Web プロジェクト設定の変換
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更新 : 2007 年 11 月
Visual Studio には Web 開発用のプロジェクト ファイルを保管できないので、変換プロセスにより関連プロジェクト設定とソリューション設定を Visual Studio のフォーマットに変換する必要があります。たとえば、変換プロセスにより、あるプロジェクトの設定値を変換して Web.config ファイルに読み込みます。Web.config ファイルは、Microsoft Visual Studio 2005 では拡張されて、Visual Studio .NET の前のバージョンよりも多くの情報を格納できるようになりました。
Visual Studio .NET に保管されている多くの設定値は、Visual Studio 2005 では使用できないので、それらの設定値は変換されません。たとえば、Web アクセス モード用のプロジェクト設定値 (ファイル共有または FrontPage) およびデザイナの既定値は Visual Studio では使用できないので、変換されません。既定値に設定されたプロジェクト設定値も変換されません。したがって、Visual Studio で新しい設定を作成する場合に既定値を含めることはできません。
複数の構成を持つプロジェクト
複数の構成 (デバッグ コンパイル、リリース コンパイルなど) がある場合は、次のロジックに従って変換されます。
参照
プロジェクトの Bin フォルダにあるアセンブリの参照は、変換する必要がありません。Visual Studio で作成した Web サイトは、Bin フォルダ内のコードへの参照を自動的に取得します。プロジェクトに、グローバル アセンブリ キャッシュにあるアセンブリに対する参照が含まれている場合は、その参照が次の形式で Web.config ファイルに移動されます。
<compilation>
<assemblies>
<add assembly="System.Messaging" />
</assemblies>
</compilation>
アセンブリの参照は、そのアセンブリが既に既定で ASP.NET により参照されている場合 (たとえば、System.Drawing) は、変換されません。
Visual Studio .NET では、参照されるアセンブリ (たとえば、Web プロジェクトが配置されているソリューションの外部で参照されるアセンブリ) の CopyLocal プロパティを true に設定して、アセンブリが参照されたときに自動的に更新できました。Visual Studio 2005 では、この代わりに更新ファイルが Bin フォルダに作成されます。更新ファイルには外部参照アセンブリへのパスが含まれます。名前は、アセンブリ名に拡張子 .refresh が付加されたものになります。
XML Web 参照は、.wsdl ファイルが App_WebReferences ディレクトリにコピーされることにより変換されます。Web サービス プロキシと参照のマップ ファイルは、Visual Studio 2005 では必要ありません。
共通設定値の変換
次の表に、[共通プロパティ] プロジェクト設定およびこの設定に対する Visual Studio の変換プロセスでの処理方法について示します。
これらの設定の現在値は、Visual Studio で表示できます。ソリューション エクスプローラで、プロジェクトを右クリックし、[プロパティ] 、[共通プロパティ] の順にクリックします。
[全般]
設定は変換されません。
[Web 設定]
設定は変換されません。
[デザイナの既定値]
設定は変換されません。
[参照パス]
設定は変換されません。
[ビルド] (Visual Basic クライアント プロジェクト)
[Option Explicit]
false に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compilation explicit="false">
[Option Strict]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compilation strict="true" />
[Option Compare]
Text に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler language="vb"
compilerOptions="optioncompare:text" />
[インポート] (Visual Basic クライアント プロジェクト)
ASP.NET で、既定でまだインポートされていないインポート設定が、Web.config ファイルに移動されます。
<pages>
<namespaces>
<add namespace="Namespace" />
</namespaces>
</pages>
変換の影響を受けるのは、ASP.NET Web ページのインポート設定だけです。App_Code ディレクトリにあるクラスについては、インポート設定を手動で追加する必要があります。
構成設定値の変換
プロジェクトの構成設定は、プロジェクトに使用するプログラミング言語によって多少異なります。次の表に、Visual Studio の変換プロセスでの、構成設定の処理方法の違いを言語別に示します。
これらの設定の現在値は、Visual Studio で表示できます。ソリューション エクスプローラで、プロジェクトを右クリックし、[プロパティ] 、[構成プロパティ] の順にクリックします。
構成設定 - すべての言語
次の表に、すべてのプロジェクトの種類で現れる [構成] プロジェクト設定および、それらに対する Visual Studio の変換プロセスでの処理方法を示します。
構成設定 - Visual Basic .NET
次の表に、Visual Basic .NET プロジェクトで現れる [構成] プロジェクト設定および、それらに対する Visual Studio の変換プロセスでの処理方法を示します。
[ビルド]
[出力パス]
設定は変換されません。
[デバッグ情報の生成]
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compilation debug="true|false" />
[COM の相互運用機能に登録]
設定は変換されません。
[ビルド警告メッセージを有効にする] (Visual Basic クライアント プロジェクト)
設定は変換されません。ビルドの警告は、Visual Studio .NET では常に有効になります。
[コンパイラの警告をエラーとして扱います。] (Visual Basic クライアント プロジェクト)
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="vb"
compilerOptions="warnaserror+" />
[DEBUG 定数の定義] (Visual Basic クライアント プロジェクト)
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="vb"
compilerOptions="define:Debug" />
[TRACE 定数の定義] (Visual Basic クライアント プロジェクト)
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="vb"
compilerOptions="define:Trace" />
