Windows と GPT のよくあるご質問

GUID パーティション テーブル (GPT) に関するよくあるご質問への回答。

このバージョンの「Windows と GPT のよくあるご質問」は、Windows 10 および Windows Server 2016 に適用されます。 このよくあるご質問の以前のバージョンについては、MSDN の Windows と GPT のよくあるご質問のページを参照してください。

パーソナル コンピューターの導入以降、ハード ディスク上のデータ記憶域はセクターと呼ばれる小さな領域に分割されるようになりました。 これらのセクターは、ディスク上に個別のボリューム ('ドライブ') を作成するパーティションにグループ化されます。 パーティションは、マスター ブート レコード (MBR) と呼ばれるスキームを使用して配置されていました。 MBR は、ディスク上に存在する各パーティションのディスク上の位置 (アドレス) と、一定の長さを持つテーブルです。 MBR 自体はディスクを少ししか占有せず、ブート フェーズ中に、オペレーティング システムをブートする場所を特定するために読み取られます。 MBR の情報は、オペレーティング システムによって、ディスク上に存在するボリュームのマップとしても使用されます。

最終的に、ディスクのデータ密度が大きくなりすぎて、MBR スキームでは利用可能なすべてのデータの場所をカバーしきれなくなりました。 また、MBR のレイアウト (形式) は初期のコンピューター用に設計されたものなので、新しいディスク構成に対応できるだけの柔軟性がありませんでした。 新しいパーティション分割方法が必要になったため、GUID パーティション テーブル (GPT) というパーティション分割スキームが作成されました。

GPT

GPT ディスクとは

GUID パーティション テーブル (GPT) は、Unified Extensible Firmware Interface (UEFI) イニシアチブの一部として導入されました。 GPT では、PC で一般的だった旧式のマスター ブート レコード (MBR) パーティション分割スキームよりも柔軟性の高いディスク パーティション分割メカニズムが提供されます。

パーティションは、物理的に独立したディスクであるかのように機能する、物理または論理ディスク上の記憶域の連続した領域です。 パーティションは、システム ファームウェアと、インストールされているオペレーティング システムによって認識されます。 パーティションへのアクセスは、システムによってオペレーティング システムが起動される前はシステム ファームウェアによって制御され、起動された後はオペレーティング システムによって制御されます。

MBR パーティション分割の問題点

MBR ディスクでは、4 つのパーティション テーブル エントリのみがサポートされます。 5 つ以上のパーティションが必要な場合は、拡張パーティションと呼ばれるセカンダリ構造が必要になります。 拡張パーティションは 1 つ以上の論理ディスクに分割できます。

Windows では、MBR ディスクのパーティションと論理ドライブは、報告されたジオメトリに基づいてシリンダー境界に作成されます。しかしこの情報は、ハードウェア (ディスク ドライバーまたは RAID コントローラー) の物理的特性とはもはや何の関係もありません。 Windows Vista および Windows Server 2008 以降では、実際のキャッシュや物理的なアライメントについてのより優れたヒントがハードウェアによって提供されると、より論理的な境界が選択されます。 このパーティション情報はドライブ自体に格納されるため、オペレーティング システムはこのアライメントに依存しません。

MBR のパーティション分割ルールは複雑であり、十分に指定されていません。 たとえば、シリンダー アライメントとは、各パーティションの長さが 1 シリンダー以上でなければならないことを意味するのでしょうか? MBR のパーティションは2 バイトのフィールドによって識別され、競合を回避するために調整が必要です。 当初は IBM によってその調整が行われていましたが、今ではパーティション識別子の正式なリストは 1 つもありません。

また、文書化されていないプロセスを使用して、パーティション分割されたセクターまたは "隠し" セクターに特定の情報を格納することもよく行われていますが、これはデバッグが困難な問題を引き起こします。 過去にはベンダー固有の実装やツールが一般公開されていましたが、それによってサポートが困難になりました。

