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Microsoft Exchange Server 2010: Exchange のアーカイブ作成と法令順守

Exchange Server 2010 インフラストラクチャでアーカイブを構築して保持することは重要ですが、正しい方法もあれば間違った方法もあります。

出典: 『Exchange 2010 - A Practical Approach』(Red Gate Books、2009 年)

Jaap Wesselius

Exchange 環境管理において、電子メール ストアの管理は重要です。これには、管理する電子メールの量と個々の電子メール メッセージを処理する方法の両方が含まれます。

ここ数年で、ユーザーが受け取る電子メールの数は大きく増加しました。サイズが数 GB のメールボックスを所持しているユーザーも少なくありません。また、さまざまな種類の情報を蓄積している PST ファイルを数多く所持しているユーザーも珍しくないでしょう。

以前、Exchange Server では、高価なストレージ ソリューションを必要としていましたが、Exchange Server 2007 ではストレージ ソリューションの重要性が低くなりました。それでも、数 GB のメールボックスがある環境の管理には、ストレージに関する問題が付いて回ります。

PST ファイルは、また別の話です。PST ファイルは、デスクトップやノート PC に保存されていることが多いため、安全ではありません。デバイスが盗難に遭った場合、情報は失われ、危険にさらされる可能性があります。PST ファイルはネットワーク共有に保存されることもありますが、実は、この方法はマイクロソフトによってサポートされていません。

多くの場合、このような状況で役に立つのが、サードパーティ製のアーカイブ ソリューションです。アーカイブ ソリューションの使用が情報ライフサイクル管理 (ILM) ポリシーに含まれている場合、これは特に好ましい考えです。ILM ポリシーは、組織が電子メールなどの情報に対処する方法を表す、手順を示す解決策です。通常 ILM には、次の手順が含まれています。

  • 組織が法規制を遵守する方法
  • 電子メールが保存される期間 (保持時間)
  • 電子メールが保存される場所 (場所とフォルダー)
  • 電子メールがバックアップされる方法

ILM ソリューションは、適切な投資対効果があるアーカイブ ソリューションです。"安価なストレージ" という言葉がありますが、実際には安価なストレージというものは存在しません。もちろん、500 GB の SATA ディスクは 146 GB の Serial-Attached SCSI ディスクより安価ですが、SATA ディスクを使用すると、電力供給、冷却装置、および管理が必要となり、結局コストが増加します。

アーカイブを構築する

アーカイブ システムは、構築、管理、およびバックアップする必要があります (ただし、おそらく通常の Exchange システムほど頻繁に行う必要はありません)。Exchange Server 2010 には、新しい組み込みのアーカイブ ソリューションがあり、Exchange 組織内に個人用のアーカイブ メールボックスを作成することができます。これを行うには、次の手順を実行します。

  1. Exchange Server にログオンして、Exchange 管理コンソールを開きます。
  2. [Microsoft Exchange On-Premise]、[受信者の構成] を順に展開して、[メールボックス] を選択します。
  3. 結果ウィンドウで、アーカイブが必要なユーザーを選択します (複数のユーザーを選択することもできます)。
  4. 選択したユーザーを右クリックし、[アーカイブを有効にする] をクリックします。有効にするかどうか確認するメッセージが表示されるので、[はい] をクリックすれば、アーカイブが作成されます。

アイコンが変更されることを除けば、Exchange 管理コンソールでは特に変化はありません。メールボックスのプロパティを表示して、[メールボックスの機能] タブを選択すると、アーカイブが有効になっているかどうかを確認できます。

実際のところ、アーカイブは、主要なメールボックスと同じメールボックス データベースに作成される二次的なメールボックスに過ぎません。メールボックスのアーカイブについて詳しい情報を入手するには、Exchange 管理コンソールを開いて、次のコマンドを実行します。

Get-Mailbox -Identity <<mailbox>> -Archive | ` ft ArchiveGuid, ArchiveName, ArchiveQuota

既定のメールボックスのクォータは 2 GB です。メールボックス アーカイブの既定のクォータは無制限ですが、このクォータは変更できます。たとえば、メールボックス アーカイブのクォータを 10 GB に設定する場合は、Exchange 管理シェルを使用して、次のコマンドを実行します。

Set-Mailbox –Identity <<mailbox>> –ArchiveQuota 10GB

ArchiveQuota の値は、B (バイト)、KB (キロバイト)、MB (メガバイト)、GB (ギガバイト)、または TB (テラバイト) の単位を使用して指定できます。値自体は、1 バイトから 9,223,372,036,854,775,807 バイトまで入力できます。

Exchange Server 2010 の推奨される最大のデータベース サイズは 2 TB なので、各データベースのメールボックスの大きさには、細心の注意を払う必要があります。また、データベースが無制限に拡張されるのを防ぐため、各メールボックスのアーカイブのクォータを監視する必要があります。

主要なメールボックスと同じデータベースにアーカイブ メールボックスを作成することは、このアイデアの良し悪しを考えるきっかけになりますが、実際には "良くも悪くもない" というのが答えです。Exchange Server 2010 は、データベース用の高価なストレージ ソリューションには依存していません。

Exchange Server 2010 では、Just a Bunch of Disks (JBOD) ソリューションもサポートしています。複数のデータベースのコピーを構成していれば、メールボックス データベースと付属するログ ファイルの保存に 2TB の SATA ディスクを使用できます。この戦略は、十分な Exchange Server 2012 アーカイブを構築および保持するのに役立ちます。

Jaap Wesselius

Jaap Wesselius は、メッセージングとコラボレーションのソリューションを専門とした DM Consultants の創設者です。マイクロソフトで 8 年間働いた後、オランダの Exchange コミュニティに貢献する時間を増やすことを決意し、2007 年に Exchange Server の MVP を受賞しました。彼は、Dutch Unified Communications User Group に定期的に投稿し、Simple-Talk で定期的に記事を執筆しています。

『Exchange 2010 - A Practical Approach』の詳細については、red-gate.com/our-company/about/book-store (英語) を参照してください。

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