KMS ライセンス認証 - プロダクト キー グループについて
こんにちは。Windows テクノロジー サポートの安達です。
KMS ライセンス認証で使用されるボリューム ライセンス用プロダクト キーの
プロダクト キー グループの考え方等についてご紹介したいと思います。
なお、本日ご紹介させていただきます内容については、特に明記が無い限り
プラットフォーム (x86, x64, IA64) に依存しない内容としてご紹介しております。
また、KMS ライセンス認証そのものについての説明は、
以下のブログで紹介させて頂いておりますので
よろしければ合わせてご確認ください。
ボリューム アクティベーション 2.0 - KMS ライセンス認証について
コンテンツ
プロダクト キー グループと KMS クライアントの関係
KMS ライセンス認証は、KMS ホストと呼ばれる端末が KMS クライアントに対して
ライセンス認証を提供する構成となります。
KMS ライセンス認証用のボリューム ライセンス プロダクト キーは
KMS ホストとして構成する端末にインストールするためのプロダクト キーとなりますが、
プロダクト キーごとにライセンス認証可能な KMS クライアントの OS が異なります。
上記 KMS ライセンス認証用のボリューム ライセンス プロダクト キーの
種類を表す言葉として プロダクト キー グループ という表現が使われます。
現在提供されている KMS ライセンス認証用のプロダクト キーの
"プロダクト キー グループ" および "プロダクト キー グループ" ごとに
ライセンス認証可能な KMS クライアントの OS を 1 つの図にまとめると
以下のようになります。
KMS ライセンス認証 "プロダクト キー グループ"
KMS ライセンス認証の "プロダクト キー グループ" は階層構造を取っており、
上位の "プロダクト キー グループ" は下位の "プロダクト キー グループ" の
内容も含む形になります。
また、上記図における黒字の内容が "プロダクト キー グループ" の名称、
白字の内容が該当の "プロダクト キー グループ" のプロダクト キーを使用した場合に
ライセンス認証が可能な KMS クライアントの種類となります。
※ "Windows Server 2008" と "Windows Server 2008 R2" では
"サーバー グループ" という同じ表現を使用しますが、
含まれる対象が異なりますのでご注意ください。
上記図では、便宜上左上にカタカナ 1 文字を付与しておりますが、
このカタカナ 1 文字を用いて各 "プロダクト キー グループ" ごとに
ライセンス認証可能な KMS クライアントの組み合わせをまとめると以下のようになります。
プロダクト キー グループ (カタカナ文字) | ライセンス認証可能な KMS クライアントの組み合わせ |
---|---|
ア | ア + イ + ウ + エ + オ + カ + キ + ク |
イ | イ + ウ + エ + カ + キ + ク |
ウ | ウ + エ + キ + ク |
エ | エ + ク |
オ | オ + カ + キ + ク |
カ | カ + キ + ク |
キ | キ + ク |
ク | ク |
例 1
例えば、上記 「カ」 の [Windows Server 2008 向け サーバー グループ B] の
プロダクト キーでは、下位の [Windows Server 2008 向け サーバー グループ A] と
[クライアント (Windows Vista) 用の プロダクト キー グループ] を包含しますので、
最終的にライセンス認証可能な KMS クライアントとしては以下となります。
Windows Server 2008 向けサーバー グループ B を使用した場合に
ライセンス認証が可能な KMS クライアント
- Windows Server 2008 Standard
- Windows Server 2008 Enterprise
- Windows Web Server 2008
- Windows Vista Business
- Windows Vista Enterprise
例 2
また、Windows Server 2008 R2 向け "プロダクト キー グループ" では、
同一エディションの Windows Server 2008 についても KMS クライアントとして
ライセンス認証を行うことができるようになっています。
例えば、上記 「ウ」 の [Windows Server 2008 R2 向けサーバー グループ A] の
プロダクト キーでは、Windows Web Server 2008 R2 と
Windows HPC Server 2008 R2 に加え、同一エディションの下位 OS である
Windows Web Server 2008 および Windows HPC Server 2008 についても
KMS クライアントとしてライセンス認証を行う事が可能です。
この事は、上記図内においては 「ウ」 配下に下位 OS の Windows Server 2008 向けの
サーバー グループ A である 「キ」 が含まれるように記載する事で表現しています。
上記をふまえ、下位の "プロダクト キー グループ" も含めた
最終的にライセンス認証可能な KMS クライアントをまとめると以下のようになります。
Windows Server 2008 R2 向けサーバー グループ A を使用した場合に
ライセンス認証が可能な KMS クライアント
- Windows Web Server 2008 R2
- Windows Web Server 2008
- Windows HPC Server 2008 R2
- Windows HPC Server 2008
- Windows 7 Professional
- Windows 7 Enterprise
- Windows Vista Business
- Windows Vista Enterprise
プロダクト キー グループと KMS ホストの関係
現在 KMS のバージョンとしては "1.0" "1.1" "1.2" の 3 種類があります。
KMS ホストとして構成する場合にはこの KMS バージョンの違いにより
使用できる "プロダクト キー グループ" が異なります。
KMS ホストとして構成可能な OS ごとに KMS ホストとして構成した場合の
既定の KMS バージョンおよび該当の OS を KMS ライセンス認証でホストする場合に
必要な KMS バージョンをまとめると以下のようになります。