GPT が必要な理由

GPT ディスクでは拡張が考慮されています。 GPT ディスク上のパーティションの数は、MBR の拡張ブート レコード (EBR) で定義されているコンテナー パーティションのように暫定的なスキームによって制限されていません。 GPT ディスク パーティション形式は明確に定義されており、完全に自己識別型です。 プラットフォーム操作に不可欠なデータはパーティション内に配置され、パーティション分割されていないセクターや "隠し" セクター内には配置されません。 GPT ディスクでは、冗長性のためにプライマリ パーティション テーブルとバックアップ パーティション テーブルが使用され、パーティション データ構造の整合性を高めるために CRC32 フィールドが使用されます。 GPT パーティション形式では、将来の拡張用にバージョン番号とサイズのフィールドが使用されます。

GPT の各パーティションは一意識別子 GUID とパーティション コンテンツ タイプを持つため、パーティション識別子の競合を防ぐための調整は必要ありません。 GPT の各パーティションは 36 文字の Unicode 名を持ちます。 そのため、ソフトウェアはパーティションをさらに詳しく解釈しなくても、パーティションに対して人が判読できる名前を提供できます。

GPT ディスク パーティション分割の仕様を入手できる場所

GPT 形式は、Unified Extensible Firmware Interface (UEFI) 仕様 (バージョン 2.3) の第 5 章で定義されています。 この仕様は https://www.uefi.org/specifications で入手できます。

ベーシック ディスクの GPT 形式

ベーシック ディスクは、Windows で最もよく使用されるストレージの種類です。 "ベーシック ディスク" とは、プライマリ パーティションや論理ドライブなどのパーティションを含んだディスクを指し、通常これらのパーティションはファイル システムによってフォーマットされ、ファイルを格納するためのボリュームとなります。

GPT パーティション テーブル上のプロテクティブ MBR 領域は、MBR で動作するディスク管理ユーティリティとの下位互換性のために存在します。 GPT ヘッダーにより、パーティション エントリで使用できる論理ブロック アドレスの範囲が定義されます。 また GPT ヘッダーでは、そのディスク上の位置、GUID、および GPT ヘッダーの整合性を確認するために使用される 32 ビットの巡回冗長検査 (CRC32) チェックサムも定義されます。 GUID パーティション テーブル内の各エントリは、パーティション タイプ GUID で始まります。 16 バイトのパーティション タイプ GUID は、MBR ディスクのパーティション テーブルにあるシステム ID に似ていますが、パーティションに含まれるデータの種類とパーティションの使用方法 (ベーシック ディスクかダイナミック ディスクかなど) を示します。 各 GUID パーティション エントリにはバックアップ コピーがあることに注意してください。

ベーシック ディスクの詳細については、「ベーシック ディスクとダイナミック ディスク」を参照してください。

ダイナミック ディスクの GPT 形式

ダイナミック ディスクは Windows 2000 で初めて導入され、複数のディスクにまたがるボリューム (スパン ボリュームとストライプ ボリューム) を作成する機能や、フォールト トレラント ボリューム (ミラー ボリュームと RAID-5 ボリューム) を作成する機能など、ベーシック ディスクにはない機能を備えています。 MBR と GPT の両方をサポートしているシステムでは、ダイナミック ディスクに MBR または GPT パーティション形式を使用できます。 ダイナミック ディスクの詳細については、「ベーシック ディスクとダイナミック ディスク」を参照してください。

GPT ディスクの UEFI 要件

GPT ディスクは自己識別型です。 GPT ディスクのパーティション スキームを解釈するために必要なすべての情報は、物理メディア上の指定された位置にある構造体に完全に含まれています。

GPT ディスクの最大サイズ

理論的には、GPT の長さは最大 2^64 論理ブロックです。 論理ブロックのサイズは通常 512 バイトです。

パーティション (およびディスク) の最大サイズは、オペレーティング システムのバージョンによって異なります。 Windows XP および Windows Server 2003 のオリジナル リリースでは、すべてのパーティションを含めて物理ディスクあたり 2TB までに制限されています。 Windows Server 2003 SP1、Windows XP x64 Edition、およびそれ以降のバージョンでは、最大 18 エクサバイトの raw パーティションがサポートされます (Windows ファイル システムは、現在、それぞれ 256 テラバイトまでに制限されています)。

