毎日展開します。 |
オペレーティング システム イメージの大きなパッケージも含めたコンテンツは、クライアントからアクセス可能でなければなりません。 |
計画に関する決定事項
System Center 2012 Configuration Manager 階層の設計を計画するにあたり、次の点を考慮する必要があります。
課題 |
オプションと考慮事項 |
---|---|
プライマリ サイトからリモートの場所への展開コンテンツの転送は、ネットワークに多大な影響を及ぼすため、管理が必要です。 |
以下の方法でリモートの場所へのコンテンツの転送を管理できます。
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多数のクライアントからのクライアント情報のフローにより、ネットワークの速度が低下することがあります。 |
それぞれのリモートの場所でネットワークの容量、クライアント設定のバランス、場所ごとのクライアント数、利用可能なネットワーク帯域幅を評価する必要があります。 次のようなオプションがあります。
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対策
要件とオプション、クライアントの場所、利用可能なネットワーク帯域幅を評価した後で、次の事項について決定を下します。
決定事項 |
説明 |
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本社で、スタンドアロン プライマリ サイトを展開します。 |
既存のプライマリ サイトを System Center 2012 Configuration Manager のプライマリ サイトで置き換えます。これは、この環境では、中央管理サイトを使っても、管理上もコンテンツ配布上も特に利点がないからです。
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帯域幅の制御が有効になった配布ポイントを、倉庫に展開します。 |
倉庫から上位方向へのクライアント情報のフローは、利用可能なネットワーク帯域幅に過剰な負担をかけません。 セカンダリ サイトの代わりに、展開コンテンツの下位方向へのフローを管理するためにプライマリ サイトで展開された帯域幅制御が有効な配布ポイントを使用することで、この場所のニーズを満たすことができます。 これにより、サーバーの使用数は減りませんが、追加サイトを管理する必要がなくなります。
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セカンダリ サイトを地方事務所に展開します。 |
ローカル クライアントからの影響を評価した後で、以前に使用されていたのと同じ構成のセカンダリ サイトが必要となると判断されました。
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Windows BranchCache の使用を営業所で保守管理します。 |
この場所では 15 のクライアントのみに対応していて、本社への接続に高速ネットワークが使用されているため、引き続き Windows BranchCache をコンテンツ展開ソリューションとして使用するのが最適なオプションです。 |
業務上の利点
セカンダリ サイトとその配布ポイントの代わりに、帯域幅制御が有効になった単一の配布ポイントを使用することで、低速のネットワークを介してコンテンツを管理するための業務要件を満たすことができます。 さらに、この変更により、管理上の作業負荷が軽減され、クライアント情報をサイトで受信するまでの時間が短縮されます。
シナリオ 2 :インフラストラクチャの削減とクライアント設定の管理
ここでは、使用するインフラストラクチャを削減しながら、カスタマイズされたクライアント設定でクライアントを引き続き管理するための System Center 2012 Configuration Manager の実装例を示します。
現在の状況
この例で示す企業は、1 つの中央サイトと 3 つの子プライマリ サイトから構成された単一の Configuration Manager 2007 階層を使用して、2 ヶ所の物理的な場所で 25,000 のクライアントを管理しています。 シカゴに中央サイトとプライマリ サイトが 1 つあり、ロンドンにプライマリ サイトが 2 つあります。 それぞれの場所にあるプライマリ サイトは、同一の物理ネットワーク上に常駐していて、ネットワーク リンクの接続は良好です。 ただし、シカゴとロンドンの間の帯域幅は限られています。
現在の展開の詳細:
場所 |
サイトの種類 |
展開の詳細 |
---|---|---|
シカゴ本社 |
プライマリ - 中央サイト |
この会社のクライアント エージェント設定の標準構成として 19,200 のクライアントが構成されています。 |
シカゴ本社 |
プライマリ - 中央サイトの子 |
人事部のコンピューターで 300 のクライアントが使用されています。 カスタムなリモート コントロール クライアント エージェント設定向けにサイトが構成されています。 |
ロンドン事務所 |
プライマリ - 中央サイトの子 |
この会社のクライアント エージェント設定の標準構成として 5,000 のデスクトップ クライアントが構成されています。 |
ロンドン事務所 |
プライマリ - 中央サイトの子 |
カスタムなハードウェア インベントリ クライアント エージェント設定向けに 500 のサーバー クライアントが構成されています。 |
