メニュー コマンドを持つ拡張機能を作成する
このチュートリアルでは、メモ帳を起動するメニュー コマンドを持つ拡張機能を作成する方法について説明します。
メニュー コマンドを作成する
FirstMenuCommand という名前の VSIX プロジェクトを作成します。 VSIX プロジェクト テンプレートは、 [新しいプロジェクト] ダイアログで「vsix」と検索すると見つかります。
プロジェクトが開いたら、FirstCommand という名前のカスタム コマンド項目テンプレートを追加します。 ソリューション エクスプローラーで、プロジェクト ノードを右クリックして、 [追加]>[新しい項目]の順に選択します。 [新しい項目の追加] ダイアログで、[C# 項目]>[拡張機能] に移動し、[コマンド] を選択します。 ウィンドウの下部にある [名前] フィールドで、コマンド ファイル名を FirstCommand.cs に変更します。
プロジェクトをビルドし、デバッグを開始します。
Visual Studio の実験用インスタンスが表示されます。 実験用インスタンスの詳細については、「実験用インスタンス」を参照してください。
実験用インスタンスで、[拡張]>[拡張機能の管理] ウィンドウを開きます。 FirstMenuCommand 拡張機能がここに表示されます。 (Visual Studio の作業インスタンスで [拡張機能の管理] を開いた場合、FirstMenuCommand は表示されません)。
次に、実験用インスタンスの [ツール] メニューに移動します。 Invoke FirstCommand コマンドが表示されます。 この時点でコマンドを実行すると、「FirstCommand Inside FirstMenuCommand.FirstCommand.MenuItemCallback()」という内容のメッセージ ボックスが表示されます。 次のセクションでは、このコマンドからメモ帳を実際に起動する方法について説明します。
メニュー コマンドのハンドラーを変更する
次に、メモ帳が起動されるようにコマンド ハンドラーを更新してみましょう。
デバッグを停止し、Visual Studio の作業インスタンスに戻ります。 FirstCommand.cs ファイルを開いて、次の using ステートメントを追加します。
using System.Diagnostics;
プライベートの FirstCommand コンストラクターを見つけます。 これは、コマンドがコマンド サービスにフックされ、コマンド ハンドラーが指定される場所です。 次のように、コマンド ハンドラーの名前を「StartNotepad」に変更します。
private FirstCommand(AsyncPackage package, OleMenuCommandService commandService) { this.package = package ?? throw new ArgumentNullException(nameof(package)); commandService = commandService ?? throw new ArgumentNullException(nameof(commandService)); CommandID menuCommandID = new CommandID(CommandSet, CommandId); // Change to StartNotepad handler. MenuCommand menuItem = new MenuCommand(this.StartNotepad, menuCommandID); commandService.AddCommand(menuItem); }
Execute
メソッドを削除し、メモ帳を起動するだけのStartNotepad
メソッドを追加します。private void StartNotepad(object sender, EventArgs e) { ThreadHelper.ThrowIfNotOnUIThread(); Process proc = new Process(); proc.StartInfo.FileName = "notepad.exe"; proc.Start(); }
では、試してみましょう。プロジェクトのデバッグを開始し、[ツール]>[Invoke FirstCommand] の順にクリックすると、メモ帳のインスタンスが起動されます。
Process クラスのインスタンスを使用すると、メモ帳だけでなく、任意の実行可能ファイルを実行できます。 たとえば、
calc.exe
で試してみてください。
実験環境をクリーンアップする
複数の拡張機能を開発している場合、または異なるバージョンの拡張機能コードの結果を調べている場合は、実験環境が想定どおりに動作しなくなる可能性があります。 この場合は、リセット スクリプトを実行する必要があります。 これは、Visual studio の実験用インスタンスのリセットと呼ばれ、Visual Studio SDK の一部として出荷されています。 このスクリプトでは、拡張機能へのすべての参照が実験環境から削除されるので、ゼロから開始できます。
このスクリプトは、次の 2 つの方法のいずれかで取得できます。
デスクトップから、[Visual Studio の実験用インスタンスのリセット] を見つけます。
コマンド ラインから次を実行します。
<VSSDK installation>\VisualStudioIntegration\Tools\Bin\CreateExpInstance.exe /Reset /VSInstance=<version> /RootSuffix=Exp && PAUSE
拡張機能をデプロイする
ツール拡張機能を期待どおりに実行できるようになったので、友人や同僚とそれを共有することについて考えてみましょう。 Visual Studio 2015 がインストールされていれば、これは簡単です。 行う必要があるのは、作成した .vsix ファイルを彼らに送信することだけです。 (リリース モードでビルドしてください。)
この拡張機能の .vsix ファイルは、FirstMenuCommand の bin ディレクトリにあります。 リリース構成をビルドしたことを想定すると、具体的には次の場所にあります。
<コード ディレクトリ>\FirstMenuCommand\FirstMenuCommand\bin\Release\FirstMenuCommand.vsix
拡張機能をインストールするには、友人は開いている Visual Studio のインスタンスをすべて閉じて、.vsix ファイルをダブルクリックする必要があります。これにより、VSIX インストーラーが起動されます。 ファイルは %LocalAppData%\Microsoft\VisualStudio<version>\Extensions ディレクトリにコピーされます。
友人が Visual Studio を再度起動すると、[ツール]>[拡張機能と更新プログラム] に FirstMenuCommand 拡張機能が表示されます。 拡張機能をアンインストールまたは無効にするには、[拡張機能と更新プログラム] に移動します。
次のステップ
このチュートリアルでは、Visual Studio の拡張機能で実行できることのごく一部のみを示しました。 Visual Studio の拡張機能で実行できるその他の (適度に簡単な) ことを次に示します。
単純なメニュー コマンドを使用して、さらに多くのことを行うことができます。
独自のアイコンを追加する: メニュー コマンドにアイコンを追加する
メニュー コマンドのテキストを変更する:メニュー コマンドのテキストを変更する
コマンドにメニュー ショートカットを追加する: キーボード ショートカットをメニュー項目にバインドする
さまざまな種類のコマンド、メニュー、ツールバーを追加する: メニューとコマンドを拡張する
ツール ウィンドウの追加と組み込みの Visual Studio ツール ウィンドウの拡張: ツール ウィンドウの拡張とカスタマイズ
IntelliSense、コード候補、その他の機能を既存のコード エディターに追加する: エディターと言語サービスを拡張する
拡張機能に [オプション] および [プロパティ] ページと、ユーザー設定を追加する: プロパティとプロパティ ウィンドウを拡張する、ユーザー設定とオプションを拡張する
他の種類の拡張機能では、新しい種類のプロジェクトの作成 (プロジェクトを拡張する) や新しい種類のエディターの作成 (カスタム エディターとデザイナーを作成する) など、これ以外の作業も少し必要になります。