GPT ディスクに含めることができるパーティションの数

仕様では、使用できるパーティションの数はほぼ無制限です。 ただし、Windows の実装では最大 128 個のパーティションに制限されています。 パーティションの数は、GPT 内でパーティション エントリ用に予約されている領域の容量によって制限されます。

ディスクを GPT と MBR の両方にすることはできるか

いいえ。 ただし、すべての GPT ディスクにはプロテクティブ MBR が含まれます。

プロテクティブ MBR●ぷろてくてぃぶmbr○

プロテクティブ MBR はセクター 0 で始まり、ディスク上で GPT パーティション テーブルの前に配置されます。 この MBR には、ディスク全体にわたる 1 つのタイプ 0xEE パーティションが含まれています。

GPT にプロテクティブ MBR がある理由

プロテクティブ MBR は、以前にリリースされた MBR ディスク ツール (Microsoft MS-DOS FDISK や Microsoft Windows NT ディスク アドミニストレーターなど) から GPT ディスクを保護します。 これらのツールは GPT を認識せず、GPT ディスクに正しくアクセスする方法を知りません。 GPT を認識しないレガシ ソフトウェアは、GPT ディスクにアクセスしたときにプロテクティブ MBR のみを解釈します。 これらのツールは、プロテクティブ MBR を解釈することにより、GPT ディスクをパーティション分割されていないディスクであると誤解せずに、全体にわたる (おそらく認識されない) 1 つのパーティションを持っていると見なします。

GPT パーティション ディスク上に MBR があるように見える理由

これは、MBR のみを認識するディスク ツールを使用して GPT ディスクにアクセスしたときに起こります。 詳細については、以下のセクションを参照してください。

  • ディスクを GPT と MBR の両方にする方法
  • プロテクティブ MBR●ぷろてくてぃぶmbr○
  • GPT にプロテクティブ MBR がある理由

Windows ディスクのサポート

Windows XP x64 で GPT ディスクの読み取り、書き込み、ブートを実行できるか

Windows XP x64 Edition では、GPT ディスクをデータ用としてのみ使用できます。

32 ビット バージョンの Windows XP で GPT ディスクの読み取り、書き込み、ブートを実行できるか

いいえ。 32 ビット バージョンではプロテクティブ MBR のみが認識されます。 EE パーティションがマウントされたり、それ以外の方法でアプリケーション ソフトウェアに公開されることはありません。

32 ビットおよび 64 ビット バージョンの Windows Server 2003 で GPT ディスクの読み取り、書き込み、ブートを実行できるか

Windows Server 2003 Service Pack 1 以降のすべてのバージョンの Windows Server で、GPT パーティション ディスクをデータ用として使用できます。 ブートは Itanium ベースのシステム上の 64 ビット版でのみサポートされています。

Windows Vista、Windows Server 2008、およびそれ以降で GPT ディスクの読み取り、書き込み、ブートを実行できるか

はい、すべてのバージョンで、GPT パーティション ディスクをデータ用として使用できます。 ブートは UEFI ベースのシステム上の 64 ビット版でのみサポートされています。

Windows 2000、Windows NT 4、または Windows 95/98 で GPT ディスクの読み取り、書き込み、ブートを実行できるかどうか

いいえ。 この場合も、レガシ ソフトウェアはプロテクティブ MBR しか認識しません。

別のコンピューターへの GPT ディスクの移動

データ用のみの GPT ディスクを、Windows XP (64 ビット版のみ) またはそれ以降のバージョンのオペレーティング システム (32 または 64 ビット版) を実行している他のシステムに移動 (移行) できます。 システムがシャットダウンされた後、またはディスクが安全に取り外された後に、データ用のみの GPT ディスクを移行できます。