[カスタム定数] (Visual Basic クライアント プロジェクト)
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="vb"
compilerOptions="define:<list>" />
[XML ドキュメント]
設定された場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler language="c#"
compilerOptions="doc:<filepath>" />
[条件付きコンパイル定数]
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="d:<symbols>" />
[コードの最適化]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="o" />
[演算のオーバーフローおよびアンダーフローのチェック]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="checked+" />
[セーフ モード以外のコード ブロックの許可]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="unsafe+" />
[警告レベル]
4 に設定されていない場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="w:<level>" />
[警告をエラーとして扱う]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler language="c#"
compilerOptions="warnaserror+" />
[特定の警告を表示しない]
設定された場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="nowarn:<warning list>" />
[最適化] (Visual Basic クライアント プロジェクト)
[整数オーバーフローのチェックを解除]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="vb"
compilerOptions="removeintchecks+" />
[最適化を有効にする]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="vb"
compilerOptions="optimize+" />
[インクリメンタル ビルドを有効にする]
設定は変換されません。
[DLL ベース アドレス]
設定は変換されません。
構成の設定 - C#
次の表に、C# プロジェクトで現れる [構成] プロジェクト設定および、それらに対する Visual Studio の変換プロセスでの処理方法を示します。
[ビルド]
[条件付きコンパイル定数]
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="d:<symbols>" />
[コードの最適化]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="o" />
[演算のオーバーフローおよびアンダーフローのチェック]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="checked+" />
[セーフ モード以外のコード ブロックの許可]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="unsafe+" />
[警告レベル]
4 に設定されていない場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="w:<level>" />
[警告をエラーとして扱う]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler language="c#"
compilerOptions="warnaserror+" />
[特定の警告を表示しない]
設定された場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="nowarn:<warning list>" />
[出力パス]
設定は変換されません。
[XML ドキュメント]
設定された場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler language="c#"
compilerOptions="doc:<filepath>" />
[デバッグ情報の生成]
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compilation debug="true|false" />
[COM の相互運用機能に登録]
設定は変換されません。
[詳細設定]
[インクリメンタル ビルド]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="incr+" />
[ベース アドレス]
設定は変換されません。
[ファイル アライメント]
4096 に設定されていない場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="filealign:<n>" />
[mscorlib を使用しない]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="c#"
compilerOptions="nostdlib+" />
構成の設定 - J#
次の表に、Microsoft J# .NET プロジェクトで現れる [構成] プロジェクト設定および、それらに対する Visual Studio の変換プロセスでの処理方法を示します。
[ビルド]
[条件付きコンパイル定数]
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="j#"
compilerOptions="d:<symbols>" />
[コードの最適化]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="j#"
compilerOptions="o" />
[警告レベル]
4 に設定されていない場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="j#"
compilerOptions="w:<level>" />
[警告をエラーとして扱う]
true に設定すると、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler language="j#"
compilerOptions="warnaserror+" />
[特定の警告を表示しない]
設定された場合、この設定値が Web.config ファイルに移動されます。
<compiler
language="j#"
compilerOptions="nowarn:<warning list>" />
[出力パス]
設定は変換されません。
[デバッグ情報の生成]
設定は、Web.config ファイルに移動されます。
<compilation debug="true|false" />
[COM の相互運用機能に登録]
設定は変換されません。
[詳細設定]
参照
概念
Visual Studio .NET からの Web プロジェクト変換
Web ソリューションとプロジェクト ファイル変換