IT 管理: 真実とイメージ、そして文化
IT の文化を代表して自信を示すことは、イメージを変えるうえで大きな役割を果たします。
Romi Mahajan
IT 部門は積極的で自信に満ちた文化を醸成し、IT 担当者に向けられるたくさんの先入観をはねつける必要があると繰り返し主張されてきました。人間よりもコンピューターを愛する周囲から孤立したおたくの集団、または指示と統括だけが取り柄の企業のコンピューターの奴隷といった、IT 部門に対する偏見は今日でも残っています。
こうした古臭い偏見に辟易していませんか。経済を円滑に動かすには IT 担当者が重要であることを、人々は学習して認識するようになっていますか。IT 担当者に対する考え方は、好意的なものに一変していますか。一部では大きな進展が見られましたが、多くの領域ではあまり変化が見られません。また、本当に厄介なのは、IT 部門に対する懐疑が語られる際に、使い古された主張が持ち出され続けていることです。
次のような明快で公平な主張で議論を始めましょう。現代の企業で活躍する IT 担当者は、経済を推進します。ビジネス部門と IT 部門は大部分において 1 つです。これは既に述べたことがありますが、繰り返す価値があります (私が執筆した 2012 年 6 月号の記事を参照してください)。IT 担当者は、ビジネスの世界において最も活力にあふれた専門家の 1 人です。IT 担当者は変化を推進するだけでなく、多くの場合、成長の可能性があります。
他方で、IT 部門はマーケティング能力に関して深刻な問題があります。自分たちが疎外されていることを自明と考え、実用性の乏しい言葉で自分たちの主張やキャリアを飾り立てようとする IT 担当者はほとんどいません。自分たちを売り込むことに関して、IT 部門の評価は、実質的には A 評価ですが、見せ方は F 評価です。このギャップによって、いくつかの悪影響が生じます。企業におけるいくつかの異なる役割の視点から少し分析してみましょう。
開発者: 開発者と IT 担当者の間に介在する敵対心は、聖戦とも言えるような、2 つの異なる文化の間に古くから存在する対立だと考える人がいます。そこまで極端ではないとしても、開発者が IT 担当者を見下しているのは不公平で見当違いでしょう。開発者のコミュニティが優れているという認識には疑いの余地はあまりありませんが (そうでない理由はないでしょう)、ビジネスの環境では、ほとんどの人が開発者のすばらしい成果を IT 担当者が構築したシステムを経由して利用しているということも、同様に疑いの余地があまりない事実です。
さらに、構築したものは、管理、調整、および改良して、使いやすくする必要があります。これは IT 担当者の領域です。開発者には見返りを受けるだけの価値がありますが、その分 IT 担当者を虐げてもよいというわけではありません。開発者と IT 部門の分裂によって生じる機会費用を考えると、両者が対立するのは誤っており、大きな損失を伴います。私たちは皆同じチームの一員です。
経営幹部: 経営幹部は、IT の経費に関しては、いまだに考え方が表面的な言葉に振り回されているようです。経営幹部は、効率や ROI (投資収益率) などの用語やフレーズを駆使して、まんまと IT 部門を苦境に追いやり、IT 担当者を 2 流市民として位置付けます。「私はお金がかかります」と書いた紙を背中に貼って会社のホールを歩きたい人などいないでしょう。
この攻撃の力を和らげるには、IT 担当者は、経営幹部に対して同じフレーズを使って形勢を逆転させる必要があります。誇りある IT 担当者は、「効率を求めるのなら、会社全体のシステムが常時稼動している状態を維持して、社員 1 人 1 人が滞りなく仕事をできるようにしている IT 部門があるのは喜ばしいことではないですか」と言えばいいのです。
営業とマーケティング: IT 部門に関する不公平な先入観や呼び名はすべて、営業部門とマーケティング部門に今でも残っています。この 2 つの部門では、コミュニケーションが活発で形式が重視されます。IT 担当者は、冗談の落ちか、クラーク・ケント (スーパーマンの普段の姿) のような営業マンの引き立て役として話題に登場します。
システムがうまく機能しなくなったとき (ときどき、このような状況が生じますが)、営業とマーケティングは怒り出します。「営業報告書はどこに行った。なぜ電子メールが機能しないんだ」と、テクノロジの管理を担う IT 部門を非難します。非難するのは簡単ですが、他の部門が提供する価値を理解するのは困難です。
IT 部門について
これを機に、IT 担当者と IT 部門の文化の強みと特長を簡潔に論証しましょう。これらの点から IT 部門が企業の他の部門に何を教えられるかを検討します。
- 連携は確固たる基盤があることの証明: 企業の中で、IT 部門ほど共有、教育、および学習の基盤が確立されている部門はありません (例外になり得るのは開発者だけです)。IT 部門の文化とは、知識の共有とネットワーク インテリジェンスの形態の 1 つです (私が執筆した 2012 年 3 月号の記事を参照してください)。同僚と険悪な雰囲気で競い合ったり、閉鎖的な垣根の中で考えたりすることは、好まれません。共有と連携の文化によって、IT 部門では、すばらしいソリューションが次々に生まれます。これは、IT 部門の文化に堅固な基盤と持続可能性がある証拠です。
- 傾聴: ビジネスの世界全体が、"傾聴する" こと、独り善がりな話ではなく対話を尊重すること、およびフィードバックを集めることで顧客が何を望んでいるのかを理解することについての話題で持ち切りです。実際、ほとんどのソーシャル ネットワーキング サイトは、共有と傾聴という考え方を前提としています。では、最初から注意深く話を聞いていた部門はどこでしょうか。社内のユーザーを顧客とするなら、IT 担当者は 1 日に 10 人の顧客と話しています。IT 部門は、問題の迷宮の中を、適切で有益な出口を探して進む必要があります。IT 担当者は、自分たちがずば抜けて対話能力に優れていると自負しているマーケティングや営業という 2 つのビジネス部門よりも、注意深く話を聞きます。
- 謙虚さ: 企業の多くの領域で、自慢と面子を気にした行動から成る男性的な文化が、成功の源であると同時にあかしでもあると考えられています。IT 部門には、これはあまり当てはまりません。IT 担当者が、自分が実現した稼働時間や、会社のために回避したセキュリティの問題の数がいかにすごいかを自慢して闊歩しているのを最後に見たのはいつですか。自分を飾り立てることなく "自分のやるべきことをやる" ということについて、IT 担当者から多くを学べるのは明らかです。
先入観によって、本来生まれるはずの自然な共感が失われます。そして、企業全体で、動的、協力的、および人道的な文化が発展することを阻害します。真実とイメージは多くの場合一致せず、イメージの方が大勢を占めています。ただし、そうである必要はありません。
IT 担当者はビジネスの基幹であり、IT 部門は力強い文化を発展させました。それを少し理解してもらえばよいだけです。
Romi Mahajan は、KKM グループの代表取締役です。KKM に加わる前は、Ascentium Corporation のマーケティング最高責任者でした。Romi はテクノロジとメディア回路に関する著名な講演者で、さまざまな諮問機関の委員を務め、また、年間 12 個以上の業界イベントで講演を行っています。