同一システム上での GPT ディスクと MBR ディスクの組み合わせ

前に説明したように、GPT をサポートしているシステムでは、GPT ディスクと MBR ディスクを混在させることができます。 ただし、次の制限事項に注意してください。

  • UEFI をサポートしているシステムでは、ブート パーティションが GPT ディスク上に存在している必要があります。 その他のハード ディスクは、MBR と GPT のどちらでもかまいません。
  • MBR ディスクと GPT ディスクの両方を、1 つのダイナミック ディスク グループ内に混在させることができます。 ボリューム セットは、MBR ディスクと GPT ディスクの両方にまたがることができます。

リムーバブル メディア

リムーバブル メディアは、MBR、GPT、または "スーパーフロッピー" である必要があります。

スーパーフロッピー

GPT または MBR 形式のいずれも使用していないリムーバブル メディアは、"スーパーフロッピー" と見なされます。 メディア全体が 1 つのパーティションとして扱われます。

リムーバブル メディアの MBR パーティション分割は、メディアの製造元によって実行されます。 メディアで MBR が使用されている場合は、1 つのパーティションのみがサポートされます。 MBR パーティション メディアとスーパーフロッピーの間に、ユーザーが判別できる違いはほとんどありません。

リムーバブル メディアの例としては、フロッピー ディスク ドライブ、JAZ ディスク カートリッジ、光磁気メディア、DVD-ROM、CD-ROM などがあります。 SCSI や IEEE 1394 などの外部バス上のハード ディスク ドライブはリムーバブルとは見なされません。

メディアをパーティション分割するときの Windows XP 64-Bit Edition Version 2003 の既定の動作について教えてください。

(Itanium ベースのシステム上の) Windows XP 64-Bit Edition Version 2003 でのみ、固定ディスクが GPT パーティションを使用してパーティション分割されます。 既存のパーティション分割が最初に削除された場合にのみ GPT ディスクを MBR ディスクに変換することができ、それに伴ってデータの損失が発生します。

メディアをパーティション分割するときの 32 ビット版 Windows XP、Windows Server 2003、および Windows XP x64 の既定の動作

MBR ディスクのみを使用できます。

UEFI ファームウェア内のパーティションに対する、オペレーティング システムのドライブ文字のマッピング

ドライブ文字とパーティションの間に、互いを判別するために使用できる固有のマッピングはありません。 ベーシック データ パーティションは、そのパーティション GUID によって識別される必要があります。

ESP パーティションの作成

ESP パーティションは、UEFI ファームウェアのユーティリティ Diskpart.efi か、Windows のコマンド ライン ユーティリティ Diskpart.exe を使用して作成できます。

パーティションの変更

パーティションのヘッダー エントリを直接変更してはいけません。 ディスク ツールやユーティリティを使用して修正や変更を加えないでください。

取り外し可能ディスクでサポートされているパーティション

取り外し可能ディスクは一般にコンピューター間での移行のために使用され、オペレーティング システムから利用できなくなることがあります。 取り外し可能ディスクの例として、エンドユーザーが簡単に切断できる USB ディスクがあります。 Windows XP では、取り外し可能ディスクに対して MBR パーティション分割のみがサポートされています。 それより後のバージョンの Windows では、取り外し可能ディスクに対して GPT パーティション分割がサポートされています。

リムーバブル メディアの詳細については、次の質問を参照してください。

  • リムーバブル メディア
  • スーパーフロッピー

Windows の GPT に必須のパーティション: EFI システム パーティション

拡張ファームウェア インターフェイス システム パーティション (ESP)

ESP には、システムをブートするために必要な NTLDR、HAL、Boot.txt、その他のファイル (ドライバーなど) が含まれています。 ESP はパーティション GUID によって定義されます。

DEFINE_GUID (PARTITION_SYSTEM_GUID, 0xC12A7328L, 0xF81F, 0x11D2, 0xBA, 0x4B, 0x00, 0xA0, 0xC9, 0x3E, 0xC9, 0x3B)

