マイクロソフト セキュリティ情報 MS13-075 - 重要

Microsoft Office IME (中国語版) の脆弱性により、特権が昇格される (2878687)

公開日: 2013年9月11日 | 最終更新日: 2013年12月19日

バージョン: 1.1

概説

概要

この更新プログラムは非公開で報告された Microsoft Office IME (中国語版) に存在する 1 件の脆弱性を解決します。ログオンした攻撃者が、簡体字中国語版 Microsoft Pinyin IME 内のツール バーから Internet Explorer を起動すると、この脆弱性により、特権が昇格される可能性があります。攻撃者によりこの脆弱性が悪用された場合、カーネルモード内の任意のコードが実行される可能性があります。その後、攻撃者はプログラムのインストール、データの表示、変更、削除、または完全な管理者権限を持つ新たなアカウントを作成する可能性があります。この脆弱性で影響を受けるのは、Microsoft Pinyin IME 2010 の実装のみです。その他のバージョンの簡体字中国語版 IME およびその他の実装の IME は影響を受けません。

このセキュリティ更新プログラムは、Microsoft Pinyin IME 2010 がインストールされているすべてのサポートされているエディションの Microsoft Office 2010 について深刻度を「重要」と評価しています。詳細情報については、このセクションの「影響を受けるソフトウェアおよび影響を受けないソフトウェア」のサブセクションを参照してください。

このセキュリティ更新プログラムは、Microsoft Office IME (中国語版) がセキュリティで保護されているデスクトップでは実行されるように設計されていない構成オプションを公開する方法を修正することにより、この脆弱性を解決します。これらの脆弱性の詳細については、次の「脆弱性の情報」のセクションの特定の脆弱性に関するサブセクション「よく寄せられる質問 (FAQ)」を参照してください。

推奨する対応策: お客様は Microsoft Update サービスを使用して Microsoft Update からオンラインで更新プログラムをチェックするための自動更新を構成することができます。Microsoft Update から更新プログラムをオンラインでチェックするために自動更新を有効にし、構成しているお客様は、通常このセキュリティ更新プログラムは自動でダウンロードおよびインストールされるため、特に操作をする必要はありません。自動更新を有効にしていない場合、この更新プログラムを手動で Microsoft Update で確認し、インストールする必要があります。自動更新の具体的な構成オプションの詳細については、サポート技術情報 294871 を参照してください。

管理者およびエンタープライズのインストール、またはこのセキュリティ更新プログラムを手動でインストールしたいエンドユーザーは、更新プログラムの管理ソフトウェアまたは Microsoft Update サービスで更新プログラムを確認して、この更新プログラムをできる限り早期に適用することを推奨します。

このセキュリティ情報の後半の「検出および展開ツールとガイダンス」を参照してください。

サポート技術情報

サポート技術情報 2878687
ファイルに関する情報 あり
SHA1/SHA2 ハッシュ あり
既知の問題 なし

影響を受けるソフトウェアおよび影響を受けないソフトウェア

ここに記載されているソフトウェアをテストし、影響を受けるバージョンまたはエディションを確認しました。その他のバージョンまたはエディションはサポート ライフサイクルが終了したか、または影響を受けません。ご使用中のソフトウェアのバージョンまたはエディションのサポート ライフサイクルを確認するには、マイクロソフト サポート ライフサイクルの Web サイトを参照してください。

影響を受けるソフトウェア

Microsoft Office スイートおよびその他のソフトウェア コンポーネント 最も深刻な脆弱性の影響 総合的な深刻度 この更新プログラムにより置き換えられるセキュリティ情報
Microsoft Office スイートおよびコンポーネント
Microsoft Office 2010 Service Pack 1 (32 ビット版) [Microsoft Pinyin IME 2010 (32 ビット版)](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=f3faa8f8-fbcd-4681-b5d5-ee18fa2ab4f2) (2687413) 特権の昇格 重要 なし
Microsoft Office 2010 Service Pack 1 (64 ビット版) [Microsoft Pinyin IME 2010 (64 ビット版)](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=b5ab63d0-1898-4586-8704-526991f7d3a6) (2687413) 特権の昇格 重要 なし
影響を受けないソフトウェア
Office およびその他のソフトウェア
Microsoft Office 2007 Service Pack 3
Microsoft Office 2010 Service Pack 2 (32 ビット版)
Microsoft Office 2010 Service Pack 2 (64 ビット版)
Microsoft Office 2013 (32 ビット版)
Microsoft Office 2013 (64 ビット版)
Microsoft Office 2013 RT

