バックグラウンドで無期限に実行する

  • [アーティクル]

ユーザーに最適なエクスペリエンスを提供するために、Windows によりユニバーサル Windows プラットフォーム (UWP) アプリにリソース制限が適用されます。 フォアグラウンド アプリに最も多くのメモリ量と実行時間が割り当てられ、バックグラウンド アプリへの割り当ては少なくなります。 これによってユーザーは、フォアグラウンド アプリのパフォーマンスを維持し、大量のバッテリ消費を回避できます。

ただし、個人利用を目的とした UWP アプリ (Microsoft Store で公開しないサイドローディング アプリ) を作成する場合や、エンタープライズ UWP アプリを作成する場合は、バックグラウンド実行や延長実行の調整を指定せずに、すべてのリソースをデバイスで利用可能にしておくこともできます。 基幹アプリケーションや個人用の UWP アプリケーションでは、Windows Creators Update (Version 1703) の API を使用して、調整をオフにすることができます。 ただし、これらの API を使用している場合はアプリを Microsoft Store に公開できないため、注意が必要です。

最小化状態での実行

フォアグラウンドで実行されていない UWP アプリは一時停止状態になります。 デスクトップでは、ユーザーがアプリを最小化すると、この状態になります。 最小化状態でもアプリの実行を継続するには、延長実行セッションを使用します。 Microsoft Store で承認されている延長実行 API については、「延長実行を使ってアプリの中断を延期する」をご覧ください。

開発中のアプリを Microsoft Store に提出する予定がない場合は、制限された機能 extendedExecutionUnconstrained を指定して ExtendedExecutionForegroundSession を使用できます。これにより、アプリはデバイスの電力状態を問わず、最小化状態でも実行を継続します。  

extendedExecutionUnconstrained 機能は、制限された機能としてアプリのマニフェストに追加されます。 制限された機能について詳しくは、「アプリ機能の宣言」をご覧ください。

注意

xmlns:rescap XML 名前空間宣言を追加し、機能を宣言するために rescap プレフィックスを使用します。

詳細については、「アプリ機能の宣言」の「制限付き機能」セクションをご覧ください。

Package.appxmanifest

<Package
    ...
    xmlns:rescap="http://schemas.microsoft.com/appx/manifest/foundation/windows10/restrictedcapabilities"
    IgnorableNamespaces="uap mp rescap">
  ...
  <Capabilities>
    <rescap:Capability Name="extendedExecutionUnconstrained"/>
  </Capabilities>
</Package>

機能をextendedExecutionUnconstrained使用すると、ExtendedExecutionSession および ExtendedExecutionReason ではなく、ExtendedExecutionForegroundSession と ExtendedExecutionForegroundReason が使用されます。 この場合も、セッションの作成、メンバーの設定、非同期的な延長要求は同じパターンになります。

var newSession = new ExtendedExecutionForegroundSession();
newSession.Reason = ExtendedExecutionForegroundReason.Unconstrained;
newSession.Description = "Long Running Processing";
newSession.Revoked += SessionRevoked;
ExtendedExecutionForegroundResult result = await newSession.RequestExtensionAsync();
switch (result)
{
    case ExtendedExecutionForegroundResult.Allowed:
        DoLongRunningWork();
        break;

    default:
    case ExtendedExecutionForegroundResult.Denied:
        DoShortRunningWork();
        break;
}

アプリがフォアグラウンドになるとすぐに、この延長実行セッションを要求できます。 制限のない延長実行セッションは、割り当て電力やオペレーティング システムのバッテリー節約機能によって制限されません。 セッション オブジェクトへの参照が存在する限り、アプリは実行状態を維持し、中断状態に移行しません。 ユーザーによってアプリが閉じられると、セッションは失効します。

Revoked イベントに登録すると、アプリは必要なクリーンアップ作業を行うことができます。 中断状態では、ExtendedExecutionReason.SavingData を使用して延長実行セッションを作成することにより、アプリが中断されメモリから削除される前にユーザー データを保存できます。

バックグラウンド タスクを無期限に実行する

ユニバーサル Windows プラットフォームのバックグラウンド タスクは、どのような形のユーザー インターフェイスも持たない、バックグラウンドで実行されるプロセスです。 一般的に、バックグラウンド タスクは取り消されるまで最長で 25 秒間実行できます。 長時間実行されるタスクについても、バックグラウンド タスクのアイドル状態やメモリ使用について確認が行われます。 Windows Creators Update (Version 1703) では、制限された機能 extendedBackgroundTaskTime が導入され、これらの制限が解消されました。 extendedBackgroundTaskTime 機能は、制限された機能としてアプリのマニフェスト ファイルに追加されます。

注意

xmlns:rescap XML 名前空間宣言を追加し、機能を宣言するために rescap プレフィックスを使用します。

詳細については、「アプリ機能の宣言」の「制限付き機能」セクションをご覧ください。

Package.appxmanifest

<Package
    ... 
    xmlns:rescap="http://schemas.microsoft.com/appx/manifest/foundation/windows10/restrictedcapabilities"
    IgnorableNamespaces="uap mp rescap">
...
  <Capabilities>
    <rescap:Capability Name="extendedBackgroundTaskTime"/>
  </Capabilities>
</Package>

この機能を使用すると、実行時間の制限とアイドル タスクに対するウォッチドッグが解除されます。 トリガーまたはアプリ サービスの呼び出しによってバックグラウンド タスクが開始され、Run メソッドで指定された BackgroundTaskInstance によって延期されると、そのバックグラウンド タスクは無期限に実行されます。 アプリが [Windows で管理] に設定されている場合は、割り当て電力が指定されていることがあり、バッテリー節約機能が有効であればバックグラウンド タスクがアクティブになりません。 この動作は OS の設定で変更できます。 詳しくは、「バックグラウンド アクティビティの最適化」をご覧ください。

ユニバーサル Windows プラットフォームでは、バッテリ寿命を維持し、フォアグラウンド アプリで最適なエクスペリエンスを提供するために、バックグラウンド タスクの実行が監視されます。 ただし、個人用アプリや企業の基幹業務アプリでは、延長実行と extendedBackgroundTaskTime 機能を使用して、デバイス リソースの可用性にかかわらず、必要な限り実行されるアプリを作成できます。

ただし、extendedExecutionUnconstrained 機能と extendedBackgroundTaskTime 機能では UWP アプリの既定ポリシーが上書きされ、大幅にバッテリが消耗することがあるため、注意が必要です。 これらの機能を使用する前に、まず延長実行およびバックグラウンド タスクの時間に関する既定のポリシーがニーズに合っていないことを確認し、バッテリに制約のある状態でテストを実行して、アプリがデバイスに与える影響を把握してください。

こちらもご覧ください

バックグラウンド タスクのリソース制限を解除する