GPT ディスクと ESP

いいえ、MBR ディスクにも ESP を含めることができます。 UEFI では、GPT または MBR からのブートが指定されます。 MBR ディスク上の ESP は、パーティション タイプ 0xEF によって識別されます。 ただし、Windows では、MBR ディスクまたは 0xEF パーティションからの UEFI のブートはサポートされていません。

ESP のサイズ

ESP は約 100 MB です。

1つのディスク上の2つのESP

そのような構成は作成できず、Windows でサポートされていません。

2つの異なるディスク上の2つのESP

高可用性構成のために ESP パーティションをレプリケートすることができます。 レプリケーションは手動で実行する必要があり、ソフトウェア ボリュームを使用する場合はコンテンツを手動で同期する必要があります。 ハードウェア ベンダーが高可用性のための追加のソリューションを提供している場合があります。 ESP パーティションをミラー化することはできません。

Microsoft によって ESP 内に配置されるもの

Microsoft によって、オペレーティング システムをブートするために必要な HAL、ローダー、その他のファイルが ESP 内に配置されます。

ディスク上での ESP の配置

ESP は、ディスク上で最初に配置する必要があります。 ESP を最初に配置する主な利点として、スパンしようとしている 2 つのデータ パーティションの間に ESP が論理的に位置しているとボリュームをスパンできないという点があります。

システム製造元またはデバイス製造元による ESP への追加

ESP には、オペレーティング システムのブートに必要なファイル、オペレーティング システムのブート前に実行されるプラットフォーム ツール、またはオペレーティング システムのブート前にアクセスする必要があるファイルのみを含めてください。 たとえば、ブート前のシステム メンテナンスを実行するために必要なファイルは、ESP 内に配置する必要があります。

オペレーティング システムの実行中に使用されるその他の付加価値ファイルや診断は、ESP 内に配置しないでください。 ESP 内の領域は限られたシステム リソースであり、その主な目的はオペレーティング システムのブートに必要なファイルの保存スペースを提供することであるという点に注意してください。

プラットフォーム診断やその他の付加価値ファイルなどのファイルのシステム製造元の配置

システム製造元に対して推奨されるオプションは、付加価値コンテンツを OEM 固有のパーティション内に配置することです。 MBR の OEM パーティションと同様に、GPT の OEM (またはその他の認識されない) パーティションのコンテンツは公開されません (ドライブ文字を割り当てられるか、またはボリューム リストで返されます)。 このパーティションを削除するとシステムが動作しなくなる可能性があることがユーザーに警告されます。 OEM 固有のパーティションは、ディスク上で MSR の前、ESP の後に配置する必要があります。 アーキテクチャではありませんが、この配置にはESP を最初に配置するのと同じ利点があります。 たとえば、スパンしようとしている 2 つのデータ パーティションの間に OEM 固有のパーティションが論理的に位置しているときも、ボリュームをスパンできません。

ESP への配置は、オペレーティング システムのブート前環境で実行されるアプリケーションやファイルに対する選択肢です。 しかし、ESP はアーキテクチャ上は共有スペースであり、リソースが限られています。 ESP 内のスペースの使用は慎重に検討する必要があります。 オペレーティング システムのブート前環境と関係のないファイルは ESP 内に配置しないでください。

Microsoft 予約パーティション (MSR)

Microsoft 予約パーティション (MSR) は、オペレーティング システムが後で使用できるように、各ディスク上のスペースを予約します。 GPT ディスクでは隠しセクターを使用できません。 以前に隠しセクターを使用していたソフトウェア コンポーネントは、MSR の一部をコンポーネントに固有のパーティション用に割り当てるようになっています。 たとえば、ベーシック ディスクをダイナミック ディスクに変換するとそのディスク上の MSR のサイズが小さくなり、新しく作成されたパーティションにダイナミック ディスクのデータベースが格納されます。 MSR は次のようなパーティション GUID を持ちます。

