ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品

今月のコラムで紹介するツールを使用すると、Windows PowerShell の機能を使用して Windows システムを管理したり、バックアップのスケジュールを設定して実行したり、Linux アプリケーションのテストを行ったりできます。

Greg Steen

PowerShell SSH Server

Windows PowerShell は、Windows コンピューターの優れた管理環境です。残念ながら、ネットワークとポリシーの制限により、リモート管理に必ず Windows PowerShell を利用できるとは限りません (ですが、セキュリティの観点では、これは非常に幸運なことかもしれません)。*nix システムを管理している方は、Secure Shell または SSH を使用して、ポートの公開を最小限に抑えてリモート システムに対してセキュリティで保護された接続を確立することに慣れているでしょう。

/n software 社の PowerShell SSH Server を使用すると、同様の方法で Windows コンピューターの Windows PowerShell 環境に接続できます。このアプリケーションは、その名のとおり、インストール先のシステムで SSH サーバーを実行します。SSH サーバーには、リモート システムから SSH クライアントを経由するか、提供されている一連の Windows PowerShell コマンドレットを使用して簡単に接続できます。SSH サーバーを対話的に実行することは可能ですが、SSH サーバーを Windows サービスとして実行し、管理 GUI を使用して、いつでも接続できるようにすると便利です。

GUI には、他にもオプションがあります。たとえば、SSH ポートやログオン バナー テキスト、クライアントの接続時に Windows PowerShell プロファイルを実行するかどうかを設定したり、承認に使用する Active Directory グループを設定したりすることができます。また、接続の暗号化に使用する証明書を選択または生成することもできます。PowerShell SSH Server では、公開キーの認証とログ ファイルへの記録もサポートしています。PowerShell SSH Server のテストは、さまざまな標準の SSH クライアント (Putty、PocketPutty、OpenSSH など) に対して行われており、対話型のターミナル セッションと sexec/SSH Exec を使用したリモート コマンドの実行の両方がサポートされます。

付属のコマンドレットを使用してリモート システムに接続することもできます。最初のコマンドレットは New-PowerShellSSHSession です。このコマンドレットは、SSH 経由でサーバーへの接続を確立し、SSHSession オブジェクト (リモート システムでのコマンドの実行に使用できる "チャネル" のラッパー) を返します。リモート システムで実行するコマンドは、そのセッションを使用する Invoke-PowerShellServerExpression コマンドレットを使用して呼び出します。

コマンドの実行結果として返される PSObject はシリアル化され、透過的にシステムに返されます (シリアル化された XML データは同じ種類のオブジェクトにシリアル化解除されます)。システムでは、結果を操作したり、列挙したりできます。また、システムとリモート ホスト間でデータをやり取りする Get-PowerShellSSHFile および Send-PowerShellSSHFile という 2 つのファイル転送コマンドレットがあります。

Remote-PowerShellSSHSesssion コマンドレットを使用して SSH サーバーへの接続を閉じることで、タスクの後処理を行えます。付属のコマンドレット以外に、/n software 社ではさまざまな言語やプラットフォーム (.NET、PHP、C++、Mac OS X など) 向けに、SSH サーバーにプログラムからアクセスできる一連のコンポーネントを用意しています (このコラムの執筆時点では、提供されているコンポーネントはベータ版です)。PowerShell SSH Server はデスクトップで個人が使用する場合は無料でご利用いただけます。1 基の CPU を搭載した 1 台のサーバー ライセンスは 249 ドルで、無制限の CPU ライセンスは 999 ドルです。サイト ライセンスとエンタープライズ ライセンスのオプションもご要望に応じてご利用いただけます。また、Web サイトから 30 日間限定で完全な機能を使用できるトライアル版を入手することもできます。

/n software 社の PowerShell SSH Server

/n software 社の PowerShell SSH Server

Genie Timeline Professional

エンド ユーザーにとって、バックアップは重要で欠かせないものですが、とても面倒な存在となる場合もあります。そのため、エンド ユーザーはバックアップを怠ることがよくあります。技術的な知識を持たないエンド ユーザーでも使用できる製品をお探しの場合は、Genie Timeline Professional のような製品の使用を検討することをお勧めします。

簡単な 3 つの手順から成るインターフェイスは、ミサイルの自動追跡機能のように、"開始したら後は忘れてよい" という設計で Windows コンピューターで継続的にファイルがバックアップされるようになっています。必要な手順は、バックアップ ドライブを選択し、バックアップするファイルの種類を選択し、バックアップ フォームで簡単なオプションを設定するだけです。バックアップの場所はローカルでもネットワーク ドライブでもかまいません。選択できるファイルの種類は、Office のファイル、電子メール、財務関係のファイル、電子ブックや PDF など、論理的でわかりやすいグループに分類されています。また、各グループのファイル拡張子をカスタマイズして特定の種類を含める/除外することや、特定のフォルダーやドライブを選択することも可能です。