オペレーティング システム | 既定の KMS バージョン | ホストする場合に必要な KMS バージョン |
---|---|---|
Windows Vista | KMS 1.0 | KMS 1.0 以上 |
Windows Server 2008 | KMS 1.1 | KMS 1.1 以上 |
Windows 7 | KMS 1.2 | KMS 1.2 |
Windows Server 2008 R2 | KMS 1.2 | KMS 1.2 |
※ Windows Server 2003 も KMS ホストとして構成可能です。
ただし、既定で KMS はインストールされておらず KMS クライアントとしても
構成不可のためここでは除外しています。
例えば Windows 7 の KMS クライアントを KMS ホストで管理する事を考えた場合、
KMS のバージョンが "1.2" である必要があります。
また、Windows 7 は既定で KMS 1.2 のため、Windows 7 を KMS ホストとして構成すれば
同じく Windows 7 の KMS クライアントを管理する事ができる事になります。
その他の OS については KMS 1.2 用のアップデート モジュールが別途提供されておりますので、
これらのモジュールをインストールする事で、その他の OS でも KMS ホストとして
Windows 7 や Windows Server 2008 R2 をホストする事が可能となります。
ただし、原則的にはクライアント用の "プロダクト キー グループ" (クライアント VL) は
クライアント OS で使用し、サーバー用 "プロダクト キー グループ" (サーバー グループ) は
サーバー OS で使用する必要があります。
つまり、Windows 7 を KMS ホストとして構成した場合に Windows Server 2008 R2 用の
プロダクト キーを使用したり、反対に Windows Server 2008 R2 で
Windows 7 用のプロダクト キーを使用する事はできません。
(Windows Vista および Windows Server 2008 でも同様の考え方となります。)
また、Windows Server 2003 を KMS ホストとして構成する場合は、
他の OS を KMS ホストとして構成した場合とは若干扱いが異なり、
全ての "プロダクト キー グループ" に対応した KMS ホストとして構成する事が可能です。
Windows Server 2003 の KMS ホストでは 上記表の "ホストする場合に必要な KMS バージョン"
と同様に KMS のバージョンによって、以下のようにホスト可能な OS が異なります。
Windows Server 2003 KMS バージョン | ホスト可能な KMS クライアントのバージョン |
---|---|
KMS 1.0 | Windows Vista |
KMS 1.1 | Windows Vista Windows Server 2008 |
KMS 1.2 | Windows Vista Windows Server 2008 Windows 7 Windows Server 2008 R2 |
各 OS ごとの KMS 用アップデート モジュールについては
以下よりダウンロードが可能となっておりますのでご確認ください。
プロダクト キー グループの対応表
最後にここまでの内容でご紹介させていただきました "プロダクト キー グループ" ごとの
KMS ホストとして構成可能な OS および KMS クライアントとしてライセンス認証可能な
OS について、各 OS 向けの "プロダクト キー グループ" ごとに一覧にさせていただきましたので
ご確認ください。
プロダクト キー グループ | KMS ホストとして構成可能なエディション | KMS クライアントとして ライセンス認証可能なエディション |
---|---|---|
Client VL for Windows Vista |
|
|
プロダクト キー グループ | KMS ホストとして構成可能なエディション | KMS クライアントとして ライセンス認証可能なエディション |
---|---|---|
Client VL for Windows 7 |
|
|
プロダクト キー グループ | KMS ホストとして構成可能なエディション | KMS クライアントとして ライセンス認証可能なエディション |
---|---|---|
Server Group A for Windows Server 2008 |
|
|
Server Group B for Windows Server 2008 |
|
|
Server Group C for Windows Server 2008 |
|
|
プロダクト キー グループ | KMS ホストとして構成可能なエディション | KMS クライアントとして ライセンス認証可能なエディション |
---|---|---|
Server Group A for Windows Server 2008 R2 |
|
|
Server Group B for Windows Server 2008 R2 |
|
|
Server Group C for Windows Server 2008 R2 |
|
|
まとめ
最後に今回ご説明いたしました内容について
抑えて頂きたいポイントのまとめと参考情報のご紹介をさせていただきます。
まとめ
- KMS ライセンス認証用プロダクト キーの種類を表現する言葉として
"プロダクト キー グループ" がある - "プロダクト キー グループ" は階層構造で下位の "プロダクト キー グループ" の
内容を包含する - KMS ライセンス認証用プロダクト キーによってライセンス認証可能な
KMS クライアントが異なる - KMS ライセンス認証用プロダクト キーによって KMS ホストとして構成できる OS が異なる
- KMS のバージョンによってホスト可能な KMS クライアントの OS が異なる
参考情報
ボリューム アクティベーション 2.0 Windows Server 2008 と Windows Vista SP1 での変更点
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc308698.aspx
Determine Product Key Needs
https://technet.microsoft.com/en-us/library/ff793411.aspx