DEFINE_GUID (PARTITION_MSFT_RESERVED_GUID, 0xE3C9E316L, 0x0B5C, 0x4DB8, 0x81, 0x7D, 0xF9, 0x2D, 0xF0, 0x02, 0x15, 0xAE)

MSR を必要とするディスク

すべての GPT ディスクに MSR が含まれている必要があります。 ディスク上のパーティションは、ESP (存在する場合)、OEM (存在する場合)、MSR、その後にプライマリ データ パーティションという順序にする必要があります。 MSR を他のプライマリ データ パーティションの前に作成することが特に重要です。

MSR の作成責任

MSR は、ディスク パーティション情報が最初にドライブに書き込まれるときに作成される必要があります。 製造元がディスクのパーティション分割を行う場合、製造元が同時に MSR を作成する必要があります。 セットアップ中に Windows によってディスクがパーティション分割される場合は、Windows によって MSR が作成されます。

ディスクが最初にパーティション分割されたときに MSR を作成しなければならない理由

ディスクがパーティション分割された後は、MSR を作成できる空き領域が残っていません。

MSR のサイズ

最初に作成されたときの MSR のサイズは、ディスク ドライブのサイズによって異なります。

  • サイズが 16 GB 未満のドライブでは、MSR は 32 MB です。
  • 16 GB 以上のドライブでは、MSR は 128 MB です。

MSR が他のパーティションに分割されると、より小さいサイズになります。

Windows の GPT での ESP の実装

Windowsで必要なパーティション

UEFI システムの場合、ブート ドライブには、1 つの ESP、1 つの MSR と、オペレーティング システムを含む 1 つ以上のベーシック データ パーティションが含まれている必要があります。 システムに複数のオペレーティング システムがインストールされている場合でも、ESP はシステム上に 1 つだけ存在する必要があります。 ミラー化されたブート構成では、1 つの ESP を含むドライブが 2 つ存在する場合がありますが、これらは同じ ESP の冗長コピーと見なされます。 各データ ドライブには、少なくとも 1 つの MSR と 1 つのベーシック データ パーティションが含まれている必要があります。

ドライブ上のすべてのベーシック データ パーティションは連続している必要があります。 上で説明したように、データ パーティション間に OEM 固有のパーティションやその他の認識されないパーティションを配置すると、後でボリュームのスパンに制限が生じます。

基本データパーティション

ベーシック データ パーティションは、MBR のプライマリ パーティション 0x6 (FAT)、0x7 (NTFS)、または 0xB (FAT32) に対応しています。 各ベーシック データ パーティションは、ドライブ文字またはマウント ポイント、その他のボリューム デバイス オブジェクト、あるいはその両方を使用してマウントできます。 各ベーシック データ パーティションは、Windows ではボリューム デバイス オブジェクトとして表され、必要に応じてマウント ポイントまたはドライブ文字として表されます。

基本データパーティションの識別

これは次のようなパーティション タイプ GUID を持ちます。

DEFINE_GUID (PARTITION_BASIC_DATA_GUID, 0xEBD0A0A2L, 0xB9E5, 0x4433, 0x87, 0xC0, 0x68, 0xB6, 0xB7, 0x26, 0x99, 0xC7);

エンド ユーザーに対する ESP パーティションの可視性

ESP パーティションは隠しパーティションではありませんが、ドライブ文字を割り当てられていません。 ドライブ文字を割り当てられない限りはエクスプローラーに表示されませんが、いくつかのツールで一覧表示できます。

MSR パーティションおよび OEM 固有のパーティションのエンド ユーザーに対する表示

これらのパーティションがエクスプローラーでユーザーに対して公開されることも、認識されたファイル システムがコンテキストのインデックス付けなどのレガシ プログラムに対して公開されることもありません。 OEM 固有のパーティションやその他の認識されないパーティションは、認識可能なファイル システムを持たないので、ディスク管理 MMC スナップインでのみ表示されます。