更新プログラムに関する FAQ

Input Method Editor (IME) とは何ですか?
Input Method Editor (IME) は、キーボードを介し特定の言語で情報を入力することに関連する問題を解決する手助けを行ないます。中国語や日本語のような言語は何千もの異なる文字を含み、それらすべてを含むキーボードを作成することは現実的ではありません。IME により、各文字を構成するストロークを指定することにより、標準の 101 キーのキーボードを使用して文字を作成することができます。

IME はキーボード操作を音声文字および表意文字に変換するエンジンと一般的に使用される表意単語の辞書で構成されています。ユーザーがキーボードを介しキーストロークを入力すると、IME はキーストロークを識別し、それらを文字に変換します。

Microsoft Pinyin IME 2010 とは何ですか ?
Microsoft Pinyin IME 2010 は、簡体字中国語版 Microsoft Pinyin (MSPY) Input Method Editor (IME) です。Microsoft Pinyin IME 2010 は、中国語版 Microsoft Office 2010 に既定でインストールされており、英語版やその他の言語の Microsoft Office 2010 でもオプション コンポーネントとして利用できます。

IME をインストール済みですが、 Microsoft Pinyin IME 2010 はインストールしていません。 なぜ、この更新プログラムが提供されるのですか?
この脆弱性で影響を受けるのは、Microsoft Pinyin IME 2010 の実装のみです。その他の IME の実装は影響を受けません。しかしこの更新プログラムは、他の中国語版 IME、日本語版 IME や韓国語版 IME など、影響を受けない IME がインストールされているシステムに提供される場合があります。

影響を受けない IME にこの更新プログラムが提供される場合がありますが、この更新プログラムを適用しないことで、システムのセキュリティ リスクが高くなるということはありません。ただし、マイクロソフトはユーザーのシステムに提供される更新プログラムはすべてインストールすることを推奨します。これは、複数の Office 製品で共有ファイルの一貫性を維持するのに役立ちます。場合によっては、影響を受けないソフトウェアの更新プログラムが、システム上の該当ファイルは既に最新の状態であると検出し、その結果としてファイルのインストールが必要ないこともあります。

このセキュリティ情報で説明しているソフトウェアの旧バージョンを使用しています。どうすればよいですか?
このセキュリティ情報の一覧の影響を受けるソフトウェアのテストを行い、影響を受けるリリースを確認しました。その他のリリースは、サポート ライフサイクルが終了しました。製品のライフサイクルに関する詳細については、マイクロソフト サポート ライフサイクルの Web サイトを参照してください。

今後、脆弱性の影響を受けないようにするため、旧リリースのソフトウェアを使用しているお客様は、サポート対象のリリースに移行することを強く推奨します。使用するソフトウェアのサポート ライフサイクルを確認するには、サービスパック ライフサイクル ポリシーを参照してください。これらのソフトウェアのリリースのサービス パックの詳細については、サービスパック ライフサイクル ポリシーを参照してください。

以前のソフトウェアに関するカスタム サポートが必要なお客様は、担当営業、またはマイクロソフト アカウント チームの担当者、担当テクニカル アカウント マネージャー (TAM)、またはカスタム サポート オプションのマイクロソフト パートナー担当者までご連絡ください。プレミア契約をお持ちでないお客様は、マイクロソフト サポート契約センター (営業時間 9:30-12:00 13:00-19:00 土日祝祭日を除く TEL:0120-17-0196 FAX:03-5388-8253) までお問い合わせください。連絡先の情報は、Microsoft Worldwide Information Web サイトの Contact Information のプルダウン リストから国を選択し、[Go] ボタンをクリックすると、連絡先の電話番号が表示されます。お問い合わせの際、お住まいの地域のプレミア サポート営業担当にご連絡ください。詳細については、マイクロソフト サポート ライフサイクル ポリシー FAQ を参照してください。

脆弱性の情報

深刻度および脆弱性識別番号

次の深刻度の評価は、脆弱性の影響が最も深刻な場合を想定しています。深刻度の評価およびセキュリティ上の影響に関連して、このセキュリティ情報の公開から 30 日間でこの脆弱性が悪用される可能性に関する情報については、9 月のセキュリティ情報の概要の Exploitability Index を参照してください。詳細については、Microsoft Exploitability Index (悪用可能性指標) を参照してください。

