クラスデザイナにおける Visual C++ コードの使用

[アーティクル]
09/17/2008

更新 : 2007 年 11 月

クラスデザイナは、クラスダイアグラムと呼ばれるビジュアルデザインサーフェイスを表示します。クラスダイアグラムは、プロジェクトのコード要素を視覚的に表現するものです。クラスダイアグラムを使用して、プロジェクト内のクラスおよびその他の型を設計し、視覚化できます。

以前のバージョンの Visual Studio では、クラスデザイナはマネージ言語 (Visual C# と Visual Basic) のみをサポートしていました。Visual Studio 2008 では、クラスデザイナはネイティブ C++ コードを限定的にサポートするようになりました。これは、視覚化とドキュメント作成のみに使用されることを目的としています。

クラスデザイナは、次の C++ コード要素をサポートしています。

クラス (マネージクラスの図形に似ていますが、複数の継承関係を持つことができるという点が異なります。)
匿名クラス (クラスビューが匿名型に対して生成した名前を表示します。)
テンプレートクラス
構造体
列挙体
マクロ (マクロの後処理ビューを表示します。)
typedef

型解決および表示の問題のトラブルシューティング

ソースファイルの場所

クラスデザイナは、ソースファイルの場所を追跡しません。したがって、プロジェクト構造を変更するか、プロジェクト内でソースファイルを移動すると、クラスデザイナが型を見失うことがあります (特に typedef のソース型、基本クラス、または関連型の場合)。"クラスデザイナはこの型を表示できません " のようなエラーが表示されることがあります。このような場合は、変更または移動されたソースコードをもう一度クラスダイアグラムにドラッグして再表示します。

更新およびパフォーマンスの問題

Visual C++ プロジェクトの場合、ソースファイルでの変更がクラスダイアグラムに表示されるまでに 30 ～ 60 秒かかることがあります。この遅延が原因で、クラスデザイナも "選択内で型が見つかりませんでした" というエラーをスローすることがあります。このようなエラーが表示された場合は、エラーメッセージで [キャンセル] クリックし、クラスビューにコード要素が表示されるまで待ちます。その後、クラスデザイナが型を表示できるようになります。

コードに加えた変更でクラスダイアグラムが更新されない場合は、ダイアグラムを閉じて、再度開く必要がある場合があります。

型解決の問題

クラスデザイナは、次のような理由により、型解決ができない場合があります。

型が、クラスダイアグラムを含むプロジェクトから参照されていないプロジェクトまたはアセンブリ内にあります。このエラーを修正するには、型を含むプロジェクトまたはアセンブリへの参照を追加します。詳細については、「方法 : Visual Studio で参照を追加または削除する (Visual Basic)」を参照してください。
型が正しいスコープ内にないため、クラスデザイナが型を検出できません。コードに using ステートメント、imports ステートメント、または #include ステートメントが欠落していないことを確認します。また、型 (または関連する型) を最初に配置した名前空間の外に移動していないことも確認します。詳細については、「名前空間およびコンポーネントの参照」を参照してください。
型が存在しません (または、コメントアウトされています)。このエラーを修正するには、型を誤ってにコメントアウトまたは削除していないことを確認します。

型解決の問題で最も頻繁に発生するエラーは、"クラスダイアグラム '<element>' の 1 つ以上のシェイプに対して、コードが見つかりませんでした" です。詳細については、このエラーの説明を参照してください。

特定のエラーメッセージのトラブルシューティング

特定のエラーメッセージのトラブルシューティングの詳細については、「クラスデザイナのエラーメッセージ」のエラートピックを参照してください。

C++ コード要素の制限事項

Visual C++ のプロジェクトがロードされるとき、クラスデザイナは読み取り専用で機能します。クラスダイアグラムは変更できますが、クラスダイアグラムから変更内容をソースコードに保存できません。
クラスデザイナはネイティブ C++ セマンティクスのみをサポートします。マネージコードにコンパイルされた Visual C++ プロジェクトでは、クラスデザイナはネイティブ型のコード要素のみを視覚化します。したがって、プロジェクトにクラスダイアグラムを追加することはできますが、クラスデザイナでは、IsManaged プロパティが true に設定されている要素 (つまり、値型および参照型) を視覚化することはできません。
Visual C++ プロジェクトでは、クラスデザイナは型の定義のみを読み取ります。たとえば、ヘッダー (.h) ファイルで型を定義して、実装 (.cpp) ファイルでメンバを定義するとします。実装ファイル (.cpp) で [クラスダイアグラムで表示] を起動しても、クラスデザイナには何も表示されません。もう 1 つの例として、#include ステートメントを使用して他のファイルをインクルードし、実際のクラス定義は含まない .cpp ファイルで、[クラスダイアグラムで表示] を起動する場合があります。この状態では、クラスデザイナには何も表示されません。
IDL (.idl) ファイルでは COM インターフェイスとタイプライブラリが定義されますが、このファイルはネイティブ C++ コードにコンパイルされない限り、ダイアグラムには表示されません。
クラスデザイナはグローバル関数とグローバル変数をサポートしていません。
クラスデザイナは共用体をサポートしていません。これは、共用体の最大データメンバに必要な量のメモリしか割り当てられないという、特殊なタイプのクラスです。
クラスデザイナでは、int および char などの基本データ型は表示されません。
現在のプロジェクトの外部で定義された型への正しい参照がプロジェクトにない場合、これらの型はクラスデザイナで表示されません。
クラスデザイナは、入れ子にされた型を表示することはできますが、入れ子にされた型とその他の型の間の関係は表示できません。
クラスデザイナでは、void 型または void 型から派生した型を表示できません。