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Office ソリューションの開発の概要

Microsoft Office をソリューションのフロントエンドとして使用することで、使い慣れた Microsoft Office のユーザー インターフェイスと、Word のワード プロセッシング機能、Excel のデータ解析機能、Outlook の電子メール管理機能などのツールを利用できます。 また Visual Studio でソリューションを開発することにより、Office アプリケーションをカスタマイズし、ビジネス プロセスで必要な機能を追加できます。 たとえば、Word を、編集可能または編集不可能な既存部品から契約書を組み立てる、契約書生成アプリケーションに変えることができます。 また、Excel を使用して、さまざまなプロジェクト用にカスタマイズされた、自動化された予算ワークシートを作成できます。 ユーザーが Office ソリューションをオフラインにできるため、Web ベースのアーキテクチャを使用する場合には、複雑なソリューションがより実用性に優れたものになります。

ここでは、Visual Studio 2010 の Office 開発ツールを使用して作成できる Office ソリューションの種類について概要を示します。 Office を使用したソリューション開発方法の概要については、Office デベロッパー センターを参照してください。

Office プロジェクト タイプの選択

Visual Studio には、次の種類の Office 開発用のプロジェクト テンプレートが用意されています。

  • ドキュメント レベルのカスタマイズ この種類のソリューションは、特定のドキュメントに関連付けられます。

  • アプリケーション レベルのアドイン この種類のソリューションは、アプリケーション自体に関連付けられます。

これらのプロジェクト タイプからソリューションに最適なものを選択するには、特定のドキュメントが開いているときにのみコードを実行するか、またはアプリケーションの実行中に常にコードを利用できるようにするかについて検討します。 プロジェクト テンプレートの詳細については、「Office プロジェクト テンプレートの概要」を参照してください。

作成できるプロジェクト タイプは、開発用コンピューターにインストールされている Office アプリケーションによって決まります。 詳細については、「Office アプリケーションおよびプロジェクト タイプ別の使用可能な機能」を参照してください。

ドキュメント レベルのカスタマイズ

ドキュメント レベルのカスタマイズは、Microsoft Office Word または Microsoft Office Excel の 1 つの文書、ブック、テンプレートに関連付けられたアセンブリで構成されます。 このアセンブリは、関連付けられているドキュメントを開いたときに読み込まれます 作成したカスタマイズに含まれている機能は、関連付けられているドキュメントが開いているときにのみ使用できます。 カスタマイズでは、ドキュメントが開いたときに新しいメニュー項目やリボン タブを表示するなどの、アプリケーション全体の変更を行うことはできません。

Visual Studio には、ドキュメント レベルのカスタマイズに役立つツールが用意されています。 カスタマイズしたドキュメントは Visual Studio ではデザイン画面としてホストされるため、そこにコントロールをドラッグ アンド ドロップすることによってドキュメントをデザインできます。 ドキュメント レベルのプロジェクトでは、Windows フォーム コントロール、ドラッグ アンド ドロップによるデータ バインド、統合デバッガーなど、他にも多くの Visual Studio 機能を使用できます。

カスタマイズの詳細については、次のトピックを参照してください。

アプリケーション レベルのアドイン

アプリケーション レベルのアドインは、Microsoft Office アプリケーションに関連付けられているアセンブリで構成されています。 通常、アドインは、関連付けられているアプリケーションの起動時に実行されますが、アプリケーションが既に実行されているときにアドインを読み込むこともできます。 作成したアドインに含まれている機能は、どのドキュメントが開いているかにかかわらず、アプリケーション自体に対して使用できます。

Visual Studio には、アドインを作成する際に役立つツールが含まれています。 アドイン プロジェクトを作成すると、アドインを表すクラスが自動的に生成されます。 このクラスには、ホスト アプリケーションのオブジェクト モデルにアクセスしたりアドインの読み込みおよび終了時にコードを実行したりするときに使用できるプロパティおよびイベントが用意されています。 アプリケーション レベルのプロジェクトでは、Windows フォームや統合デバッガーなど、他にも多くの Visual Studio 機能を使用できます。