影響を受けるソフトウェアごとの脆弱性の深刻度および最大のセキュリティ上の影響
影響を受けるソフトウェア 中国語版 IME の脆弱性 – CVE-2013-3859 総合的な深刻度
Microsoft Office 2010 Service Pack 1 (32 ビット版) (Microsoft Pinyin IME 2010 (32 ビット版) を搭載) 重要 
特権の昇格
重要
Microsoft Office 2010 Service Pack 1 (64 ビット版) (Microsoft Pinyin IME 2010 (64 ビット版) を搭載) 重要 
特権の昇格
重要
中国語版 IME の脆弱性 – CVE-2013-3859 ------------------------------------- 特権の低いユーザーが自らのアクセス特権を昇格させる可能性のある特権の脆弱性が、中国語版の Office IME に存在しています。 Common Vulnerabilities and Exposures のリストの標準のエントリとしてこの脆弱性を確認するには、[CVE-2013-3859](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2013-3859) を参照してください。 #### 問題を緩和する要素 緩和する要素は、既定の状態における設定、一般的な構成または最善策を示し、脆弱性悪用の深刻度が下がる場合があります。お客様の状況で、次の「緩和する要素」が役立つ場合があります。 - この脆弱性が悪用されるには、有効な資格情報を所有し、ローカルでログオンできることが攻撃者にとっての必要条件となります。リモートで、または匿名ユーザーが、この脆弱性を悪用することはないと思われます。 - この脆弱性で影響を受けるのは、Microsoft Pinyin IME 2010 の実装のみです。その他のバージョンの簡体字中国語版 IME およびその他の実装の IME は影響を受けません。 #### 回避策 マイクロソフトは、この脆弱性の回避策を確認していません。 #### よく寄せられる質問 この脆弱性により、どのようなことが起こる可能性がありますか?  これは、特権の昇格の脆弱性です。 何が原因で起こりますか?  この脆弱性は、Office Pinyin IME (中国語版) が、ローカル システム上でユーザーによる自らのアクセス特権の昇格を許可することにより起こります。 攻撃者は、この脆弱性を悪用して何を行う可能性がありますか?  攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、ローカル システムで任意のコードを実行し、システムを完全に制御する可能性があります。攻撃者は、その後、プログラムのインストール、データの表示、変更、削除などを行ったり、完全なユーザー権限を持つ新たなアカウントを作成したりする可能性があります。 攻撃者はこの脆弱性をどのように悪用する可能性がありますか?  攻撃のシナリオで、攻撃者はまず標的となったシステムにログオンする必要があります。その後、攻撃者は、IME ツール バーを利用して、システム レベルの特権で Internet Explorer を起動する可能性があります。さらに、攻撃者はシステム レベルの特権でプログラムを実行する可能性があります。 主にどのようなコンピューターがこの脆弱性による危険にさらされますか?  影響を受けるバージョンの Office を実行しているすべてのシステムが、この脆弱性の影響を受けます。 この更新プログラムはどのように問題を修正しますか?  この更新プログラムは、セキュリティで保護されるデスクトップで実行されるように、Microsoft Pinyin IME を構成する方法を解決することにより、この脆弱性を解決します。 このセキュリティ情報のリリース時に、この脆弱性は一般に公開されていたのですか?  いいえ。マイクロソフトは協調的な脆弱性の公開を通して、この脆弱性に関する情報を受けました。 このセキュリティ情報の公開時に、マイクロソフトはこの脆弱性が悪用されたという報告を 受けていましたか?  いいえ。マイクロソフトは、このセキュリティ情報が最初に公開された際に、この脆弱性が一般で悪用され、お客様が攻撃されていたことを示す情報を受けていませんでした。 ### 更新プログラムに関する情報 検出および展開ツールとガイダンス -------------------------------- 管理者がセキュリティ更新プログラムを展開するときに役立つリソースがいくつかあります。  - Microsoft Baseline Security Analyzer (MBSA) を使用して、管理者はローカル システムとリモート システムの不足しているセキュリティ更新プログラムと一般的な誤ったセキュリティ構成をスキャンできます。  - Windows Server Update Services (WSUS)、Systems Management Server (SMS)、および System Center Configuration Manager は、管理者がセキュリティ更新プログラムを配布するときに役に立ちます。  - Application Compatibility Toolkit に含まれている Update Compatibility Evaluator コンポーネントは、インストールされているアプリケーションに対する Windows の更新プログラムのテストおよび確認を効率化する手助けをします。  これらのツールの詳細、およびネットワーク経由でセキュリティ更新プログラムを展開するためのガイダンスについては、「[セキュリティ ツール](https://technet.microsoft.com/ja-jp/security/cc297183)」を参照してください。 セキュリティ更新プログラムの展開 -------------------------------- 影響を受けるソフトウェア 影響を受けるソフトウェア用の特定のセキュリティ更新プログラムについては、該当リンクの情報を参照してください。 #### Microsoft Office 2010 (すべてのエディション) 参照表 次の表では、このソフトウェア用のセキュリティ更新プログラムの情報を記載しています。