Windowsによって既定でマウントされるパーティション

ベーシック データ パーティションのみが Windows によって公開されます。 FAT ファイル システムを持つその他のパーティションはマウントできますが、プログラム上でのみ非公開となります。 ベーシック データ パーティションのみがドライブ文字またはマウント ポイントを割り当てられます。

ESP FAT ファイル システムはマウントされますが、公開されません。 これにより、Windows で実行されているプログラムが ESP のコンテンツを更新できます。 mountvol /s を使用して ESP にドライブ文字を割り当てると、パーティションにアクセスできるようになります。 ESP へのアクセスには管理者特権が必要です。 MSR および MSR から作成されたすべてのパーティションは、認識可能なファイル システムを持つことができますが、いずれも公開されません。

OEM 固有のパーティションやその他のオペレーティング システムに関連付けられたパーティションは、Windows によって認識されません。 認識可能なファイル システムを持つ認識されないパーティションは、ESP と同様に扱われます。 これらはマウントされますが、公開されません。 MBR ディスクとは異なり、OEM 固有のパーティションと他のオペレーティング システム パーティションの間に実質的な差はなく、すべてが "認識されない" パーティションです。

ESP、OEM、その他の認識されないパーティションをユーザーが確認できる方法

ユーザーは、ディスクの管理ユーティリティなどのディスク管理ツールか、Windows コマンド ライン diskpart.exe を使用できます。 MSR および MSR から作成されたすべてのパーティションは、コマンド ラインからのみ表示できます。

ダイナミックディスク

ダイナミック ディスクでは、2 つの異なる GPT パーティションが使用されます。

  • 次の GUID を持つ、MBR のパーティション 0x42 に対応するデータ コンテナー パーティション: DEFINE_GUID (PARTITION_LDM_DATA_GUID, 0xAF9B60A0L, 0x1431, 0x4F62, 0xBC, 0x68, 0x33, 0x11, 0x71, 0x4A, 0x69, 0xAD);

  • 次の GUID を持つ、動的な構成データベースを格納するためのパーティション: DEFINE_GUID(PARTITION_LDM_METADATA_GUID, 0x5808C8AAL, 0x7E8F, 0x42E0, 0x85, 0xD2, 0xE1, 0xE9, 0x04, 0x34, 0xCF, 0xB3;

データ コンテナー内にボリュームが作成され、既定でマウントされます。 この点も、0x42 MBR パーティションのコンテンツとまったく同じです。

ベーシックディスクからダイナミックディスクへの変換

ドライブをダイナミックに変換するためには、ドライブ上のすべてのベーシック データ パーティションが連続している必要があります。 ベーシック データ パーティションが他の認識されないパーティションによって分断されている場合は、ディスクを変換できません。 これが、MSR をベーシック データ パーティションの前に作成する必要がある理由の 1 つです。 変換の最初の手順として、構成データベース パーティションを作成するために MSR の一部を分離します。 その後、起動不可能なすべてのベーシック パーティションが 1 つのデータ コンテナー パーティションに結合されます。 ブート パーティションは、個別のデータ コンテナー パーティションとして保持されます。 これはプライマリ パーティションの変換に似ています。

Windows XP 以降のバージョンの Windows は、ベーシック パーティションと拡張パーティションが Windows 2000 のように複数の異なる 0x42 パーティションとして保持されるのではなく、1 つの 0x42 パーティションに優先的に変換されるという点が Windows 2000 と異なります。

GPT と MBR のダイナミック ディスクが混在しているシステム

はい。 詳細については、「同一システム上での GPT ディスクと MBR ディスクの組み合わせ」を参照してください。

特定のパーティションのマウント

次の表に示すツールを使用して、さまざまな種類の GPT ディスク パーティションにアクセスできます。

ツール Windows ファームウェア
Diskpart.efi ディスク パーティション ツール ESP MSR データ
Diskpart.exe ディスク パーティション ツール ESP MSR データ
Diskmgmt.msc 論理ディスク マネージャー ESP データ
Explorer.exe エクスプローラー データ

