CFrameWnd クラス

[アーティクル]
08/09/2011

ウィンドウを管理するメンバーと共に、Windows のシングルドキュメントインターフェイス (SDI: Single Document Interface) のオーバーラップフレームウィンドウまたはポップアップフレームウィンドウの機能を提供します。

class CFrameWnd : public CWnd

解説

必要なフレームウィンドウを作成するには、CFrameWnd からクラスを派生します。アプリケーション固有のデータを格納するには、この派生クラスにメンバー変数を加えます。ウィンドウにメッセージが送られたときに行われる処理を指定するには、派生クラスにメッセージ処理メンバー関数とメッセージマップを実装します。

フレームウィンドウを構築するには次の 3 つの方法があります。

Create を使って直接構築します。
LoadFrame を使って直接構築します。
ドキュメントテンプレートを使って間接的に構築します。

Create または LoadFrame を呼び出す前に、C++ の new 演算子を使って、ヒープ領域にフレームウィンドウのオブジェクトを構築します。 Create を呼び出す前に、フレームのアイコンやクラススタイルを設定するために、AfxRegisterWndClass グローバル関数を使ってウィンドウクラスを登録できます。

フレーム作成用のパラメーターとして即値を渡すときは、Create メンバー関数を使用します。

LoadFrame で使う引数は Create よりも少なく、その代わりにフレームのタイトル、アイコン、アクセラレータテーブル、メニューなどのリソースから、既定の値の大部分を補います。 LoadFrame がアクセスできるように、これらのリソースすべてに同じリソース ID (たとえば、IDR_MAINFRAME) を付ける必要があります。

CFrameWnd オブジェクトがビューやドキュメントを持っていれば、プログラマが直接作成する代わりに、フレームワークが間接的に作成します。 CDocTemplate オブジェクトが、フレームの作成、それに含まれるビューの作成、および適切なドキュメントとビューの関連付けを調整します。 CDocTemplate のコンストラクターのパラメーターには、関連する 3 つのクラス (ドキュメント、フレーム、ビュー) の CRuntimeClass を指定します。 CRuntimeClass オブジェクトは、ユーザーにより指定されたとき (たとえば、[ファイル] メニューの [新規作成] コマンド、または MDI (マルチドキュメントインターフェイス) の [ウィンドウズ] メニューの [新しいウィンドウを開く] コマンドなど)、新しいフレームを動的に作成するために、フレームワークが使います。

上の RUNTIME_CLASS 機構を正しく動作させるには、CFrameWnd から派生したフレームウィンドウクラスに、DECLARE_DYNCREATE を指定して宣言する必要があります。

CFrameWnd は、次に示す、Windows の一般的なアプリケーションでのメインウィンドウの機能を実行するように既定の実装を持っています。

CFrameWnd フレームウィンドウは、Windows のアクティブウィンドウ、または現在の入力フォーカスに依存しない現在アクティブなビューをトレースします。フレームが再度アクティブになるときは、アクティブなビューは CView::OnActivateView を呼び出すことによって通知されます。
コマンドメッセージやほかの共通なフレーム通知メッセージ (これには、CWnd の OnSetFocus、OnHScroll、OnVScroll により処理されるメッセージが含まれます) は、CFrameWnd フレームウィンドウによって現在アクティブなビューに送られます。
現在のアクティブなビュー (または、MDI フレームの場合、アクティブな MDI 子フレームウィンドウ) はフレームウィンドウのキャプションを調べることができます。この機能は、フレームウィンドウの FWS_ADDTOTITLE スタイルビットをオフにすることにより無効にできます。
CFrameWnd フレームウィンドウは、フレームウィンドウのクライアント領域内のコントロールバー、ビュー、その他の子ウィンドウの配置を管理します。フレームウィンドウは、またツールバーやほかのコントロールバーのボタンの更新を入力待ちの間に行うことができます。 CFrameWnd フレームウィンドウは、ツールバー、ステータスバーのオン/オフを切り替えるコマンドを既定で実装しています。
CFrameWnd フレームウィンドウは、メインのメニューバーを管理します。ポップアップメニューが表示されたとき、フレームウィンドウは、どのメニュー項目を有効、無効にしたり、チェックマーク付けを行うかなどを決めるため、UPDATE_COMMAND_UI 機構を使います。メニュー項目を選択したときに、フレームウィンドウは、そのコマンドのメッセージ文字列をステータスバーに表示します。
CFrameWnd フレームウィンドウは、キーボードアクセラレータを自動的に変換するオプションのアクセラレータテーブルを持ちます。
CFrameWnd フレームウィンドウは、コンテキストヘルプに使われる LoadFrame で設定されるオプションのヘルプ ID を持ちます。フレームウィンドウは、状況依存ヘルプ (Shift + F1) や印刷プレビューモードのようなセミモーダルな状況を主に調整します。
CFrameWnd フレームウィンドウは、ファイルマネージャーからドラッグされ、フレームウィンドウにドロップされたファイルを開きます。ファイル拡張子が登録されていて、アプリケーションに関連付けられていると、フレームウィンドウは、ファイルマネージャー上でファイルを開くとき、または、Windows 関数の ShellExecute が呼ばれたときに発生する DDE (Dynamic Data Exchange) のオープン要求に応答します。
フレームウィンドウがアプリケーションのメインウィンドウ (つまり、CWinThread::m_pMainWnd) である場合は、アプリケーションが閉じたときに、変更されたドキュメントを保存するかどうかを OnClose または OnQueryEndSession で確認します。
フレームウィンドウがアプリケーションのメインウィンドウである場合は、WinHelp が動作している状態です。このアプリケーションのヘルプが起動されているとき、フレームウィンドウを閉じると、フレームウィンドウは WINHELP.EXE をシャットダウンします。

C++ の delete 演算子でフレームウィンドウを破棄しないでください。代わりに、CWnd::DestroyWindow を使用してください。 CFrameWnd での PostNcDestroy の実装では、ウィンドウが破棄されるときに C++ オブジェクトが削除されます。フレームウィンドウを閉じるとき、既定の OnClose ハンドラーは、DestroyWindow を呼び出します。

CFrameWnd の詳細については、「フレームウィンドウ」を参照してください。