業務要件
Configuration Manager 階層は、次の業務要件を満たす必要があります。
業務要件 |
Configuration Manager 情報 |
---|---|
階層の中央管理業務はシカゴで行います。 |
シカゴでの中央管理体制により、ネットワークを介してロンドンの 5,500 のクライアントにコンテンツとクライアント情報を送信することが必要となります。 |
特別な業務要件が指定されていない限り、標準クライアント構成をすべてのクライアントに割り当てます。 |
クライアント設定の標準構成は、すべてのクライアントで利用可能でなければなりません。 |
人事部の従業員のコンピューターでは、リモート コントロール クライアント エージェントを有効にすることは許可されません。 |
このカスタム クライアント設定が、人事部の従業員が使用するコンピューターに割り当てられる必要があります。 |
ロンドンにあるサーバーでハードウェア インベントリを実行する頻度は月に 1 度を上限とします。 |
このカスタム クライアント設定を、ロンドンにあるサーバーのクライアントに割り当てる必要があります。 |
シカゴとロンドン間でのデータ転送時にはネットワーク帯域幅を制御します。 |
低速なネットワーク接続には帯域幅制御が必要です。 |
サーバー数を最小限に抑えます。 |
管理タスクとインフラストラクチャ コストを削減するためサイト システム サーバーのインストールを可能な限り回避します。 |
計画に関する決定事項
System Center 2012 Configuration Manager 階層の設計では、次の点を考慮する必要があります。
課題 |
オプションと考慮事項 |
---|---|
シカゴでの中央管理。 |
この要件には次のようなオプションがあります。
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シカゴからロンドンへのコンテンツの転送には多大なネットワーク帯域幅が使用されるため、データ転送の制御が必要となります。 |
階層内の下位方向へのコンテンツの転送は、次の方法で管理できます。
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ロンドンからのクライアント情報の送信時にネットワーク帯域幅を管理することが条件となります。 |
ロンドンで利用可能なネットワーク帯域幅と、5,500 のクライアントにより生成されるデータにより使用される帯域幅を評価します。 次のようなオプションがあります。
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クライアント設定の標準セットは、すべての場所で利用可能でなければなりません。 |
クライアント エージェント設定の既定のセットは、階層を対象に指定されます。 |
人事部の従業員とロンドンのサーバーを含む 2 つのグループには、標準構成とは異なるクライアント設定が必要です。 |
カスタム クライアント設定を割り当てるには、コレクションを使用します。 |
対策
業務要件、ネットワーク構造、クライアント設定の要件の評価後、シカゴに中央管理サイトが展開され、シカゴとロンドンに子プライマリ サイトがそれぞれ 1 つ配置されます。 次の表で、これらの設計のオプションを説明します。
決定事項 |
説明 |
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シカゴに中央管理サイトを展開します。 |
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シカゴに 1 つのプライマリ サイトが必要です。 |
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ロンドンに 1 つのプライマリ サイトが必要です。 |
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クライアント設定の標準構成が、階層内の各クライアントに適用されます。 |
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人事部の従業員用のユーザー アカウントを格納するコレクションが作成されます。 新しいアカウントが作成直後にコレクションに追加されるように、コレクションを定期的に更新するように構成します。 |
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ロンドンに配置されたサーバーを含むようにコレクションを構成します。 |
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業務上の利点
System Center 2012 Configuration Manager でカスタム クライアント設定を使用することで、次のように業務要件に対応できます。
カスタム クライアント設定をクライアントのサブセットに提供することのみを目的に使用されていたサイトを削除することで、インフラストラクチャ要件を低減できます。
中央管理サイトがクライアント設定の標準構成を階層内のすべてのクライアントに適用するため、管理が簡素化されます。
必要なカスタム クライアント設定用に、クライアントの 2 つのコレクションが構成されます。
シカゴとロンドン間でのデータ転送時にはネットワーク帯域幅が制御されます。