Microsoft Platform SDK API を使用すると、独自のツールを開発して、そのプリミティブ レベルで GPT ディスク パーティションにアクセスすることもできます。

Windows での GPT ディスクの管理方法

GPT ディスクと MBR ディスクは同じ方法で管理されます。 ディスクを GPT または MBR としてフォーマットするには、Diskpart.exe コマンド プロンプト ユーティリティを使用するか、ディスク アドミニストレータ スナップインを使用します。 GPT ディスクと MBR ディスクの両方でボリュームを作成でき、両方の種類のディスクを同じダイナミック ディスク グループ内に混在させることができます。

FTdiskセット

Windows XP 以降の Windows では、MBR または GPT ディスクに対して FTdisk セットがサポートされていません。 ダイナミック ディスクでのみ論理ボリュームがサポートされます。

ディスクの GPT と MBR 間の変換

Microsoft では、ディスクを MBR から GPT に変換する MBR2GPT.exe を提供しています。

GPT ディスクでサポートされているファイル システム

すべてのベーシック データ パーティションとすべてのダイナミック ボリュームで、NTFS が推奨されています。 Windows セットアップおよびディスクの管理スナップインでは、NTFS のみが提供されます。 これを回避するには、フォーマット コマンドライン ツールを使用してパーティションまたはボリュームを明示的にフォーマットする必要があります。

GPT ディスクとそのコンテンツの操作

GPT ディスクの作成

GPT ディスクは、空の、パーティション分割されていないディスク (raw ディスクまたは空の MBR ディスク) 上にのみ作成できます。 GPT ディスクの作成の詳細については、「GPT ドライブの使用」を参照してください。

MBR または GPT ディスクの変換

GPT ディスクのセクター単位のコピーを作成しない

ディスクとパーティションの GUID が一意でなくなります。 これは絶対にあってはならないことです。 ESP またはベーシック データ パーティションのコンテンツのセクター単位のコピーを作成することはできます。

OPK イメージング ツールを使用して GPT ディスク全体をコピーする

OPK イメージング ツールを使用して GPT ディスク全体をコピーできますが、重要な注意事項がいくつかあります。 OEM プレインストール キット (OPK) により、ディスクとパーティションの GUID が 0 に初期化されます。 Windows の初回起動時に、オペレーティング システムによって一意の GUID が生成されます。 OPK では、ESP、MSR、およびベーシック データ パーティションの生成のみがサポートされています。

アプリケーションがディスクやパーティションの GUID を記録していた場合、壊れる可能性があります。 システム製造元またはアプリケーション ベンダーによって提供される、GUID に依存するアプリケーション、ドライバー、ユーティリティ、またはファームウェアの実装はすべて、OPK の初期化値からオペレーティング システムによって生成される値へと変更される GUID を処理できる必要があります。

Diskpart.efi の MAKE コマンド

Diskpart.efi の MAKE コマンドは、OEM がオペレーティング システムのプレインストールとシステム回復を簡略化する方法の 1 つです。 このコマンドを簡単に拡張して、プラットフォームに対する "既定の" ディスク構成を作成することができます。 たとえば、システム製造元は、ブート ドライブを 1 つの ESP、MSR、1 つの OEM 固有のパーティション、および 1 つのベーシック データ パーティションに自動的にパーティション分割するように、MAKE コマンドを拡張できます。

たとえば、BOOT_DISK という使用可能なディスク構成があるとします。 業務上の障害からの回復時に、MAKE BOOT_DISK を使用することで、顧客はブート ディスクを元の出荷時の既定値に完全にパーティション再分割できます。

重複したディスクまたはパーティション GUID の検出

重複したディスクまたはパーティション GUID が Windows によって検出された場合は、重複したすべてのディスク GUID、MSR パーティション GUID、または MSR ベーシック データ GUID に対して新しい GUID がすぐに Windows によって生成されます。 これは、Windows 2000 での重複した MBR 署名の処理に似ています。 ダイナミック コンテナーまたはデータベース パーティションに重複した GUID があると、予期しない結果が発生します。