アドインの詳細については、次のトピックを参照してください。

プライマリ相互運用機能アセンブリによる Office アプリケーションの自動化

アプリケーションのオブジェクト モデルにアクセスするコードを記述することにより、プログラムを使用して Office アプリケーションの機能をソリューションに組み込むことができます。 オブジェクト モデルとは、さまざまなプロパティやメソッドを通じて機能を公開するクラスの構成です。 オブジェクト モデルは Office アプリケーションごとに異なります。

Visual Studio の Office 開発ツールを使用して作成したソリューションから Office アプリケーションのオブジェクト モデルを使用するには、そのアプリケーションのプライマリ相互運用機能アセンブリ (PIA) を使用する必要があります。 PIA により、Office アプリケーションの COM ベースのオブジェクト モデルと、ソリューション内のマネージ コードとの相互運用を実行できるようになります。

ほとんどの開発タスクを実行するには、開発用コンピューターのグローバル アセンブリ キャッシュに Office PIA をインストールし、登録する必要があります。 詳細については、「Office ソリューションを開発できるようにコンピューターを構成する」を参照してください。

エンド ユーザーのコンピューターで .NET Framework 3.5 を対象にした Office ソリューションを実行するには、そのコンピューターにも PIA をインストールしておく必要があります。 ただし、エンド ユーザーのコンピューターで .NET Framework 4 を対象にした Office ソリューションを実行する場合には、Office PIA は必要ありません。 詳細については、「Office ソリューションのデザインと作成」を参照してください。

Office ソリューションでの PIA の使用の詳細については、次のトピックを参照してください。

エンド ユーザーのコンピューターでの Microsoft Office ソリューションの実行

Office ソリューションを作成するときには、配置要件が開発方法に与える影響について留意する必要があります。

配置オプション

Visual Studio の Office 開発ツールを使用して作成したソリューションを配置するには、ClickOnce または Windows インストーラーを使用します。 ClickOnce 配置では、自動更新ソリューションを作成して、インストールおよび実行の際に必要なユーザーとの対話を最小限に抑えることができます。一方、Windows インストーラー (.msi) ファイルは、エンド ユーザーのコンピューターへの配布が簡単で、SMS (Systems Management Server) を使用して配布することもできます。 Office ソリューションの配置方法の詳細については、「Office ソリューションの配置」を参照してください。

必要条件のインストール

エンド ユーザーが Visual Studio の Office 開発ツールを使用して作成したソリューションを実行するには、エンド ユーザーのコンピューターに特定の必須コンポーネントがインストールされている必要があります。ClickOnce を使用するか、Windows インストーラー ファイルを作成してソリューションを配置する場合は、それらの必須コンポーネントをソリューションと共にインストールできます。 詳細については、「Office ソリューションを配置するための必須コンポーネント」および「方法: Office ソリューションを実行するための必須コンポーネントをエンド ユーザーのコンピューターにインストールする」を参照してください。

セキュリティ

Office ソリューションのセキュリティは、ソリューションをインストールするとき、および読み込むときに Visual Studio Tools for Office Runtime が実行する一連のチェックによって確保されます。 これらのチェックでは、配置マニフェストの場所が信頼されているかどうか、配置マニフェストの署名に使用される証明書が信頼されているかどうかなどの確認が行われます。 詳細については、「Office ソリューションのセキュリティ保護」を参照してください。

参照

概念

ドキュメント レベルのカスタマイズのアーキテクチャ

アプリケーション レベルのアドインのアーキテクチャ

Excel のドキュメント レベルのカスタマイズのプログラミングの概要

Word 用のドキュメント レベルのカスタマイズのプログラミングについて

アプリケーション レベルのアドインのプログラミングについて

その他の技術情報

はじめに (Visual Studio での Office 開発)