基本バックアップ オプションには、バックアップを圧縮するかどうかや、パスワード キー付きの 256 ビットの AES 暗号化を使用してバックアップを暗号化するかどうかなどがあります。Genie Timeline Pro は一度設定すると、後はバックグラウンドで実行され、ファイルのブロック レベルの継続的な差分バックアップが行われます (この機能は IntelliCDP とも呼ばれており、CDP は "継続的なデータ保護 (Continuous Data Protection)" の略語です)。ファイルを復元する必要がある場合に必要な操作は、Timeline Explorer で、ファイルを復旧または元に戻す時点に移動して、タイムライン スライダーを適切な時点までスライドするだけです (この操作は、複数のファイルに対して行うこともできます)。

デスクトップにある指定の [No-Backup Zone] フォルダーにバックアップ対象から除外するファイルをドロップすると、IntelliCDP のバックアップから特定のファイルを除外できます。エクスプローラーとの統合機能も備わっているので、作業時にはフォルダーとファイルを右クリックすると、ショートカット メニューが表示されます。また、情報や警告、バックアップ エラーの通知を電子メールで送信する機能も用意されています。さらに、コンピューター全体を復元する必要がある場合に備えて、フル システム バックアップを実行したり、リカバリ CD を作成したりすることもできます。バックアップに含まれているものがわかりやすいグラフ表示で示されるので、バックアップの実行時に最も多くの領域を占めているものを把握できます。

Genie Timeline Professional は、1 ライセンスにつき 59.95 ドルです。3 ライセンス パックと 5 ライセンス パックもあり、それぞれ 1 ライセンスにつき 10 ドルと 16 ドルの割引があります。ボリューム ライセンス オプションもご利用いただけます。購入前に試しに使ってみたい場合は、30 日間の試用版をダウンロードできます。全体的に見て、Genie Timeline Professional は、管理者とエンド ユーザーの双方にとって使いやすく管理しやすいバックアップ ソリューションです。

Genie Timeline Professional

Genie Timeline Professional

StressLinux プロジェクト

新しいシステムを運用環境という "荒野" に移行する前に、まず、システムの性能を試してみることをお勧めします。どの主要ベンダーも顧客にシステムを出荷する前に、システムの稼動検査を行いますが、システムをゼロから構築している場合は、StressLinux プロジェクトのようなツールセットが役立つことがあります。

StressLinux プロジェクトでは、openSUSE コア ベースの起動可能な自己完結型の Linux ディストリビューションでストレス テスト、監視、およびパフォーマンスに関する一連のツールを提供します。StressLinux ディストリビューションは SUSE Studio を使って作成されたもので、ISO、USB/HDD イメージ、または VMware イメージ形式でダウンロードできます。

通常、StressLinux プロジェクトは、BusyBox に付属しています。BusyBox では、移植性を高めて使用領域を削減するために、共通の Unix ユーティリティのオプションが小さな 1 つの実行可能ファイルにまとめられています。また、openSUSE の Supportutils をカスタマイズしたサブセットも提供されています。

StressLinux プロジェクトには、システム パフォーマンスのテストと監視を目的とした多数の優れたツールが用意されています。たとえば、単純に負荷を生成する stress、ランダムに現実的な高負荷を生成する stressapptest、メルセンヌ素数を検索してシステムに負荷をかける mprime、CPU に負荷をかける cpuburn があります。

また、システムのメモリの性能を試す memtester、memtest86、および memtest86+ も用意されています。さらに、nbench や bonnie++ を使用すると、コンピューターの CPU/メモリ、ハードドライブやファイル システムのパフォーマンス ベースラインを個別に取得できます。

ネットワーク デバイスのテストと測定には、netio、nepim、netperf、または iperf を使用できます。また、単なる情報収集には、デバイスや CPU の詳細を確認できる lshw や x86info のようなツールが用意されています。さらに、lm_sensors や hddtemp を使用して環境を測定したり、smartmontools を使用して SMART 対応ハード ドライブを監視したりすることもできます。その他のパフォーマンス ツールやテスト ツールとして、修復ツールや復旧ツールもいくつか用意されています。StressLinux プロジェクトは、非常に優れたユーティリティ群で、GPL なので無償でご利用いただけます。

StressLinux プロジェクト

StressLinux プロジェクト

 

Greg Steen

Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、企業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

関連コンテンツ