セキュリティ更新プログラムのファイル名 Microsoft Office 2010 Service Pack 1 (32 ビット版) (Microsoft Pinyin IME 2010 (32 ビット版) を搭載):
imeloc2010-kb2687413-fullfile-x86-glb.exe
Microsoft Office 2010 Service Pack 1 (64 ビット版) (Microsoft Pinyin IME 2010 (64 ビット版) を搭載):
imeloc2010-kb2687413-fullfile-x64-glb.exe
インストール スイッチ サポート技術情報 912203 を参照してください。
再起動の 必要性 この更新プログラムは、システムの再起動が必要ない場合もあります。必要なファイルが使用中の場合、この更新プログラムは再起動が必要です。この動作が起きた場合、再起動のメッセージが表示されます。

再起動が必要になる可能性を低減するために、このセキュリティ更新プログラムのインストール前に、すべての影響を受けるサービスを停止し、影響を受けるファイルを使用している可能性のあるすべてのアプリケーションを閉じてください。再起動が必要となる理由の詳細については、マイクロソフト サポート技術情報 887012 を参照してください。
削除に関する 情報 [コントロール パネル] の [プログラムの追加と削除] を使用します。
ファイル に関する情報 サポート技術情報 2687413 を参照してください。
レジストリ キーの確認 対象外
### 関連情報 #### 謝辞 この問題を連絡し、顧客の保護に協力してくださった下記の方に対し、マイクロソフトは深い[謝意](https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=21127)を表します。 - 中国語版 IME の脆弱性 (CVE-2013-3859) を報告してくださった [VulnHunt](https://www.vulnhunt.com/) の Wei Wang 氏 #### Microsoft Active Protections Program (MAPP) お客様のセキュリティ保護をより向上させるために、マイクロソフトは、月例のセキュリティ更新プログラムの公開に先立ち、脆弱性情報を主要なセキュリティ ソフトウェア プロバイダーに提供しています。セキュリティ ソフトウェア プロバイダーは、この脆弱性の情報を使用し、ウイルス対策、ネットワーク ベースの侵入検出システムまたはホスト ベースの侵入防止システムを介して、お客様に最新の保護環境を提供します。このような保護環境を提供するセキュリティ ソフトウェア ベンダーの情報については、[Microsoft Active Protections Program (MAPP) パートナー](https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=215201)に記載されている各社の Web サイトを参照してください。 #### サポート このセキュリティ更新プログラムに関するヘルプとサポートを受ける方法 - 更新プログラムのインストールのヘルプ:[Microsoft Update のサポート](https://support.microsoft.com/ph/6527) - IT プロフェッショナル向けのセキュリティ ソリューション:[TechNet セキュリティに関するトラブルシューティングとサポート](https://technet.microsoft.com/ja-jp/security/bb980617) - Windows を実行しているコンピューターのウイルスおよびマルウェアからの保護のヘルプ:[ウイルスとセキュリティ サポート ページ](https://support.microsoft.com/contactus/cu_sc_virsec_master) - 国ごとのローカルサポート:[Microsoft サポート](https://support.microsoft.com/common/international.aspx) #### 免責 この文書に含まれている情報は、いかなる保証もない現状ベースで提供されるものです。Microsoft Corporation 及びその関連会社は、市場性および特定の目的への適合性を含めて、明示的にも黙示的にも、一切の保証をいたしません。さらに、Microsoft Corporation 及びその関連会社は、本文書に含まれている情報の使用及び使用結果につき、正確性、真実性等、いかなる表明・保証も行いません。Microsoft Corporation、その関連会社及びこれらの権限ある代理人による口頭または書面による一切の情報提供またはアドバイスは、保証を意味するものではなく、かつ上記免責条項の範囲を狭めるものではありません。Microsoft Corporation、その関連会社及びこれらの者の供給者は、直接的、間接的、偶発的、結果的損害、逸失利益、懲罰的損害、または特別損害を含む全ての損害に対して、状況のいかんを問わず一切責任を負いません。結果的損害または偶発的損害に対する責任の免除または制限を認めていない地域においては、上記制限が適用されない場合があります。 #### 更新履歴 - V1.0 (2013/09/11):このセキュリティ情報ページを公開しました。 - V1.1 (2013/12/19):この脆弱性で影響を受けるのは Microsoft Pinyin IME 2010 の実装のみであることを明示しました。しかしこの更新プログラムは、影響を受けない IME がインストールされているシステムに提供される場合があります。これは、複数の Office 製品で共有ファイルの一貫性を維持するのに役立ちます。詳細については、更新プログラムに関する FAQを参照してください。 *Built at 2014-04-18T01:50:00Z-07:00*